Courtesy of dSPACE GmbH

dSPACE が自動運転車のテストを進歩させる

自動運転車 (AV) はもはや未来の夢ではありません。Social Tables によると、現在、米国だけでも 1,400 台以上の自動運転車が道路を走っており、その数は今後数年のうちに世界中で大幅に増加すると予測されています。

そういった状況を踏まえて、自動運転車のテスト技術の開発と実装、両方の分野のリーダーである dSPACE は、独自の sensor-realistic シミュレーション ソリューション、AURELION を作成しました。AURELION を使えば、自動運転機能の開発と検証のプロセスに最高レベルのビジュアライゼーションと最先端のセンサーを組み込むことができます。

dSPACE は AURELION のために Unreal Engine を利用して、リアルなビジュアルの開発、運転環境の正確なシミュレーション、車両とセンサーのモデリングを行っています。
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dSPACE の戦略的製品マネージャー、Holger Krumm 氏は、レーン アシストやアダプティブ クルーズ コントロールの機能は実際の道路で通常の車両を使ってテストできるが、真の自動運転車のテストはそれよりも複雑なものだと述べています。

「自動運転車のシナリオは非常に複雑なものです。完全自動運転の場合、テストを行うために途方もない距離を走行する必要があます。実際に車に乗り込んで走らせてくることができるような距離ではないので、仮想的な道路を使うことになります。私たちは AURELION と Unreal Engine を使ってそれを可能にしています」

実際の道路でのテストを行わない理由はもう 1 つあります。それは安全性です。dSPACE のセンサー シミュレーション担当プロダクト マネージャー、Caius Seiger 氏は次のように述べています。「運転するうえで重要になるさまざまな操作やシナリオを思い描いてテストする必要があります。通常は現実の道路を使って試験走行を実施できますが、自動運転車の場合は危険を伴う可能性があります。これは AURELION を作成した理由の 1 つです。考えられるかぎりのあらゆるシナリオでのカメラ、レーダー、LIDAR のセンサー データを合成し、実際に道路に出る前にアルゴリズムを簡単にテストできるようにします」
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自動運転車のテストをシミュレーションで行うには、リアリズムが重要です。Seiger 氏は次のように述べています。「できるかぎり現実に近付ける必要があります。アルゴリズムに現実的でないデータを与えてしまうと、そのアルゴリズムが現実の世界でどう振る舞うか確信を持てなくなるからです。アルゴリズムと制御ユニットが現実の世界でもシミュレーションと同じようにうまく機能すると保証する必要があります」

dSPACE はビークル ダイナミクスと交通データのシミュレーションを長い間手がけてきました。しかし、ある顧客からそのプロセスのビジュアライゼーションを依頼されるまでは、シミュレーションを現実的なものにする方法を調査することはありませんでした。その依頼の背後に巨大な市場が潜んでいることがわかった dSPACE は、まず OpenSceneGraph ベースのソリューション、Motion Desk を作成し、そこにレーダーと LIDAR を統合していきました。しかし、市場では、そのソリューションで実現できるものよりも高品質のビジュアルが求められていました。
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Seiger 氏は次のように述べています。「すべてに OpenSceneGraph を使うこともできましたが、それではビジュアルの品質を新しい次元まで高めるのに数年かかったでしょう。迅速な開発を可能にするフレームワークを手に入れて、優れたビジュアルを実現するために、Unreal Engine を使うことにしました」

Seiger 氏によると、dSPACE が AURELION のために Unreal Engine を選ぶきっかけとなったのは、オーサリングおよび開発のための組み込みの統合環境である Unreal Editor があることと、ソース コードが入手できることでした。
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「Unreal Editor を使うと、Unreal Engine に 3D コンテンツを簡単に取り込むことができます。Unreal Editor には多くの機能があります。もう 1 つ重要なのは、Unreal Engine がオープンであることです。市場の需要に応えるために、ソース コードの変更が必要になることがありました。たとえば、レーダーと LIDAR への対応については、コードを数行変更するだけで市場のニーズに応えるソリューションを提供できるようになりました」

「環境内で使用できるライブラリのアセットが大量にあることは革新的です。市場からさまざまな貢献がなされています。仮想的な世界を作ろうと思ったら、そのすべてを自分たちで行うことはできません。モデラーは複数いますが、インポートできるアイテムを提供する企業ともやり取りをしています。そうやって手に入れた外部のアセットを環境に取り込み、アプリケーションの実行時の挙動を確認する作業を簡単に行えるインターフェイスになっています」と Krumm 氏は述べています。
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Seiger 氏は、AURELION を市場で最高の製品としているのはその検証能力だと述べています。「当社の顧客は、まだ人工的なセンサー データの利用の初期段階にあります。私たちは最高のモデルを提供します、と言うだけではうまくいきません。そのモデルの検証が必要です。さまざまなシナリオで、雪、雨、霧などのパラメーターを調整しながら、シミュレーションされたデータと現実のデータを比較する必要があります。さまざまなパラメーターを持つモデルを利用できるということを実証している最中です。当社のエコシステムと検証能力が AURELION の主要なセールス ポイントの 1 つです」
Krumm 氏は、AURELION の包括的なアプローチをメリットとして挙げています。「当社は包括的なソリューションを提供しており、AURELION は重要な役割を担っています。それは、レーダー、LIDAR、カメラ、超音波のセンサーのモデルとして最高のものを 1 つのソリューションとして利用していると顧客に認識してもらうことです。自動運転車の開発プロセスでは、まず仮想的なシミュレーションでテストを行い、それからハードウェアに移行してコードを車に移し、プロトタイプとして道路を走らせることができます」

現在、dSPACE は AURELION の Unreal Engine 5 へのアップデートを進めているほか、顧客をサポートする新しいツールの実装にも取り組んでいます。たとえば Unreal Engine 向けの dSPACE プラグインを開発する予定です。このプラグインを使うと、顧客は道路ネットワークを記述するために使われる標準である OpenDRIVE などのフォーマットをインポートし、Unreal Editor で環境を構築して、AURELION に読み込むことができます。

Seiger 氏は次のように述べています。「個人的には、Unreal Engine を使うことで市場にとって最適なソリューションを見つけたと考えています。Unreal Engine の代わりにたとえば OpenSceneGraph を使い続けていたら、今でもライティングの問題などに取り組んでいて、AURELION はでき上がっていなかったでしょう」

今後数十年で自動運転車が世界中の道路を走るようになるなか、dSPACE は自動運転車のシミュレーションによるトレーニングの最前線に立ち続けようとしています。運転機能の開発と検証のための sensor-realistic シミュレーションとトップ レベルのビジュアライゼーションの詳細については、Unreal Engine のシミュレーションのページをご覧ください。

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