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Samwoo Immersion がデジタル ツインを使用して港での物流管理を効率化
2022年11月3日
Samwoo Immersion
スポットライト
デジタルツイン
多様な活用
釜山港は韓国最大の貿易港であり、海運のハブとなっています。しかし、この港では、運用、安全性確保、予測のためにそれぞれ別のシステムが使われていたため、その監視システムの管理効率は十分ではありませんでした。
運用効率を改善するために、釜山港は産業用 XR ソリューションのリーディング プロバイダーである
Samwoo Immersion
と協力し、釜山港ターミナルの神仙台埠頭でパイロットとして監視システムを導入しました。
VARLOS Terminal Monitoring System と呼ばれるそのソリューションでは、実際の現場から取得したリアルタイムの IoT データが神仙台埠頭の
デジタル ツイン
に送られます。
この新システムを導入する前は、神仙台埠頭の監視システムでは業務についてのデータを十分に得ることはできず、ターミナルでのプロセスを確認する手段として最も有効なのは監視カメラの映像でした。
現場の人員の安全性をこれまでよりも高めることを求める法律の施行が予定されているため、幅広いデータをリアルタイムで一元的に監視できるようにする新しいアプローチが必要となっていました。
そのニーズを満たすために開発されたのが、3D デジタル制御および監視システム、VARLOS です。このシステムは、港のターミナルからデータを継続的に収集し、その大規模なデータセットを視覚化します。
車両と荷役機器に取り付けられた GPS トラッカーのデータをデジタル ツインに送り、コンテナや機器の出入りと積み込みの状況をリアルタイムに 3D で視覚化します。これにより、ターミナルをより直感的に監視し、安全に運営できます。
このシステムは、ターミナルのオフィスにいる従業員と現場の技術者の間での生産性の高いコミュニケーションを促進することもできます。現場でインシデントが発生した場合、すばやく具体的に報告できるので、状況をよく理解して適切に対処できます。
さらに、収集したデータを AI による分析と予測のシミュレーションに使うことができます。これにより、ターミナルの業務効率を向上させることができます。たとえば、クレーンの生産性を向上させたり、不要な輸送車両を減らしたりすることができます。
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監視カメラの映像を VARLOS にリンクさせることによる現場の監視
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監視カメラの映像を VARLOS にリンクさせることによる現場の監視
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制御室からのリアルタイムの監視
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制御室からのリアルタイムの監視
Samwoo Immersion がこの高度なシステムを構築するために Unreal Engine を利用したのにはいくつか理由がありますが、特に重要だったのは、Unreal Engine が
Message Queuing Telemetry Transport
(MQTT) データおよび
WGS84 座標系
(GPS が使用するシステム) との連携をサポートしていることでした。
この種のデジタル ツインを正確に作成するには、衛星画像ベースのタイリング手法を使い、
ジオ IoT データ
と同期して地理的なマッピングを行う必要があります。Samwoo Immersion は Unreal Engine のジオリファレンス プラグインを使って GIS データを連携させ、各座標系のデータを WGS84 座標系に統合しました。
MQTT は ISO 標準の方法です。低電力のブロードバンド通信ネットワークでリアルタイムでデータを伝送するために広く使われています。また、韓国やその他の国にある複数の港のターミナルで使われている IoT センサー デバイスの通信手段ともなっています。ワイヤレス端末の性質上、IoT インターフェイスには低電力の軽量プロトコルが必要です。MQTT はその要件を満たすメッセージング プロトコルです。
そういった理由から、リアルタイムの MQTT データとの連携がシステムにとっての重要な要件となりました。Samwoo Immersion の CTO、Hyunbeen Kim 氏は、「Unreal Engine のソース コード全体にアクセスできたことが、データ連携にとっては非常に役に立ちました」と述べています。また、ソース コードにアクセスできたことで、Samwoo Immersion は必要なコードを制限なく編集してデータを連携させることができ、顧客から要求された必要な機能すべてを提供できたと付け加えています。さらに、4G のテクノロジーである
Long-Term Evolution
(LTE) と 5G のネットワークに基づく標準的な IoT プラットフォームであるため、あらゆる IoT デバイスと同期できる拡張性を持つこともできています。
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衛星画像に基づくタイリング手法とジオ IoT データの同期を利用した地理的なマッピング
Samwoo Immersion が Unreal Engine を選んだ別の理由として、Kim 氏は、リアルな 3D データに高解像度のテクスチャをただちに適用し、パフォーマンスを犠牲にすることなくリアルタイムのビジュアライゼーションを制作できる点を挙げています。「コーディングのプロセスを開始する前に、
ビジュアル スクリプティング システム ブループリント
を使用して、全体的なパイプラインを直感的かつ迅速に作成して評価しました。こうすることで、イテレーションにかかる時間を短縮できました。また、
Unreal Engine マーケットプレイス
で提供されているさまざまなプラグインやアセットを利用することで、開発時間を大幅に短縮できました」と Kim 氏は述べています。
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高解像度のテクスチャを適用したリアルな 3D データ
Unreal Engine に組み込まれたさまざまな機能を使うことで、3D オブジェクトとイベントの管理が容易になったと Kim 氏は述べています。
ワールド アウトライナー
を利用することで、ワールド内にある多数のオブジェクトを効率的に管理できました。また、コリジョン機能を利用してトリガーを作成し、オブジェクト同士の衝突を検出して効果的に制御できるようにしました。
積み込みプロセスのフローを前もってシミュレーションして検証し、ターミナルの機器や設備の間で重複する可能性があるタスクを特定するために、Samwoo Immersion のチームは、コリジョンを検出するトリガーと衛星ベースの GIS データをデジタル ツインに取り込みました。「これはターミナルの業務効率の向上に大きく貢献しました」と Kim 氏は述べています。
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オブジェクト同士の衝突の検出シミュレーション
このプロジェクトを通じて、Samwoo Immersion は GIS データを使ったデジタル ツインの構築について多くのことを学びました。現在はこれらの概念についての調査を進め、さまざまな XR 統合ソリューション環境を構築するための知識を増やしています。
Samwoo Immersion は Unreal Engine のさまざまな機能を活用するイマーシブなエクスペリエンスに取り組んでいます。最近では、Unreal Engine の強力な機能を防衛産業の最前線に適用し、現実の地形に基づく巨大な環境を必要とするフライト シミュレーターを開発しています。
Samwoo Immersion の次の目標は、
ワールド パーティション
や
Nanite
などの
Unreal Engine 5 の最新機能
を応用し、デジタル ツインを大規模なオープン ワールドへと拡張することです。
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