Unreal Engine 5.1 がリリースされました!

Unreal Engine 5.1 がリリースされました。今回のリリースでは、UE5 で導入された画期的な機能セットを基礎としてさらなる構築を行い、あらゆる業界のクリエイターのために堅牢性、効率性、汎用性を向上させました。

この取り組みの一環として、さまざまなワークフローに対してエンジンのストレステストを実施し、より多くのセクターに適用可能なものにしてきました。
 

Unreal Engine 5.1 で導入された新機能


 

Lumen、Nanite、および仮想シャドウ マップの更新

次世代コンソールや次世代対応 PC で 60 fps で動作するゲームや体験に対応するための Lumen ダイナミック グローバル イルミネーションおよび反射システム、Nanite 仮想化マイクロポリゴン ジオメトリ システム、仮想シャドウ マップ (VSM) の基盤を確立することで、高速の対戦ゲームや詳細度の高いシミュレーションをレイテンシーなく動作させることができるようになりました。
Unreal Engine 5.1 の Lumen 夜景シーン
同時に、Nanite が更新され Programmable Rasterizer も追加されました。Programmable Rasterize を使用することでワールド位置オフセットによるマテリアル駆動のアニメーション及び変形と、オパシティ マスクを利用できます。この優れた開発により、アーティストが Nanite を使用して、特定のオブジェクトの動作 (風に舞う葉を描写した Nanite ベースのフォリッジなど) をプログラミングすることができます。
 

開発効率を向上

今回のリリースでは、ゲーム デベロッパーやその他の大規模なインタラクティブ プロジェクトの効率を改善する多数の機能が追加されており、チームの生産性向上に役立ちます。

仮想アセットにより、オブジェクト データからメタデータを分離し、Perforce など、ソース コントロール システムの必要な要素だけをデベロッパーが同期できるようにしたため、オブジェクト データ全体にアクセスする必要がないデベロッパーにとって、ワークスペースがコンパクトになり、同期も迅速化されました。テクスチャおよびオーディオ アセットをサポートするのがこの機能の当初の予定ですが、将来的にはより多くの種類を追加することを目指しています。

さらに、DX12 向けの自動 Pipeline State Object (PSO) キャッシュを実装し、DX12 でのシッピング向けのゲームの準備に必要なプロセスを簡素化しました。

すべてのデベロッパーとクリエイターは、オンデマンドのシェーダーのコンパイルによる利点を活用できます。この機能では、Unreal Editor での作業中、および必要に応じて、プラットフォーム開発のイテレーション中に、画面に表示される内容をレンダリングするために必要なシェーダーのみをコンパイルします。大規模なプロジェクトでは、これが大幅な時間の節約やインタラクティビティの向上につながる場合があります。

ワールド ビルド ツールの機能強化

このリリースでは、大規模なオープン ワールドを構築するためのツールの機能強化にも引き続き取り組んでおり、機能が追加され、ワークフローが改善されています。

まず、World Partition で Large World Coordinates がサポートされるようになりました。精度を損なうことなく、大規模なオープン ワールドを作成できます。

同時に、ファイルやチェンジリストの管理、フィルター、検索、表示に関するユーザー エクスペリエンスが改善されたことで、World Partition によって高速化されたソース コントロール ワークフローを利用できるようになりました。チェンジリスト内のコンテンツからワールドのコンテンツを見つけることも、ワールドのコンテンツからチェンジリスト内のコンテンツを見つけることも簡単になりました。

さらに、水のレンダリングとストリーミングのための新しい HLOD (階層詳細度) をサポートしたことで、より優れたパフォーマンスと少ないメモリ使用量で、大規模な水域をオープン ワールドで作成できます。
Unreal Engine 5.1 の HLOD による水のサポート

バーチャル プロダクション、ブロードキャスト、ライブ イベントの更新

Unreal Engine 5.1 では、インカメラ VFX ワークフローのパフォーマンスおよびユーザビリティが大幅に向上し、ブロードキャストおよびライブ イベント領域にも同等に適用できるようになりました。

ハイペースでプレッシャーのかかる環境で作業するステージ オペレーターには、新しい In-Camera VFX エディタ を始めとする多数の機能強化が歓迎されることでしょう。これらはステージ オペレーターが遂行しなければならないタスクに特化し、幅広いワークフローをサポートします。特定のオブジェクトやコントロールを見つけるためにアウトライナーを探し回る必要がなくなります。このパネルには、改善されたライト カード システムも搭載されており、nDisplay ウォールのプレビューとライト カードが重ねて表示されるため、オペレーターはライト カードの作成、移動、編集からテンプレートの保存までをわかりやすく、効率的に行うことができます。
Unreal Engine 5.1 の Stage Operator Panel
その他の重要な機能強化としては、背後にあるもののみに調整を適用する Color Correction Windows (CCW)、アクタごとの色補正を適用する機能などがあり、複雑なマスキングの必要性が低減されます。

