今回、チームの最初のゲーム Helltown から学んだことと、それが Born of Bread にどのように生かされたかについて、チームにお話を伺いました。また、Unreal Engine を使用して、ゲームの特徴である 2D と 3D が融合された外観をどのように作り上げたか、ブループリント はどのように役立ったか、そして、ゲーム内でプレイヤーが犬と触れ合うことができるかどうかについてもお聞きしました。
Gabriel B. Dufour 氏 (アート ディレクターおよび創設者):Helltown から得た最大の教訓は、プランニングとプロジェクト管理を決して怠ってはならないということです!当時、私たちは 2 人とも学生で、ゲームの開発経験が豊かではありませんでした。コアのゲームプレイ ループを把握する前に、アート アセットがいくつかできあがっていましたし、開発中に新しいレベルや機能を追加したこともありました。まさにカオスでした!Born of Bread では、ゲーム全体の計画を事前にしっかりと立て、フィーチャー クリープを避けるように最善を尽くしました。そのおかげで、開発のごく初期の段階からゲームのスコープを確実に把握し、ゲームのあらゆる側面で一貫性を保つことができました。
WildArts Studio は、ビデオ ゲームのインタラクティブ性によって、プレイヤーがゲームプレイを通じて独自のストーリーを自発的に創造できるようにするということを設立理念として掲げておられますね。Born of Bread の開発では、この理念をどのように実装されたのでしょうか?
Nicolas Lamarche 氏 (リード デザイナーおよび創設者):この理念を実装するために、開発プロセスにおいていくつかの重要な要素に注力しました。まず、ディテールや楽しいキャラクターが満載のワールドをプレイヤーが探索できるように、ある程度オープンエンド型のゲームプレイ構造を設計しました。次に、視覚的に美しく雰囲気のある体験を提供することで、プレイヤーの没入感を高めました。アート ディレクション、サウンド デザイン、そしてストーリーの要素を慎重に織り交ぜ、プレイヤーが時間をかけて探索したくなるようなレベルを作り上げたのです。最後に、ダイナミックで相互に関連性のあるゲームプレイ エクスペリエンスを育む方法として、オーバーワールドの探索を戦闘システムに結びつけました。プレイヤーはさまざまな武器、ブーン、アイテム、その他のシークレットを見つけることができ、プレイヤーが希望する戦闘方法で Loaf を作り上げることができます。
Courtesy of WildArts Studio Inc.
Born of Bread の開発チームは 4 人 (ダックスフントの Chi-Chi という心の支えを含めると 5 人) ですね。この小さいチームが、見るからに複雑なジャンルに挑むうえで、Unreal Engine はどのように役立っているのでしょうか?
Dufour 氏:それはもう、さまざまな面で役立っています!私たちは Born of Bread をできるだけ多くのマシンでプレイできるようにしたいと考えていました。また、最終的には本作を Nintendo Switch に移植したいと考えていましたので、最適化はかなり慎重に行いました。UE の プロファイリング ツール、ビジュアライザー、オンライン リソース、自動生成のライトマップなどの時間の節約につながる機能を駆使して、極めて美しいビジュアルを実現しながら、優れた成果を上げることができました。また、このプロジェクトは 100% ブループリントで構築されているので、私自身がプログラマーではないにもかかわらず、複数のゲームプレイ要素で Nicolas を手伝って、アート パイプライン用のプロシージャル アセットをビルドすることができました。プロジェクトをスタートしたときに、Nicolas は C++ を理解していなかったので、ビジュアル スクリプト言語を利用できたおかげで、本作を現在のレベルにまで引き上げることができました。
Courtesy of WildArts Studio Inc.
WildArts は Born of Bread でターン制の定番の展開をどのように刷新されたのでしょうか?
この RPG のインスピレーションの源としてペーパーマリオを挙げていらっしゃいますね。ペーパーマリオ シリーズは Born of Bread にどのように影響を及ぼしたのでしょうか?また、このシリーズのゲームのアプローチを、本作ではどのように独自のアプローチとして実装したのでしょうか?
Lamarche 氏:私たちは、ペーパーマリオ シリーズが、楽しいストーリーと探索できる美しいワールドを備えながら、ターン制の戦闘に対するアプローチや、バッジによってプレイヤーが戦術をカスタマイズできる点が気に入っていました。 Born of Bread では、メカニクスの面でもストーリーの面でも、仲間とのつながりを常に保つようにすることで、各キャラクターをより際立たせることにしました。本作では探索も大きな役割を担っています。そのため、お気づきになると思いますが、多くのゲームプレイ システムがゲームのレベルの探索に直接関連付けられています。戦闘に関しては、敵に弱点と耐性を取り入れ、リソース ポイントをより柔軟にしました。また、バトル ブロードキャストでは、ペーパーマリオの観客システムのモダナイズにも取り組みました。私たちがチャットのコメントを書くのと同じくらい楽しみながら、プレイヤーがそれを読んでくれることを願っています!
Courtesy of WildArts Studio Inc.
Unreal Engine を使用して、本作の特徴である 2D と 3D の融合をどのように実現されたのでしょうか?
Dufour 氏:キャラクターと収集アイテムには、スプライトにカスタム マテリアルを使用できる Paper 2D プラグインを使用しています。キャラクターに法線マップを適用することで、キャラクターとわずかなライトが相互作用できるようになり、ある程度のボリュームがもたらされます。HLSL でコーディングする方法を知らない私でもシェーダーをとても簡単に作ることができました。また、各キャラクターの足元にはソフト シャドウ デカールを適用したことで、ワールドで適切に地に足のついた状態を確保できます。これが、3D オブジェクトの手描きのテクスチャとともに、このゲームの漫画のような美しさを実現しています!
Epic MegaGrants を獲得したことで、御社スタジオと Born of Bread にとってどのような影響がありましたか?
Dufour 氏:Epic MegaGrants のおかげで、2021 年のスタンドアロン デモのリリース後に、プロジェクトを早速開始し、パブリッシャーに本作を売り込むことができました。当時、私はフルタイムの仕事をしていましたが、Nicolas は Born of Bread の作業に専従していました。そのため、Epic MegaGrants によって得られた追加の資金で私たちは本作の認知度向上に注力できるようになりました。
今年の初めには PAX East で本作を紹介していましたね。その経験から得た収穫がありましたら教えてください。
Lamarche 氏:収穫は、Born of Bread のプレイを皆さんに楽しんでもらえたことです!私たちは開発に没頭しているため、一歩引いて自分たちのゲームを見ることが難しい場合があります。PAX East に参加して、目の前でプレイしている人たちを見るのは、とても新鮮で刺激的でした。ゲーム本編を皆さんにプレイしてもらい、本作のキャラクターたちに対する感想を聞くのが待ち遠しいです!