Unreal Engine 5.3 がリリースされました!

Epic Games は Unreal Engine 5.3 のリリースを発表しました。このリリースでは、幅広い多数の改善が加えられ、業界全体のゲーム開発者やクリエイター向けに UE5 の機能と可能性を拡大し続けています。

コアとなるレンダリング、デベロッパー向けイテレーション、およびバーチャル プロダクション ツールセットに加え、レンダリング、アニメーション、シミュレーションの実験的な新機能も導入され、外部アプリケーションとの間を往復することなく、UE5 内部で拡張されたクリエイティブ ワークフローをテストするための機会を得られます。
 

Unreal Engine 5.3 で導入された新機能

UE5 のコア レンダリング機能の改良

このリリースでは、UE5 のコア レンダリング機能のすべてを引き続き洗練し、継続的な目標として、次世代コンソールで 60 fps で稼働するゲームにおいてデベロッパーが高品質でその機能を活用できるようにすることを目指すものです。この改良により、リニア コンテンツのクリエイターにも、より高品質な成果やパフォーマンス強化がもたらされます。

具体的には、Nanite では、フォリッジなどのマスクされたマテリアルのパフォーマンスが向上し、新しい [Explicit Tangents (明示的接線)] オプションによってより広範囲のサーフェスを表現できるようになりました。また、ハードウェア レイ トレーシングを備えた Lumen は、複数の反射バウンスなど、拡張された機能を持つようになり、コンソール上でのパフォーマンスがより高速になりました。

その他の注目すべき進化として、プロダクションに対応可能になった 仮想シャドウ マップ (VSM)、テンポラル スーパー解像度 (TSR)、ヘア グルームパス トレーシングSubstrate があります。
 

マルチプロセス クック


その他の役立つ改良点としては、コンテンツを内部 UE 形式からプラットフォーム固有の形式に変換するときに追加の CPU リソースとメモリ リソースを活用できるようになりました。したがって、ビルド ファーム サーバーまたはローカル ワークステーションからクックされた出力を取得するのにかかる時間を大幅に短縮できます。

マルチプロセス クックを有効にすると、クックの部分を実行するサブプロセスをメイン プロセスと並行して起動できます。デベロッパーは、単一のマシンで実行するサブプロセスの数を選択できます。
 

Cineカム リグレール

映画制作者は、新しいCineカム リグレール アクタのおかげで、トラックや台車に沿って動く従来のカメラの動きのワークフローと結果をエミュレートできるようになりました。

新しいCineカム リグレール アクタを使用すると、カメラの回転、焦点距離、焦点距離などの設定を振り付ける機能など、パスに沿ったさまざまなコントロール ポイントで既存の Rig Rail よりも洗練されたコントロールが可能となります。エディタ内と VCam ワークフローの両方がサポートされます。

VCam の機能強化

VCam システムについては、このリリースでは多くの機能強化が施されました。これには、iPad 上でテイクを直接レビューすることによってイテレーションを高速化する機能、さまざまなチーム メンバーにさまざまな VCam 出力を同時にストリーミングすることで共同での VCam 撮影を促進する機能 (たとえば、ディレクターではなく、カメラのオペレーターのカメラ コントロールで)、遅いフレーム レートでレコーディングして通常の速度で再生することによって動きの速いアクションを簡単にキャプチャする機能が含まれます。

実験的機能

こうしたコア ツールセットへのアップデートに加え、Unreal Engine 5.3 では新しい優れた実験的機能も導入されています。これらの機能については、今後のリリースでさらに開発を進める予定です。これらの機能をぜひお試しいただき、フィードバックをお送りください。ただし、プロダクションでの使用はまだお勧めしません。
 

映画品質のボリュメトリック レンダリング

2 つの新機能、スパース ボリューム テクスチャ (SVT) と異種ボリュームのパス トレースでは、煙や火などのボリュメトリック エフェクト用に多くの新機能が導入されました。

