Daim Dziauddin 氏:どのようなアート スタイルにするかについては、最初から明確な方向性を決めていました。激しく、活気があり、カラフルである必要がありました。最も重要なのは、エネルギーに満ちた音楽と釣り合うビジュアルが必要だったということです。キャラクター自体については、作品には少し遊び心を入れたいので、体形を少し変わった感じにして、全員をカラフルにしました。色が人間らしくない場合もあり、世界の異常さを際立たせています。
Daim Dziauddin 氏:ボスをデザインするときはシンプルなルールがありました。それぞれのボスがプライマリとセカンダリのテーマを持つようにしました。たとえば、最初のボス、DJ サブアトミック・スーパーノヴァのメインのテーマは DJ です。これだけでは世界を面白いものにするには十分ではありません。そこでセカンダリのテーマの出番です。これはプライマリのテーマとは関係がないものですが、プライマリのテーマを引き立てる役割があります。DJ サブアトミック・スーパーノヴァの場合は、セカンダリのテーマは宇宙でした。ビジュアルの要素が面白いものになるだけでなく、彼のストーリーにも完璧にフィットします。制作の初期段階で、ボスごとのセカンダリ テーマが異なるものになるようにしました。大きなキャンバスを用意したようなものです。
Daim Dziauddin 氏:すべてのボス戦について、2 つの目標を掲げました。1 つは、戦闘のフェーズごとにゲームプレイを進化させることです。そして 2 つ目は、戦闘が続くなかでストーリーの進展を感じさせることです。ボス戦のそれぞれに自己完結するストーリーを与え、新しいフェーズが始まるところで新しいアリーナができるようなナラティブを設計しました。プレイヤーにはすべての戦闘が壮大なものであると感じて欲しかったので、そのデザインには力を注ぎました。
No Straight Roads のサウンドトラックはすばらしいですね。音楽がゲームプレイに貢献するように作曲されたのですか、それともゲームプレイを音楽にマッチさせたのですか?
Daim Dziauddin 氏:面白いことに、特に決まったルールはありませんでした。たいていは完成前の音楽が先にできてきました。それがゲーム デザイナーに渡されて、ボスの攻撃についてアイデアが生み出されました。今度はそのアイデアがミュージシャンに伝えられ、ゲーム デザインに合うように音楽の特定の要素が引き上げられました。このようなやり取りのあるプロセスでした。
No Straight Roads はマレーシア発のゲームとして目立った存在になろうとしています。国を代表してゲームをリリースするのはどのような気持ちでしょうか?
Wan Hazmer 氏:正直、ここまで来られるとは思ってもみませんでした。マレーシアに豊富な人材がいることはわかっていたので、それを実証するために、スクウェア・エニックスと日本を離れました。しかし、もちろん、本格的なビデオ ゲームをリリースできるかどうかは疑われていました。いろいろ問題はありましたが、Malaysia Digital Economy Corporation (MDEC) を通じて政府から支援を受けたほか、パブリッシャーの Sold Out や才能豊かなチーム メンバーの助けもあり、マレーシアが誇れるゲームを制作できたと考えています。
創業者であるお二人は、Final Fantasy XV やストリートファイターV など、賞賛を受けた作品に携わっていらっしゃいました。No Straight Roads を制作するうえで、そういった経験はどう役立ちましたか?
Daim Dziauddin 氏:そうした経験からわかった重要な点は、大きなプロジェクトは、多様な分野の多くの人を必要とするということです。自分たちがチームとして働いているということと、開発をスムーズにするために妥協が必要になることがよくあると理解しておくことが重要です。
Wan Hazmer 氏:Metronomik で物事を進めるにあたっては、スクウェア・エニックスに在籍していたころに知ったさまざまなワークフローやノウハウを適用しました。しかし、Final Fantasy XV での経験から得られた最大の教訓は、ユーザー エクスペリエンス (UX) に力を注ぐことです。FFXV は、感情的なコンテキストをゲームに加え、ゲームのほぼすべての面をそのコンテキストに支配させるということを教えてくれました。FFXV の UX はロード トリップの物語であり、それがゲームをユーザーにとって身近なものにしています。No Straight Roads の UX は「あなたの音楽が世界を変えることができる」というものです。それをストーリー、ゲームのメカニクス、ビジュアル、オーディオに適用するよう心がけました
このゲームに Unreal Engine が適していたのはなぜでしょうか?
Wan Hazmer 氏:スクウェア・エニックスで Unreal を使っていたころのいい思い出があります。Unreal はすばらしいツールですし、Epic Games のすばらしい人たちはデベロッパーを献身的に支えてくれました。そのほかに、スクウェア・エニックスがキングダム ハーツや FINAL FANTASY VII などの大きな IP で Unreal を信頼して使っていたということからも、グラフィックスの忠実度と開発フローの面でスクウェア・エニックスが Unreal をどれほど信頼できているかがわかります。その信頼が私にも定着したようです (笑い)。我ながら単純な理由だと思いますが、No Straight Roads に Unreal を使ったことに後悔はありません。完璧にフィットしていました。