リアルタイム技術の現状と展望: インタラクティブ 3D の成長と2021年のトレンド

昨年はリアルタイム技術にとって大きな一年でした。フォートナイトでの Travis Scott のバーチャルコンサートから 新しい映像制作技術まで、クリエイターはインタラクティブ 3D の力を活用し、新しい遊び、創造、コミュニケーションの方法を生み出しています。 

Epic はこうした流れが数値に反映されていることを観測しています。2020年末時点で、アナウンス済みの次世代ゲームの半分近くが Unreal Engine を使用しています。Unreal Engine を現在使用している、もしくは過去に使用した映画、テレビ、アニメーションプロジェクトの数は倍になりました。HMI(ヒューマン マシン インターフェイス)といった先端領域でもリアルタイム ワークフローが最新の体験を作り出しています。その一例が General Motors が先日アナウンスした GMC HUMMER EV のデジタルコクピットです。

2021年はさらにワクワクするものになるでしょう。それではリアルタイム技術の躍進を示している最新の統計情報を見てみましょう。
 

ゲーム: 次世代での開発 

小規模なゲームデベロッパーも大規模なデベロッパーも2020年に素晴らしいクリエイティビティを発揮しました。The Game Awards 2020 では Unreal Engine 使用タイトルが 17 ノミネート、5 受賞を果たしました。ショーでワールドプレミアとして発表されたタイトルの過半数も Unreal Engine 使用タイトルでした。ARK II、The Callisto Protocol、Back 4 Blood、Just Cause: Mobile、Evil Dead: The Game などがその一例です。そして去年末時点で、発表済みの次世代タイトルのほぼ半数が Unreal Engine を使用して開発されています。
 

映画 & テレビ: クリエイティビティの新しい世界 

2020年にリアルタイム技術は映画、テレビのクリエイティブプロセスを引き続き変革しました。マンダロリアンウエストワールドダーク・マテリアルズなどの大作ショーでバーチャル プロダクション技術が使用されています。カメラ内ビジュアルエフェクト (ICVFX) が世界中で加速し、映画制作者は Unreal Engine をセットでのリアルタイム ビジュアルエフェクトに使用しています。 野性の呼び声、ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え、ジングル・ジャングル、魔女がいっぱいなど多くの制作で Unreal Engine は使用されました。 Unreal Engine を使用している、もしくは使用した映画、テレビプロジェクトの数は2020年に2倍になりました*。
* 2020年1月1日 - 12月1日のデータ
 
ライブ放送の分野では、The Weather Channel が引き続き AR グラフィックの最先端を開拓し、Dreamwall はベルギーで美しいセットを制作しています。アメリカ大統領選挙でも複数のニュース チャンネルが Unreal Engine を使用したソリューションを活用しました。 Unreal Engine は現在、ESPN、NFL Network、Fox Sports、CBS Sports、SKY、Aljazeera、MBC、CCTV、NHK を含む世界中の 150 以上の TV ネットワークで使用されています。
 

建築・エンジニアリング・建設(AEC): 建築ビジュアライゼーション ワークフローの効率化

2020年にさらに多くの建築、エンジニアリング、建設 (AEC) のプロが超高速なレンダリング能力を活用するためにリアルタイムエンジンに取り組むようになりました。昨年のCGarchitect による調査ではレンダリングエンジンを試している回答者のうち、43% が Unreal Engine を、22% が Twinmotion をテストしています。 
 

自動車: パイプライン イノベーションの加速  

Unreal Engine は自動車業界でリアルタイム技術へのデジタルシフトを加速する鍵になっています。主要ブランドはメタバースのコンセプトをベースにしてプラットフォームを構築しています。

Top 10 の自動車制作会社のうち 9 社、そしてラクジュアリー ブランドを含む世界中の自動車ブランドが Unreal Engine を自動車パイプラインの様々なステップの全体で使用しています*。こうした自動車会社は Unreal Engine をマーケティング アセットの管理から、デザイン、トレーニング、シミュレーション、HMI 開発でのデータモデルの活用などに使用しています。
* 2020年1月1日 - 12月31日のデータ
 

Unreal マーケットプレイス: クリエイティビティを支えるアセット

リアルタイム プロジェクトを求めるコミュニティによってUnreal マーケットプレイスも盛り上がりました。すべてのカテゴリの新コンテンツが 約 50%* 増加しました。What Remains of Edith Finch(フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと) からの 10 個のパック、無料で入手できる80万平方メートル規模の都市公園工場環境の大規模環境パックも注目を集めました。
* 2019年12月から2020年12月のデータ
 

