UE5 製アニメーション「Max & the Midknights」。

スポットライト

2026年4月1日

子ども向けアニメーションの新潮流を支える Unreal Engine がもたらすスピードとコスト効率

BellyFant

Chromosphere

Lumen

Max & the Midknights

Niagara

Nickelodeon

OddBot

Silly Crocodile

Spice Frontier

Steamroller Animation

Yuki 7

いっしょにあそぼう!くまのプーさん

アニメーション

映画&テレビ

子ども向けアニメーション分野が盛り上がっています。新しいコンテンツに対する需要は増加を続けており、Netflix などのプラットフォームはオリジナル プログラムに多額の投資をしています。 

子ども向けプログラムが続々とストリーミング サービスに移行している現在、既存プレイヤーのいる分野でも、インディー スタジオが参入して成功するチャンスが高まっています。 

時を同じくして、Unreal Engine は短期間で子ども向けアニメーションの人気ツールになりつつあります。1 つの柔軟なレンダリング パイプラインで高速なイテレーションと短期間のターンアラウンドを実現し、広範なアニメーション スタイルに対応して、大規模スタジオと小規模スタジオの両方で役立っています。

迅速なイテレーションとプロジェクト遂行


アニメーターにとって、ゲーム エンジンを使う大きなメリットはインタラクティブ性にあります。臨機応変にマテリアルとライトを調整して、その結果をすぐに確認できるからです。

変更を加えたらレンダリングを何時間も待たなければならなかった、従来のアニメーション プロセスとは大きく異なります。
 
OddBot のチームは、Playdate with Winnie the Pooh 制作のために Unreal Engine を導入して、このメリットに気付きました。
 
「ビューポートを見て、こう言います。『これをちょっと調整する?リアルタイムでリム ライトを調整しながら、どうなるか見てみない?』これが非常に驚きを受けた瞬間でした。ほとんど何でもできるのです」と OddBot の副エグゼクティブ プロデューサー兼クリエイティブ ディレクターの Elise Fachon 氏は述べます。

Unreal Engine に移行したことで、チーム メンバー全員が、レイアウト段階という早期にエピソード全体を確認できるようになり、各ショットを作成する際にさまざまな選択肢を用意して検討できるようになりました。
UE5 製アニメーション「Playdate with Winnie the Pooh」
Courtesy of OddBot Inc. and Disney Junior
Chromosphere が制作した YouTube のアクション アドベンチャー短編連続アニメーション シリーズ Yuki 7 で、大幅な時間節約につながった Unreal Engine の強みの 1 つとして、エフェクトへの Niagara 機能の使用があります。
 
「エピソード 3 では、ボートの航跡などのためのエフェクト システムを作成できました。このシステムは、ボートが登場するすべてのショットで自動的にアクティブ化します。波しぶきをいくつか作るだけでよく、あとは水しぶきが必要なショットでそれを複製して配置しました」(CEO 兼クリエイティブ ディレクター Kevin Dar 氏)
 
各ショットのエフェクトすべてを Flash を使って手作業でアニメートしていた Yuki のエピソード 1 と 2 のプロセスと比較すると、Dart 氏が述べたように、Unreal Engine の自動化システムによって圧倒的に時間が節約されています。

Chromosphere が Yuki 7 の公開までの時間を大幅に短縮した方法の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
Yuki 7 は Chromosphere Production です

あらゆるルック、あらゆるスタイル


子ども向けアニメーション最大の魅力の 1 つは、その多彩なスタイルにあります。
 
「ビング」のような 3D ビジュアルから、Piripenguins のような 2D ビジュアルまで、子ども向け TV はビジュアル手法とアート面の選択肢の万華鏡です。

Yuki 7 はカラフルなキャラクター、豊かな質感の 3D 環境、1960 ~ 1970 年代のスパイ映画のスタイルで作られていますが、Steamroller Animation 制作の Spice Frontier はまったく違うビジュアルです。

この作品は 80 年代のアニメーション番組の 2D ビジュアルから大きく影響をうけており、高度にセルシェーディングされたグラフィックのキャラクターと絵画的な背景を組み合わせたレトロなスタイルを模倣しています。どちらのビジュアルも Unreal Engine の同じレンダリング パイプラインを使用して作られています。

