Image courtesy of historia Inc.

豪華でプレイアブルな UE5 体験を提供する The Market of Light

Jimmy Thang |
2022年1月26日
historia Inc. は、Unreal Engine を専門に扱う日本のソフトウェア開発会社です。コンシューマーゲームやアーケードタイトルなどの開発を行うゲーム事業と、自動車産業や建築業界などのノンゲーム分野に Unreal Engine テクノロジーを用いたコンテンツを提供するエンタープライズ事業、この2 つの事業を軸にソフトウェアの企画・開発を行っています。
The Market of LightUnreal Engine 5 早期アクセスビルドを使用して開発されたプレイアブルな技術デモです。この豪華で美麗な体験は日本の開発会社 historia Inc. の少人数コアチーム(7人)によって制作されました。NaniteLumen といった次世代機能を活用し、主に Quixel Megscans を使って作られた非常に精密なディテールを持つアセットを使用しています。 

Steam で無料ダウンロードが可能な The Market of Light は、現在コミュニティレビューでも「非常に好評」です。開発チームは UE 開発コミュニティを盛り上げることを目指しています。開発チームに Unreal Engine 5 早期アクセスを使用した開発や次世代技術についての考えなどを伺いました。
 

The Market of Light について教えていただけますか?

The Market of Light は Unreal Engine 5 の早期アクセスビルドで作成した、技術デモを兼ねた短編ゲームです。 プレイヤーはホタルとなり、市場に散らばった光の玉を集めます。 ちょっとした街の市場も、小さなホタルにとっては広大なフィールドです。 約 49 億ポリゴン、8K テクスチャ 253 枚+ 4K テクスチャ 1065 枚で構成された市場を自由に飛び回りましょう。

historia Inc. の履歴を教えていただけますか?

historia Inc. は、Unreal Engine を専門に扱う日本のソフトウェア開発会社です。ゲーム事業とノンゲーム事業の2つの事業を軸にソフトウェアの企画・開発を行っています。

また、Unreal Engine の学習を目的とした作品制作コンテスト『UE4ぷちコン』の主催や、毎週更新の Unreal Engine 技術ブログによる情報発信、日本の Unreal Engine 公式カンファレンスイベントの UNREAL FEST EXTREME におけるユーザー参加型イベントの運営など、Unreal Engine コミュニティを盛り上げる活動も行っております。
UE4 のリリースとほぼ同じ時期に Unreal Engine 専門会社として設立した会社で、UE4 の成長とともに会社も成長してきました。
プロジェクトに込められた目標について概要を教えていただけますか?

本プロジェクトの目的は大きく 3 つでした。1 つ目は、純粋に Unreal Engine 5 が触ってみたかったということです。Unreal Engine 専門会社をやっている私たちにとって、誰よりも早く UE5 で何か作品を作りたいと思うことは自然なことでした。去年5月に UE5 が発表されたとき、社内は大きな興奮に包まれました。新しい時代が訪れたという興奮から、すぐに本作の制作に着手しました。

2 つ目は、NaniteLumen が今後のコンテンツ制作をどのように変えていくかを知りたかったということです。 無限のポリゴンを使える Nanite と完全な動的ライティングを実現する Lumen、この二つはコンテンツの内容とワークフローの両面を変えるポテンシャルを持っています。この2つの機能を実際に触って肌で感じることで、今後の制作にも役に立つであろう知見を得ることを目的としました。そのため、今回は Nanite が活きるシチュエーションとして、遠景から超近景にシームレスに視点移動を行うホタルの視点をテーマに制作することが決定しました。

3つ目の目標は、「UE5 コミュニティを盛り上げたい」というものです。 UE4 がリリースした当時は、各機能がどのようなポテンシャルを持っていて、今世代がどのような時代になるかどうかを、コミュニティのみんなで激しく論じ合っていました。それは、時代の切り替わりの時期特有の熱狂でした。 

UE5 には、UE4 のときと同じように時代を変えるポテンシャルがあると確信しています。あの時と同じように、黎明期特有のコミュニティの盛り上がりが起こることを期待しています。

きれいな果物や野菜がリアルな市場にあふれていて、ゲーム内のアセットは細部までそのディテールが表現されています。Quixel Megascans または Unreal Engine マーケットプレイスのアセットを少しでも利用されましたか?

果物と野菜、草木の90%は Megascans を使用しました。全体で見ても50%は Megascans を使用しており、そのほかマーケットプレイスのアセットもいくつか使用しています。メインで関わった背景アーティストは 2 名しかいないため、Megascans なしではこの作品は完成しなかったでしょう。このタイトルを計画している段階から、Megascans アセットを利用することを前提で計画を立てました。

UE5 から追加されたエディター内から直接ドラッグ&ドロップで配置できる新機能は、イテレーションを大幅に早くするとともに、気軽に置いて試せることからクリエイティビティの向上にも役立ちました。 

ほかにも、映画用に販売されているアセットを購入し、ほぼリダクションなしで使用しています。Nanite のおかげで、このようなワークフローが採用できました。
ゲームのリアルな環境をデザインするために、どのようなアプローチをとったのか教えていただけますか?

イタリアの街中にある架空の市場が舞台となっています。実際にイタリア旅行に行って印象に残っている景色を再現したり、その時撮った写真を参考にしながら全体的なデザインを行いました。主人公のホタルは通常のコンテンツより遥かに狭い場所や小さな物にクローズアップして近づくことができます。カメラが引いた時も寄った時も、しっかりと見栄えがするように細かくレイアウトの調整を行いました。

プロジェクトで Lumen を使用してみていかがでしたか?

