Microsoft の Project AirSim が Unreal Engine を活用して自律飛行を支援

自動運転の乗り物の安全性と有効性を確保するには、シミュレーションを利用した厳密なトレーニングを行う必要があります。リアルなテレイン、気象条件、シナリオを反映したトレーニングを行うために、多くの企業が Unreal Engine などのリアルタイム テクノロジーを利用しています。
 
その一例として MicrosoftProject AirSim を挙げることができます。Unreal Engine を利用するこのプロジェクトでは、忠実度の高いシミュレーションにより、自律飛行する航空機の開発、トレーニング、テストを安全に行っています。リアルな環境で AI モデルを利用することで、実際に飛行するよりも早く数百万回の飛行を行うことができます。その過程を通じて、現実でのテストと同様に、さまざまな変動要素への対応を学習します。
 
シミュレーション環境のレンダリングに Unreal Engine を使う Project AirSim は、Azure にもデスクトップにもデプロイできます。大量のデータを生成し、離陸から着陸まで、飛行の各段階でのすべての行動について AI モデルをトレーニングできます。Project AirSim で使われる忠実度の高い環境は安全性を考慮したものになっており、AI モデルは多様なテレイン、気象、人工的な障害物への対応をトライ アンド エラーを通じて学習し、飛行を安全なものにします。
Unreal Engine のシミュレーション部門のビジネス ディレクター、Sébastien Lozé は次のように述べています。「この分野では Unreal Engine がさまざまな用途で使われています。その 1 つが自動運転のトレーニングで使われるデジタルのグラウンド トゥルースに対するコンピューター ビジョンです。AI モデルで学習を行い、モデルを実用的なものにするために、シミュレーションによるリアルな世界に気象などの各種シナリオの効果を取り込み、多様な条件の環境を提供します」
 

Project AirSim における Unreal のアセットとサポートの活用

現実さながらの飛行を可能にするために、Project AirSim では Unreal Engine を活用しています。また、都市や地方の多様な景観を表現するシミュレーションによる 3D 環境を Azure にデプロイできるようにしています。それを一連のトレーニング済みの高度な AI モデルおよび各種のデザイン アセットと組み合わせることで、インフラストラクチャの上空からの点検、ラストマイルの配送、都市の航空モビリティの自律化を促進します。
Microsoft で自律システム担当ゼネラル マネージャーを務める Ganesh Rao 氏は、次のように述べています。「私たちのビジョンは、飛行のすべての段階を通じて自律化を可能にする、AI に対応したシミュレーション プラットフォームを作成することです」
 
「自律性を実現するには AI が必要であり、AI には AI 向けの大量のデータが必要です。Project AirSim はクラウドと AI を柔軟に組み合わせて活用します。シミュレーションに関する機能を新たに作成して既存のものと組み合わせ、AI に対応したデータを大量に生成できます。また、MLOps を利用してカスタムの機械学習モデルを構築できます。Unreal Engine のモジュール性とオープンであるという特徴が、これらの目標を達成するために役立っています」
 
シミュレーション業界は、新しいテクノロジーによって人工知能と自動運転の能力が向上する、新しい時代を迎えつつあります。Unreal Engine は大量のデータを扱う巨大な環境をリアルタイムで処理できます。その能力を活用することで、企業はリアルなシナリオで人工知能や自動運転の能力をテストでき、現実の世界でさまざまな乗り物での自動運転を可能にするために十分なトレーニングを行うことができます。
 
Unreal Engine のデベロッパーのコミュニティパートナーのエコシステムは 1 つの大きなチームとして機能し、シミュレーションによるトレーニングの領域で Unreal Engine プラットフォームを活用する企業を支援しています。Microsoft でシニア ディレクターとして Project AirSim の戦略的パートナーシップを担当する Ade Famoti 氏は、次のように述べています。「デザイナー、デベロッパー、ゲーム クリエイターから成るエコシステムがあったおかげで、そこからの知識を活用し、倉庫からアフリカのサバンナまで、多様なシナリオを作成できました。また、さまざまな形態の乗り物に対応できました」
 
Microsoft は Project AirSim の潜在的な用途は無数に存在すると考えています。eVTOL (電動垂直離着陸機) などの次世代の交通手段、送電線や港の検査、混雑した都市での貨物や人の輸送、狭い鉱山や高所にある農地での作業などが例として挙げられます。
 
Project AirSim は、Unreal Engine を活用して、自律的トレーニングを取り巻く業界が適応性のある形で商業化に向けて進むことを可能にしています。
 
Rao 氏は次のように述べています。「現在私たちが知っている航空モビリティは大きな変化を迎えようとしています。Project AirSim は、企業がソリューションを現実の世界へと安全に展開する前に仮想的な環境で構築、テスト、強化を行えるようにする、重要なツールです」
 
Unreal Engine が自動運転のトレーニングをどのように変革、強化しているのかについて詳しく知るには、Unreal Engine のシミュレーションのページをご覧ください。

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