Steamroller Animation は、より迅速で、協調的かつ反復的なリアルタイム ワークフローでアニメーションを制作できるという見通しから UE に魅力を感じました。しかし、必要な 2D ビジュアルを 3D エンジンで実現できるのか疑問を感じていました。
UE5 製アニメーション「Spice Frontier」。
Courtesy of Steamroller Animation
それを確かめるために、チームは次のような実験を考案しました。チームが従来のパイプラインを使用して、目的の 2D ビジュアルをデモするショットを 1 つ作成します。次に、少数のメンバーが Unreal Engine でそのショットの完全な再現に取り組み、3D 環境で目的の 2D ビジュアルを実現できるかどうかをテストします。
 
どれが従来のパイプラインのショットで、どれが Unreal Engine のショットか区別がつかなければ、成功となります。3 か月後、Unreal Engine で作業を進めていたチームが作成したショットとともに戻ってきました。

Steamroller Animation の最高クリエイティブ責任者 Jalil Sadool 氏は次のように述べています。「Unreal Engine のチームが戻ってきたとき、どちらのショットをどちらで制作したか正直なところ見分けがつきませんでした。本当に素晴らしい結果でした」

Steamroller Animation が 80 年代のカートゥーンに着想を得た Spice Frontier の 2D ビジュアルを実現した方法について詳しくは こちらの記事をご覧ください。
UE5 製アニメーション「Spice Frontier」の青色のエイリアン キャラクター。
Courtesy of Steamroller Animation

アニメーション制作のコストを削減


時は金なり、と誰もが理解しています。プロジェクトのターンアラウンドが速くなればなるほど、1 年間にできる仕事は増えます。

一方で、透明性がスタジオの最終的な収益に与える影響はあまり知られていません。

しかし、Nickelodeon が壮大な CG アニメーション コメディ アドベンチャー Max & the Midknights でそれを明らかにしました。

このプロジェクトでは従来のアニメーション プロセスを覆し、絵コンテを後回しにして、最初に CG ワールド全体を構築し、その後、そのワールドの中でバーチャル カメラを使って実写制作のように「さまざまなカットを撮影」しました。

ディレクターはセットを見て回り、シーンのブロッキングを行い、複数の角度から撮影ができました。アニメーションでは通常、時間やコストがかかりすぎてできない作業です。

フィルムをカットとして仮編集した後、すでに決まった構図の上にストーリーボード アーティストがキャラクターの演技を追加しました。
「Max & the Midknights」で Max がゾンビに勇敢に立ち向かう。
Courtesy of Nickelodeon Animation Studio
このようにすることで、プロセスがさらに効率的になりました。画として成立するとわかったショットにだけ絵コンテを描いたのです。

副制作総指揮者で副エグゼクティブ プロデューサーの David Skelly 氏は、次のように述べます。「絵コンテ作りの観点でこのやり方が優れている理由は、効率が非常に良いからです。事実上、無駄がありません。演技の絵コンテに着手する前に使用するショットをすべて特定しているからです」

この透明性によって、アニメーション制作が合理的でコスト効率良く行えるようになりました。また、ショットを決定する前に、あらゆるクリエイティブの可能性を検討できるようになりました。 
Nickelodeon が映画的な、ストップモーションに着想を得た世界すべてを Unreal Engine で作り、今までとは異なる TV アニメーションを制作した方法の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
「Max & the Midknights」のゾンビの大群。
Courtesy of Nickelodeon Animation Studio

品質の維持


最終結果の納品にあたって、速度のために品質を犠牲にしようと考えるアニメーション チームはいません。Unreal Engine を使うと、イテレーションにかかる時間を削減しつつ、最終ピクセルの品質を維持できます。 

制作時間は、リアルタイムでショットを確認し、早い段階で変更を加えることで短くなります。それと同時に、最終に近いアセットを使うことで、下流でのやり直しが最小限になります。

YouTube で公開されている BellyFant という短編アニメーション シリーズはその好例です。

番組のクリエイターである Pete Dodd 氏は次のように説明します。「Unreal Engine を使うことで、他の方法では到底不可能なスケジュールで、高い品質を実現できるようになりました。Unreal Engine はインディーの制作スタイルに最適です」

Lumen (UE5 のダイナミック グローバル イルミネーションと反射のシステム) のようなシステムに コントロール リグによるハイエンドのリギングとプロシージャル制御、シーケンサーによる非線形編集およびショットベースのワークフロー、シネマティック カメラを組み合わせることで、インディー チームが大規模スタジオにも匹敵する技術力を獲得できます。
UE5 製アニメーション「Bellyfant」。
Courtesy of Mummysboy Limited
これは OddBot に似た話です。

