AirsideVR 画像提供:Rubix Limited

シミュレーション業界に新たな可能性を提案する Unreal Engine 5

2022年4月28日
Unreal Engine 5 のリリース は、多くの業界で話題になっています。次世代のゲーム開発の様相を変える可能性を秘めているだけでなく、映画やテレビ、ライブ イベント、建築、自動車などのクリエイターも歓迎すべき要素がたくさんあります。非常にリアルで高精度、大規模なオープン ワールドを生成するための画期的な新しいツールセットは、シミュレーション業界にも同様に適用することができます。今回、いくつかのハイライトに目を向け、このコミュニティにとってそれらがどのような意味を持つのかを調べてみましょう。

より大きく、より正確なオープン ワールド

UE5 を使用すれば、そこに限界はありません。新しい ワールド パーティション システムによってレベルの管理方法やストリーミング方法が変わり、他の方法ではメモリに収まらない、あるいは非常に長いロード時間を必要とする、とても大きなワールドの処理が可能になります。ワールド パーティションを使用すると、ワールドは自動的にグリッドに分割される単一のパーシスタント レベルとして存在するようになります。Unreal Editor では、新しい [World Partition Editor (ワールド パーティション エディタ)] ウィンドウで、作業対象となる領域を選択することができます。ランタイム時に、距離に基づいて必要なセルのみがストリーミングされます。
 

ワールド パーティションを使用して作業した結果、新しい One File Per Actor (OFPA:1 アクタ当たり 1 ファイル) システムは、複数のデベロッパーが同時に同じレベルで、お互いの邪魔をすることなく、より高速に、より協力的なワークフローで作業できることを意味します。一方、データ レイヤー を使用することにより、ブループリントによってランタイム時に有効または無効にできる同じ空間に存在するレイヤーとして、昼間と夜間のバージョンや無傷のアセットと破壊されたアセットなど、同じレベルで複数のバリエーションを持つことが可能になります。

Unreal Engine 4 では、作成できるワールドのサイズに対する制限の 1 つは精度でした。Unreal Engine 5 では、ラージ ワールド座標 (LWC) のサポートを導入しました。これにより、幅広いシステムで倍精度の浮動小数点データが有効になります。これにより、アクタの配置に関する正確性と方向性の精度が大きく向上し、リベースやその他の方法を必要とせずに絶対的に大規模なワールドを作成するための基礎が築かれます。主要なデータ タイプに加え、64 ビット精度が HLSL、Niagara ビジュアル エフェクト、およびケイオス物理において有効になっています。後者のものは、より予測可能かつネットワーク化が可能なシミュレーション向けに、固定ティック間隔で独自の個別スレッド上で実行できるようになりました。
これらの新しいツールセットは、Unreal Engine のレベルの場所を物理空間の場所に関連付けることができる Georeferencing プラグイン など、現実世界のデータをリアルタイム アプリケーションに組み込むための既存の Unreal Engine 機能を強化します。さらに、3D タイルが統合された Cesium for UnrealArcGIS Maps SDK for Unreal Engine、および SimBlocks.io CDB Datasmith Exporter など、Unreal Engine エコシステムによる素晴らしいサポートがあります。

将来はさらに有望です。キャプチャされた地理データを拡張する AI ソリューションに目をやると、Unreal Engine のプラグインとしてセマンティックでフォトリアリスティックな地球全体の 3D デジタル ツインを提供するという使命を持つ Blackshark や、仮想テスト環境として世界の一部の専用 VR ツインを作成する AVES Reality など、未来は期待に満ちています。同じように重要な作業がコミュニティで、3D Tiles Next のような非常にセマンティックで大規模な世界のオープン スタンダードによって行われています。これには基本的な情報だけでなく、シミュレーションがより知的に環境に作用できるようにする属性も含まれています。

リアルタイムのフォトリアリズム

大きく、しかし信頼できないワールドに何の意味があるでしょうか?Unreal Engine 5 では、いくつもの新しいシステムを組み合わせて、現実と区別するのが難しいほどの素晴らしく詳細で没入感のあるワールドを作成することができます。

UE5 の新しい仮想化されたマイクロポリゴン ジオメトリ システムである Nanite により、デバイス、車両や建物の非常に詳細な CAD モデルや、地形や環境の数百万のポリゴン フォトグラメトリ スキャンなどのソース アセットを劣化させる必要なく直接インポートすることができます。Nanite を使用すると、詳細を法線マップにベイクしたり、ドローコールの制約を心配したりする必要なしに、驚くほど詳細なシーンを作成することができます。これは、認識できる詳細のみをインテリジェントにストリーミングして処理することによって機能します。

非常に詳細なジオメトリを最高の状態で表示するには、非常に詳細なシャドウが必要です。そこで 仮想シャドウ マップ (VSMs) の登場です。基本的に非常に高解像度のシャドウ マップである VSMs は、シャドウ マップをタイルに分割します。これは Nanite のように、深度バッファの解析に基づいて画面上のピクセルをシェーディングするために必要な場合にのみ割り当てられてレンダリングされます。

