Image courtesy of Buildmedia

デジタルツインを始めるには

David Weir-McCall |
2021年9月10日
ビジュアライゼーション テクノロジーの最新動向を把握している方なら、デジタルツインについてもお聞きになったことがあるでしょう。デジタルツインとは物理的実体の3Dモデルとライブデータストリームの組み合わせであり、実体からのライブデータがモデルのアニメーションとオンスクリーン表示を駆動します。

様々な分野の多くの Unreal Engine ユーザーたちは、運用上の課題や、インフラやプラニングの課題に対処するためデジタルツインを開発しています。「リアルタイム技術は全員が同じものを確認し、迅速に意思決定することを可能にしています」と、不動産における体験型テクノロジーに重点的に取り組んでいる IMERZA の共同設立者兼 CTO の Dorian Vee 氏は述べています。「これは、コストを削減し、変更依頼を少なく抑えるとともに、全体的なデザインの向上につながります」
Image courtesy of chen3d.com
デジタルツインのコンセプトは以前からありましたが、そのシステムを作成するにはプログラマーやデベロッパーのチームが必要なため、多くの人にとってはデジタルツインは手の届かないものでした。しかし現在、Unreal Engine のリアルタイム技術は、専門的な知識やツールがなくとも、少人数のビジュアライゼーション専門家で構成されるチームがこのシステムを作成し、維持することを可能にしています。
Image courtesy of SPP and Imerza
Epic Gamesでは、デジタルツイン ハブデジタルツインとは?という記事、ビデオシリーズ ThePulseでの業界のリーダーたちのディスカッションなどのリソースを通して、成長するデジタルツイン コミュニティをサポートすることを目指しています。

The Pulse のディスカッションに含まれているライブQ&Aセッションで、最も多く寄せられた質問のひとつは「始めるにはどうしたらいいか?」というものでした。完全に機能するデジタルツイン プロジェクトは、通常多くのステークホルダーからのインプットを必要としますが、小さなチームであれ、自分自身であれ、その方向へ進むためにできる手順があります。

ここでは、独自のデジタルツインを開発するために必要なすべてのステップについて概要から説明し、プロトタイプを作成するために今すぐ実行できる、具体的な手順を紹介します。

目的を決める

最初のステップはデジタルツイン プロジェクトの目的を設定することです。デジタルツインで達成しようとしていることは何ですか?交通や移動パターンの分析、気象パターンが資源に与える影響、機械や人間が行うプロセスの効率性に関する研究など、目的は様々でしょう。最終的なゴールが明確でない場合でも、初期の取り組みの大まかな方向性は決めておくべきでしょう。

目的が決まれば、おのずとプロジェクトの範囲も決まります。プロジェクトを始めたばかりの時は最初に重点的に取り組む範囲として、プロジェクト全体の小さな部分やセクションを選択します。スキルを習得するに伴い、より大きな範囲へ広げていきます。

デジタルツインの用途としては以下が挙げられます:
  • ファシリティマネージメント
  • 都市計画
  • 自動運転車のテスト

3D モデルの作成、または取得

すべてのデジタルツインには3Dモデル(デジタルツイン用語でレプリカと呼ばれることもあります)が必要です。すでに建築ビジュアライゼーションに取り組んでいる場合は、対象になっている実在の構造物の3Dモデルもすでにあるか、作成、または入手する手段をお持ちのはずですので、 この分野にはすぐに取り掛かることができるはずです。

すでにモデルがある場合は、デジタルツインの効率性を高めるために不要なジオメトリを取り除きます。例えば、建物の屋外駐車場の交通パターンを評価する場合は、建物内部を確認する必要はありません。視覚的な必要性次第では、法線マップをバンプマップに置き換えたり、まとめて削除したりするなどして、“負荷の高い”テクスチャリングを高速なソリューションに置き換えることもできるでしょう。

初めてプロセスに取り組む時は、見た目の完璧さにこだわる必要はありません。パイプラインの後半で近道が見つかることもあるからです。たとえば、Unreal Engine にはリアルタイム再生に特化した強固なフォリッジシステムが搭載されています。

初めてのデジタルツインモデルは、ほんの数個のテクスチャが付いたボックスと、ローポリの車、簡単なテクスチャカードで表現された人物で作成できます。パーツを動かしたり、データ表示の仕組みを学んだら、それぞれのパーツをより詳細なバージョンに置き換えることができます。こうして作業していくことで、新しいタイプの置き換えジオメトリをテストして、リアルタイム再生にどのように影響するか確認することができます。
Image courtesy of Lunas Inc.

