2014 年の設立以来、INNERSPACEVR は VR 業界の主要なクリエイティブ スタジオの 1 つとして地位を確立しています。同スタジオは特に、その革新性と芸術性が評価されています。INNERSPACEVR は、複数の賞を受賞した Firebird - La Péri や The Unfinished など、いくつかの没入型体験を生み出しました。A Fisherman's Tale は VR ナラティブ パズル ゲームで、大好評を博し年間最優秀ゲーム賞を受賞しています。PC と PSVR では2019年1月、Oculus Quest では2019年11月にリリースされました。
INNERSPACEVR は、2019年に A Fisherman's Tale をリリースして世界中に大きな衝撃を与えました。同ゲームは VR パズル アドベンチャーで、プレイヤーは主人公の Bob を操作します。彼の部屋には、自身が住む灯台を模したミニチュアが置かれており、これを操作して世界を探索します。ミニチュア内と彼がいる世界でアイテムを動かすことでパズルを解き、灯台の頂上を目指します。このユニークなコンセプトと心温まるストーリーにより、A Fisherman’s Tale は 2019 VR Awards の「VR Game of The Year」や Game Connection America 2019 の「Best Story/Storytelling」といった著名な賞を受賞しました。
そして今回、同スタジオから続編のリリースがアナウンスされました。Another Fisherman’s Tale では、操り人形の Bob が灯台から新しいユニークな世界に飛び出し、新しい冒険に向かいます。同ゲームでは、Bob を分解して再組み立てすることで、彼にパズルを解くための新しい能力を付与できるようになりました。
INNERSPACEVR チームのメンバーに、A Fisherman’s Tale の世界観についてと、どのように「世界の中にある世界」という仕組みのゲームを拡張し、主人公のストーリーを作成することにしたのか、話を伺いました。
Another Fisherman’s Tale は、受賞歴のある VR パズル ゲーム A Fisherman’s Tale の続編です。今作を作ろうと思ったきっかけは何ですか?
INNERSPACEVR のクリエイティブ ディレクター、Balthazar Auxietre 氏:Alexis が「VR アバターで主人公の体のパーツを解体して再構築できるような仕組みを持つパズルゲーム」というアイデアを思いつきましたが、「これを A Fisherman’s Tale の続編に入れると面白いな」と考えたからです。この続編では、Bob が [A Fisherman’s Tale] のラストで灯台を脱出した後、彼がその後の旅の道中で自分自身についてどのように考え直したのかについてのストーリーが語られます。
Another Fisherman’s Tale のゲーム ディレクター、Alexis Moroz 氏:INNERSPACEVR は、意味のある体験や、VR だからこそできる素晴らしいものを制作するということを常に目的としています。最初の Fisherman’s Tale と同様、この続編のコンセプトもこの原則に基づいて設計されています。
すでにリリースされている 2 作品、A Fisherman’s Tale と Maskmaker での経験から、Another Fisherman’s Tale に活かしたことはありますか?
Balthazar 氏:以前のゲーム Maskmaker の開発では多くの経験を積みました。このゲームで扱ったことは、A Fisherman's Tale よりも幅広いものでした。2 時間ではなく 6 時間かかるストーリー中心のゲームを、限られた予算でパンデミックの最中に作成するのは大変でした。このような大規模なゲームを開発する中で、プロダクションの管理方法とゲームのデザイン方法の両方について多くのことを学びました。
学んだすべての教訓をこの続編 A Fisherman’s Tale で応用することにしました。くわえて、より革新的なことや新しいことにも挑戦したいと考えてました。VR の限界を押し広げられないか挑戦するのは、とても胸が高鳴りますからね。こうした姿勢で開発すると、技術的なハードルにぶつかることはわかっていました。それでも、このゲームの主人公のようにハードルに挑戦して自分自身をより成長させたかったのです。
A Fisherman’s Tale のコアは、ユニークなパズルというシステムと関連している「世界の中の世界」というコンセプトでした。Another Fisherman’s Tale でそのコンセプトをどのように拡張したのか、教えていただけませんか?
Alexis 氏:2 つのゲームの共通点は、操り人形の Bob が住んでいるこれらミニチュアのファンタジーの世界です。つまり、スケールの違いや、何が現実で何がそうでないのかを楽しめる世界です。前作 A Fisherman’s Tale のメイン テーマは、ストーリー的には「逃げること」でした。具体的には、主人公を縛り付ける恐怖、強迫観念、伝統から逃れ、最終的に自分の心から自由を得るための内面の旅です。
そういうわけで、ストーリーは「世界の中の世界」というコンセプトとシンクロしました。この続編のストーリーにおける開発テーマは「変化」です。これは新しいゲームプレイとも共鳴しています。灯台を離れて自由を求めている Bob は、一進一退を繰り返して成長し、変化しなければなりません。比喩的にも文字通りにも、彼が本当になりたい自分に変わるのです。
前作の舞台は灯台とその周辺でした。今作では、どのような場所が舞台になるか教えていただけませんか?
Balthazar 氏:Another Fisherman’s Tale では、より多様な舞台を用意しています。本当の冒険となるのです。各章には際だった特徴があり、ゲームプレイの進行と Bob の旅の物語の両方をサポートするように慎重に設計されています。プレイヤーの皆さんも、各段階できっと驚くと思います。
Alexis 氏:私もそう思います。とうとう灯台から出られた Bob は、旅をしたくてうずうずしています。とはいえ、前作の居心地の良い暖かい雰囲気も維持したいと考えていました。したがって、新しい舞台のそれぞれは、Bob が話す新しいおとぎ話からストーリーを再構築するスタイルになっています。全体的には、Bob は神秘的なリバタリア島を目指して遠くまで行きます。しかし、道中では彼が小さなミュージカルに出演することもあります。
Another Fisherman’s Tale では、再び Bob を操り人形として操作して世界を探索することになりますが、今回はそれだけではなく、彼を分解して組み立て直すこともできます。この新しいスタイルのゲームプレイを採用することになった経緯について、教えていただけませんか?
今作では、「体のパーツを組み合わせてパズルを解いたり手や頭を投げたりしながら、同時に体の部分も動かす」といったようなプレイが可能です。A Fisherman’s Tale では、巨大な主人公と小さな主人公を動かすことができましたが、それと同じです。状況によっては、レベル自体が進行することさえあります。結局のところ、おもちゃで遊ぶのと同じ感覚ですね。