Image courtesy of Warner Music Group

Unreal Engine 5 を活用して Aya Nakamura がフォートナイト サウンドウェーブ シリーズで音楽のファンに感動を届ける

20 年前のポップ スターには、オーディエンスを獲得する手段として確立されたものがいくつもありました。レコードの販売、ラジオでの再生、ミュージック ビデオ、ライブ パフォーマンスなどです。現在では、アーティストがファンとつながるための新しい有望な手段として、仮想的な世界が使われています。先駆的なポップ スターたちは、既存のフォロワーを喜ばせ、新しいファン層にリーチするために、デジタルの世界に目を向けています。

Aya Nakamura もそのようなイノベーターの 1 人です。マリにルーツを持ち、ヒット チャートの上位に入るフランスの歌手である Aya Nakamura は、先日、フォートナイト サウンドウェーブ シリーズに登場しました。このシリーズは、世界中のアーティストをフィーチャーした音楽のエクスペリエンスです。
 

先日、フォートナイトのプレイヤーは、フォートナイトのクリエイティブ ツールセットを使ってゼロから作成されたイベントに招待されました。このイベントは音楽の革新的なエクスペリエンスであり、フランスのアーティストがフォートナイト内でパフォーマンスを見せる初めての機会となりました。

Aya、彼女のレコード レーベル Rec.118、Warner Music France が XR スタジオ MADO XR と協力し、MetaHuman Creator を利用して Aya のデジタル レプリカを作成しました。また、Unreal Engine 5 を使用して、エクスペリエンス内で上映するミュージック ビデオのために仮想環境を作成しました。

リアルなアバターのための MetaHuman

MADO XR の創業者兼 CEO で、クリエイティブ ディレクターを務める Louis de Castro 氏は「このプロジェクトについて聞いたとき、すぐにすごいブレークスルーになるとわかりました」と述べています。

De Castro 氏にとっては、サウンドウェーブ シリーズでの Aya Nakamura のパフォーマンスは、デジタルの世界がミュージシャンにとってのキャンバスとなりつつあることを如実に物語っています。「私はデジタルの世界は巨大な活動の場だと捉えています。この世界に触れることで、想像力を向上させ、自分のパフォーマンスを違った角度から見ることができます。メタバースのパワーを実証する巨大なプロジェクトに参加できたことで、パイオニアになった気分です。これほどわくわくすることはほかにありません」

Aya Nakamura のバーチャル エクスペリエンスは、Aya とフランスの音楽界の両方にとって重大なできごとでした。Aya もそのことは理解しており、エクスペリエンスの前にこう述べています。「このコラボレーションは、私にとって過去最大のショーを、世界中から集まる以前からのファンと新しいファンに届けるチャンスです。私の音楽を皆さんにお届けすること、また、フランスのアーティストとして初めてフォートナイトとコラボレーションすることを楽しみにしています」

Warner Music France でプレジデントを務める Alain Veille 氏によると、フォートナイトなどの仮想的な世界で開催される音楽エクスペリエンスは、ファンがすでに時間を過ごしている場所にアーティストの側が訪れるというユニークな機会をもたらします。「フォートナイトなどのゲームは、プレイヤーに愛されている場所です。そこにアーティストを連れていくことで、共通の関心を持つファンと直接つながることができます。自分のお気に入りのアーティストがフォートナイトのファンだとは知らなかった、という言葉をファンからよく聞きます」

仮想的なエクスペリエンスは、ファンとつながるための新しい刺激的な方法だけでなく、忙しいアーティストが数百万の人々に一度にリーチできる現実的な方法ももたらします。「いくつもの都市や会場を巡るライブ ツアーと比べると、アーティストのスケジュールと折り合いを付けやすい場合が多くなります」と Veille 氏は述べています。
Image courtesy of Warner Music Group
Aya のチームはプロジェクトのタイムラインでこの点を考慮し、プロセスの一部として、MetaHuman Creator を使ってアーティストをアバターで再現するというアプローチを思い付きました。「生で出演する必要があるライブやツアーと比べると、制作のワークフローの柔軟性が高くなりました」と Veille 氏は述べています。

仮想的な世界は音楽界にとっての新しいフロンティアです。レーベル、アーティスト、ファンの全員が一緒になって、こうしたデジタル空間がアーティストとファンの関係にとってどのような意味を持つのかを明らかにしようとしています。

Warner Music Group の最高デジタル責任者、Oana Ruxandra 氏によれば、これはアーティスト、そのチーム、ファン、プラットフォームが協力して学ぶということを意味します。「この Aya とのプロジェクトで、Aya が自分のビジョンを全体的に構築できるようにするための新しいツールを試すことができました」と Ruxandra 氏は述べています。

「たとえば、Unreal Engine 5 の環境内で MetaHuman ツールを使ったのはこれが初めてでした。アニメーションの忠実度と、Aya の現実の動きを仮想空間でキャプチャする能力は驚くべきもので、私たちはとても興奮するとともに触発されました」
 