データセットを特定する

ビデオシリーズ The Pulse において、デジタルツインの専門家である Microsoft の Salla Eckhardt 氏は、デジタルツインのためのライブデータを見つけることは往々にして困難であることを指摘しています。あなたの街にはどこかにあるデータベースへデータを供給するセンサーがすでにあるかもしれません。しかし、必要なデータがすべて単一の、アクセスしやすいラインで流れてくるとは考えにくいでしょう。
ライブデータを探し始めるのは早いに越したことはありません。データは様々な形式で供給されるため、利用可能なデータとその取得方法をよく理解しておきましょう。最も一般的な方法は、RESTful APIを介して、JSON または XML 形式でデータを取得することです。

もしもライブデータが見つからない場合は、あなたの市町村が収集しオンラインで公開しているデータを検索してみましょう。たとえば、犯罪統計や公衆衛生の回収ルートなどです。この種のデータはたいてい CSV や XLS 形式で入手可能なため、テストプロジェクトに簡単に取り込むことができます。

Unreal Engine でデジタルツインを作成するための機能

デジタルツインを作成するには、Unreal Engineのいくつかの主要機能を使用する必要があります。
  • 3Dモデルのインポート: Datasmith の機能スイートには、すべての主要な CAD パッケージからのインポート プロセスを合理化するツールが含まれています。Datasmith の使用方法は、Unreal オンラインラーニングポータルで無料で提供されている Datasmith をはじめようコースで学ぶことができます。
  • ブループリント ビジュアル スクリプティング: Unreal Engine のノードベースのスクリプト言語は、通常プログラミングを通してしか得られない機能を簡単にまとめることができます。データをブループリント スクリプトに取り込み、それを使って3Dモデルを駆動する方法を知る必要があります。まず、簡単なスプレッドシートの簡単なデータセットで試してみましょう。スプレッドシートに基づいて新しいトランスフォーム値を設定し、いくつかオブジェクトを動かすことからはじめ、ライトをオン/オフにしたり、アニメーションの開始/停止などより高度なアクションへ移行します。ブループリントシステムの使用方法を学ぶには、 ブループリントの基礎概念コースをご確認ください。
  • UI 作成: Unreal Engineの使い方を知っているかどうかに関わりなく、すべてのステークホルダーがデジタルツインとやりとりできるようにするために、ユーザーインターフェースが必要になります。ユーザーインターフェースにはシーンの特定の部分にズームインするためのさまざまなコントロールや、ライブ データをテキストや数字として画面上部に表示するためのコントロールが考えられます。 ユーザーインターフェースの作成方法については、初めての UMGをご覧ください。このコースでは、Unreal Motion Graphics (UMG) の UI デザイナーを使用して UI を作成する方法を紹介しています。
  • API プラグイン: ライブデータへのAPI接続を有効にするには、Unrea l Engineプラグインが必要です。適切なプラグインを見つけるには、 Unreal Engine マーケットプレイスで優れたデータ接続ツールを検索してみましょう。MongoDB、Firebase、SQL の各プラグインは、デジタル ツイン ソリューションを念頭に置いて作成されています。

作成開始

これでプロトタイプを作成する準備が整いました。Datsmithを使用してモデルをUnreal Engineにインポートし、データに反応するようにブループリント スクリプトをセットアップします。2~3のオプションを備えた簡単なユーザーインターフェースを作成します。同僚に見せてフィードバックをもらい、レビューの準備に向けて作業を続けます。

デジタル ツインの構築方法をより深く理解するには、Autodesk University のプレゼンテーション My First Digital Twin をご覧ください。このビデオでは、さらに詳しく背景を説明するとともに、マーケットプレイスのプラグイン VaRest を使って UE を 外部 API に接続し、あらゆる都市の気象条件を再現する基本的なデジタルツインを作成するための正確な手順を紹介しています。このビデオに登場するデジタルツインは、ライブの気象データを読み込み、太陽の位置、雲量、降水量などを設定します。テストプロジェクトに必要なすべてのツールは、同じページから入手できます。「Download」タブにはこれらのリソースを入手するための説明がありますので、必ずチェックしてください。

デジタルツインのクリエイター

多くの組織が Unreal Engine を使用してリアルタイムデータとリアルタイム レンダリングを組み合わせ、クライアント向けにインタラクティブなデジタルツインを作成しています。
初めてのデジタルツインを作成することは刺激的なプロセスになるでしょう。私たちはこの成長分野で皆さんがどんなことをしているのか常に関心を持っています。以下からご連絡いただき、あなたのデジタルツインの旅について私たちに教えてください。

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