コンテンツ ブラウザから映像を簡単にドラッグ アンド ドロップできる新しい Media Plate アクタにより、エンジンでのメディアの作業は大幅に高速かつ簡単になりました。一方で、非圧縮の EXR の再生を、エンジンと適切な SSD RAID を備える nDisplay の両方で再生できるようになりました。

同時に、VCam を刷新し、Epic の Pixel Streaming テクノロジーを活用する新たな基礎システムを導入しました。これにより、応答性と信頼性が向上し、UI も撮影スタッフにとって使いやすい最新のデザインに変更されました。

メディアおよびエンターテインメント領域向けの Unreal Engine 5.1 の新機能の詳細については、このトピックの特別なブログ投稿を参照してください。

アニメーション、リギング、およびモデリングの機能強化

すべてのクリエイターは、Unreal Engine の組み込みのリギング、アニメーション オーサリング、およびモデル ツールセットを改善するこのリリースの継続的な取り組みからメリットを得ることができ、DCC アプリケーション間を行ったり来たりする必要が少なくなります。その注目の機能の一部を以下でご紹介します。

現在ベータ版である機械学習 (ML) Deformer (デフォーマー) を使用すると、複雑な独自のリグや任意の変形の忠実度の高い近似値を作成できます。カスタム Maya プラグインを使用して機械学習モデルに学習させることで、そのモデルを Unreal Engine でリアルタイムに実行できるようになります。その他のキャラクターの変形に関する改善としては、グラフの作成と編集をより簡単にするデフォーマー グラフ エディタの機能強化があります。
機械学習 デフォーマー (左) とリニア スキニング (右)
一方で、コントロール リグについては、完全にプロシージャルなリギングの実現に向けて引き続き機能拡張に取り組んでおり、グラフを使用してリグ階層を生成できる新しいコンストラクション イベント、「Snap FK to IK」などのリグ イベントを作成およびトリガーするためのカスタム ユーザー イベントなど、コア フレームワークへの多くの更新が行われています。これらの更新により、スケルタル プロポーションやプロパティが異なっていても、キャラクターのリグの作成を自動化できます。

Unreal Engine のマルチトラックのノンリニアなアニメーション エディタであるシーケンサーも拡張されました。これは、コンストレイントのサポートの追加と、ブループリントおよび Python のスクリプト処理を介した追加機能の公開によって実現しています。さらに、UI/UX のリファクタリングを行って安定性と拡張性を高め、アニメーション オーサリングおよび編集ワークフローを改善しました。

最後に、ジオメトリ ツールの機能強化としては ジオメトリ スクリプトの新機能、より複雑なアセットを処理するための UV エディタの改良メッシュ編集および作成ツールの追加などがあります。

オーディオ システムの機能強化

プロフェッショナルでインタラクティブなサウンドの制作が、より迅速かつ簡単にできるようになりました。そのため、サウンド デザイナーは、プロジェクトで最も重要な領域により多くの時間を費やすことができます。

MetaSound の更新では、ノード タイプの追加、各種マルチチャンネル出力フォーマットのサポート、リアルタイムのノード接続のフィードバック表示機能の追加を行いました。

また、プロシージャルな環境音を生成するプラグイン、Soundscape も導入しています。

AI ツールセット

今回のリリースでは、UE 5.0 で導入された複数の人工知能 (AI) ツールが、Experimental ステータスから移行し、Smart Objects および State Tree が Production-Ready に、また、MassEntity が Beta になりました。

MassEntity は、データ指向の計算のためのゲーム プレイに特化したフレームワークであり、大規模なワールドを効率的に生成し、数万人のリアルな AI エージェントで構成される群集を作り出すことができます。今回のリリースでは、UX の改善、CPU パフォーマンスの向上、メモリ使用量の最適化を実現しています。さらに、MassEntity のプロセッサは自動的にマルチスレッド化されるようになりました。
Unreal Engine 5.1 の MassEntity による AI の群集
TM & © WBEI | TM & © Epic Games
スマート オブジェクト は、AI エージェントやプレイヤーがインタラクト可能な、レベル内に配置されたオブジェクトです。このオブジェクトには、このようなインタラクションに必要なすべての情報が含まれています。今回のリリースでは、スマート オブジェクトに全般的な安定性とワークフローの改善が加えられて、スマート オブジェクト定義のセットアップがさらに便利になっています。

State Tree は汎用の階層型ステート マシンで、ビヘイビア ツリーのセレクターとステート マシンのステートおよび遷移を組み合わせたものです。ユーザーは、柔軟性を備えた高性能のロジックを作成し、整理された状態で維持することができます。今回のリリースには、アクタとブループリント中心のワークフローの改善が含まれ、柔軟性、モジュール性、およびメモリ最適化が向上しています。

その他多数の新機能や機能強化

ここまでで示したのは、Unreal Engine 5.1 の新機能や機能強化のほんの一部にすぎません。すべてを確認するには、リリース ノートをご覧ください。
 
一部の機能はベータ版であり、プロダクション対応ではないと考えてください。詳細についてはリリース ノートをご覧ください。

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