Smilegate Entertainment 社の VR Studio を率いるのは Kay Sangkyoon Lee ディレクターです。彼は PC、モバイル、VR などさまざまなプラットフォームで 18 年のゲーム開発経験があります。
CROSSFIRE シリーズは、世界中で人気の無料の大規模マルチプレイヤー ゲームのシリーズです。Smilegate Entertainment 社は、この緊迫感のある FPS のシリーズを、2007 年に最初にリリースした PC 版から、モバイル版やコンソール版に拡張して世界中でリリースしました。そして CROSSFIRE: Sierra Squad において、このシリーズは今や、PlayStation® VR2 上のバーチャル リアリティの世界に飛躍を遂げました。
私たちは、CROSSFIRE: Sierra Squad のゲーム ディレクターである Sangkyoon Lee 氏にお会いして、このゲームの VR への移行がどのように行われたのか、このゲームではなぜシングルプレイヤーや協力プレイが中心になっているのか、そして、Epic MegaGrants がどのようにして開発を推進する原動力となったかをお聞きしました。
CROSSFIRE: Sierra Squad 制作の背後にあるアイデアは何ですか?
Kay Sangkyoon Lee 氏(CROSSFIRE: Sierra Squad のゲーム ディレクター):私は若い頃ずっと、ライフル型のコントローラーがついたアーケードのシューティング ゲームのような、イマーシブなアーケード ゲームのファンでした。VR は市場でもっともイマーシブなゲーム用デバイスであり、CROSSFIRE: Sierra Squad (以下 CFSS) はイマーシブなアーケード風シューティング ゲームの最新型です。
CROSSFIRE: Sierra Squad はどのようなゲームで、CROSSFIRE シリーズ内ではどのような位置づけになるのでしょうか?
Lee 氏:CROSSFIRE シリーズでは、キャラクターやストーリー同士が相互に絡み合っています。CROSSFIRE シリーズで一番大事なテーマは、グローバルリスクとブラックリストという 2 つの傭兵部隊の間の対立です。両者の戦争の中心にあるのは、未来から持ち込まれたある重要なテクノロジーです。CFSS はこの長い物語の前史の冒頭で、周辺地域の一連の戦闘を扱っています。CFSS は、Quandat 地域の治安維持の任務に就いていた グローバルリスクの Sierra 部隊が、偶然に ブラックリストの特殊兵器の機密情報を発見するところから始まります。その裏に隠された真相を暴くのが Sierra 部隊の任務となります。
Lee 氏:私たちが目指していたのは、射撃や爆発を強調した本当に楽しいアーケード風のシューティング ゲームを開発することでした。そのビジョンを実現するためには、PvE こそが正しい選択であると私たちは信じていました。ですから私たちは、協力マルチプレイヤーの要素を取り入れて、プレイヤーが友達と一緒になってミッションを達成するために、部隊を組んで一緒に闘えるようにしたのです。
Sierra Squad の開発を始めた当時、御社にはどのような VR ゲームの開発経験がありましたか?
Lee 氏:Smilegate の VR Studioでは、VR のデート体験ゲーム Focus On You や VR のアクションゲーム Rogan: The Thief in the Castle を開発したことがありました。これらはどちらも VRCORE 賞を受賞しており、Rogan の方は Epic MegaGrants の対象にもなっています。CFSS の開発には、この両方の開発チームが参加しています。
Lee 氏:VR のストーリー展開で一番難しいのはカットシーンです。開発者がどうがんばっても、プレイヤーがカットシーンを「見る」ことを選ぶとは限りません。プレイヤーにカットシーンを見ることを強いるようなレベル デザインを使うこともできましたが、私たちはストーリーを表現する際に、カットシーンにはあまりこだわらずに、ゲームプレイや背景の舞台装置に集中しました。
CROSSFIRE: Sierra Squad はアーケード風のシューティング ゲームですが、そこにリアリズム モードも加わっていますよね。それによってゲーム体験はどう変わり、どう広がりましたか?
Lee 氏:CFSS は、アーケード風のシューティング ゲームなので、プレイヤーが数発撃たれたぐらいでは死なないようになっていて、若干ゆとりがあります。でも、リアリズム モードになると、プレイヤーも敵ももっと簡単に死ぬようになります。HUD や残弾数の UI や敵の位置マークや敵の HP なども表示されません。プレイヤーが数発撃たれても平気な通常モードとは対照的に、リアリズム モードでは、援護や索敵や慎重な交戦を伴うより戦略的な戦闘を体験することになります。私たちが目指しているのは、単に難しいモードではなく、ユニークな体験を提供することなのです。
Image courtesy of Smilegate Entertainment
CROSSFIRE シリーズの高速アクションを VR に移行するのは大変だったのではないですか?
Lee 氏:CROSSFIRE のユニークなところは、シューティング体験と高速アクションの満足感です。でも VR では、すばやく動くと VR 酔いになります。ですから私たちは、移動時の緊張感を維持することと、満足のいくシューティング体験を提供することとのバランスを取ろうとしました。
CROSSFIRE: Sierra Squad にとって、PlayStation® VR2 が最適なプラットフォームであった理由は何でしょうか?
Lee 氏:PS VR2 は、最高の没入感と最高の体験を提供できる最新のプラットフォームだからです。アダプティブ トリガーやハプティック フィードバックのような画期的な機能を利用することで、最大限にイマーシブなシューティング体験を実現することができました。
PS VR2 の拡張ハプティック フィードバックやアダプティブ トリガーのような独自の機能を、CROSSFIRE: Sierra Squad ではどのように活用したのですか?
Lee 氏:CFSS には、50 種類もの武器があります。アダプティブ トリガーのおかげで、プレイヤーはこのような武器を撃つ際に、武器によって違う感触を体験することができます。武器のトリガーの重みは、サブマシンガンなら軽くなるし、 ライフルなら重くなります。プレイヤーが武器を頭の近くに持ってくると、ヘッドセットの振動が有効になります。たとえば、正確に射撃を行うために、プレイヤーが武器の照準器に頭を近づけると、実際に銃を撃つときに感じるのと同じような振動を感じることができます。
CROSSFIRE: Sierra Squad にとって、Unreal Engine が最善の選択だった理由はなんですか?
Lee 氏:前にも Focus on You や Rogan: The Thief in the Castle のようなプロジェクトを UE 上で開発したことがあって、そのときからこのエンジンのパフォーマンスの高さには感心していました。もちろん、インターフェースの便利さや、チュートリアルがウェブや YouTube で利用できることや、ドキュメントが韓国語に翻訳されているといったことは言うまでもありません。
CROSSFIRE: Sierra Squad の VR 体験を開発する際に役に立った、Unreal Engine のツールはありますか?
Lee 氏:役に立ったツールはたくさんあります。CFSS の開発は、次のようなツールがなければとても困難だったでしょう。