Courtesy of Arctic Hazard

Norse : Unreal Engine 5 のエコシステムの多くの側面を活用する戦術的バイキング ゲーム

Mike Williams
バイキング時代の幕開けに、血と復讐の物語が始まります。Norse は、裏切りによって父親と仲間を失った、Gunnar という名の若い戦士の物語です。根性と狡猾さ、そして少しの誇りによって、Gunnar は新しい居住地を開拓し、強力な軍団を築き、父を殺した男 Steinarr Far-Spear に血塗られた復讐をします。

デベロッパー Arctic Hazard は、武器を振り回したり突いたりするバイキングの戦いのすべてを、プレイヤーに感じてもらうことを目的に、このターン制戦術ゲームを制作しています。ノルウェーに拠点を置くこのスタジオは、Norse のワールドを満たすために、伝統的な戦略ゲームへの愛情を持って、地域の歴史に目を向けています。戦術的戦闘を中心とするストーリーは、ベストセラーの Raven の物語で知られる小説家、Giles Kristian 氏の助けを借りて制作されています。

このゲームは Epic MegaGrants を受賞し、スタジオは Unreal Engine 5 を活用して、NaniteLumenMetaHuman などの機能を利用して Norse に命を吹き込んでいます。スタジオのデベロッパーの方々に、Norse のインスピレーション、ノルウェーの豊かな歴史を信ぴょう性をもって提示すること、その歴史を生き返らせるのに Unreal Engine 5 がどのように役立ったのかについて、お話をうかがいました。
 

Arctic Hazard というスタジオについて教えていただけますか?

Terje Lundberg 氏、クリエイティブ ディレクター:
Arctic Hazard AS はインディ ゲーム デベロッパーで、Windows、Xbox、PlayStation プラットフォーム向けに最高品質のゲームを制作することに集中しています。​

2010 年に Terje Lundberg 氏と Mats Tveita 氏によって設立されました。彼らはその時点でこの業界で 10 年以上の経験がありました。Arctic Hazard のチームは、ノルウェーで最高レベルの優秀な人材と、非常に経験豊富なデベロッパーで構成されています。

Arctic Hazard では、技術ではなくゲームを制作することが重要で、私たちのほとんどの技術はサードパーティ ベンダーからライセンス供与されています。そして、それをプロジェクトに統合して、制作の基盤として最高レベルのエンジンとツールをチームに確保し、刺激的なゲームプレイの制作に集中できるようにします。

Norse とはどんなものか説明していただけますか?

Lundberg 氏:
Norse は PC とコンソール向けのターン制戦術ゲームです。バイキング時代の幕開け時が舞台で、Gunnar という名の若い戦士の、ノルウェー全体にわたる復讐の旅を追います。目標は、居住地を開拓し、仲間を作って強くなることです。そして究極的には、裏切り者 Steinarr Far-Spear への復讐を遂げることです。彼は Gunnar の父 Jarl Gripr を裏切り、その仲間を虐殺したのです。
 
Norse は、受賞に輝く Sunday Times のベストセラー小説家である Giles Kristian 氏によって書かれ、9 世紀のノルウェー、バイキング時代の幕開けを舞台にしています。魅力的な物語の糸によって進むゲームで、印象的なキャラクターが大勢います。
Courtesy of Arctic Hazard
Arctic Hazard がノルウェーを拠点としていることを考えると、スタジオの背景はゲームの性質にどの程度影響していますか?

Lundberg 氏:
そうですね、もちろんノルウェーには豊かなバイキングの歴史があり、バイキングの遺産がいたるところにあります。オスロにはバイキング船博物館があり、本物の実物大のバイキング船を、宝物や埋蔵物と共に間近で見るには最高の場所の 1 つです。

Outer Oslofjord の西側、私たちのオフィスから遠くないところに Borre National Park があり、Midgard Historical Centre と Historical Borre Mounds があります。 