仮想的な世界のための Unreal Engine 5

MADO XR は、音楽業界およびデジタル業界の優秀なベテランたちと協力して、ビジュアル コンセプト、スクリプト、Aya のアバターを作成しました。

チームは 2 人組のディレクター The Quiffs と協力してミュージック ビデオのスクリプトに磨きをかけました。パリに拠点を置く 3D スキャニング スタジオ Scan Engine が Aya のスキャンを行い、デジタルのデータを取得しました。クリエイティブ デジタル スタジオ Shape Shifters がそのデータを使用して Aya のアバターを作成しました。エクスペリエンスのスクリーンで上映されるミュージック ビデオのための仮想環境は、Komet Xperience に所属するフランスのアーティストたちと協力して開発されました。
Image courtesy of Warner Music Group
プロセスの最初のステップはスキャンでした。Aya の顔と身体を 150 枚以上撮影し、高忠実度のスキャンを作成して MetaHuman Creator に送りました。このプロセスは、Unreal Engine 向けの新しい MetaHuman プラグインの Mesh to MetaHuman 機能により、誰でも利用できるようになっています。De Castro 氏は次のように述べています。「プロセスのなかで最も難しかったのは、人間らしさを生み出すディテールの部分でした。唇の色、肌のトーン、顔の影を調整し、MetaHuman Creator で再現できるようにしました。次のステップで、顔のリグを組み立て直して表情を付けられるようにしました。それからモーション キャプチャを利用したアニメーションに進みました」
 
Courtesy of Warner Music Group

前述の顔のリグを組み立て直すプロセスは自動化できます。De Castro 氏は、MetaHuman Creator がデジタル ヒューマンの作成のあり方を一変させたと考えています。「MetaHuman Creator の最も優れているところは、熟練の 3D アーティストでも初心者でも、あらゆるタイプのクリエイターがアバターの作成に関与できる点です。ユーザー フレンドリーかつ直感的で、十分なガイドが提供されるので、これまでテクノロジーに馴染みがなかった人でも十分なアバターを作ることができます」
Courtesy of MadoXR and Waner Music Group
アーリー アダプターとして、De Castro 氏はデジタル ヒューマンのテクノロジーの進歩を目の当たりにしてきました。従来のパイプラインでは、現実の人間を模した表情を作るために、顔のリギング、アニメーション、ボーンの作業をやり直す必要がありました。「その点では、MetaHuman Creator は単体で完結するツールだと言えます」

チームの成功を評価する最高のリトマス試験紙は、アーティスト自身の反応でしょう。Aya はアバターについて次のように述べています。「自分のアバターを見たときには本当に驚きました。特に動きやジェスチャーが非常にリアルでした。すぐに自分だとわかり、とても感動しました」
フォートナイト内に構築された仮想環境全体で、Aya のパフォーマンスがスクリーンで上映されました。プレイヤーは Atlas Creative Studios が開発した仮想的な世界を探索しながら Aya の音楽を体験できました。 
Atlas のチームの努力の甲斐あって、プレイヤーが走り回る仮想的な世界でミュージック ビデオの CG ビジュアルの見た目や感覚が再現されました。デジタルの Aya と UE5 で構築したミュージック ビデオの環境により、フォートナイトで通常見られるものよりもフォトリアルなルックになっていたため、チームはフォートナイトのクリエイティブ ツールセットを詳しく調査してうまくマッチさせる必要がありました。
Courtesy of Mado XR
Atlas Creative Studios の共同創業者兼 CEO、Michael Herriger 氏は次のように述べています。「ビデオに合わせるために、ライティングの多くの点など、さまざまなところを調整する必要があったため、一般的なフォートナイトのマップとは見た目が違った感じになるところがたくさんありました。それがこのプロジェクトのクールなところでした。フォートナイトの中にいながら、フォートナイトのエクスペリエンスらしからぬものを経験できるというのは、刺激的なことです」

 

Courtesy of MadoXR

音楽エクスペリエンスの未来

Ruxandra 氏によれば、Warner Music では、将来的には、超薄型のヘッドセット デバイスに、極めてリアルなメタバースのエクスペリエンスが表示される未来が訪れると考えています。「こうしたメタバースのエクスペリエンスは、恒常的に同期するリアルタイムのものになるでしょう。デジタルの世界と物理的な世界におよび、かつてない相互運用性を実現し、さまざまな人の手によるコンテンツが加えられ、独自に機能する経済を築くでしょう」

こうしたメタバースのエクスペリエンスでは、音楽が、インタラクション、コミュニケーション、消費の支配的な形態の 1 つになると Ruxandra 氏は述べています。「イマーシブでリアルタイム、カスタマイズ可能な形でアーティストがファンとつながることができ、アーティストにとっては無限の可能性があります。こうした未来のエクスペリエンスの初期段階である今の時点で仕事に取りかかることができ、とてもわくわくしています。この分野で専門家になるために必要なツールをアーティストに確実に提供できるでしょう」

De Castro 氏は、Ruxandra 氏が説明したような仮想的な音楽エクスペリエンスを提供するなら、フォートナイトが最適な場だと考えています。「仮想的なショーをフォートナイトのチームほどうまく開催しているところはほかにありません。フォートナイトでのパーティのようなものはほかにはありません。ゲーム内のコンサートについては、Epic Games は最高のものを作り出していて、先進的なホストとなっています」

「ゲーマー、ミュージシャン、各分野のアーティスト、デザイナーを集めたいなら、フォートナイトのプラットフォームが有望な選択肢となります。メタバースが注目を集めるなかで、これはデジタルによるリアリティがどのように機能するかを示す最高の例です」

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