ライトやレイアウトを調整したとき、リアルタイムに最終的な絵が確認できるのは素晴らしいです。Lumen がなければ制作時間の多くがライトビルドの時間で失われていました。ディレクターとアイデアを検討する際も、常に最終的な絵がプレビューできているのでコミュニケーションの齟齬が起こりませんでした。
The Market of Light は、昼から夜へ短時間で移行する様子が特徴的です。Lumen を使用していて、そのような表現を組み込む際に特別に考慮したことはありましたか?

UE4 世代では、ベイクによるライティングか、絵の質を落として動的ライティングを行うかの選択に迫られていました。今回のコンテンツでは、プロジェクトの最初から「Lumen の特徴である、動的でありながらも美しいライティング」を採用したいと考えていました。

Lumen の威力を表現するための手段として、洞窟の天井が崩れるような表現、もしくは日照変更のどちらかが適しているだろうと考えていましたが、今回は後者を選択しました。舞台を市場とすることにより、DirectionalLight の変更以外にも、街灯や市場の電球が灯る表現を取り入れることで、Lumen によるドラマティックなライティングをしっかり表現できたと思います。

ゲームに登場する発光するパーティクル エフェクトは、どのように開発しましたか?

Niagara で作成しました。 

どのように Nanite を使用しましたか?

Nanite のインパクトを示すために、小さなホタルの視点を取り入れ、大量の果物や野菜を置くことのできる市場という舞台設定にしました。野菜や果物だけでなく、シーン内のほとんどのアセットで Nanite を使っています。Nanite にすることで超ハイポリゴンを大量に扱えるだけでなく、Lumen や Virtual Shadow Maps の描画負荷も削減できたため、可能なものはなるべく Naniteに しています。

また、NiniteのおかげでLODのポッピングから開放されました。今までは当たり前のように受け入れていましたが、LODの切り替わりを感じず、どこまでも近づける体験は、過去のものとは比べ物にならない没入感とリアリティを実現しています。
アートのワークフローを教えていただけますか?

今回のプロジェクトのワークフローを説明します。最初に、Unreal Engine 内でグレーボックスを作り、大まかなレイアウトを決めていきました。その後、Maya や Zbrush を使って作成した本番用モデルに差し替えました。テクスチャは Substance Designer と Substance Painter を使用して制作しました。フォトグラメトリを使ったアセットはReality Capture と Zbrush を使用しています。

UE5 で Quixel Bridge が Unreal Engine 内から使用できるようになったため、シーンを見ながらドラッグ&ドロップでプロップをレイアウトしていくことが可能になりました。

また、Unreal Engine のモデリングツールも使用しています。デフォーマでメッシュ形状を微調整したり、地面の石畳などは Megascan のディスプレイスメントテクスチャを使ってプレーンメッシュからハイディティールのメッシュを作ったりしています。

これまでのところ、Unreal Engine 5 の早期アクセスについてどのように思われますか?

早期アクセスでありながら、想像していたよりも安定しており、Nanite や Lumen をはじめとする新機能もストレスなく使用できました。次世代の技術を先行して R&D できることは、我々にとって嬉しいことです。パッケージが1発で成功したときには驚きました!
早期アクセスの状態でタイトルをリリースすることで、UE5 についてどのようなことが分かりましたか?

Nanite によってポリゴン数の枷から解き放たれることで、今までとは比べ物にならない没入感を得られることがわかりました。ユーザーの方々が野菜や果物、机などに接近して、さまざまな角度でスクリーンショットを撮影してネットにアップロードしていますが、Nanite のおかげでディティールが保たれており、どこを切り取っても絵になることに驚きました。

また、Nanite や Lumen が今後ワークフローを大きく変える可能性があることがわかりました。 Nanite のおかげで Megascans はもちろんのこと、自作アセットや映画用の購入アセットのリダクションコストが大きく低減されました。映画用アセットに負けないクオリティの自作アセットを制作するのはプレッシャーが掛かりましたが、今後はMegascans とマーケットプレイス、その他の購入アセットを前提としたワークフローに変わっていくと思います。

Lumen は気軽に動的なライティングを導入できるため、ライティング環境が変わるようなプレイヤーアクションや環境変化を伴うアイディアを気軽に立案して試すことができるため、ゲームデザインの幅が広がると思います。

Unreal Engine 5 が発展するにつれて、どのようなことを成し遂げてみたいとお考えですか?

ゲーム制作では、UE5 世代は動的な表現が大きく進化すると考えています。Nanite や Lumen はもちろんのこと、周りのメッシュと連動する Niagara、プロシージャルなアニメーション、環境を考慮してリアリティを追求しやすくなったサウンド機能などです。今後、モデル、モーション、ライティング、エフェクト、サウンド、UI など、独立した分野でのものづくりではなく、それらが動的な要素で融合する作品を作っていきたいです。

また、ノンゲームコンテンツは Nanite や Lumen と相性が非常に良いと感じました。正式リリースされた際には、UE5ベースのコンテンツ制作に切り替えていきます。

今日はありがとうございました。 historia Inc. についてもっと知るためには、どこを訪れればよいでしょうか?

日本語だけになってしまいますが、ウェブサイトTwitter をご覧いただけると幸いです。

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