また近くには、西暦 800 年に遡るバイキングの街の、考古学的遺跡である Kaupang があります。Nærøyfjord には Gudvangen の村があり、賑やかなバイキングの街をかたどった、人気のある生きた博物館です。息を呑むような山の風景と狭いフィヨルドを背景に、9 世紀のノルウェーの生活と風景のすばらしいアイデアを与えてくれます。

北方の Lofoten には、Lofotr Viking Museum があり、去年訪れました。世界最大のバイキング ロングハウスが、1981 年に発掘された元のロングハウスの上に再現されています。長さ 83 メートル、幅 12 メートルで、目にすると驚くような光景です。 ノルウェー最古の街 Tønsberg では、毎年バイキング フェスティバルが開催され、バイキング マーケットもあります。これは貿易の中心地として繁栄した街の過去を反映するものです。 

ノルウェー全体に、このようなフェスティバルやバイキング開拓地を再現したものがあり、全員が刺激を受け、バイキングの世界の日常生活と物を研究するため、多くの場所に Arctic Hazard として「出張旅行」しました。そしてもちろん、Norse に取り組んでいる人の一部、これはイギリスの人たちのことですが、彼らは海賊行為によって利益を受ける側にいるのはどのような感じなのかを示す遺産に感銘を受けました。

Arctic Hazard の位置は 3 つの自然港に近く、非常に多くのバイキングの歴史に囲まれており、バイキング ゲームの制作に関しては、ユニークなインサイトと信頼性を与えていると思います。
Courtesy of Arctic Hazard
ターン制戦術ゲームを開発しようと思ったきっかけは何ですか?

Lundberg 氏:
ゲームや生活の中の他のものに熱狂したことはあまりないのですが、90 年代の Mythos Games と MicroProse、彼らの X-COM シリーズのゲームは貴重な体験でした。そして Firaxis Games が XCOM: Enemy Unknown (2012) と XCOM 2 (2016) のフォローアップ作品を制作したとき、このジャンルにはプレイヤーに与えるものが非常にたくさんあるとわかりました。 

幸いなことに、Arctic Hazard の共同設立者も同じ思いだったので、これらのゲームからインスピレーションを得て Norse の旅を始めました。しかし Norse は独立しており、より物語を重視し、ゲームプレイの管理の部分に重点を置いています。長年ターン制の戦術ゲームに欠けていたと感じる機能を満載しています。それでも、X-COM シリーズがなければ Norse はおそらく生まれなかったでしょう。

Norse のストーリーは受賞に輝く小説家 Giles Kristian 氏によって書かれています。彼と協力することは、Norse の世界や主人公 Gunnar と Sigrid のストーリーを肉付けするのにどのように役立ちましたか?

Lundberg 氏:
Giles Kristian 氏は、2 つのベストセラー バイキング 3 部作、Raven の物語と The Rise of Sigurd シリーズの著者で、100 万部以上が売れています。バイキング時代を舞台に、イマーシブなストーリーと魅力的なキャラクターを描いた彼の体験は、プレイヤーが一緒に時間を過ごしたいと思うようなキャラクターであふれた、本物だと感じるワールドを構築するのに役立ちました。 

Giles の読者が彼のバイキング小説で気に入っていることの 1 つはユーモアで、彼は鍛冶屋の Torsten や農夫の Holti など、すばらしいキャラクターによってそれを Norse にもたらしました。そのようなキャラクターを演じる俳優とカットシーンを録画するだけでもとても楽しかったです! 主人公の Gunnar と Sigrid に関しては、動機は復讐なので、Norse には暗いシーンもあります。これは結局、奇襲と血の確執、暴力と野心の世界なのです。

Giles はフェロー ライターですばらしいナラティブ ディレクターの Philip Stevens 氏とチームを組んで、性格描写とストーリーがあまり広まっていないゲームから Norse を際立たせる、物語の糸でゲームを牽引しています。

自分の軍団の選ばれたメンバーを、各自の動機とバックグラウンドを持つユニークな人にするプロセスについて、お話ししていただけますか?

