リアルタイム技術でメタバースへとアクセルを踏みこむ Ferrari

先日、Ferrari 296 GTB がフォートナイトで運転できる形で登場した初の実在の車になったと発表を行いました。 フォートナイトに非常にリアルな形で登場する初の実在車両となったことは Ferrari にとって大きな一歩ですが、これはより大きく素晴らしい構想の一部に過ぎません。

これから296 GTB のデジタルレプリカは Ferrari の世界の様々な場所に存在することになります。その一つは新しい 296 GTB カーコンフィギュレーター です。来月登場し、ファンやカスタマーを喜ばせることになります。Ferrari のウェブサイトにもデジタルレプリカが存在しています。そしてデジタル世界と実在世界が融合する中、この実在する車の撮影が異世界のようなデジタル背景を使ったバーチャルプロダクション環境で行われました。

車や建物に留まらない様々な実世界のデジタルクローンがメタバース構築の基礎になります。そして、様々なデジタル場面においてシームレスに機能する CG アセットを制作できる能力が、新しい世界で必要不可欠になります。

リアルタイム技術に対する包括的なアプローチ

Ferrari は 90 年以上のレースでの歴史を持ち革新を起こしてきた自動車会社です。技術に関して、特にリアルタイム技術の導入においても自らの過去の栄光に満足して安住することを拒否する姿勢を持ち、フォートナイトにおける初の非常にリアルな車の実現を力強く推し進めました。

Ferrari のチーフ コミュニケーション オフィサーの Jane Reeve 氏は以下のように述べています。「実験をしないということは、何を意味するかというと、静止しているということです。静止しているということは、逆行しているということです」

その精神を持って Ferrari は Unreal Engine を選び、デザインのビジュアライゼーションから、プロダクトローンチ動画の制作までその力を活用することにしました。Unreal Engine のアーリーアダプターとして Epic Games との長い関係から、フォートナイトでのパートナーシップが実現しました。
単一の基盤技術がこうしたすべてで使用されているので、新しい車 IP を Ferrari は望むどの場面でも動かすことができます.

Ferrari のリアルタイム コンフィギュレーター

812 Superfast から SF90 Spider まですべての Ferrari の車はデザインにおいても、技術においても、卓越した品質の見本です。すべての車はユニークで、革新的です。

Ferrari にとって、クライアントが購入する車のカスタマイズを行うという体験は、クライアントが Ferrari を買うと決断した瞬間と同様に重要なものです。Reeve 氏は説明します。「できる限り価値ある体験でなければなりません。また最高の技術で卓越したものである必要もあります。そのため、私達はテーラーメイドプログラムのパーソナルな 1 対 1 コンフィギュレーション体験に Unreal Engine を選択しました。このプログラムはこれからオンラインで購入できる選択肢すべてに拡張されていきます」

Ferrari Tailor Made は車のあらゆる要素をカスタマイズし、自分だけの特別な車を仕立てたいカスタマーに向けた Ferrari の特別なプログラムです。

このプログラムは、Ferrari の Unreal Engine を使用したカーコンフィギュレーターと共に、オムニチャネルアプローチを基盤とする Ferrari エコシステムの一部です。既存のカスタマーも新しいカスタマーも、どの場所から Ferrari の世界にアクセスしても、統一された技術によって、居心地良く感じるでしょう。 

Unreal Engine が単一のワークステーションでの制作を可能にしレイトレーシング計算を加速することが、Ferrari が2017年に Unreal Engine を導入する上で大きな理由の一つになったと Reeve 氏は述べています。「過去の選択肢と比べて、時間とコストを顕著に削減できることがわかりました」

リアルタイム カーコンフィギュレーターでの Unreal Engine の使用に成功したことで、Ferrari はデジタルエコシステムのその他のエリアでも Unreal Engine の使用を検討するようになりました。「イノベーション。すべて行うことにイノベーションを起こす、ということが Ferrari ブランドの基本的な強みです。そして技術はイノベーションを加速する力の一つです。リアルタイム技術が現在提供するチャンスは、全体の戦略の一部であるべきです。どの場所で取り込むとしても、最も適切で意味のある使用方法を見つけます」と Reeve 氏は述べています。

そして Ferrari はバーチャルプロダクションによる映像制作という急成長する分野での使用について検討を行いました。

自動車向けのバーチャルプロダクション

Ferrari 296 GTB のローンチ向けアセットには、Ferrari の広報が新しいモデルの様々な面を紹介する 3 つのコンテンツが含まれていました。V6 エンジンをこのレンジとしては初搭載している新モデルのユニークな性質の説明には従来の手法だけでは不十分であると Ferrari は判断しました。Reeve 氏は説明します。「リアルな背景と、アンリアルな背景において、車自体が世界の一部となり、現実的な標準的な方法だけでは不十分になりました。アンリアルな方法が完全に新たなレベルに車を到達させました」
Image courtesy of Ferrari S.p.A.
ビデオは拡張現実スタジオで撮影されました。Unreal Engine を使用した LED ウォールでシナリオに命が吹き込まれました。

