Image courtesy of Duck Factory

バーチャル プロダクションを活用した宇宙飛行士の採用

2021年11月24日
欧州宇宙機関 (ESA) は、10 年以上ぶりに宇宙飛行士を新規に採用しようとしています。しかし、宇宙の危険に立ち向かうことに適した人材を見つけるのは簡単ではありません。適切な人材を選ばないと、人命が危機にさらされることになります。

応募者には、賢明、勇敢であることに加えて、プレッシャーのかかる状況下で落ち着いていられることが求められます。また、自宅のはるか遠くでミッションを遂行する必要があります。家族や友人がある人の生命を危険にさらす可能性がある以上、ただ LinkedIn に求人を出すというわけにはいきません。
Image courtesy of Duck Factory
それでは、このような条件を満たす稀有な人材をどうやって集めればいいのでしょうか。ESA にとっての解決策は、募集についての共有しやすいビデオを作成し、宇宙行きを夢見たことのある人たちとつながることでした。そこで登場するのが Duck Factory です。10 人のパリ市民で構成されるこの企業は、ヨーロッパで初めて ESA から依頼を受けた映像制作会社となりました。
 

Duck Factory の創業者、Jérôme Bernard 氏は次のように述べています。「ESA はこれまで内部のチームでビデオ コンテンツを作成してきました。しかし今回は、意欲的な求人広告を作るために、新鮮な視点と最先端の技術を必要としていました」

Unreal Engine のバーチャル プロダクションを活用して、Duck Factory のチームは、次世代の人々が月を目指してみたいと思えるような映像をわずか 3 か月で制作する必要があり、プレッシャーのかかる状況となっていました。

10 個の仮想環境、数百万のトライアングル

2020 年 9 月に企画の趣旨が伝えられると、従来の制作手法ではすべてのアイデアを実現することはできないということが、Duck Factory のチームにはすぐにわかりました。

Bernard 氏は次のように述べています。「俳優が月に行ったり、宇宙船を指揮したりするシーンがありました。こうしたアイデアすべてを期待する品質で取り入れることは不可能でした。それからすぐにわかったのは、バーチャル プロダクションの技術と Unreal Engine のパワーを組み合わせると、プロジェクトに関するクリエイティビティを全面的に強化できるだけでなく、期限内での制作も可能になるということでした」
Image courtesy of Duck Factory
チームでは Unreal Engine についてゼロから学び始め、最終的には、ミッション コントロール センター、南米の緑豊かな環境、月など、10 個の印象的でフォトリアルなバーチャル プロダクション環境を作成しました。シーンごとのスタティック メッシュのトライアングルの数は、200 万から 3 億 2,000 万以上にまでおよびました。

プロジェクトの VFX スーパーバイザー兼モーション デザイナー、Johan Sarbia 氏は次のように述べています。「これまで Unreal Engine を使ったことはありませんでしたが、学びやすく、強力なものでした。使ったプラグインは比較的シンプルなものです。スカイ ボックスと宇宙の背景のために Ultra Dynamic Sky を使いました。また、自然の環境に植物や岩などの CG プロップを簡単に配置するために Quixel Megascans のアセットを使用しました。
Image courtesy of Duck Factory

この世のものとは思えないようなプロダクション

Megascans (Unreal Engine 内ではいつでも無料で利用できます) を活用した環境ができあがったら、それをバーチャル プロダクションのスタジオとつなげました。そのために、Duck Factory はパリを拠点とする Plateau Virtuel のチームと緊密に協力しました。撮影用のステージは Plateau Virtuel が用意しました。Duck Factory が作成した各環境は、Plateau Virtuel が保有する 22 × 5 メートルの Absen LED ウォールに表示されました。当時、これは同種のものではフランスで最大の LED ウォールでした。
Image courtesy of Duck Factory
俳優は LED の背景の前で演技をしました。背景は Novastar モジュールで制御され、スクリーンの解像度を向上させるため、ピクセルのピッチは 2.5 ミリメートルになっていました。プロジェクトのメインのカメラとなった VENICE には、モーション キャプチャとトラッキングのために OptiTrack システムが装着されました。こうすることで、カメラがキャラクターを追って動いたときに、背景も動くようにすることができ、パララックスの問題が解決しました。

Plateau Virtuel の共同創業者、Julien Lascar 氏が撮影監督を務めました。Lascar 氏によると、バーチャル プロダクションによって映像制作プロセスが大幅に高速化され、全体での大幅なコスト削減につながりました。「セットではすべてがリアルタイムでした。数秒あれば月を画面の左から右に動かすことができました。合計 10 個のシーンが必要でしたが、完成させるまで 2 日しかかかりませんでした」と Lascar 氏は述べています。

未来への大きな一歩

バーチャル プロダクションを採用したことによるメリットは、ワークフローのスピードだけではありませんでした。LED スクリーンからステージに直接ライティングを施すことができました。宇宙服のような反射しやすいアセットでは、影と反射の描写は難しくなるものですが、こうすることで、常にリアルな影と反射を得ることができました。ポストプロダクションでグリーン スピルを取り除く作業に頼る必要はありませんでした。
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バーチャル プロダクションを使ったおかげで、チームはカメラのレンズについて実験することもできました。Lascar 氏は、映像にビンテージ感を出すために Panavision の Anamorphic レンズを選びました。Lascar 氏によると、グリーン スクリーンを使うと、映像は普通ずっとクリーンなものになります。LED を使うことで、より有機的な仕上りのラッシュを目指すことができました。

Bernard 氏によると、バーチャル プロダクションを活用したことによる最大のメリットは、ステージ、ライティング、プロップについて心配することなく、ほぼショットの美術面の管理だけに集中できるようになったことでした。
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Bernard 氏は次のように述べています。「Unreal Engine のパワーのおかげで、品質について妥協する必要はありませんでした。その代わりに、プロジェクトのクリエイティブ面でのビジョンだけに集中できました。そして、極めて生産性の高いイマーシブな環境で作業を進めることができました。変更や改善の多くは、ボタンを 1 回クリックするだけで行うことができました」

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