Giles Kristian 氏、著者:
アドベンチャー小説を書くことで何かを学んだとしたら、それは人は人に興味があるということです。キャラクターは単に、ストーリーと同様に重要なのではありません。彼らこそがストーリーなのです。 私にとっては、冒険自体とそれを経験しているキャラクターは、切っても切れないほど親密につながっていなくてはなりません。冒険がなければ、キャラクターには克服するものがありません。魅力的なキャラクターがいなければ、成功するか失敗するか気にかけることはありません。 

強力な物語の糸を持つゲームを制作するうえで、ユニークなパーソナリティーと豊かなバックグラウンドを持つ、カラフルでバラエティに富んだ登場人物を制作することが重要でした。これらの戦士と商人たちに与える詳細によって、アーティストやデザイナー、そして究極的には俳優に情報が与えられ、一人前の 3 次元のキャラクターを描くことができます。プレイヤーが一緒に時間を過ごしたいと思うようなキャラクターです。だと良いのですが!
Courtesy of Arctic Hazard
ゲームにはパーマデスはありますか?

Fredrik Ulvmoen 氏、ゲーム デザイナー:
はい! 軍団のほとんどを構成する、ヒーロー以外のキャラクターにはパーマデスがあります。しかし、ヘルス値がゼロになっても必ずしも死ぬわけではありません。ユニットのヘルス値がゼロになると、「ヴァルハラゲートに」行き、運命は神の手に委ねられます。この状態では、ユニットは負傷やデスの大きなリスクを抱えながら、通常の限界を超えて戦い続けます。

ヒーロー キャラクターもこの状態に入ることがありますが、不運にも死亡すると、彼らなしではストーリーを続けられないので、現在のミッションをやり直さなければなりません。 ユニットがこの状態に入った後でミッションに成功すると、負傷します。負傷には、戦闘での有効性を削減させる衰弱効果から、一定期間任務から外され、ユニットに新しい性質を与える永久的な外観の損傷を残す場合がある重傷まであります。

ヒットされるたびにデスの可能性が増加する状態でユニットを戦い続けさせることができることで、リスクと報酬の追加のレイヤーができ、プレイヤーはキャラクターのデスに関してある程度自由度があります。必須のキャラクターやお気に入りのキャラクターが困難な状況に陥っても、状況はまだ回収可能です。

戦闘と探検の間に、プレイヤーは居住地に戻ります。そこでは村を支配して、地域の鍛冶屋など、村の主な部分とやりとりできます。この追加のメカニズムによって、Norse の体験に何が追加されますか?

Ulvmoen 氏:
プレイヤー居住地は、プレイヤーが戦士を管理し、新しい装備やアップグレードを作動させることができる、ハブです。居住地内の労働者とやりとりすることで、新しい装備を獲得します。鍛冶屋の Torsten などの職人とのやりとりは、ダイアログとクラフトを組み合わせたインターフェースを介して行われます。クラフトしてほしい武器と装備をキューに入れる一方で、プレイヤーは村のキャラクターと知り合いになり、彼らのワールドに関する考えや、ゲーム内でのプレイヤー自身の進捗を知ることができます。

これにより、プレイヤーが 1 軒の家屋から、お気に入りのキャラクターたちが家と呼ぶ、繁栄する居住地に育てることができる、コミュニティの意識が生まれます。動的なキャラクターたちが最後の奇襲に関してコメントし、戦死した戦士の喪失を嘆き、仕事量について不平を言い、あるいはおそらく酔っ払ったり他の理由で具合が悪かったりして、対応できないこともあります。 

さらに、こういった要素を季節的な式典や居住者間の諍い、ゲームのさまざまな側面に影響する居住地全体に対する命令と組み合わせることで、ミッション間の小休止を提供するだけではなく、それ自体が刺激的な機能として存在する、プレイヤーがそこに戻るのを楽しみにするようなハブを作り出そうとしています。

戦闘の興味深い一面として、北欧の民族相撲である Glima の使用があります。このユニークな戦闘スタイルを含めることに決めたのはなぜですか? 