シーンのリアリズムの多くは、ライティングの方法にかかっています。ライト マップ UV の作成、ライト マップのベイキング、反射キャプチャの配置など、許容範囲内のリアルタイム ライティングと反射を作成することは可能でしたが、非常に手間がかかりました。Unreal Engine 5 では、Lumen がそれをすべて変えます。完全に動的なグローバル イルミネーションおよび反射システムにより、間接ライティングは直接ライティングやジオメトリの変化に即時反応します。たとえば、1 日の時間経過に合わせて太陽の角度を変化させたり、懐中電灯を点灯させたり、屋外のドアを開いたりすることができます。このシステムは、きわめて大規模かつ詳細度の高い環境で、Km の規模から mm 単位のディテールまでスケールして無限のバウンスと間接スペキュラ反射を利用したディフューズ相互反射をレンダリングします。エミッシブ マテリアルのサポートも用意されています。
2019 年に Quixel が Epic Games ファミリーに加わったことにより、実際のスキャン データに基づく AAA、映画品質のアセットが揃う世界最大の Quixel Megascans ライブラリを、Unreal Engine ではすべて無料で利用できます。UE5 では、もう一歩先に進みました。Quixel Bridge が Unreal Editor 内に組み込まれるようになり、マテリアル、建物、環境、プロップ、植物、そして最新の を含む何千もの非常に高い品質のアセットをすぐに使用することができます。ただドラッグアンドドロップするだけで済みます。
探しているものがライブラリにありませんか?必要なものをご自身でスキャンできるようになりました。RealityScan は、こちらも最近 Epic Games ファミリーに加わった CapturingReality と Quixel が開発した新しい無料の 3D スキャン アプリです。現在、RealityScan は限定ベータ版ですが、今年の後半に早期アクセスが開始します。

Lumen、Nanite、VSMs、および実際にキャプチャされたデータを組み合わせ、ボリュメトリック クラウドウォーター システム などの既存の機能とともに使用すると、エンドユーザーが完全に没頭するような驚くほどリアルな世界を作成する力が手に入ります。

セマンティックに豊かなエクスペリエンス

このようにして大きく、美しくなりましたが、高性能なのでしょうか?結局のところ、ゲーム エンジンはどれほど高性能であるべきなのでしょうか?

誤解を解く時が来ました。Unreal Engine 5 は、人間と機械の両方を訓練するための次世代のシナリオ ジェネレータを構築したり、コンフィギュレータを使用したりする道を切り開くために、ベータ版の機能や実験的機能の中から驚くべき選択をして公開されています。
 

人工知能 (AI) およびロジック

人口知能についてお話しましょう。UE5 の新機能により、かつてないほど信頼性の高い AI エージェントを作成する機能が提供されます。MassEntity は、シーン内での数万にも及ぶ AI エージェントのシミュレーションなど、パフォーマンスがカギとなる場面で使用することができるデータ指向の計算のフレームワークを提供するものです。また、AI エージェントとプレイヤーがやり取り可能なレベル内に配置されるオブジェクトのコレクションである スマート オブジェクト もあります。このシステムは設定しやすく、今までにないレベルのインタラクティブ性をシーンに追加することができます。
 
AI エージェントのナビゲーションについても、Mass Avoidance (密集回避)Zone Graph (ゾーン グラフ) などの機能に大幅な改善が行われています。密集回避では、MassEntity システムを使ったエンティティ向けの高性能な回避が提供され、ゾーン グラフでは、特定のナビゲーション フローを介した効率的な長距離ナビゲーションが提供されます。
 
次は ステート ツリー です。これは Behavior Tree のセレクタをステート マシンの状態および遷移と組み合わせる、Unreal Engine のスケーラブルで汎用の階層型ステート マシンです。これを使用すると、フレキシブルで整理された状態が持続する高パフォーマンスのロジックを作成することができます。

機械学習 (ML)

Unreal Engine を使用したグラウンド トゥルースを作成するための自立システムは通常、独自のニューラル ネットワークに接続されています。UE5 には、Unreal Engine 内でニューラル ネットワークをリアルタイムで評価するために使用されるネイティブなプラグインの Neural Network Inference (NNI) が導入されています。これにより、デベロッパーは標準的な ML トレーニング フレームワークを直接統合することができるようになります。

このプラグインでは、非常に高解像度の頂点オフセット データを ML ネットワークを介して圧縮し、リアルタイムで再生することを可能にする、機械学習ベースの ML デフォーマ システムなどの機能が提供されます。このシステムは、アニメーション、ML ベースの AI、カメラ トラッキングなど、開発課題の解決に向けた多くの ML ベースのアプローチの基礎となるものです。

NNI は業界標準の ONNX モデル形式をサポートし、標準的な ML トレーニング フレームワーク (PyTorch、TensorFlow、MXNet など) から ONNX としてエクスポートされるあらゆるモデルを実行することができます。これにより、ユーザーは ML モデルをあらゆる場所から取り入れて、エンジンで直接実行することができます。当社のチームは Microsoft との緊密なコラボレーションを通じて、Microsoft の ONNX Runtime プロジェクトを NNI プラグインの推論システムの中核として使用しました。
これらは、シミュレーション業界に新たな可能性をもたらす Unreal Engine 5 のハイライトのほんの一部です。すべての新機能については、リリース ノート をご確認ください。

今回確認した内容や今後のプロジェクトに適用する方法について話し合いませんか?ご意見をお聞かせください。次のリンクからご連絡ください。

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