UEFN: フォートナイトに UE のパワーを
Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
世界初の極めてリアルなウイングスーツ シミュレーター:JUMP
2022年10月13日
JUMP
RealityCapture
Unreal Engine 5
VR
XR
ゲーム
シミュレーション
スポットライト
ブループリント
ロケーションベース エンターテインメント
多様な活用
どのような超能力が欲しいか人に尋ねてみれば、空を飛ぶ能力は上位に入ってくるでしょう。ペダルを漕いで動力とする飛行機からロケットで空を飛ぶジェット パックまで、恐れを知らない人々が、歴史を通じて空を征服しようとさまざまな手段を試みてきました。
機械の助けを借りない飛行手段としてこれまでで最も高度なものは、ウイングスーツ ベース ジャンプ (または
ウイングスーツ フライング
) でしょう。
これは極めて危険で技術的にも難しいスポーツです。袖が水かきのようになったジャンプスーツを着て高所からベース ジャンピングすることで、自由落下するのではなく滑空することができます。
スカイダイビングとベース ジャンピングの長年にわたる経験が必要で、ジャンプ 500 回につき 1 回という死亡率を記録していることから、ウイングスーツ ベース ジャンプは 99.9% の人々にとって無縁の代物でしたが、それが変わろうとしています。
世界初のウイングスーツ シミュレーター
ウイングスーツを着た人が山のなかほどに飛び込む、
GoPro を使った爽快感のある映像
をご覧になったことがあるかもしれません。その次のステップとなるのが、世界初の極めてリアルなウイングスーツ シミュレーター、
JUMP
です。
このシミュレーターは、本物のウイングスーツ、カスタムの VR ヘルメット、それにサスペンション、風のエフェクト、複数の感覚を利用した極めてリアルなシミュレーションを組み合わせたものです。つまり、実際にベース ジャンプすることなく、できるだけそれに近い経験をする手段を提供します。
JUMP を発明したのは CEO 兼創業者の James Jensen 氏です。Jensen 氏はロケーションベースの華々しいエンターテインメント エクスペリエンスを長年にわたって作り続けています。
Jensen 氏は
The VOID
を作り出したチームの一員でもあります。The VOID は、最初期の歩行型 VR シミュレーション企業の 1 つです。そのエクスペリエンスでは、家庭用機器をはるかに上回る性能を誇る最高級の VR とグラフィックス テクノロジーを使って、子どもと大人をスター・ウォーズとゴーストバスターズの世界に誘いました。
高解像度のリアルタイム シミュレーションにおいては、Unreal Engine がはっきりと業界をリードしています
”
- James Jensen、JUMP CEO 兼創設者
Jensen 氏が JUMP の着想を得たのは 2016 年のことで、キャンプファイアのそばでのできごとでした。友人であるプロのウイングスーツ パイロット、Marshall Miller 氏とともに旅行をしていたときのことです。Jensen 氏が歩行型 VR シミュレーションについて話をしていると、Miller 氏がスウェーデンで行ったウイングスーツ ベース ジャンプの動画を見せてきました。
「自分にもこんなことができたらいいんだけど、と言ったらすぐに、隣に座っていた妻に、それは絶対にないでしょう、と言われました。その夜に、ナプキンにスケッチをして、現実のウイングスーツ ベース ジャンプのエクスペリエンス、パラシュート、着陸をシミュレーターで再現するにはどうすればいいかを考えました」
Jensen 氏はチームを編成し、2019 年から 2021 年にかけてプロトタイプのシミュレーターを作成しました。それからユタ州ブラフデールで施設が稼動し、これまでに 4 か月以上営業して 5,000 人以上を飛ばしています。 Jensen 氏は次のように述べています。「私はスカイダイビングもベース ジャンピングもしたことはありません。リアルになっているかどうかについては、プロのアスリートに尋ねています。85% くらいまできているそうなので、100% を目指しています」
リアルな 3D モデルのためのフォトグラメトリー
JUMP のエクスペリエンスは、いくつかの最先端テクノロジーを組み合わせて作られています。まず、ビジュアル面から説明します。JUMP では、飛行する人を極めて詳細な 3D ランドスケープに導きます。有名な
Notch Peak
など、ベース ジャンプの世界的な名所がいくつか再現されています。