Quixel Megascans: 世界制作をレベルアップ

Unreal Engine と使用する場合無料で利用できる 14,000* 個の高品質 Megascans アセットをクリエイター達が活用しています。Megascans ライブラリから 2000万個近くのスキャンされたアセットがダウンロードされました。

旅行や出張が難しい中、Quixel は昨年 3,000 個を超えるプレミアム品質のスキャンを制作しました。各大陸、複数国のスキャンチームが自然環境も都市環境もスキャンしています。
* 2020年1月1日 - 12月31日のデータ 
 

Epic MegaGrants: クリエイティブ コミュニティに力を

2020年にはあらゆる分野のクリエイターが Epic MegaGrants の支援によって新たな一歩を踏み出しました。6000万ドルの資金がこれまで分配されました。昨年のみ*でも 765 の受賞者に 4700万ドルが提供されました。受賞者の一部を紹介します。Random42 は医学アニメーション スタジオで、コロナウイルスのワクチンの重要性についての映像を制作しています。XRStudios は XR ライブエンターテインメント会社で Unreal Engine を使って素晴らしい成果を上げています。Loomiarts は宇宙人によって征服された地球を舞台にしたシューティングゲーム Squadron51 を制作しています。 
* 2020年1月1日 - 11月30日のデータ 
 

学習: リアルタイム スキルセットの向上 

昨年、コミュニティは熱心にスキル向上に取り組みました。獲得されたスキルバッジは 285,000 個超* です。素晴らしいです!インタラクティブ 3D 技術を必要とする求人が全体の求人市場に対して 601% も早く伸びている時代において、学習も記録的に進んでいます。 こうしたニーズに応えるため、オンライン学習プラットフォームをさらに成長させています。90 以上のコース、160 時間の学習コンテンツに無料でアクセス可能です。 
* 2020年1月1日 - 12月11日のデータ
 

2021年の展望

私たちはこれまでにない技術変革の時を生きています。この数年、クラウド コンピューティングや接続性、人工知能や自動化、インタラクティブ技術や没入的技術の大きな進展がありました。それらが今組み合わさろうとしています。映画やテレビ、ゲーム、AEC、自動車など様々な業界において、今年のトレンドとなる鍵が浮かび上がっています。

バーチャル エンターテインメント

昨年、人数制限により観客がライブで集まるコンサート、ショーやイベントが不可能になったため、ライブエンターテインメント業界は変化を迫られました。これにより、バーチャル エンターテインメントが発展しました。実世界では不可能な密接な体験をオンラインで楽しむことを皆が求めています。 

League of Legends Worlds 2020バーチャル ファンが埋め尽くしたメジャーリーグ スタジアムTomorrowlandBurning Man などの時代を映したフェスティバルまで、数多くの既存のイベントも家からの参加者の体験を向上させるため、リアルタイム要素の追加を行いました。私たちはこのトレンドは2021年以降も続くと予測しています。クリエイターはバーチャル エンターテインメント体験をさらに洗練させ、人々を魅了する共有されたデジタル体験へと発展させていくでしょう。 

バーチャル プロダクト ローンチ

新服飾コレクションを発表したBalenciaga のビデオゲームから、フォトリアルなコンフィギュレーターを使った Ferrari による初のフルデジタルの自動車ローンチまで、昨年、新製品のローンチにリアルタイム技術を使用する会社が増えました。バーチャル プロダクト ローンチが可能にする規模とインタラクティブ性をより多くのブランドが活用し、このトレンドが加速すると予測しています。

デジタルツイン

デジタルツインは建築業界から自動車業界、そしてさらに他の業界まで変革していくでしょう。 建築業界では既にデジタルツインを使用して、次世代建築やスマートシティの開発を行っています。2021年には、再生可能エネルギー発電所から、航空宇宙業界や防衛業界でのハードウェア パフォーマンスの改善まで、あらゆる場所でデジタルツインの使用が増えていくでしょう。 

2021年のリアルタイム イノベーション

リアルタイム ワークフローが発展を続ける中、確かなことが一つあります。あなたが作るものが何であれ、インタラクティブ 3D 技術の力を活用する人にとって、今年もワクワクするものになるということです。コミュニティが今年達成する素晴らしい成果を祝うのが待ち遠しいです! 
 

    リアルタイム ワークフローのトレンド

    リアルタイム技術の最新情報にキャッチアップしたいですか?The Pulse をご覧ください。最新のインタラクティブ技術トレンドを明らかにするビデオ シリーズです。そして Unreal for All Creators ハブで、Unreal Engine を使って挑戦するクリエイターの話をご確認ください。