Mush-Mush & the Mushables © 2022 – La Cabane Productions – Thuristar – Cake Entertainment – VRT-Ketnet – RTBF Télévision belge

『マッシュマッシュとなかまたち』でのサステナブルなアニメーション実現への道

2022年6月28日
環境への影響について考えるときにアニメーションのことを思い付く人は多くないでしょう。しかし、あらゆる物事がそうであるように、アニメーションの制作も環境に影響を与えています。長編作品であれテレビ番組であれ、アニメーションの制作には長いレンダリング時間や空調設備などが必要で、大量の電力を消費します。では、環境に配慮しながらイノベーションに取り組み、楽しいものを作り続けるには、スタジオはどうすればいいのでしょうか。 

La Cabane はそのためにリアルタイム テクノロジーを取り入れ、エミー賞にノミネートされ、国際的に展開しているアニメーション シリーズ、『マッシュマッシュとなかまたち』(Mush-Mush & the Mushables)の制作プロセスを更新して新しいパイプラインを導入しました。そのパイプラインによって、成功を収めるとともに、二酸化炭素の排出量を減らすこともできています。
 

冒険の始まり

フランスに拠点を置くスタジオ La Cabane はこうしたイノベーションの前から良い方向に向かっていました。『マッシュマッシュとなかまたち』のシーズン 1 は世界的なヒットとなり、森の小さな守護者たちが住む魅力的な世界へと子どもたちを引き込んでいました。自己発見と自然との深いつながりについての物語は、視聴者だけでなく La Cabane の経営陣の心にも響いています。La Cabane の経営陣は、クリエイティブに伴う責任をスタジオの DNA の重要な一部と考えています。

La Cabane のプロデューサー兼創業者、Perrine Gauthier 氏は次のように述べています。「子ども向けのコンテンツの品質と価値観は重要です。『マッシュマッシュとなかまたち』の中心にあるのは探検です。自分自身のユニークな才能を探るだけでなく、自分たちのコミュニティや周囲についても探っていきます。子どもたちが自分と自分の周囲の世界に興味を持つよう促し、人生を大きな楽しい冒険として扱っています」
Mush-Mush & the Mushables © 2022 – La Cabane Productions – Thuristar – Cake Entertainment – VRT-Ketnet – RTBF Télévision belge
La Cabane はそのポジティブなメッセージと意図についてよく理解していますが、良心的な企業にはよくあることとして、それ以上のものを望んでいました。価値観を画面だけでなくアイデアを実現するためのパイプラインにも反映したいと考えました。唯一の問題は、ずっと前から、そのためのテクノロジーが存在していなかったことでした。

そうしたなかで、ゲーム エンジンについてのうわさとリアルタイム テクノロジーの可能性に興味を持った La Cabane は、パイプラインに手を加えるというアイデアを試し始め、いずれかのゲーム エンジンによってシーズン 2 にリアルタイムのメリットを取り入れることができるか実験を行いました。
最近 Unreal Engine に特化するようになった新しい CG スタジオ パートナー、Shards CGI と協力して、La Cabane は効率的でエコフレンドリーなパイプラインへの変更を行いました。それ以来、レンダリング時間は 90% 短縮され、プロジェクトでの電力消費、レンダー ファームの利用、空調の利用も大幅に削減されました。


重大なテスト

シーズン 2 の制作中、La Cabane は Cartoon Forum から 2021 年のイベント用のティーザー映像を制作するよう依頼を受け、パイプラインを試す初めての大きなチャンスが訪れました。

Cartoon Forum はアニメーションの売り込みと共同制作の分野ではヨーロッパ最大のイベントです。これはチームにとって大きな名誉となりました。La Cabane と Shards CGI が制作したティーザー映像はオンラインと会場のオーディエンス向けに公開されました。そこではマッシュマッシュと仲間たちが楽しい会話を交わし、折れかかった枝の上で選択肢を比較検討していました。

