Unreal Engine 5.7 がリリースされました。豊かで美しいディテールに満ちた、広大でリアルなワールドを構築し、現世代のハードウェアで高い忠実度で、クリーンなリアルタイム レンダリングを行うために必要なツールが揃っています。

このリリースでは、青々と生い茂る葉などのコンテンツを大規模で、プロシージャルに作成し、レイヤー化され、ブレンドされた複雑なマテリアルを本物さながらの物理的な精度で作成できます。また、これまでよりもはるかに多いライトを使用して、自由自在にワールドをアーティスティックに照らすことができます。

より強力で直感的なアニメーションとリギングのワークフロー、MetaHuman とのより緊密で柔軟な統合、拡張されたバーチャル プロダクションの可能性を秘めた機能もご利用いただけます。なお、これらすべてを利用する際は、新しいインエディタの AI アシスタントによる即座のガイダンスが表示されます。

早速、詳細を確認しましょう。

Unreal Engine 5.7 の新機能

高度なオープン ワールドの作成


プロシージャル コンテンツ生成フレームワーク (PCG) が製品版に移行しました!PCG を使用すると、環境を素早く構築し、自然なバリエーションを取り入れ、より魅力的なゲーム体験を短時間で提供することができます。このリリースでは、ダイナミックで視覚的に充実した、ユニークで大規模なワールドをより簡単かつ効率的に作成できる多くの追加機能が提供されています。 例として、新しい PCG エディタ モードは、スプラインの描画、ポイントのペイント、ボリュームの作成機能など、PCG フレームワークに基づいて構築されたカスタマイズ可能なツールのライブラリを提供します。各ツールは PCG グラフにリンクされており、リアルタイムのパラメータ制御、アセット ワークフローのスタンドアローン実行、プロジェクトのニーズに合わせてライブラリを拡張するための新しいツールを作成する機能を、コードを 1 行も書くことなく利用できます。これは、PCG フレームワークに慣れ、PCG フレームワークのあらゆる機能を理解できる優れた方法です。
さらに、複数のパフォーマンスの最適化により、PCG GPU コンピューティングが大幅に高速化されました。加えて、GPU パラメータ オーバーライドのサポートも追加されました。このサポートにより、GPU ノードで作業する際に異なるパラメータ値を動的に設定できるようになりました。

独自のツールを一から構築する場合、新しい Polygon2D データ型と関連する演算子によって柔軟性が向上し、サーフェスまたはスプラインに変換可能な閉領域を定義できます。新しいスプライン交差演算子およびスプライン分割演算子も追加されています。
PCG フレームワークとは、その名前のとおり、PCG 上に構築するためのフレームワークです。新しい Procedural Vegetation Editor (PVE) は、このシステムでどのようなことを実現できるかを示す適切な例です。スピード、スケーラビリティ、そしてクリエイティブなコントロールを重視して設計された PVE は、Unreal Engine 内で高品質な植生アセットを作成したりカスタマイズしたりできるグラフベースのツールであり、Nanite スケルタル アセンブリを直接出力することもできます。
この最初の実験的機能リリースでは、Fab でコンテンツ ブラウザに直接ダウンロードできる新しい Quixel Megaplants アセットと組み合わせて PVE を使用できます。最初のコレクションには、それぞれサイズや構造の異なる 5 種類の植物が含まれています。ロードマップでは、樹木、低木、草、植物など、数百種類の作成済みの植生レシピへと拡張される予定です。

スケーラブルで高忠実度のレンダリング


きわめて詳細度の高いフォリッジ (葉) を作成するのは大変な作業ですが、葉が生い茂るワールドを効率的にレンダリングするのは、また別の作業です。

今回のリリースでは、パフォーマンス、堅牢性、スケーラビリティを重視して設計された、実験的な新しいジオメトリ レンダリング システム Nanite Foliage が追加されています。Nanite Foliage を使用すると、現世代のハードウェアで効率的にレンダリングされる、高密度で高精細なフォリッジを多用した大規模なオープン ワールドの環境を作成し、アニメートすることができます。

この画期的なシステムは、Nanite Voxels を活用しています。Nanite Voxel は、樹冠、松葉、地面の乱雑な様子など、遠くから見ると固形的な塊として見える、重なり合う数百万もの細かい要素を、クロス フェードやポップ、LOD の作成を必要とすることなく、安定したフレーム レートで自動的かつ効率的に描画します。Nanite Foliage は、Nanite Assemblies も活用することで、ストレージ、メモリ、およびレンダリングの負荷を軽減します。また、風に対する反応などの動的な動作を決定する Nanite Skinning も活用しています。