そのために、JUMP のチームは、最高級のカメラを据え付けたカスタムのヘリコプター リグを飛ばし、2 日間かけて地上のランドスケープの超高解像度画像を数千枚キャプチャしました。
Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
撮影した超高解像度の画像を
RealityCapture
の最新バージョンで処理しました。RealityCapture は最先端のフォトグラメトリー ツールです。一連の画像またはレーザー スキャンから極めてリアルな 3D モデルを作成できます。
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キャプチャした画像 58,000 枚を再構成するには、5 台のスーパーコンピューターが必要でした。また、ジャイロスコープ、慣性計測装置 (IMU)、その他のセンサーからの正確な情報を利用して精度の高いカスタム フライト ログを作成しました。
その結果、10 平方マイル (約 26 平方キロメートル) の環境の 80 億ポリゴン以上からなる非常に詳細なデジタル モデルができ上がりました。
次のステップは、巨大なデータセットを Unreal Engine 5 に取り込むことでした。Jensen 氏は次のように述べています。「RealityCapture のチームからいくらかサポートを受け、最終的には新しいツールをいくつか開発しました。膨大なデータセットを分割し、適切なテクスチャとマテリアルを割り当てました」
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チームでは、UE5 の仮想マイクロポリゴン ジオメトリ システム、
Nanite
を活用して、数百万ポリゴンのメッシュのインポートと複製を行いました。また、忠実度を大幅に損なうことなくリアルタイムのフレームレートを維持しました。
極めて現実的なライティングとシャドウのために、チームは Unreal Engine 5 の完全に動的なグローバル イルミネーション システム、
Lumen
を活用しました。Lumen を使用すると、直接ライティングまたはジオメトリへの変更に間接ライティングが即座に適応できます。
Jensen 氏は次のように述べています。「全体的にフォトリアルな表現を追求しているので、シーンを実現するために Nanite と Lumen に大きく依存しています。現在は Nanite に大規模なデータセットがあります。ポリゴン数では 80 億、部品は 700 以上、部品ごとにテクスチャが 16,000 あります」
Jensen 氏によると、JUMP がエクスペリエンスを作成するために Unreal Engine を利用しているのは、こうした機能があるためです。「高解像度のリアルタイム シミュレーションにおいては、Unreal Engine がはっきりと業界をリードしています」
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「以前映像の制作を行っていたころにレンダリングに数日、数週間、あるいは数か月かかっていたものがリアルタイムでレンダリングされるのを目にすると、信じられない思いがします。ポリゴン数が常にボトルネックとなっています。Lumen のグローバル イルミネーションはリアルタイムで見るとまったく驚くべきものです」
JUMP のチームは、
Quixel Megascans
のリアルな低木、樹木、草、その他のオブジェクトで仮想環境を埋め尽くしました。Quixel Megascans は Unreal Engine 5 に付属する 3D スキャン ライブラリです。3D スキャンされたフォトリアルなサーフェス、テクスチャ、植物、その他の高忠実度の CG アセットが大量に含まれています。
また、独自の物理エンジン FLIGHT を開発しました。これは物理的な世界とデジタルの世界の両方について、すべての設定と物理を処理します。3D アートには Blender と Maya を使用しました。
その結果でき上がった仮想世界はすばらしいもので、落差 4,000 フィート (約 910 メートル) の急斜面の崖っぷちに実際に立っていると錯覚させるほど十分にリアルです。しかし、プロのベース ジャンパーは生命を賭ける必要があるのに対して、JUMP の利用者は五体満足のままエクスペリエンスを終えられることが保証されています。
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Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
