DreamWall が BeTV にフォトリアルなバーチャル セットを提供

Andy Blondin
ベルギーのシャルルロワに拠点を置く DreamWall は、グラフィック デザインとアニメーションのスタジオです。バーチャル セットと拡張現実のプロジェクトの設計と制作を専門としています。その分野で 10 年以上の経験を持つ DreamWall の顧客はさまざまな国に存在します。たとえば、フランスの放送局では France Télévisions、TF1、RMC Sport、ほかには Star TV India (インド)、Spring News (タイ)、Telia (フィンランド)、Svensa Spell (スウェーデン)、欧州議会などが顧客です。

DreamWall は、フランス大統領選挙、タイの議会選挙、欧州議会選挙、FIFA ワールド カップ、クリケット ワールド カップなど、多数の格式あるイベントの生放送に携わってきました。クライアントのバーチャル スタジオ内で作業するだけでなく、自社で 200 平方メートルのバーチャル スタジオを所有しており、制作中にカスタム セットのテストに使用しています。こうすることで、問題を前もって明らかにするとともに、クライアントのスタジオに組み込む前に、クライアントが現実的な状況でセットを視覚的に確認できるようにしています。また、そのスタジオは、一部のクライアントのためだけでなく、DreamWall 独自の制作物にも使われています。スタジオの用途の 3 分の 1 は生放送です。
過去 3 年にわたって、DreamWall は Unreal Engine と Reality Engine を使ってきました。Reality Engine はフォトリアルなバーチャル スタジオと拡張現実のソリューションです。 Zero Density が Unreal Engine を利用して作成しました。DreamWall のワークフローでは、Unreal Engine でコンテンツを作成し、Reality Engine にインポートして、放送中のコントロールや、バーチャル セット特有のその他の機能を追加しています。

このシステムを使って DreamWall が作り上げた最新の自信作は、ベルギーの放送局 BeTV 向けのものです。BeTV はフランス語の有料テレビ チャンネルで、最新のヒット映画、有名テレビ シリーズ、スポーツの生中継などの上質な番組をベルギーとルクセンブルクに幅広く届けています。
ヨーロッパ サッカーとベルギー代表の試合をカバーする毎週放送の番組、L’Europe des 11 では、スタジオに居ながら、まるで実物大のスタジアム内にいると錯覚させるようなセットになっています。グラフィックの抽象的な要素と異種のもので構成されたセットのパーツの組み合わせ、そしてカメラ クレーンの動きによって、はっきりとした深みが作り出されています。同時に、曲線的なデザイン、色と素材の選択、入念に検討された仮想的および物理的なライティングによって美術面でも優れたものになっていて、番組で以前使われていた物理的なセットとのつながりも維持し、ブランドのアイデンティティを保っています。
 

BeTV のプロジェクトは、DreamWall にとってこれまでで最も芸術的で高品質なバーチャル スタジオ プロジェクトであり、バーチャル スタジオの制作に関するベスト プラクティスを集約したものでもあります。DreamWall のゼネラル マネージャー、Thibault Baras 氏は次のように述べています。「BeTV は、バーチャル テクノロジーの活用法とその可能性をよく理解してます」 
セットでは、コンテンツを届ける方法を複数用意しています。以前のセットから引き続き、5 人のプレゼンターが実物の机を囲んで座っています。この机がセットで唯一の物理的な要素です。その周囲にはバーチャルな映像の入力が 3 つあり、生中継の映像と準備しておいた素材の両方を扱うことができます。そこに拡張現実のグラフィックスで説明を加えます。プレイヤーの成績、チームの編成、スタジアムの詳細などを説明し、ジャーナリストとのインタラクティブ性を生み出します。セットの奥には、サッカー スタジアム全体を 4K の解像度で表示します。

Unreal Engine でのバーチャル セットの作成

DreamWall は、セットの外観と質感が高品質になった理由として、Unreal Engine のライティングとマテリアルの作成機能を挙げています。これらの機能を活用することで、美術的に高品質なものを作成し、同時に生放送に必要なフレームワークを維持できたと述べています。
DreamWall のアーティスティック ディレクター、Wilson Garcia Sequeira 氏によると、ボリューメトリック ライトと指数関数的高さフォグ を使用して、セットの繊細で落ち着いた雰囲気を作っています。セットに活気を与えるうえでは、DreamWall のチームは ブループリントによるビジュアル スクリプティング動的マテリアルを使用して、天井とセット全体のライトのアニメーションを生成しました。また、サーフェスの外観をアニメーションさせました。

「チームはライトをうまく操ることができ、ブループリントを使用して面白い影の形を作ることができました」と Garcia 氏は述べています。

また、DreamWall のチームは、Unreal Engine の IES ライト プロファイルを使って、現実のライティングを再現しました。これは DreamWall が以前に使ったことがなかった技術ですが、将来のプロジェクトでは確実に使われることになりそうです。グラフィック デザイナーの Paolo Samparese 氏は次のように述べています。「ほかのセットでもこの技術を使うことになるでしょう。Unreal はバーチャル セットでの驚くようなエフェクトを可能にしてくれます。そういったものを作り出すのが私たちの目的です。Unreal を使うことで、DreamWall とそのグラフィックス チームの規模を広げ、ほかのソフトウェアではできない形でバーチャル セットを設計できます」

リアルタイムで説得力のある反射と屈折を作り出すために、チームでは、Unreal Engine の 物理ベースのマテリアルを利用しました。マテリアル エディタで複数のテクスチャを指定し、独自のマテリアルを組み立てました。Samparese 氏は次のように述べています。「マスター マテリアルを使うことで、グラフィックス チームは複雑なマテリアルを作成し、そこからインスタンスをすぐ簡単に作り始めることができます。Unreal を使うと、グラフィック デザイナーはほかのソフトウェアよりも効率的にその作業を行うことができます」
バーチャル セットでは、視聴者にリアルなものとして見えるようにするために、高品質の反射が非常に重要です。Samparese 氏は次のように述べています。「反射はバーチャル セットの設計で使われる主要な機能です。また、この種の設計で考慮すべき最も重要なパラメータの 1 つでもあります。Unreal Engine のリアルタイム レンダリングの品質はずば抜けています。信じられないような品質です」

クライアントの視点からは、DreamWall が元の物理的なセットのさまざまな面を再現できることも重要でした。BeTV Production の EDO 兼 JPL ディレクター、Vincent Gustin 氏は、Unreal Engine のライティングとテクスチャの機能を活用して、仮想環境内で物理的なセットが忠実に再現されたことに感銘を受けました。

しかし、元のセットとは異なり、新しいセットでは、BeTV は数限りないカスタマイズを行うことができます。「セットの仮想的な面から、制作の無限の可能性が広がります。また、拡張現実によってストーリーテリングを大幅に強化できます」と Gustin 氏は述べています。

結局のところ、重要なのは視聴者がどう考えるかです。BeTV の新しいバーチャル セットは、この点で成果を上げています。Gustin 氏は次のように述べています。「制作をリアルなセットからバーチャルなセットに切り替えて以来、視聴者からのフィードバックは、このようなテクノロジーに不慣れな人からのものも含めて、とても肯定的になっています」

    Unreal Engine をいますぐダウンロードしましょう!

    世界で最もオープンで高度な作成ツールを手に入れましょう。
    すべての機能とソースコードへのフルアクセスが含まれているため、Unreal Engineはすぐに使える状態で完全にロードされます。