An Elastique. Production | Photographed by Manuel Nagel

BMW グループはバーチャル プロダクションを使用して次世代車を発表

2021年4月8日
この1年間、移動や対人での会議の制限は、見本市やフェスティバルなどのライブイベントに大きな影響を与えました。また、何年も前から計画し、物理的な発売ショーを伴う大規模な製品発売を計画している企業にとっては、思いがけない課題をもたらしました。

自動車業界では、少数の先進的な考えを持つ人々が、自分たちがすでに採用し始めている技術が解決策になるかもしれないと理解していました。リアルタイムプラットフォームを活用した最先端のバーチャルプロダクション映像技術は、参加者が自宅にいながらにして楽しめる魅力的なバーチャルイベントを実現する方法を提供してくれます。

これが、パンデミックによる制約があるにもかかわらず、ドイツの自動車大手が何百万もの潜在的な顧客に次世代車を紹介することを可能にした革新的なバーチャルイベント BMW グループの #NEXTGen の背後にあるコンセプトでした。
 

 
自動車におけるコミュニケーションを再考する

#NEXTGen は、BMWグループが新しい技術や車両を紹介するとともに、次世代のモビリティの可能性を探求する場でもあります。初回の #NEXTGen は、2019年に物理的なイベントとして開催されました。2020年の #NEXTGen の計画は、昨年3月にCOVID-19に伴う制約により世界が停止したことで打撃を受けました。2020年のイベントの多くはデジタルプロダクションとして再考され、すべてを見直す必要ありました。

デジタルデザイン会社の Elastique は、没入型かつインタラクティブなブランド体験に重点的に取り組んでおり、多層的なコミュニケーションコンセプトを実現するためには最適なスタジオでした。
 
Elastiqueは、トークショーの要素、インフルエンサーのビデオ、インフォテインメントのフォーマット、ドキュメンタリースタイルの映像、そして最先端のプレゼンテーションを組み合、それらをデジタルプラットフォームでアクセスできる革新的なストリームキャスト体験にまとめるというアイデアに取り組みました。
An Elastique. Production | Photographed by Manuel Nagel
可能な限り柔軟な対応をできるように、Elastiqueは、トークショーコーナーのような伝統的なテレビスタジオの要素と、バーチャルプロダクションのLED CAVE を融合させました。制作の中心となったのは、ミュンヘンにある展示会、博物館、イベント会場が一体となった BMW Weltでした。

このハイブリッドな構成は、28日間の制作スケジュールの中で非常に高い適応性があることを証明しました。これは、COVID-19の危機を受けて、新しいショーを迅速に制作しなければならなかったことを考えると、非常に重要なことでした。「最初のコンセプトと脚本から、特注の LED CAVE での最終的な制作まで、数百の全く異なるタイプのバーチャル プロダクション フィルムやプレゼンテーションを―中には10分程度のものもありましたが― 比較的短時間で開発することは、非常に厳しいものでした」Elastiqueの共同設立者であり、チーフ・クリエイティブ・オフィサーである Andreas Schimmelpfennig 氏は述べています。「コロナウイルスの状況も忘れてはなりません。」

バーチャル プロダクション スタジオが提供する柔軟性により、チームはひとつの場所で様々なフォーマットを作成し、BMWグループのビジョンを全く新しい方法で伝えることができました。LEDボリュームを使用することで、チームは必要な背景を即座に入れ替えることができ、「情報と革新的な思考の魅力的なコラージュになりました」と Schimmelpfennig氏は述べています。
 

新しいビジュアル言語  

Elastique のアート クリエイティブ ディレクターである Sarah Böckenhüser氏にとって、バーチャルプロダクションを最大限に活用することが重要でした。「まず、私たちは "クラシックカー "の発表のために、新しいビジュアルアプローチを開発したいと考えました。それは、もっと遊び心があって、もっと想像力があって、見る人にとってもっと親しみやすいものでなければなりません。」 

これを実現するために、チームは BMW グループのチームと協力して、典型的な自動車コミュニケーションのステレオタイプを避けて、見る者の注意を引く抽象的な仮想世界をデザインしました。音楽も、プレゼンテーションのストーリーも、すべてがそのためにデザインされています。 従来の製品プレゼンテーションではなく、完全に新しい車のデザインに至る思考や決断の過程を視聴者に伝えることを目的としています。
An Elastique. Production | Photographed by Manuel Nagel
リアルタイムのプラットフォームを使用することで自由な創造性が発揮され、チームは製品を新しい方法で表現するビジュアル言語を作成することができました。「ビジョンカーである MINI Vision Urbanaut は、インテリアからエクステリアに至るまで、内側から外側に向かってデザインされています。そのため、同じ方法で提示することにしました。Unreal で作成したプレゼンテーション用の拡張現実レイヤーを使用することで、まずビジョンカーの内部を見せ、その後でエクステリア デザインを明らかにすることができました」と Schimmelpfennig 氏は説明します。

リアルタイム CGI スタジオの AlphaFlare は、ステージ上の MINI Vision Urbanaut のデジタルレプリカを制作するために参加し、 Visual Dataprep や マテリアルアニメーション、そしてブループリントなどの Unreal Engine の機能を活用しました。チームはまた、技術的なパフォーマンスやルック デベロップメントに関するコンサルティング、シーンを最適化するためのアドバイス、ルックを完成させるための最後的なレタッチなどを通してプロジェクトをサポートしました。

