動くモンスター - Aaron Sims Creative が UE5 早期アクセスのアニメーションの限界に挑戦

先日、新機能のテストと未来のゲームのプロトタイピングを開始できるようにUnreal Engine 5 早期アクセスを開発者の皆様に向けてリリースしました。これらの新機能を公開する前に、Unreal Engine チームは非常に高品質なサンプルプロジェクトを制作して機能テストを行うことにしました。 

その実現のため、定評ある VFX スタジオであるAaron Sims Creative の協力を得ました。映画、テレビ、ゲーム向けのコンセプトデザインの専門会社で、驚異的なクリーチャーを制作することで高い評価を得ています。私達のプロジェクトとの希望にまさに一致していました。

Epic Games のテクニカル プロダクト マネージャーの Jeremiah Grant は以下のように述べています。「彼らなら次世代のクリーチャーを創り出せると確信を持っていました。ただの平凡なキャラクターにはなりません。システムの限界、ツールの限界に挑戦するものが生み出されることになるのです」
 
Aaron Sims Creative は古きもの(Ancient One)というキャラクターを提案し、それがサンプルプロジェクトの名前『古代の谷』に繋がりました。通常、チームはまず 2D で作業を始めてから、Zbrush などのプログラムでモデルのスカルプトを行います。それをゲームで実際に動せるようにする、あるいは、アニメーションを作成できるようにするだけでも、これまでは非常に膨大なポリゴン数のアセットを大幅に単純化し、ディテールをノーマルマップやディスプレイスメントマップでカバーする必要がありました。
2D concept art, image courtesy of Aaron Sims Creative
しかしながら、Unreal Engine 5 の仮想化マイクロポリゴン ジオメトリ システムである Nanite によって、5000万三角ポリゴンを超えるもともとのアセットを直接エンジンに取り込むことが可能になりました。Aaron Sims Creative のプレジデントである Aaron Sims 氏は以下のように述べています。「結果として、実際に制作できるものについて、ほぼ制限がなくなりました」
早期アクセスでテストできる新機能には、エンジン内でのアニメーション制作機能があります。ポーズライブラリ、選択セット、カーブエディタなどの馴染みのあるツールを使用できます。さらに、Epic のMetaHuman でも使用されている Unreal Engine のコントロールリグも利用可能です。 
こうしたエンジン内蔵のアニメーション機能を使い、チームは古きもののアニメーションを制作することができました。多くのレイヤーを持つリグを用意し、エンジンから離れることなく完全にリアルタイムで作業を行いました。つまりリギング担当も、アセットチームも、ルックデブ アーティストも同じ場所で共同してその場で作業ができます。Aaron Sims Creative のクリエイティブ ディレクターの Steffen Reichstadt 氏は以下のように説明します。

「誰かが何かを変更すると、全員に変更が反映されます。この共同作業ワークフローがプロジェクトのすべてを変えました。最終締め切りの一週間前でもモデルやデザインなどを更新していました。それが可能だったのです!」

そして、モデリングやアニメーションが完成する前からエフェクトの作業を行うことも可能でした。Reichstadt 氏は以下のように述べています。「手のレーザービームのアート調整を行って最高になるように制作することと、アニメーションの作業を同時に進行することができました。そして、両方の合わさった結果を確認できます。魔法のようです」
剛体、クロス、ラグドール、乗り物、流体、ヘア、破壊などのシミュレーションを可能にする Unreal Engine の Chaos(ケイオス) 物理システムもエフェクトで使用されました。 Chaos の破壊システムがプロジェクトで重要な役割を果たしました。

Epic Games の高度プロジェクト ディレクターの Francois Antoine は以下のように述べています。「Chaos 破壊システムチームとのやり取りによって、古きもののアニメーションを調整して破壊システムを引き立てるようにアニメーションを調整することができました。外部ツールに戻る必要があったら実現できないイテレーション速度でした」

プロジェクトでのコラボレーションは Unreal Engine チームにとっても Aaron Sims Creative チームにとっても素晴らしいものになりました。

Jeremiah Grant は以下のように述べています。「ASC との共同作業は素晴らしいものでした。彼らは私達のチームの完全な一部になり、ASC のリガーやアニメーターに開発者が参加して、同時に共同作業を行って、ツールもプロジェクトも改善しました」
業界で長年の経験を持つアーティストとして、これほどワクワクするツールに出会ったことはありません。 
- Aaron Sims、プレジデント、Aaron Sims Creative
Unreal Engine 5 はまだ実制作に利用できる状態ではなく、早期アクセスのツールセットは現状ではゲーム開発ワークフローにおいてのみテストされている状態ですが、Reichstadt 氏も Sims 氏もビジュアルエフェクト会社の仕事を変えてしまうポテンシャルを見出しています。 

Reichstadt 氏は特に Nanite とコントロールリグに注目しています。「この2つは本当にパイプライン全体を揺るがすものです。これまで以上に柔軟に作業することを可能にするのです」

Sims 氏は以下のように述べています。「多くのスタジオが同じように感じると思います。Unreal Engine 5 ではビジュアルエフェクト会社にとってもツールが非常に使いやすくなっています。業界で長年の経験を持つアーティストとして、これほどワクワクするツールに出会ったことはありません。この力があれば一人の人間であってもキャラクターやワールドを作り 、ライティングを加え、アニメーションをつけて、リアルタイムですべてに命を吹き込むことができます。これは革新的です」
最先端の機能をテストしたいと考えているゲーム開発者の皆様、Unreal Engine 5 早期アクセスをお試しください。Epic Games Launcher の UE5 タブからダウンロードが可能です。古きものキャラクターを含む、『古代の谷』サンプルプロジェクト全体もダウンロード可能です。すべての業界に向けた機能とワークフローを含む Unreal Engine 5 のフルリリースは2022年初頭の見込みです。

    Unreal Engine 5 早期アクセスを入手

    既に Unreal Engine を使用しているユーザーは、 Epic Games Launcher から UE5 早期アクセスと『古代の谷』サンプルプロジェクトをダウンロードできます。Unreal Engine がはじめての場合、まずは Unreal Engine 4.26 で慣れることをおすすめします。