パイプラインは機能しただけでなく、作業を容易にするという効果もありました。Shards CGI の CEO 兼 CG 責任者、Romain Trimaille 氏は次のように述べています。「イテレーションを迅速に行うことができ、レンダリング結果を見るために何時間も待つ必要がないのはすばらしいものです。それだけでもワークフローの柔軟性が大幅に向上し、チームの作業環境が快適になります。すべてが直ちに反映されると、ストレスを感じることが難しくなります。また、大量の情報とディテールが得られるため、将来の工程における作業のやり直しを防ぐことができます」

Shards CGI は、特にガラス、植物、ヘアなどの面でリアルタイム機能が従来のアニメーション制作手法に太刀打ちできるかどうかを確かめたいと考えています。

シーズン 2 の制作

Unreal Engine は『マッシュマッシュとなかまたち』に何をもたらしたのでしょうか。

チームでは、Unreal Engine を Blender のワークフローの一部として使い、Unreal Engine 内で実行されるプロジェクトのレイアウト、ライティング、最終的なフレームのレンダリングの確認を行っています。レイアウトに Unreal Engine を使うことで、La Cabane と Shards CGI はプリプロダクションの段階でライティングとレンダリングの問題を予測できるようになりました。これによって効率が向上し、プロセスの後半でアート面または技術面の問題が生じた場合にフレームを大量に再レンダリングする必要がなくなりました。

ディレクターの Joeri Christiaen 氏はライトの向きとシャドウを考慮したカメラ アングルを選択できるようになり、シーンにとって最適な映像を実現しながらライトやシャドウに関連する問題があとで発生しないようにすることができています。
 
Mush-Mush & the Mushables © 2022 – La Cabane Productions – Thuristar – Cake Entertainment – VRT-Ketnet – RTBF Télévision belge
「Unreal の内部参照システムは強力で、柔軟性を向上させることができます。さまざまなバージョンのシェーディング、ライティング、レンダリングの間で迅速にイテレーションを行うことができるようになりました。レンダリングの時間が大幅に短くなることも大きなメリットの 1 つです。シーズン 1 では最終的な画像を出力するのに 1 フレームあたり 50 分かかりましたが、シーズン 2 では 3 分くらいになりました。品質向上のために多くの時間を割けるようになり、サブサーフェス スキャタリングでディテールを加えることができるようになりました」

作業を進めるうちに、オープニングのシーケンスなど、以前にレンダリングした要素にこうした品質の改善を適用できることがわかりました。

Gauthier 氏は次のように述べています。「番組のルックを維持しながら品質をさらに向上させる機会を得ることができました。環境に関する Unreal の機能のおかげで、レンダリングの結果が鮮明になり、色が鮮やかになって、森が今までより生き生きとした感じになりました」
 

今後の展望

シーズン 2 の制作は現在も進行中です。今年の夏には合成が行われる予定で、年末までには序盤のエピソードがいくつか完成する見込みです。

Gauthier 氏は次のように述べています。「いい作品ができあがっています。私たちは、自分たちが最も大事にしていることに取り組んでいます。それは、繊細な感情と関心に基づくストーリーを作り、単なる子ども向けの作品ではないものにすることです。よく親たちからメッセージをもらいます。テレビを窓から投げ捨てたくならない素敵な子ども向け番組を作ってくれてありがとう、と。とても良い誉め言葉だと思います」

リアルタイムへの移行には課題もありましたが、Gauthier 氏はたいていのイノベーションにはリスクとコストが付き物であると述べ、課題に対処する価値はあったと考えています。このような選択により、うまく行けばアニメーション セクターの二酸化炭素排出量を減らすことができます。La Cabane はサステナビリティのコンサルタントとも協力し、切り替え後の排出量を評価して、脱炭素化プランの目標達成に向けてどれほど役立つかを調べています。

「新しいパイプラインによって、プロジェクトとワークフローについて新しい観点を得ることができました。コンフォート ゾーンから抜け出せば面白いことが起こります」と Gauthier 氏は述べています。

まったくそのとおりで、『マッシュマッシュとなかまたち』はそれを証明しています。
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マッシュマッシュとなかまたち』のシーズン 2 は 2023 年に国際的に公開される予定です。La Cabane とその制作物の詳細については、公式 Web サイトを参照してください。

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