スパース ボリューム テクスチャは、ボリュメトリック メディアを表すベイクされたシミュレーション データを格納します。また、Niagara で、もしくは他の 3D アプリケーションで作成した OpenVDB (.vdb) ファイルをインポートしてシミュレーションすることができます。

さらに、パス トレーサーの実験的機能として、より完全なボリュームのレンダリングのサポートが利用可能になりました。これによって、UE5 で直接制作される、シネマティック、映画、エピソード形式のテレビ、その他のリニア コンテンツ制作にグローバル イルミネーション、シャドウ、散乱など、高品質なボリュメトリック レンダリングの可能性が提供されます。
 
OpenVDB Asset courtesy of JangaFX

ゲームやバーチャル プロダクションなど、リアルタイムのユースケースでは、ボリュメトリック要素の再生のために SVT で実験的機能を開始することもできます。ただし、パフォーマンスは現時点では制限されており、コンテンツに大きく依存します。
 

正投影レンダリング

UE 5.3 以降では、正投影レンダリングを導入する予定です。これは、建築や製造のプロジェクトの視覚化に役立つほか、ゲームのための様式的なカメラの選択肢として正投影が提供されます。

パースペクティブと正投影の間でパリティを実現するため、エンジンの複数の領域に注目が集まっています。Lumen、Nanite、シャドウなど、UE5 の最新機能のほとんどは対応していると予想されます。正投影のレンダリングは、Unreal Editor でも利用可能であり、ユーザーはライブ設定でアップデートを加えることができます。


スケルタル エディタ

新しいスケルタル エディタにより、アニメーターはスケルタル メッシュの作業で、スキンウェイトをペイントするツールなどさまざまなツールを使用できるようになります。

従って、簡単なプロトタイプであっても最終的なリギングであっても、DCC アプリケーションとの間を行ったり来たりすることなく、より多くのキャラクター ワークフローを Unreal Editor 内で完全に実行できるようになります。つまり、コンテキストを失わずに作業が可能になり、イテレートをより速く行えるようになります。

ML シミュレーションを備えたパネルベースの Chaos クロス


UE に直接のクリエイティブ ワークフローをさらに追加可能に設計されていることに加え、このリリースには、Chaos クロスへのいくつかのアップデートが行われています。

新しくパネル クロス エディタとスキン ウェイト転送アルゴリズムの導入、エンジンでの将来のクロス生成の基礎として XPBD (Extended Position-Based Dynamics) コンストレイントの追加が行われました。これにより、速度と精度をトレードオフ可能な非破壊的クロス シミュレーション ワークフローを実現できます。さらに、パネルベースのクロスにより、見栄えの良いシミュレーションを実現できます。

新しいパネル クロス エディタと ML デフォーマー エディタを併用することで、クロスをシミュレートしてエンジンにキャッシュできるようにもなりました。
 


SMPTE ST 2110 の nDisplay サポート

そして最後に、次世代の LED プロダクション ステージに備えるため、SMPTE ST 2110 の nDisplay に NVIDIA ハードウェアと Rivermax SDK を利用した実験的なサポートが追加されました。これは、LED ステージの新しい可能性を広げる、さまざまなハードウェア構成の基礎となります。その最も優れた構成では、各カメラ錐台向けに専用マシンを利用し、可能なレンダリング解像度を最大化し、フレーム レートを増加させ、以前に可能だったシーン ジオメトリとライティングをさらに複雑なものにすることができます。

このソリューションによって、現在のシステムでは負荷がかかる、高解像度と複数カメラによる撮影が必要となる、より広角のレンズの課題に取り組む機能が提供されます。また、これは、信号チェーンの簡素化によってシステム内のレイテンシーが低下することを意味します。

その他の新機能や追加機能

ここでご紹介したのは、Unreal Engine 5.3 の新機能と追加機能のほんの一部にすぎません。すべての新機能と追加機能については、リリース ノートをご覧ください。

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