Ulvmoen 氏:
主にメレー戦闘に重点を置いているので、Glima はそのユニークなアビリティのため、見た目だけでなくメカニズムとしても追加したらすばらしいと感じました。また、あまり広く知られていない北欧文化の一面をゲームに与えてもいます。Glima は何度かイテレーションして、戦闘システムの中でどうやってレスリング スタイルを提示するのがよいか、複雑すぎるミニゲームから、よりシンプルなアビリティまで、いろいろ試しました。現在の形では、その中間に落ち着き、シンプルで理解しやすい一方、アビリティを使うときに考慮すべき戦略のレイヤーを追加するものになっています。

Glima アビリティを起動すると、初期成功率があり、プレイヤーはアクション ポイントを使って成功率を上げた状態でさらに試行できます。これらのアビリティは、最初、試行中、失敗時、成功時にエフェクトを持つことができ、レスリング スタイルをシミュレートするうえで非常に柔軟にできます。このデザイン アプローチにより、Glima の本質を捕らえることができるだけではなく、魅力的なゲームプレイ メカニズムが実現します。これは、社内テスティングと初期ユーザーのフィードバックの両方が、Norse に対する刺激的な追加物と見なしました。
Courtesy of Arctic Hazard
Norse のキャラクターと背景に使用される、リアルなアート スタイルにはどのようにしてたどり着いたのですか?

Mike Kiessling 氏、ワールド ディレクター:
Norse のナラティブとワールド デザインは、実世界の歴史に深く根ざしているので、アート スタイルを同じレベルの正統性に一致させるのは、次のステップとして自然なことでした。家屋や背景、衣服の早期のコンセプトは、実際の場所や考古学的発見に基づいていることが多かったです。ノルウェーでは、歴史の記録から、生きた歴史のイベントの実際的な実地経験まで、活用できるリソースやインスピレーションが豊富にあります。これらを鎧や衣服、武器などのもののベースラインとして使用し、そこからさらにアート スタイルで精巧に作り込みました。

リアリズムを選択することで、アセット作成が大幅にスピードアップしました。ワールドやプロップ、キャラクターに関して、写真の参考資料に頼ることができ、コンセプト アーティストが最も重要な部分に集中できるからです。進む方向は、プレイヤーにとって非常に刺激的なものであるべきです。バイキング時代のノルウェーの、他の多くのゲームで見られるよりも「本物」の表現を制作しているからです。

Quixel Megascans を使用した体験についてお話ししていただけますか?

Kiessling 氏:
かつては、リアルなビジュアルを目指すのは、大きな予算がある大規模スタジオの領域でした。小規模なチームやインディ スタジオは、シンプルでスタイライズドなグラフィックスに固執しがちでした。Quixel Megascans アセットを自由に使えることによってそのギャップが埋められ、私たちのような小規模チームであっても、これまでに可能だったものをはるかに超えるペースと品質でレベルを作成できます。
 
Quixel ライブラリの品質は一貫しているので、複数のアセット パックのつじつまを合わせる余分な作業も不要でした。また、Quixel サーフェスの大規模なライブラリのディスプレイスメント マップを活用することで、非常に詳細なスカルプトを ZBrush で以前よりはるかに速く作成しました。アーティストはゲームのユニークな要素に集中でき、一方多くの「フィラー アイテム」は既に作成されていました。

Epic MegaGrants を受賞したことは、Norse の開発にどのように役立ちましたか?

Lundberg 氏:
助成金自体は Norse の計画の早い段階で経済的に助かりました。しかし、それより重要なことは、Epic に認められたことで他の投資機会の扉が開けたことです。Epic MegaGrants を受賞することは、どんなチームにとっても大きな後押しです。
Courtesy of Arctic Hazard
真っ先に Unreal Engine 5 の開発に飛び込むことはどうでしたか?