触覚と物理のエフェクト
ビジュアルは JUMP をユニークなものにしている要因の半分に過ぎません。実際の飛行の完全にイマーシブな感覚を得るには、VR ヘッドセットで見えるものに、リアルなウイングスーツ、サスペンション システム、風のエフェクト、複数の感覚の刺激を組み合わせる必要があります。
Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
Jensen 氏は次のように述べています。「現実を模倣できるようになるには物理的なエフェクトが必須です。身体的な感覚をビジュアルおよびオーディオと同期できるようになれば、VR のシミュレーションはまったく別の次元になります」
シミュレーションの触覚は仮想環境内のイベントによってトリガーされます。「ウイングスーツ ベース ジャンプのエクスペリエンスのさまざまな瞬間のために Unreal Engine 内でカスタムのコードを記述しました。香り、風のスピード、触覚のステージのエフェクト、音のエフェクト、物理オブジェクトのシグナルを起動します」
Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
このような最先端のテクノロジーにより、ベース ジャンプを正確にシミュレーションできます。しかし、元々ジャンパーではない人は、どのような感覚であるべきかをどうすれば知ることができるでしょうか。それにはプロの経験に頼る必要があります。
Jensen 氏は JUMP の開発に助言を受けるために専門家を呼び寄せました。前述の Marshall Miller 氏は Jensen 氏のよい友人であり、10,000 回以上のジャンプを経験してきたプロのウイングスーツ パイロットです。Hartman Richter 氏もプロのウイングスーツ パイロットです。才能豊かなプログラマーで、リアルなウイングスーツのダイナミクスを再現するサーバー ソフトウェア物理エンジン FLIGHT を記述しました。
こうした専門家の助けを借りて、チームはリアルな臨場感をもたらすディテールを加えることができました。たとえば、ウイングスーツには圧縮空気が満たされています。崖から飛び降りると、数秒のうちにウイングスーツが膨らみます。対気速度が上がるとファンの回転が速まり、速いペースで風を送ります。こうした要素すべてがエクスペリエンスのリアリズムを強化しています。
メタバースへの飛行
JUMP の開発中に Jensen 氏が経験した最大のひらめきの 1 つは、飛行を経験した人たちの反応を観察していたときに訪れました。「プロトタイプに人を招き始めてから、参加者がほかの参加者を見ている様子を観察していました。すると、参加者同士で競争が始まり、今見たものを自分もやってみたい、と言っていたのです」
Jensen 氏は、このエクスペリエンスはスノーボードで山を滑り降りるときと似ていると考えました。つまり、友人同士で技術を競い、追い付き、追い越そうとするということです。そこに着想を得て、e スポーツ スタイルの競争というアイデアを探ることになりました。「まだ生中継はしていませんが、全拠点を対象にウイングスーツ レースを開催し、Twitch で配信する計画を立てています」と Jensen 氏は述べています。
また、違う場所にいる参加者同士が仮想的な環境内で会い、一緒にジャンプできるようにする、マルチプレイヤー エクスペリエンスも開発中です。顔をスキャンするテクノロジーを使用してリアルなアバターを作り、エクスペリエンスに取り込んで GoPro のようなスタイルのパーソナライズされた動画を提供する計画もあります。
現時点では JUMP はロケーション ベースのエクスペリエンスです。Jensen 氏によれば、将来的には複数の拠点の追加が計画されています。一方で、思わせぶりに、いずれは世界中のベッドルームやリビング ルームで動作するバージョンのシステムができるかもしれないとほのめかしてもいました。
「JUMP シミュレーターとそのテクノロジーは、メタバース内の完全なモビリティの基盤となります。数年間にわたるロケーション ベース エンターテインメントの経験から、私たちは家庭用の完璧な VR モビリティ製品を導き出すことになるでしょう」と Jensen 氏は述べています。
Image courtesy of JUMP by Limitless Flight
それが現実になれば、
Wade Watts
が使っていた最先端の没入型リグやメタバースの最大限の可能性に触れられる日はそう遠くないかもしれません。
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