しかし、Gary James McQueen 氏のようなクリエーターにとって、デジタルファッションとシネマティック 3D の融合は、ビジネスチャンス以上のものをもたらします。それは、制約のないクリエイティブなサンドボックスです。20着のデジタル衣装で構成された Guiding Light のようなコレクションは、自分の写真にハイファッションを適用したい人がすぐに購入することができるゾーンです。あるいは、メタバース内のアバターにユニークなルックを追加することもできます。この映像は、まさにその第一弾となります。
「現実には存在しないような生地や、現実のファッションでは実現できないようなことなど、デジタル化することで、さらに可能性が広がります」と Gary James McQueen 氏は述べています。「自分の想像に合わせたデジタル空間を制作することは、はるかに便利で簡単なことです」
Image courtesy of Gary James McQueen
そして、それは本当です。10分ほどの時間で、Gary James McQueen 氏とMoyosa Media は、いかにデジタルファッションとシネマティック3Dの融合が現実のイベントと同じくらい人を惹きつけられるかを簡単に示しています。しかしこの映像をほんの一瞬でも見てみれば、このショーが従来のものとどのように違っているかわかるはずです。固定された視点がありません。気を散らすものもありません。カメラの動きから 3D 環境まで、すべてがデザイナーの思いつくままに調整され、デザイナーのビジョンを最大限に実現した体験を生み出しています。
「リアルタイムレンダリングでは、アニメーションを制作した後にカメラをセットアップすることができます。そのやり方おいてさらに創造性の自由度が得られます」と Gary James McQueen 氏は述べています。
Epic MegaGrant の受賞者である Gary James McQueen 氏と Moyosa が Unreal Engine に見出したその自由さが、広大な砂漠と神秘的な太陽の女神から、ショーに、“どこかに迷い込んでしまった”ような雰囲気をもたらす人里離れたバビロニアの建造物まで、Gary James McQueen 氏が頭の中で思い描いていた没入感のあるストーリーテリングのアイデアや、感情を揺さぶるようなショットの橋渡しとなりました。
Image courtesy of Gary James McQueen
このようなシネマティックなキュレーションの感覚は、モデルの追い方 (俯瞰、横、背後) から衣服の表現まで、プロジェクトのあらゆるレベルに及んでいます。従来のショーでは、フォトグラファーやカメラの配置による制約のため、視聴者には中距離でのルックしか提供できませんでしたが、『Guiding Light』の Unreal Engine カメラは、Moyosa と Gary James McQueen 氏がどこでも望む場所に設置することができるため、生地を戦略的にクローズアップすることができ、サーペンタインのボディスーツやブラッドラインズ コートなどを非常に際立たせることができます。
次に、衣服は Unreal Engine に取り込まれ、Moyosa の 3D 環境の中でどのように見えるか評価されます。ここでは、映画のようなルックを開発するためだけでなく、衣服の色が正確であることを確認するために、ライティングがその能力を発揮します。
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
Image courtesy of Gary James McQueen
この間、ショーのモデルは Gary James McQueen 氏自身によって作成されます。現在のところ、これには ZBrushが 使用されていますが、近いうちにデザイナーは MetaHuman Creator のようなもっと即時性のあるものを選ぶでしょう。その後、Moyosaがモーションキャプチャで追加した素晴らしいウォーキングを組み込みます。
『Guiding Light』はすべて3Dで制作されているため、Gary James McQueen 氏は、時間のかかるファッション業界の常識にとらわれることなく、自分のビジョンをまっすぐに進めることができました。
「純粋にデジタルで 3D の衣服を作成することは、生産コストの面でも多くのメリットがあります。デザイン開発においては、パターンやテキスタイルを簡単に交換することができます。一方、物理的なファッションでは、すべてのプロセスを経なければなりません。これには多くの無駄が生じますし、時間もかかります。そのため、この方法でスピードアップすることができます」
Gary James McQueen 氏も、デジタルモデルを作成することで、実際のフィッティングモデルが必要なくなり、そのための費用やスケジュール管理も不要になりました。Gary James McQueen 氏は、服をデザインし、デジタルアバターに直接フィッティングすることで、クリエイティブな決断を下すために必要なすべての情報を得ることができました。
Image courtesy of Gary James McQueen
しかし、完全デジタル化による最も重要なメリットは、環境への影響でしょう。業界全体で持続可能性を求める声が高まっている中、Gary James McQueen 氏のショーは際立った方法を提示しています。デジタルで服をデザインし、発表し、販売する。物理的な素材も、物理的な空間もなく、想像力を画面に表現するだけです。
Moyosa Media の UK ビジネスリーダーである Ilana Magar 氏は、「将来的には、ファッションショーのあり方に対する人々の認識が変わると思います。多くの人たちが、ファッションショーに参加したり、それを見るために飛行機に乗ったり、世界中を旅したりする必要がないことを知るだけでも、大きな変化をもたらすでしょう」と述べています。
『Guiding Light』コレクションは、DressXで購入できるほか、Unreal Engineでインタラクティブに構築されたリアルタイムのバーチャルショールームで見ることができます。このショーは、www.garyjamesmcqueen.comでも公開されており、これは、メンタルヘルスの問題を抱えるイギリス市民を支援する慈善団体 Mind を支援しています。これは、2010年に叔父の Alexander McQueen 氏を亡くした Gary James McQueen 氏にとっても身近な問題です。