「MINI Vision Urbanaut のデジタル レプリカへの変換は、Unreal を使用して楽しく行うことができました」と、AlphaFlare の CEO 兼クリエイティブ プロダクション アーティストである Anestis Takidis 氏は述べています。 「Datasmith は私達にとって最高の友人でした。また、マテリアル作成に関しては、Unreal に制約はありませんでした。私たちのスキルと経験をすべて投入することができました。」
An Elastique. Production
このようなショーでバーチャル プロダクション技術を使用することは、従来のプロダクションに比べて多くの利点があると Schimmelpfennig 氏は説明します。「スタイル、環境、そしてシュールな設定を自由に試すことができ、なおかつ、車をその反射、美しいインテリアショットに光をもたらすLED上の環境、ある時はシーンに完全に溶け込み、あるときはオーディエンス向けにステージに戻すこともできる主人公と完璧に統合することができます。」

拡張現実でカーデザインを探る

Elastique は、インカメラのビジュアルと AR 要素の両方に Unreal Engine を活用しました。Unreal Engineは、新型 BMW iX の公開ムービーとプレゼンテーションの制作に使用され、MINI Vision Urbanaut のデザインを深く掘り下げたARビジュアルの制作にも使用されました。Schimmelpfennig 氏は、「撮影現場でシーンをリアルタイムに調整したり、車両の塗装に反射さるためにバーチャル ライトボックスを動かしたり、完璧なショットを撮るためにシーン全体を回転させる機能など、これらはUnrealでの製作体験を素晴らしいものにした利点のほんの一部に過ぎません」と語ります。 
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制作パートナーの NSYNK は、チームがLEDフィードとARレイヤーの両方で同じシーンを実行できるようにする統一されたバーチャル プロダクション フレームワークを開発しました。制作現場での創造性を高めるために、複数のカメラを使用したライブ中継やARグラフィックスの動作にも対応した、一貫性と柔軟性のあるワークフローを確立することが重要でした。

いくつかのシーンでは、3台の ARRI AMIRA カメラを同時に使用して撮影しました。これらのカメラはそれぞれ独自のノードに接続され、ARレイヤーは、プレビューとカメラディレクターによるライブ編集のため4Kでレンダリングされました。 

LEDフィードは、選択されたカメラの視点に応じて切り替わり、nDisplay コンフィギュレーションで Unreal Engine を実行している複数のサーバーのクラスターでレンダリングされました。「ライブプロダクションのワークフローに近づけたことで、日中の長いプレゼンテーションもほんの数回の撮影で済むようになりました」と、NSYNK の創設者兼クリエイティブ・ディレクターである Eno Henze 氏は述べています。 
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バーチャル プロダクションにおいては、Unreal Engine は長年に渡って頼りになるリアルタイム プラットフォームとして使用されてきました。Schimmelpfennig 氏は、「Unreal は、私たちが求めていたものを提供してくれました」と述べています。「Unreal で作成された画像のビジュアル品質と温かみは、これまでにないものでした。」

しかし、説得力のあるビジュアルだけでなく、チームは、バーチャル プロダクション環境向けにエンジンに組み込まれている機能の奥深さにも感銘を受けました。「カメラで引いたフォーカスと正確に一致して動く、ダイナミックで正確な被写界深度の表現や、環境とは無関係にフラクタム内の明るさを変化させる機能などには驚かされました」と Schimmelpfennig 氏は述べています。
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また、Schimmelpfennig氏は、Unreal Engine の柔軟性の高さが、費用効率の高い制作を可能にしていると述べています。「Unrealは様々なプラットフォームにコンテンツを公開することができるので、制作した環境や車はすべて次のプロジェクトで再利用することができます」と語ります。「『#NEXTGen 2020』で制作したものをベースに、インタラクティブな体験や、VRインスタレーションに取り組むことになるかもしれません。」

このように既存のコンテンツを再利用でき可能性があるということは、BMW グループにとって、1 つのアセットをさまざまな用途に効率的に活用できるという点で、良い投資となります。BMW グループでは、自動車のデザインと開発プロセス においても Unreal Engine を使用しており、設計プロセスで作成された詳細なモデルを、印刷物から映画、ライブプレゼンテーション、インタラクティブなアプリケーションまで、コミュニケーションパイプライン全体で活用できる可能性があります。この統合された理念については、Epicの 自動車分野ガイドで詳しく紹介されています。
An Elastique. Production

刺激的な体験のためのバーチャルプロダクション

Schimmelpfennig氏は、自動車ブランドは、マーケティングやイベントにバーチャルプロダクションを活用することに積極的になるべきだと考えています。「バーチャルプロダクションは、自動車関連のプレゼンテーションのトーンを大きく変えることができます」と述べています。「これまでは、ステージ上で車がゆっくりと走り、大量の照明を使った大胆な(ライブ)ショーが多かったのですが、今では世界中のオーディエンスに向けて、想像力に富んだ刺激的な体験を提供できるようになりました。温かみのある有機的なタッチのシーンに主人公を登場させ、次の瞬間には視聴者を想像を超えた旅に連れて行くことができるのです。」
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Unreal Engine のようなリアルタイムの制作プラットフォームは、さまざまなフォーマットや見た目の、多種多様なコンテンツを作成する機会を提供します。これは、自動車メーカーが顧客にメッセージを伝える際に、まったく新しいクリエイティブな新しい世界を模索できることを意味します。

BMWグループでは、この新しいコミュニケーション方法を取り入れたことで、大きな成功を収めています。「何百万ものインプレッション、オーディエンスがコンテンツに費やした時間は何万時間にも及び、何千もの新しい記事の書かれた #NEXTGen 2020は、バーチャル プロダクションを中心とした最先端の革新的なフォーマットでした」と Schimmelpfennig 氏は述べています。 

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