あるセグメントでは、床が操作されてエレベーターのように動き、姉妹モデルの 296 GTB Assetto Fiorano が登場します。沿岸の道にあるガレージの中から、フィオラノコースの見下ろし視点にシーンは遷移します。「拡張現実はこの車の主要コンセプトである運転して楽しい、という価値を強調するだけではなく、マーケティングでのポジショニングを支えました」と Reeve 氏は述べています。 
 

チームはまずビジュアルの参考資料を集め、3次元環境での必要な要素の空間インタラクションを理解できるように資料を元に Cinema 4D を使ってプレビューを作成しました。

シェーディング、テクスチャ、ライティングに Unreal Engine と Ultra Dynamic SkyAdvanced Water Material といったプラグインを使用してさらにフォトリアルなビジュアルを実現しました。そしてブループリント ビジュアル スクリプティング システムを使い、the disguise プラットフォームとのライブインタラクションを可能にするのに必要な変数を追加しました。
Image courtesy of Ferrari S.p.A.
Reeve 氏はこのように述べています。「バーチャルプロダクションでは、現実を再発明できます。現実世界だとしたらエレベーターのエフェクトのイテレーションは非常にコストがかかるものだったでしょう、もし実現可能だったとして、の話ですが」

この時点で、リアルタイム技術は Ferrari でのデジタル制作パイプラインによい状態で取り入れられていました。その次に起こったことは、革新的な自動車会社にとっては自然な一歩でした。

フォートナイト初の実在の車

Epic Games との長年の関係によって、Ferrari はフォートナイト初の非常にリアルで運転可能という車という挑戦を実現する最適の立場にいました。

この実現は Ferrari Centro Stile デザインチームと Epic / Unreal Engine デザイングループの密接な長時間のコラボレーションによって実現しました。Reeve 氏は述べています。「素晴らしいチーム意識が生まれました。2つの世界が完璧に融合した成果になっていると思います」 
両方のチームはプロジェクトの数多くの課題を乗り越えるために協力する必要がありました。その中でも大きいものは、ライティングといった要素も変化するゲーム環境において、Ferrari 296 GTB にふさわしい高品質のビジュアルをどのように維持するか、というものでした。Reeve 氏は説明します。「非常にリアルなグラフィックすらいるからゲームグラフィックに変換しつつ、リアルさとデザイン詳細を保持する必要がありました。両方のチームも最終結果を誇りに思っています。エンドユーザーはとてもユニークな体験を提供できたと考えています」

Unreal Engine のアーリーアダプターとして、カーコンフィギュレーター、デザインビジュアライゼーション、バーチャルプロダクションで使用してきた Ferrari は既にリアルタイム CG の経験を積み重ねていました。このパートナーシーップにより、これまで手つかずだった膨大なユーザー層に最新モデルを紹介し新しい Ferrari の熱狂的ファンを獲得する機会を Ferrari は得ることができました。

Reeve 氏は述べています。「フォートナイトとのコラボレーションで Ferrari 296 GTB への知名度を高めるだけではなく、2020年6月にローンチした高級ファッションコレクションについても広めることができました。また、それ以外にもより広く若いユーザー層にアクセスすることができるという大きな利点がありました。Ferrari の情熱を共有することができました」

メタバースへの道 

リアルタイム技術を取り込むことで、Ferrari は制作したアセットを他の Unreal Engine 使用のデジタル タッチポイントのすべてで利用できる企業という立ち位置を確立しました。

フォートナイトで使ったアセットを、広告掲示から走行映像、HMI システムまですべてで再利用できるのです。非常に費用対効率が高いだけではなく、このアプローチによってメタバースにおける利点を活用する位置につけることができます。

メタバースの基本的な特徴の一つは、境界も障壁もなくすところにあります。分離していたゲーム、映画、イベントといったものも、単一の包括的なデジタル空間に存在できるようになります。

ユーザー、クリエイター、ブランドはデジタル体験とその可能性を再定義する力を得ることになります。アイデアはゲーム、映画、イベントといった領域に制限されません。そのすべてを横断することも可能です。

Ferrari のように世界的に有名な企業にとっては、刺激的な未来です。クリエイティブに活動できる実質的に無限のキャンバスがあるのです。Reeve 氏は以下のように述べています。「会社の戦略にとって新しいコミュニケーションシナリオを検討することは本質的なことで、メタバースはその検討に含まれています。Unreal と フォートナイトチームと仕事をしたことは、私達すべてにとって刺激的で認識を変えてしまうような体験でした」

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