「いっしょにあそぼう!くまのプーさん」の最初の 2 シーズンは従来の CG 手法で制作しましたが、チームは第 3 シーズンを Unreal Engine で制作することにしました。

「作品にはこれらのフワフワしたキャラクターが登場します。彼らをとても柔らかく、魅力的に表現するのに加え、すべてのキャラクターを異なる質感にする必要がありました」(Fachon 氏)

チームでは、シーズン 1、2 で描かれたさまざまなキャラクター スタイルを実現すべく、Unreal Engine で各種の毛皮、容貌、シミュレーションすべてを再現する作業に着手しました。

これらは、Unreal Engine の強力なグルーム システム (髪と毛皮を作成するためのストランド ベースのレンダリング/シミュレーション テクノロジー) によって実現できました。このシステムではリアルタイム シミュレーションが可能で、物理的に正確な動き、ライティング、シャドウイングで数十万の個別の髪の束をレンダリングできます。

このシステムによって、これまで使っていた従来のアニメーション ワークフローで作成したのと同じ、触り心地の良いビロードのような質感が特徴的なプーさんと仲間たちを瞬く間に実現することができました。 

Oddbot がリアルタイム ワークフローに賭けて報われた経緯についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
「Playdate with Winnie the Pooh」で一緒にベッドに入っているプーさんとティガー。
Courtesy of OddBot Inc. and Disney Junior

大小のスタジオ


世界中の中小規模のチームは、不利な状況にありながらも Unreal Engine などのツールを採用し、大きな成果を成し遂げています。

コア技術をゼロから作る必要性をなくす、実際の制作に使える強力なツールにアクセスできることで、小規模なチーム (1 人きりで開発する場合でさえも) が大規模なスタジオに比肩するハイエンドなビジュアル、強力なパフォーマンス、独特のアート スタイルを生み出すことができます。
 
BellyFant を制作したのはたった 4 人のインディー チームです。Unreal Engine を基盤としてアニメーション パイプラインを構築することで、同チームはその実力を超える成果を上げることができました。

「これほど簡単でインタラクティブに操作できることに驚きました」と Unreal Engine アーティストの Rebecca Melander 氏は言います。
「『これならば、最初から最後まで 1 人でできる』と思いました。こうして、チームで取り組むのではなく、私 1 人でショット制作を担当することになったのです。基本的に 1 人で作業しているのに 1 日に 8 ~ 10 ショットを制作できるというのは、本当に驚くべきことです」

BellyFant 制作チームが Unreal Engine を活用してそれぞれの能力を大幅に向上させた方法については、こちらの記事をご覧ください。
UE5 製アニメーション「Bellyfant」で Bellyfant がブランコに乗っている。
Courtesy of Mummysboy Limited
YouTube で人気の Silly Crocodile も、Cory Williams 氏が単独で脚本、声優、アニメーションを担当しています。

どのエピソードも制作にかかる期間は数日で、すべての作業を Cory 氏が独力で行えるので、従来型のパイプラインよりも時間、費用ともに大きく抑えられます。

Cory 氏はリアルタイム ワークフローを使ってプロセス全体を制御できるため、プロセスが満足のいくインパクトがあるものになっています。「すべて私の思いどおりにやっています。私の考えた話を、私のやりたいとおりに伝えています」

Cory Williams 氏が Unreal Engine を使って自分の人気 YouTube チャンネル Just For Kids のコンテンツを制作している方法の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
UE5 製アニメーション「Silly Crocodile」。
Courtesy of Cory Williams

子ども向けアニメーションの未来を作る


急速に進化する市場において、Unreal Engine は子ども向けアニメーションの可能性を見直すのに役立っています。 

インディー チームが大規模スタジオと競うためのツールの提供から、確立されたネットワークでのまったく新しい制作手法の実現まで、リアルタイム ワークフローはイテレーションの迅速化、コスト低減、妥協のない品質を可能にします。 

スタイライズされた 2D ビジュアル、豊かな質感の 3D ワールド、映画的なストーリーテリングのいずれを制作する場合にも、いくつものスタジオの事例から、Unreal Engine の柔軟なパイプライン 1 つですべての対応ができることがわかります。

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印象に残るキャラクターを作成しましょう。ミリ秒単位でフレームをレンダリングします。しかも、これを夢に描いたビジュアル スタイルで実現します。Unreal Engine を使用すれば、制限事項があるとすれば、あなたの想像力だけです。
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