Image courtesy of SPP and Imerza

XR ベースのデジタル ツインで都市タンパを再現、不動産のビジュアライゼーションにもたらされた大きな変革

By Ken Pimentel |
2020年6月19日
Sparkman Wharf の賑やかなレストラン、店舗、屋台をはじめ、あなたの目前には世界が広がることになります。XR ベースのフロリダ州タンパのデジタル ツインは直径 17 フィート (5.18 メートル) におよび、Water Street 地区の建物をミニチュアで表しています。

スクリーンをタッチすると、画像がモデル上にプロジェクションされ、たとえば公共交通機関のルート、文化施設の場所、ウォーターフロントの開発計画といった地域のさまざまな面をハイライト表示できます。モデルを取り囲む 2 つの巨大なビデオ ウォールはリアルタイムで同期し、個別のビルの任意のフロアから見た都市の様子を 3D ビューで表示します。同時に、物理的なモデルの側には、そのビルからの視野を示す円錐がプロジェクションされて示されます。

これは、不動産デベロッパー、Strategic Property Partners (SPP) の本社にあるハイテク マーケティング センターの最も貴重な資産です。3D プリントされたレプリカ、プロジェクション マッピング、リアルタイム テクノロジーを組み合わせたもので、この種のモデルとしては、これまでに知られているかぎり最大かつ最も洗練されたものです。統合されたソフトウェア機能もあります。
 

 

プロジェクション マッピングされたタンパのスケール モデル


SPP は、Water Street Tampa の数十億ドル規模の開発を手がける企業です。マーケティング ハブの目玉として、SPP はプロジェクション マッピングされたタンパのスケール モデルを構想しました。そのモデルでは、データをリアルタイムで表示して、56 エーカー (約 23 万平方メートル) におよぶ開発の設計が今後 5 年間で進化するなかで柔軟に変更できるようにしました。

SPP のチームは、このモデルをさまざまな形で利用しています。たとえば、不動産の販売と賃貸に関する話し合い、行政や都市計画の立案者との会議、社内の設計レビュー セッション、屋外広告板の広告販売などの用途があります。

モデルは複雑なものであったため、ビジョンを現実のものとするには多くのイノベーションが必要となりました。そこで、SPP は、不動産向けの実験的なテクノロジーに力を注いでいる企業、IMERZA に助言を求め、この領域における IMERZA の専門知識を活用しようとしました。

IMERZA は、プロジェクション マッピングの専門家、DCBolt と協力して、プロジェクトのためにすべてのカスタム ソフトウェアとコンテンツを作成しました。プロジェクトのコンセプトから完成までには 1 年ほどかかり、直径 17 フィートの 3D プリントされたスケール モデルができあがりました。モジュール構造の設計によって、将来的に作られる建物を簡単に置き換えられるようになっています。 
モデルにプロジェクションされるビジュアライゼーションをリアルタイム レンダリングすることで、変更があるたびに数百のアニメーションを再レンダリングする必要がなくなりました。これにより、コンテンツを従来の方法でレンダリングする場合と比べて、プロジェクト全体のコストをごくわずかに抑えることができました。

リアルタイム ソースからのデータのビジュアライゼーション

IMERZA はこのプロジェクトのために 6 つのカスタム アプリケーションを作成しました。インタラクティブなタッチスクリーン キオスク、ビデオ ウォール アプリケーション、iPad アプリケーション、カスタムのデータ アグリゲータ、コンテンツ管理システム (CMS)、プロジェクション マッピングされるコンテンツのアプリケーションの 6 つです。Unreal Engine はそのうち 4 つで中心的な役割を担っています。

これらのアプリケーションはすべてが連携して動作し、IMERZA のプラットフォーム API を介して通信します。たとえば、SPP のチームは、個別の建物をハイライトして、その建物からの視野を物理モデル上に示すと同時に、モデルを取り囲むビデオ ウォールにその建物のあらゆる階からの眺めを表示できます。それからカスタムの iPad コントローラでコンパスを回転させると、簡単に視界を 360 度回転させることができます。このとき、モデルへのプロジェクションとビデオ ウォールの画像は完璧に同期して回転します。
IMERZA のチームは、ほかにも革新的な機能を作成しました。広告主となる可能性があるブランドのアセット パッケージを CMS に取り込み、システムによってそのアセットを環境内のあらゆる屋外広告板とデジタル サイネージに自動的に適用できるようにしました。この機能はスケール モデルとビデオ ウォールの両方のコンテンツに対応します。

IMERZA の共同創業者兼 CTO、Dorian Vee 氏は次のように述べています。「このような機能は、リアルタイム レンダリングがあるからこそ実現できるものです。Unreal Engine がすべてのコンテンツをレンダリングし、nDisplay や NVIDIA Quadro RTX カードのようなテクノロジーによって、複数の PC のフレームをロックし、12 台のカメラの映像を 12 台のプロジェクターにリアルタイムでレンダリングできています」

