Image courtesy of Muhammad Hegazy

光あれ:Unreal Engine を活用した健康的な空間の設計

Pierre-Felix Breton |
2022年2月25日
パンデミック以前から、私たちは 90% の時間を屋内で過ごしていたということが研究からわかっています。当然ながら、これは健康に悪影響を及ぼします。日光浴が不足すると、ビタミン D が不足し、セロトニンのレベルが低下します。これは、うつ、生産性の低下、睡眠の質の低下、がんのリスクの増加につながる可能性があります。

幸い、大阪大学大学院工学研究科に在籍する建築士兼研究者の Muhammad Hegazy 氏がこの問題の解決策を持っています。2018 年以来、Hegazy 氏は安福健祐准教授および阿部浩和教授と共同で、自然光を最大限に取り入れるにあたって、建築士が情報に基づく意思決定を行ううえで Unreal Engine がどう役立つかを調査してきました。
Image courtesy of Muhammad Hegazy
Hegazy 氏の研究は人間中心の照明システムへとつながり、国際的な賞をいくつも獲得したほか、バーチャル リアリティについての IEEE のカンファレンス、VELUX Daylight Symposium、BuildSim Nordic カンファレンス、Journal of Asian Architecture and Building Engineering などの出版物やカンファレンスで取り上げられています。

創造のひらめき

Hegazy 氏は次のように述べています。「建物の建設が済んだあとに照明を改善しようとすると、多くの場合、複雑なことになり、コストもかかります。そうではなく、空間の見た目がどのようになるか正確なプリビジュアライゼーションを作成するのが最もよい方法です。そうすれば、建設を始める前の段階で、多くの人の健康改善につながる設計を建築士が選択できます」

住む人にとって最もメリットがあるものは何か理解するために、照明のデザイナーと研究者は、普通は空間のパノラマ HDR 画像をレンダリングしてから、さまざまな種類の照明についてどのような印象を持つか、未来の居住者にアンケートで答えてもらっています。問題は、2D の画像と実際の建物の間には大きな違いがあることが多いということです。特に、天候や時刻によって見え方や感じ方が変わるものについては違いが大きくなります。

「私たちのプロジェクトはそうした HDR を使った調査の限界を超えるものにしたいと考えていました。Unreal Engine がリアルタイム建築ビジュアライゼーションのツールとしてよく使われるものになりつつあることは知っていました。そして、太陽光やスカイライトを含む Unreal Engine の物理ベースのライティングの実装は、リアリズムの面でほかのソリューションよりもはるかに優れていることがわかりました。静的な HDR 画像の代わりに Unreal Engine を使って仮想的な環境を作り、居住者がリアルタイムで歩き、インタラクションし、カスタマイズできるようにすることを決めました。照明について、仮想空間を体験しながらフィードバックできるようにしたいと考えました」と Hegazy 氏は述べています。

理論の検証

それからまもなく、Hegazy 氏は昼光を VR で認識するためのイマーシブなビジュアライゼーション システムを作成しました。Hegazy 氏の考えでは、このシステムはデザイナーや建築士がより健康的な屋内空間をスピーディに作成するために役立つはずでした。システムを試すために、Hegazy 氏はルイス・カーンが設計したキンベル美術館の仮想的なモデルを作成することにしました。この建物は、洗練され、複雑でもある照明のデザインでよく知られています。
Image courtesy of Muhammad Hegazy
「この美術館の仮想的なモデルの作成は簡単ではありませんでした」と Hegazy 氏は振り返っています。幸いなことに、キンベル美術館は建築上の価値が強く認識されている建物であったため、Hegazy 氏はさまざまな図面や文書を参照することができました。資料を活用しながら、建物の 2D の図面を AutoCAD で作成し、それから 3ds Max にエクスポートして 3D のジオメトリと暫定的なマテリアルを作成しました。

次のステップでは、モデルを 3ds Max から Unreal Engine へと移行しました。Hegazy 氏は次のように述べています。「Datasmith プラグインを使えば簡単に移行できました。すべてのメッシュを Unreal Engine へと正確にエクスポートでき、最適化はそれほど必要ありませんでした。それから SunSky を使って太陽の位置、輝度、トーンを Unreal Engine で正確に設定しました。次に、ブループリントを使って仮想的な美術館を訪れる人たちのためにさまざまなインタラクションを作成しました。歩いたり、ジャンプしたり、時刻を変えたりできるようにしました。これによって、さまざまな照明の条件のもとで空間のリッチな体験を提供できるようになりました。どの過程でも C++ のコードを記述する必要はありませんでした」
 
Image courtesy of Muhammad Hegazy

Hegazy 氏が作った仮想的な美術館を VR で体験するユーザーは、走ったりジャンプしたり時間を変化させたりするほかに、空間のスナップショットを撮り、各ショットでの照明をどう認識したかリアルタイムでフィードバックを提供できました。検証のための欠かせないステップとして、プロジェクトの第 2 段階では、時間と空間を同一の条件に設定したうえで、昼光の印象について実際の美術館と仮想的なレプリカを比較して研究しました。

健康的な環境の作成

美術館のプロジェクトを通じて、Hegazy 氏は、VR のハードウェアには視野と輝度の面で制限があるにもかかわらず、仮想空間での昼光の認識は現実空間のそれと大きくは異ならないということを発見しました。どちらの環境でも参加者は同じ点に興味を示したほか、輝度の評価にも大きな違いはありませんでした。

Hegazy 氏は次のように述べています。「これは重要な発見です。というのは、建築空間における照明を改善するための正確な方法の 1 つとして仮想環境を使用できるということを裏付けているからです。このことから、現実世界での私たちの心身の健康に大きなメリットをもたらすことができる可能性があります。また、これは、メタバースでの仮想環境を通じて次世代のヒューマン エクスペリエンスを構築するために、必要なレベルのリアリズムとインタラクションが実現されているということを意味してもいます」
 
Image courtesy of Muhammad Hegazy

Unreal Engine 5 では、動的なグローバル イルミネーションおよび反射のシステムである Lumen が導入されます。Hegazy 氏は、Lumen の登場によって事態がさらに進展すると考えています。
「Lumen はゲーム業界に大きな変革をもたらすだけではありません。その革新的なアプローチは建築ビジュアライゼーションや照明の設計にも応用できます。私たちの仕事で正確なフィードバックを得るには、照明を正確に表現することと没入感が欠かせません。Lumen があれば、リアルタイムの動的なライティングが可能になります。これまではパフォーマンスを犠牲にする必要があったため、リアルタイムの動的なライティングを使うことはできていませんでした」

すぐに考えられるユースケースとしては、たとえば、昼光のシナリオを固定のものにするのではなく、1 日を通じた光と空の条件をシミュレーションすることが挙げられます。こうした変更は、当初は制作者側によって行われることになるかもしれませんが、Hegazy 氏はインタラクティブなツールがシミュレーションに組み込まれる未来を期待しています。そうすれば、参加者自身がすぐに条件を変更でき、幅広い条件下でのフィードバックを提供できます。
 
Design and model courtesy of Safdie Architects

「シナリオを動的にできるようになればなるほど、インタラクションについてのデータをより多く入手できるようになります。Lumen によってその流れが大幅に加速されるでしょう」

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