長編映画クオリティの TV 番組
Max & the Midknights は、長編映画に見られる三幕構成を取り入れ、主人公 Max の旅を 20 話で描いています。
Nickelodeon の副制作総指揮者で副エグゼクティブ プロデューサーの Sharon Flynn 氏は次のように説明します。「Max & the Midknights は壮大な物語です。脚本とストーリー作りの段階から、TV の枠を超えたものを目指していました。長編映画のような作品にしたかったのです」
副制作総指揮者で副エグゼクティブ プロデューサーの David Skelly 氏は、広大さ、生活感、相互の繋がりが感じられる世界を作り上げたいと考えていました。Skelly 氏は、独立した小さな舞台セットを複数用意するのではなく、世界全体をつなげて 1 つにし、セットすべてを実際の空間で連携させたいと夢見ました。
「まず屋内のテーブルを映し、窓から外に出て街路を抜け、中世の街の正門をくぐり、さらに遠くの丘の上までをすべてワンカットで撮影したいと思いました。そして、実際にやり遂げることができたのです」(Skelly 氏)
セットは、リアルで、陰影があり、物語を感じさせるようにデザインしました。どのショットでも登場するものはすべて、架空の歴史を持っています。「映画製作の観点から、視聴者が冒険に乗り出したとき、そこにリアルな世界を感じてほしかったのです」と Skelly 氏は説明します。
生き生きとした、息遣いの感じられる世界観は、TV アニメーションではあまり一般的ではありません。小道具、家、衣装のすべてに目的と歴史が必要でした。「これは単なる中世の家ではありません。Kevyn の家です。つまり、そこには人が住んでいるのです」
従来のアニメーション プロセスを覆す
従来のアニメーションは、まず絵コンテを作り、その後にレイアウトを行います。「私たちは通常の CG アニメーション制作パイプラインに反して、絵コンテからは始めませんでした」と Skelly 氏は述べます。
代わりに、Max & the Midknights チームはまず CG ワールド全体を (最終版の脚本に基づいて) 構築しました。その後、そのワールドの中でバーチャル カメラを使い、実写制作のようにさまざまなカットを撮影しました。
ディレクターはセットを見て回り、シーンのブロッキングを行い、複数の角度から撮影ができました。通常は時間やコストがかかりすぎてできない作業です。
フィルムをカットとして仮編集した後、すでに決まった構図の上にストーリーボード アーティストがキャラクターの演技を追加しました。
このようにすることで、プロセスがさらに効率的になりました。画として成立するとわかったショットにだけ絵コンテを描いたのです。
「絵コンテ作りの観点でこのやり方が優れている理由は、効率が良いからです。ほとんど無駄がありません。アングルをどうするか、キャラクターの立ち位置をどうするかがわかっているからです」(Skelly 氏)
この番組のビジュアル スタイルも、制作方法と同様に革新的なものでした。同チームは通常の 3D アニメーション風の見た目からの差別化を目指し、ストップモーション アニメーションから着想を得ました。
その結果として行ったのが、「2 コマ打ち」(次のポーズに移る前に 2 フレームの間同じポーズを保つ) という手法の採用や、工作用粘土やラテックス発泡ゴムで作ったかのような手作り風の世界デザイン、オーバーサイズのテクスチャによるストップモーション セットのミニチュア モデルらしさの演出でした。
Max 自身が 10 インチのストップモーション人形としてデザインされており、小道具のサイズもすべて、手作りできる範囲の小ささになっています。
同チームはさらに、ハンドクラフト風の VFX を作り出す、創造力あふれる方法も編み出しました。たとえば、煙は Houdini で綿のようなストリング ジオメトリで模倣しました。火は差し替えパーツ ジオメトリを使用して炎の形状を複数モデリングし、切り替えを繰り返して表現しました。水はレイヤー化テクスチャ、法線マップを適用したジオメトリ、スタイライズした泡のシミュレーションを組み合わせて再現しました。
実写手法とアニメーションの融合
本当に人が暮らしているかのような世界を作り上げるため、完全モジュール式の環境を制作しました。ゲーム アセットのように壁、屋根、小道具、家を切り替えてインスタンス化し、広大で多様性に富む街を作ることができます。
その結果、Skelly 氏が求めていた大規模なワールドができました。しかし、その規模の環境はレンダリング速度に課題がありました。
この課題は、Unreal Engine でワールド全体を読み込んだ後、その日の撮影に必要のないセクション (地区内の特定のセクションや、家の一部のエリア) をオフにすることで対処できました。
このモジュール式の考え方は、Max の冒険の旅の途中、彼女と仲間たちに襲い掛かるゾンビにも適用されました。ゾンビの身体パーツを頭、胴体、腕、足に分けてリグに読み込むことで、主人公たちが倒すべき不死身のキャラクターを無限の異なる組み合わせで作り出すことができました。
Max & the Midknights の CG スーパーバイザー Sica von Medicus 氏は次のように説明します。「私たちが FBX リグ用に作ったサイクル アニメーションはランダム化されています。それをシーケンサー内で調整して、唸り声を上げるゾンビの画面いっぱいに広がるリアルな大群を構築できました。こうして、子どもを追いかけるゾンビの群れが本当に存在するかのような感覚を与えました」
Unreal Engine で今までと違うアニメーション パイプラインを構築
Max & the Midknights がユニークな理由は、ストーリーとビジュアル表現だけではありません。新たなアニメーション パイプラインを発明したこともそうです。
「すべてのエピソードを同じ Unreal プロジェクトに入れました」と Perry 氏は言います。「シーズン全体を 1 つの Unreal プロジェクトに含めて、最大 10 人のアーティストが同時に作業しました。この方法はとてもうまくいきました」
「作業に加わって、エピソード 2 を開いて、ショットを見て、修正して、エピソード 20 に移って、ショットを選んで、ということができました。この種の柔軟性は、未だかつて目にしたことがありませんでした」
チームは実写の手法をリアルタイム ツールと融合させて、TV アニメーションでは滅多に見られない、立体的かつ映画的な世界を作り上げました。
「Unreal Engine なしでは Max & the Midknights は作れませんでした」と Skelly 氏は言います。「少なくとも、この形では無理でした。これは私が携わった中で、最も特別で、やりがいがあって、楽しいプロジェクトです。このチームをとても誇りに思います。Unreal Engine のおかげで、望んだ形で番組を作ることができました」