Jens Bjarne Myhre 氏、CTO:
Nanite と、それで何ができるのかを試し、その仕組みや、それによって開発プロセスがどう変化するのかを理解するのは、刺激的でした。しかし、以前頼っていた機能が、Nanite を使用すると機能しなくなるというのは少し残念でした。

そこで、Nanite によって導入された新しいパラダイムを全面的に利用して、古いメッシュをすべて、プリプロダクション段階で開発したガイドラインに従う新しいものに置換することにしました。これにより数か月の手戻りがありました。既に作成していたアセットに代わる新しいアセットを制作するためにかかった時間です。できるときには必ず Quixel ライブラリを利用しました。これは、以前の状態に戻るために数か月を費やすという、やや苦しい時期でしたが、現在は、はるかに高い品質レベルで、はるかに将来に備えたワークフローの経験を積みました。

早期アクセスの期間は少しびくびくしていました。問題が次々に表面化し、いつ修正できるか、修正できるかどうかもわからなかったからです。幸いにも、5.0 のリリースと、リリースごとにそれまでなかった機能が Nanite に追加されたことで、大きな問題のほとんどは解決しました。たとえば最新の 5.2 リリースでは、ステンシル バッファがサポートされるようになってとても安心しました。ゲームのリリースが近づき、これがサポートされていなければ、UI の要素をワールドに統合するためのアプローチを考え直す必要があったからです。

そのため、うまく行かなかったときのために代替を探すのか、それともとにかく他の問題に集中して、やがて問題が解決すると想定するか、決めるタイミングが難しかったのです。たいていは後者を選び、ここまでのところ、それでうまくいっています。

UE5 で何か驚いたことはありましたか?

Kiessling 氏:
「驚く」というのはぴったりの言葉ではないかもしれませんが、Norse に取り組みながら、Unreal Engine 5 の開発を間近で追うのは刺激的でした。UE5 のプレビュー バージョンが公開されてすぐに飛びつき、途中でのリリースはマイナーなものもメジャーなものもすべて、チームから「すばらしい、まさに必要だったものだ!」という反応を引き出しました。それと、Nanite は本当に魔法のようで …

Myhre 氏: 他の方も言っているように、Unreal Engine 4 からのシームレスな移行は非常に素晴らしかったです。

また、Nanite、Lumenバーチャル シャドウ マップ の機能が非常に優れているので、非常に密度の高いモデルに優れた詳細なシャドウイングがあるのに見慣れてきます。何も特別ではないように思えてきます。本質的には「力ずくの」オフライン レンダリング テクニックを使用しているパス トレーサーとの大きな違いを見つけるのが難しいことがよくあります。他のゲームを起動して、詳細がまったく欠けていたりシャドウがギザギザなのに気付くまで、いかに忠実度が高いか実感しないことも多いです。UE4 のときほどはパフォーマンスが良くないかもしれませんが、得るものを考えれば驚くほど優れたパフォーマンスです。
Courtesy of Arctic Hazard
Norse のキャラクターはすべて、MetaHuman を使用して作成されました。リアルで真に迫ったキャラクターを制作するうえで、このツールはどのように役立ちましたか?

Mats Tveita 氏、アート ディレクター:
MetaHuman はチームにとって優れた資産です。真に迫ったキャラクターを作成して、品質とバラエティの点でさらに優れた結果を達成するのを、はるかに迅速にできるようになりました。主要なキャラクターではいまだに 3D スキャンをやっていて、MetaHuman には独自のメッシュを追加する機能があるので、協調しています。 

MetaHuman 内のセットアップにより、すばらしいバラエティに富んだ表情ができ、すべて Live Link に紐付けられているので、作業するのが楽しいパイプラインです。結果を迅速に得ることができ、重要なのは変更も迅速だということです。最も重要なのは、どんな場合でも最終結果で、MetaHuman はそこに到達するための優れたツールです。

Myhre 氏:最初は、MetaHuman を使用することは、キャラクターの顔の特徴の柔軟性を犠牲にして、優れたアニメーションを得るためのやむを得ない妥協でした。MetaHuman Creator を使用して、キャラクターの顔を望みどおりに作るのは困難だとわかりました。結局、頭部のモデルを、ZBrush で変更した独自のバージョンのモデルに置き換えることができるツールを作成しました。それによって、キャラクターを適宜作ることができます。ツールには制約があり、かなり荒削りでした。モデルの頂点しか動かせなかったからです。そこで、元のモデルからあまり離れすぎないように注意しなければなりませんでした。離れすぎるとリグとのバランスが崩れるからです。

しかし、Unreal Engine の MetaHuman プラグインのリリース後、問題はすべてなくなり、このツールはすばらしいです。キャラクターを好きなように制作して、わずか数分の作業でアニメーション リグのメリットをすべて得られます。これができるツールは他にもあるかもしれませんが、このレベルの品質と使いやすさでできるツールは、MetaHuman 以外には知りません。

Norse の制作で役立った、Unreal Engine の他のツールはありましたか?