このシステムを使用して PVE から Nanite Foliage 対応のメッシュをレンダリングできるだけでなく、USD 経由で外部アプリケーションから樹木をインポートすることもできます。
今回のリリースで製品版に移行したもう 1 つの強力なツールセットは、Unreal Engine の最先端のモジュール式マテリアル オーサリングおよびレンダリング フレームワーク Substrate です。Substrate は、レイヤー化され、ブレンドされたマテリアルに特化したサポートを提供します。

Substrate を使用すると、クリエイターは金属、クリア コート、スキン、布地などに見られる複数のマテリアルの挙動を、本物さながらの高品質な物理的精度で組み合わせることができます。これにより、車両のリアルな多層塗装、オイル レザー、皮膚の血と汗などのエフェクトを簡単に作成できます。カスタムのシェーディング挙動のきめ細かなサポートにより、チームがエンジンをカスタマイズすることなく、独自のマテリアル ロジックを定義できます。

Substrate は Unreal Engine のライティング パイプラインに完全に統合されており、あらゆるマテリアル タイプで驚くほど高品質な結果をもたらします。また、モバイル デバイスまでスケールダウンできるように構築されているため、UE5 のすべてのターゲット プラットフォームで一貫したパフォーマンスとビジュアルの忠実度を確保できます。
MegaLights は、このリリースで実験的機能からベータ版に移行しました。MegaLights を使用すると、動的なシャドウをキャストするライトをこれまで以上に多くシーンに追加できるため、エリア ライトなどの複雑な光源からリアルなソフト シャドウなどのエフェクトを生成できます。このスケーラビリティの高いライティング ワークフローにより、さらに思いのままに作業できるようになり、これまで以上に大規模かつ豊かで、複雑なワールドを構築できます。

このリリースでは、ディレクショナル ライト、透過処理、Niagara パーティクルのシャドウ キャスティング、髪の毛のより正確なシェーディングとシャドウイングなどを新たにサポートしたことで、ビジュアルの忠実度も大幅に向上しています。また、パフォーマンスの向上をすぐに実感できるだけでなく、ノイズがさらに軽減され、手動によるライトの最適化の必要性も軽減されています。

MetaHuman との統合の強化


MetaHuman では、Unreal Engine およびパイプラインでの他のツールとのより緊密な統合が引き続き進められています。

まず、LinuxmacOS の両方で MetaHuman Creator Unreal Engine プラグインがサポートされました。このサポートにより、Linux および macOS プラットフォームのユーザーが、Unreal Engine との統合によるすべてのメリットを活用できるようになりました。Linux および macOS での MetaHuman Animator のサポートは、今後のリリースで対応される予定です。
今回のリリースでは、Unreal Editor 内でインタラクティブに Python またはブループリント スクリプティングを使用して、MetaHuman キャラクター アセットのほぼすべての編集およびアセンブリの操作を自動化し、バッチ処理できるようになりました。また、コンピューティング ファーム上でオフラインで実行することもできます。

さらに、メッシュをさまざまなポーズに適合させる機能も追加されています。この機能では、コンフォーム テンプレートとモデル メッシュ間で UV 空間の頂点の対応関係を使用するオプションが提供されており、FBX を介して外部 DCC ツールとのメッシュのインポート/エクスポートを行うことができます。

要素に動きをつける際には、Live Link Face を使用して、iPad または Android デバイスに接続された外部カメラからリアルタイムでアニメーションを生成し、パフォーマンスを録画できるようになりました。これにより、手頃な予算で、よりコンパクトなサイズでリアルタイム フェイシャル キャプチャ ソリューションをご利用いただけます。
最後に、ヘア スタイリングの分野にも 2 つの新しい重要な機能が追加されています。

強化されたインエディタのアニメーション ツールセット

Unreal Engine 5.6 におけるインエディタのリギングおよびアニメーション オーサリング ツールセットの大幅な改善に続き、本リリースでは、ワークフローを効率化し、画面領域の使用方法を最適化するリファクタリングされたアニメーション モードが追加されました。
 
