Image courtesy of DBLG

ハロッズのメンズウェア部門をリアルタイム テクノロジーで改装

Sallyann |
2020年11月18日
ファッション業界は、限界を押し広げるために以前からテクノロジーを活用してきました。ヘルムート・ラングは、コレクションを発表する手段として 1998 年にインターネットを利用しました。これは画期的なことでした。現在では、Lil MiquelaShudu が数百万のフォロワーに向けて Instagram でブランドのプロモーションを行っています。

現在では、デジタル ヒューマンのインフルエンサーの背後で使われているものと同様のテクノロジーを利用して、先進的なファッション小売業者のマーケティング キャンペーンが作り出されています。

ロンドンのハロッズはその代表的な例です。世界的に有名な店舗を開いてから 200 年近くが経つハロッズは、イノベーションについては定評があり、たとえば、世界最初期のエスカレーターの 1 つを注文したことで知られています。そういった経歴を考えると、メンズウェア部門のビジュアルを見直すにあたってハロッズが最新のプロダクション技術を採用したのも驚くべきことではありません。

クリエイティブ スタジオ DBLG の発案による 360 度キャンペーンの一環として、ハロッズは、店舗の最新のメンズウェア ラインをこの世のものとは思えないダリ風のランドスケープにリアルタイム レンダリングした、CG バージョンを顧客に見せています。 
 

生身のモデルの代わりとしての 3D スキャン

Grant Gilbert 氏は DBLG の創業者です。DBLG は高い評価を受けているスタジオで、モーション デザインとブランド アイデンティティを専門としています。DBLG は、昨年に実験的なファッション映像 HiddenSHOWstudio の Best Fashion Film Award を受賞したあと、ハロッズから打診を受けました。

ハロッズのプロジェクトは、高級デパートであるハロッズがメンズウェアを提供する究極の場所であると示すためのものでした。そのなかには、360 度キャンペーンが含まれ、その一環として店舗のウィンドウと画面すべてのための映像が用意されました。
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作品のコンセプトのためのアイデアは、すぐ足元にありました。Gilbert 氏は次のように述べています。「最初のインスピレーションは、新しく作り直されたメンズウェア フロアの床で使われていた、大理石による市松模様のモチーフから得られました。大理石による多様なパターンの質感から、壮大な現実離れしたランドスケープを連想し、その質感を物理的な形で再現することに取り組みました」

コンセプトができたところで、チームは映像の作成について考え始めることができました。しかし、COVID-19 によって、すぐに 1 つのハードルが課せられました。ソーシャル ディスタンシングについて新しいルールが定められた結果、物理的な撮影に代わる解決策を見つける必要が生じました。Gilbert 氏は次のように述べています。「撮影についての現在の規制に従うと、モデルに服を着せて撮影することはできませんでした。そこで、モデルの 3D スキャンを行うことにしました。これによってメリットを得ることができました。Unreal で操作し、ライティングを適用できたため、柔軟性が向上したのです」
 

DBLG のチームは、モーション デザイナーとして Unreal Engine を使った経験はほぼありませんでした。しかし、それまでほかのプログラムを使ってデザインを作成し、出力していたので、すぐにツールセットに慣れることができ、極めて高速なリアルタイム レンダリング ワークフローを活用して、厳しいスケジュールでプロジェクトを完了できました。「時間が限られていて、短い時間のなかで大量のコンテンツを作成する必要がありました。Unreal はこの仕事に最適なツールでした」と Gilbert 氏は述べています。

最終的には、DBLG は Unreal Engine を使ってプロジェクトを 1 か月で完了できました。

正確なライティングのためのレイ トレーシング

DBLG は、ハロッズの高い期待に応えるには映像の品質を非の打ちどころのないものにする必要があるとわかっていました。Unreal Engine はランドスケープとライティングの開発の面で映像の品質を向上させるために真価を発揮したとして、Gilbert 氏は次のように述べています。「ランドスケープやライティングができあがっていく様子をリアルタイムで見られることで、柔軟性が向上し、設計や探求において多くの選択肢を試せるようになりました。このプロジェクトで最も有効だった Unreal の機能は、非常に大きなアセットを Cinema 4D や Houdini などのほかのソフトウェアから取り込み、高速に動作し続ける能力だったと思います」
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このスピードと機能を利用することで、DBLG のチームは動作の遅いビューポートや時間のかかるワークフローに時間を取られることなく、クリエイティブ面に集中できました。
 

生身のモデルを撮影することができなかったので、DBLG は 3D スキャンとデザインを行うスタジオ、Form Capture を雇い、Artec の 3D スキャナー Eva を使って衣服をスキャンしました。そのスキャンを Cinema 4D と Houdini にインポートし、その後で Unreal Engine 内でアニメーション、テクスチャ、ライティングを作成しました。「このような大きなアセットを処理できる Unreal の能力が最も重要でした。衣服はクリエイティブのコンセプト上重要なものでした。また、映像は映画のような性質を持っていたので、その面でも衣服は重要でした。ですから、テクノロジーが許す限り最高の忠実度でレンダリングできたことが極めて重要でした」と Gilbert 氏は述べています。
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できる限り最も正確なライティングを実現するために、DBLG のチームは NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti グラフィックス カードを使い、大半のショットでレイ トレーシングを有効にしました。レイ トレーシングは、光の物理的な振る舞いを模したレンダリング方法です。レイ トレーシングを使うと、詳細なソフト シャドウや画面外にあるオブジェクトからの反射など、従来のレンダリング方法よりもはるかにフォトリアルな結果を得ることができます。Unreal Engine では、リアルタイムでのレイ トレーシングが可能です。

DBLG のチームは Quixel Megascans も活用しました。Quixel Megascans は極めてリアルな 3D スキャンのライブラリです。CG シーンをフォトリアルなものにするために利用できます。「Megascans を利用したおかげで、1 つの極めて複雑なテクスチャの作成に長い時間をかけることなく、コンセプトとクリエイティブに集中することができました」と Gilbert 氏は述べています。Quixel Megascans は、すべての Unreal Engine プロジェクトで無料で利用できます。 
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リアルタイム ワークフローによる映像制作の変革 

現在のように対面での接触が制限されることはこれまでありませんでした。この状況下で、リアルタイム テクノロジーはブランドがマーケティング コンテンツを作成し続けることを可能にするライフラインとなっています。Gilbert 氏は次のように述べています。「現状では、ロケでの撮影にもスタジオでの撮影にも問題があります。さまざまな選択肢を探り、すばやく考えるための柔軟性が必要です」
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多くの映像制作者と同様に、DBLG は、リアルタイム テクノロジーによって映像制作の従来の方法ではできなかったような新しい機会がもたらされることに気付きました。「リアルタイム テクノロジーによってワークフローが一変します。レンダリングができあがるまで待ち、うまくいっているようにと祈る必要はもうありません。グラフィックス カードの性能が上がっていくなかで、これまで使えなかった手段をいろいろと使えるようになっていくでしょう」と Gilbert 氏は述べています。

Gilbert 氏が期待を寄せているのは、リアルタイムのワークフローとライブ プロダクションのワークフローを組み合わせることです。「Unreal Engine の機能にはまだ試していないものがたくさんあります。Unreal をライブ アクションの撮影と連携させるのが待ち遠しいです。できれば近いうちにそうしたいと思っています」
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リアルタイム ワークフローの機能とスピードを経験した DBLG では、将来の多様な可能性が突如として開かれました。「リアルタイム ワークフローは私たちの業界を大きく変えるものです。あとは NVIDIA GeForce RTX 3090 をいくつか見つけてくるだけですね」

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