Myhre 氏:
Unreal Engine で利用できるツールは大量にあり、おそらく単に知識がないためにフル活用できていないものが多分たくさんあります。しかし、開発中に役立つとわかったものをいくつか挙げて感謝します。エディタ ユーティリティ、これは、カスタム コンテキスト メニュー オプションを作成して独自のカスタム スクリプトを実行し、タスクやさまざまな処理を自動化するために、あらゆる種類のアセットに対して操作を行うために使用しました。Unreal Insights も、深く掘り下げてボトルネックを発見する必要がある場合に優れています。私たちのゲームは最適化の点でまだあまり進んでいないので、おそらくこれを十分には使用していません。

優れた強力なツールは、開発を非常に加速してくれるので、Unreal Engine が提供するものについてもっと学ぶことに興味があります。たとえば、GDC 2023 でデモが行われたプロシージャル コンテンツ生成のフレームワークにはとても興味があり、レベルでの植栽を詳細化するのに役立つはずです。

そして、モデルの作成方法が、Nanite を利用してはるかに小さい構成要素を作成して組み合わせるというように変更されたので、このフレームワークとよく適合するかもしれません。これまでやっていたように、手作業でオブジェクトを作成してブループリント アクタとして保存するのではなく、オブジェクトのプロシージャルなアセンブリを作成するのに使用できるかもしれません。これにより、同じアセンブリは 2 つとないので、バリエーションを増やすことができます。
Courtesy of Arctic Hazard
ゲームを開発する過程で、チームが学んだことは何ですか?

Kiessling 氏:
私の場合は、細々したことがたくさんあり、今でも毎日、新しい開発を学んで適用しています。ここまでの最重要事項は、チームの強みを活用すれば、わずか数年前には小規模チームでは不可能だったスケールと品質でコンテンツを制作することが、いままで以上に可能になっていると思います。

他のインディ デベロッパーやゲーム デベロッパーを目指す方々に、何かヒントはありますか?

Kiessling 氏:
自分が制御できることに集中してください。何よりもまず、制作して自分でプレイしたいと思うゲームを作り、一緒に制作したいと思う人たちと一緒にやってください。

Myhre 氏:既に知っている 1 つの方法にこだわるという、工場のラインのような考え方に陥らないようにしてください。代わりに、利用できるツールやオプションについて時間をとって学んでください。目標を達成するための方法はたいていたくさんあるからです。そして可能性を幅広く理解していることによって、多くの場合に、やることに対してもっと良い方法を選択できるようになります。あらゆる可能性に慣れるために使った余分な時間は、開発中により良い決定を下すことによって、結局は節約できます。

そしてブループリントを使ってゲームを構築している方は、C++ をやってみることを絶対に検討してください。はるかに多くの可能性が開けるからです。より具体的なブループリント クラスを作成することだけに関しても、EditInlineNew、DynamicOutputParam、ExpandEnumAsExecs、GetOptions など多くのメタデータ指定子があり、非常に強力なデータ構造と関数ノードが可能になり、ゲームの可能性が広がります。ですから、プロジェクトで C++ の作業をまったくやっていない場合は、重大な取り損ないがあるでしょう。Unreal で優れたメリットを C++ から得るために、深入りする必要はありません。

お時間をとっていただきありがとうございました。Norse についての詳細を知るにはどこに行けばいいですか?

Lundberg 氏:
楽しかったです、ありがとうございました。Norse のプロモーションをする予定のチャンネルがいくつかあり、来年にかけてより頻繁に更新していきますので、どうぞご期待ください。

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