アニメーターなら誰もがよく知っているように、リグ内や複数のアセットにまたがる複数のコントロールを選択するのは、繰り返し実行する必要がある場合は特に、面倒で時間がかかる作業です。そのため、選択セットを作成し、ワンクリックで選択セットを作成できる機能を追加しました。この機能では、キャラクターの両側のミラー コピーを自動的に作成したり、よりフォーカスしやすいようにセットの表示/非表示を切り替えたりすることもできます。セットはチーム メンバー間で共有することもできます。
IK リターゲッタにも新機能が追加されています。足と地面の接触が強化され、スクワッシュ & ストレッチ アニメーションのリターゲティングが可能になりました。さらに、空間を考慮したリターゲティング操作により、キャラクター自体のコリジョンを防ぎ、キャラクターの大きさに関わらず、プロポーションに基づいた接触点を維持できるようになりました。
リギングに関しては、Unreal Engine 5.7 は業界標準の柔軟なスカルプティング ワークフローを実現しています。スケルタル エディタが更新され、スケルタルメッシュ上で、ボーンの配置、ウェイト ペイント、ブレンド シェイプのスカルプティングをシームレスに移動できるようになりました。また、即時の更新で、50 ~ 100 個のブレンド シェイプを持つリグも簡単に作成できます。
次に、一方向の物理ワールド コリジョンが新たにサポートされました。この機能により、キャラクターをシーンに配置して環境内のオブジェクトと相互作用する様子を確認できるようになり、さらにリアルなラグドール、ダイナミックなゲームプレイ、没入感のあるアニメーション テストを実現できます。
最後に、新しい依存関係ビューが追加されました。ノードベースのグラフによって、コントロール リグやモジュラー コントロール リグ内のデータの流れをわかりやすく表示できます。このビューにより、複雑なコントロール設定のデバッグや最適化が、はるかに迅速かつ簡単に行えるようになります。

拡張されたバーチャル プロダクション ワークフロー

Unreal Engine 5.7 では、バーチャル プロダクションに新たな可能性をもたらす複数の機能も追加されています。

モーション キャプチャを使って作業している方は、小道具用の新しいダイナミック コンストレイント コンポーネントをご確認ください。Mocap Manager に実装例が用意されています。小道具が手の位置に自動的にアタッチされ、ジャグリングのような複雑な動作でもスムーズに補間されるため、自然な動作と外観に仕上げることができます。ブループリントでこの関数をオーバーライドして、独自のダイナミック コンストレイント ロジックを実装し、カスタマイズされた動作を作成することもできます。
さらに、新しい Live Link ブロードキャスト コンポーネントを使用すると、Unreal Engine 自体をネットワーク全体のアニメーション データのソースとして機能させることができます。これにより、リターゲティング作業を別のエディタのセッションにオフロードし、その結果をメイン シーンにブロードキャストするなど、マルチマシン VP および Mocap ステージのさまざまなワークフローが可能になります。レベルにアクタを追加して Live Link の対象にするだけで、トランスフォーム、カメラ、アニメーションの各役割をエディタから直接ストリーミングできます。
また、今回のリリースでは、Unreal Engine のビルトインのリアルタイム合成ツールである Composure の新しい機能強化バージョンが導入されました。より使いやすくなった Composure は、ライブ ビデオ入力とファイルベースのイメージ メディア プレートの両方を処理でき、映画やビデオ撮影で 24 fps のリアルタイムの結果を提供できます。今回の更新には、実写と CG 要素のシームレスな融合を可能にする新しいシャドウと反射の統合、およびキーヤの機能強化が含まれています。

簡単ですぐに利用できるヘルプ

このリリースでは、新しい AI アシスタントが追加されています。エディタ内で直接、Unreal Engine に関する役立つガイダンスを提供してくれます。まるで、経験豊富な UE デベロッパーがチームに常駐し、さまざまな詳細レベルでサポートしてくれるように役立ちます。専用のスライドアウト パネルを使えば、エディタを離れることなく、質問したり、C++ コードを生成したり、ステップバイステップのガイダンスに沿って作業を行ったりすることができるので、目の前のタスクに集中できます。
質問を入力するだけでなく、インターフェース要素にカーソルを合わせて F1 キーを押すだけで、ツールチップのように簡単に AI アシスタントにアクセスでき、そのトピックに関する AI アシスタントとの会話が自動的に開始されます。

また、チュートリアル、ドキュメント、ニュース、フォーラムなどの重要なリソースや、最近作成したプロジェクトにも、新しい Unreal Editor のホーム パネルから直接アクセスできるようになりました。Unreal Engine のまったくの初心者の方は、Unreal Editor 内で直接起動できるインタラクティブな Getting Started サンプルをすぐにご利用いただけます。

その他の新機能や追加機能

ここでご紹介したのは、Unreal Engine 5.7 の新機能と追加機能のほんの一部にすぎません。すべての新機能と追加機能については、リリース ノートをご覧ください
 

コミュニティに参加しましょう

Unreal Engine 5.7 に関する意見交換は、Epic Developer Community フォーラムで行えます。アップデートについてのご意見や気づいた点など、ぜひコミュニティで共有してください。

新機能の中にはベータ版あるいは実験的機能も含まれています。実際の制作作業では使用しないでください。詳細については、リリース ノートをご覧ください。