スケール モデルについては、IMERZA は Quadro RTX 6000 カードを搭載した LightAct サーバーを使用しました。Unreal Engine の nDisplay テクノロジーによって、これらのサーバーはフレーム ロックされ、各ディスプレイが同期されました。nDisplay システムは Unreal Engine と連携して動作し、複数のディスプレイで同時に 3D コンテンツをリアルタイム レンダリングします。IMERZA のチームは nDisplay のコードを変更し、データを渡す処理をより細かく制御できるようにしました。また、簡単に自動的できるようにもしました。nDisplay のコードを変更することによって、コマンドライン インターフェイスから nDisplay コマンドにアクセスできるようになり、それによって 24 時間 365 日運用するという要件を満たしやすくなりました。

デジタル モデルと物理モデルを連携させるために、three-point algorithm を使って現実空間でのカメラのおおよその位置を取得しました。それから IMERZA はさらに計算を行って位置を調整しました。その計算処理はビジュアル スクリプティング システム ブループリントで記述されました。最終的に、DCBolt のチームがブレンドとマスクを使用してプロジェクターごとに調整を行い、最高品質のビジュアルを実現しました。

定期的あるいはリアルタイムに変化するデータについては、IMERZA はデータ アグリゲータを作成して、商用の不動産データ ソースや ESRI ArcGIS などの複数のソースからデータを取得するようにしました。ArcGIS は Environmental Systems Research Institute (ESRI) が開発する地理情報システムで、地図や地理情報を扱うために使用されます。アグリゲータはデータを正規化して、ジオコーディングされた新しいデータベースに取り込みます。チームはそのデータをビジュアルに変換します。

Vee 氏は次のように述べています。「こうすることで、すべてのデータ タイプをコンテキストに応じて表示できるようになりました。市場のデータ、賃料の伸び率、入居率の推移、建物や都市のデータ、プロジェクションされる交通データ、Google が提供するリアルタイムの交通情報、太陽分析などのデータを利用できます。国勢調査のように変更頻度が低いデータについては、ESRI のチームと緊密に連携して、ArcGIS の地図データを JPG のテクスチャにレンダリングし、そのテクスチャをランタイムで取り込む方法を生み出しました」

リアルタイム レイ トレーシングによるリアリティの強化

IMERZA のチームが自社で作成したアプリケーションで Unreal Engine を利用したのは、魅力的なビジュアルを制作できると同時に、サードパーティによる複数のツールを接続して複雑なデータセットを処理できるソリューションを必要としていたからでした。Vee 氏は次のように述べています。「Unreal Engine を選ぶのはわかりきったことでした。Unreal Engine を使えば、アーティストはリアルタイム レイ トレーシングを活用して美しいビジュアルを素早く作り出すことができます。また、コードがオープンソースで、nDisplay などのテクノロジーを利用できるので、自分たちのニーズに合わせてエンジンをカスタマイズし、イノベーションを迅速に進めることができました」

このプロジェクトのビジュアル面で印象的なことの 1 つは、実現できたプロジェクションの鮮明さです。これは簡単なことではありませんでした。「最大の課題は、12 台のカメラを 12 台のプロジェクターにレンダリングして、パーティクル 1 つまですべて完全にフレーム ロックされるようにすることでした。フレーム ロックされなければ、プロジェクションはぼやけたものになってしまったでしょう」と Vee 氏は述べています。
Unreal Engine、NVIDIA Quadro カード、nDisplay テクノロジーが、2,400 万ピクセルをフレーム ロックして毎秒 90 フレームでプロジェクションおよびレンダリングする鍵となりました。

IMERZA はビデオ ウォールとタッチスクリーンのためにも Quadro RTX 6000 カードを使い、リアルタイム レイ トレーシングを活用してシーンのリアリティを向上させました。すべてを 4K で効率的に動作させ続けるために、IMERZA のチームはブループリントによるロジックを利用して、表示距離に基づいて RTX Global Illumination とスクリーン スペース グローバル イルミネーションを切り替えるようにしました。マテリアル ノードに基づいて、カメラから見えるかどうかとカメラからの距離に応じて、動的な RTX 反射を使用するマテリアル内で RTX 機能を有効にするか無効にするかを切り替えることができます。

リアルタイム テクノロジーによる業界の変革

Water Street Tampa Marketing Center プロジェクトで使われたもののようなインタラクティブなワークフローは、従来の建築設計プロセスにあった摩擦の解消に役立っています。Vee 氏は次のように述べています。「この話だったら何日も続けられますが、手短に説明しましょう。設計のビジュアライゼーションには大半の人がとても苦労しています。リアルタイム テクノロジーを利用すれば、誰もが同じものを見ることができて、意思決定がスピーディになります。これは、コストの削減、変更指示の減少、全体的な設計の改善につながります」

Vee 氏は、リアルタイム テクノロジーが不動産開発と都市開発に与えている全体的な影響についても強調します。「業界を変革できるようなものはそうそう現れません。複数の業界を一度に変革するとなったら、100 年に一度くらいのことでしょう。Unreal Engine がまさにそれです。建築・土木、映画制作、プロダクト デザイン、自動車の設計、トレーニング、製造の業界を変革し、新しい業界を作り出してさえいます。とてもわくわくしますし、そこに参加できることを幸運だと思っています」

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