51World が上海の都市全体のデジタルツインを作成

Image courtesy of 51World
David Weir-McCall
2600万人を超える人口を持つ上海は中国最大の都市で、世界でも 3 番目に人口が多い都市です。北京のデジタルツインのスペシャリストである51World はこの大都市の 3750 平方キロすべてを含むバーチャルクローンを Unreal Engine で完成させました。 
 

51World は東方明珠塔や上海タワーなどの 20 以上のランドマークを個別にモデリングを行い、衛星、ドローン、センサーからの情報も使用してアルゴリズム的に無数の建物、道、水路、緑地のデジタル版の生成を行ったと、先日 The B1M で発表しました。このモデルから、ほぼリアルタイムで更新される真のデジタルツインを作り上げることを計画しています。

デジタルツインは物理的な都市アセットを接続されたデジタル情報を使いバーチャル世界で正確に表現するものです。地理的情報センサー、衛星、ドローンやその他の情報ソースを活用し、現実を反映し再現します。都市のデジタルツインの場合、都市のプランナーやエンジニアはデジタルツインを検証してサービスの向上、開発計画、建物システムの最適化、交通量のモニタリングの知見を得ることができます。デザイナーはライブ状態の都市環境でバス停の位置や、新しい居住地計画といったアイデアのシミュレーションを行い、その影響を事前に検証することができます。
既にデジタルツイン作成で 51World による他の都市のモデルが使用されています。その一番の例はシンガポールかもしれません。デベロッパーと地方政府のためにデジタルツインが構築されました。建築物、交通、公園、下水などの情報を統合し、都市オペレーターは渋滞から橋のメンテナンスまですべてのモニタリングから、災害計画のための洪水シミュレーションまで行うことが可能になりました。
企業や国家政府がデジタルツインを持つことに対して、人権、倫理、プライバシーへの懸念が出ることは自然です。しかし、実際のところデジタルツインが把握するものはトレンド傾向だけです。すべてのデータは匿名化されています。特定個人やその動向はトラッキングされていません。

Unreal Engine での上海モデルのフォトリアルなリアルタイム レンダリングを最適化するために、シミュレーション全体は、2キロ平方のセグメントに分割され、カメラ視点に合わせてロード、アンロードが行われます。ビデオゲームでよく使用されるテクニックです。近くのオブジェクトはより詳細に表示され、正確な環境反射、表面へのソフトシャドウ、天気に合わせたリアルなシェーディング効果が適用されます。チームは Unreal Engine の太陽と空モデルで自然光をシミュレーションしています。  

この上海モデルは現在存在する最も複雑なモデルの一つであるのは明らかですが、他の都市でもバーチャルクローンの作成への投資が行われています。これは真のデジタルツインではありませんが、VR スタジオの Zoan によって制作されたフィンランド首都のデジタルレプリカであるvirtual Helsinkiは観光のプロモーションから、バーチャル不動産ツアーまで様々な用途で活用されています。
Image courtesy of ZOAN
ニュージランドでは、3D ビジュアライゼーション スタジオのBuildmedia が Unreal Engine を使って GIS に忠実なウェリントンのモデル をこの 3 年間、都市カウンセルの協力の下、開発しています。ライブのスマートシティのデータを統合して、真のデジタルツインを作り上げることを現在計画しています。 
Image courtesy of Buildmedia
デジタルツインはまだ生まれたばかりの技術ですが、都市ランドスケープを変えてしまう大きな可能性を持っています。人工知能や機械学習が成長しているため、自律的に意思決定を行うスマートシティというものも、SF の世界のものではなく、実現可能性が高い現実の未来になっているのです。

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