Unreal Engine 5 のモデリング モードの全容

Russell Paul

Unreal のモデリング モードの全容

UE5 において Unreal Engine は大きな進化を遂げました。ユーザー エクスペリエンスは刷新され、 NaniteLumen をはじめとする新しいテクノロジーを装備しています。Nanite は、 Quixel RealityCapture のリアルなデータを活用することで、驚くほど優れた新たなビジュアル エクスペリエンスを生み出すことができます。Lumen は、よりリアルなシーンを実現する素晴らしいライティング、シャドウ、そして繊細なイルミネーションを提供します。Unreal Engine 4.24 で初めて導入されたこのモデリング ツールは、継続的に機能が追加され、さらに充実したツールになっています。UE5 で完全に再設計されたモデリング モードは、Nanite、Lumen などのテクノロジーがもたらす次世代のインタラクティブ エクスペリエンスの創出に必要なツールの作成において新しい一歩を踏み出したツールとなっています。

モデリング モードは、現在も継続的に拡充されているツール セットです。このツール セットが重点を置いているのは、より効率的なワークフローを作成し、あらゆる業界のアーティストが想像できる限りにおいて最も魅力的なインタラクティブ エクスペリエンスを創出できるようにすることです。こういった魅力的なインタラクティブ エクスペリエンスを創出する事例として挙げられるのは、 古代の谷 (Valley of the Ancient) プロジェクトで表現されているような、岩や丘陵を含む複雑な環境を開発するケースや、新しい自動車のコンフィギュレーターを作成するケースなどです。こういった要素をどのようにすればうまく組み込めるのか、とほとんどのプロジェクトでは多くの疑問に直面します。壊れた法線を修正したり、穴を埋めたり、マテリアルを再割り当てしたりといったよくある作業が、常に発生します。レベルをブロックして、岩場のテレインをスカルプティングするにはどうすればよいでしょうか?また、インポートした CAD モデルをミラーリングまたはクリーンアップするにはどうすればよいでしょうか?こういったワークフローでは、通常、Unreal Engine から DCC に移動して調整を行い、Unreal Engine にインポートし直す必要があります。多くのアーティストがこのプロセスを何度となく繰り返しています。UE5 のモデリング ツールを使用すれば、エディタ内で直接変更できるため、アプリケーションを何度も切り替える必要がありません。

複雑なアセットのモデリングを単純な手順で行えることはめったにありません。ほとんどの場合、モデリング プロセスは、操作や手順が複雑に絡み合っているからです。さらに、技術的な標準、アート ディレクションを順守する必要があるほか、時間的な制約もあります。Unreal Engine のモデリング ツールは、あらゆる業界のすべてのアーティストに対応する、現在も進化しているツール セットです。

モデリング モードは、アーティストにとってきわめて役立つツールやワークフローを備えています。こういったツールやワークフローを使用することで、アーティストは Quixel や RealityCapture のワークフローで得られる高密度のメッシュを活用することができます。これらのツールは複雑なメッシュでの作業向けのツールであり、ボリューメトリックなツール、従来のモデリングツールと共に動作します。

使用を開始する

「古代の谷 (Valley of the Ancient)」プロジェクトを実際に使用してみた方は、モード パネルに次の新しいアイコンが追加されていることに気付いたと思います。 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG ModelingModeIcon
新しいプロジェクトを開始する場合は、モデリング モードのプラグインを有効にする必要がある場合があります。[Plugins (プラグイン)] ウィンドウで、Modeling Tools Editor Mode プラグインを有効にして、エディタを再起動します。
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image22Modeling Mode プラグインが有効になっていることを確認したら、見
慣れた基本的な形状を含むこのアイコンが表示され、使用可能になっていることがわかります。
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image51
このアイコンを選択すると、標準のレイアウトに次の要素が追加されます。
UE5 Modeling Mode TECH BLOG ModelingModePanels
1.モデリング ツール パレット:ツール パレットには、新しいモデリング機能がすべて含まれています。複数のセクションを折りたたんだり展開したりすることで、ツールの表示をカスタマイズできます。

2.ツールの詳細パネル:ツールの詳細パネルには、ツール固有の機能がすべて含まれています。また、メッシュのコンポーネントを操作する際の各種選択オプションも含まれています。たとえば、TriEdit ツールでは、三角ポリゴン、頂点、エッジを選択できます。

3.Quick Settings (クイック設定):[Quick Settings] は、新しいアセットの格納場所へのアクセスと、アセット固有の LOD を編集するための直接パスを提供します。

4.Accept/Cancel (承諾/キャンセル):承諾/キャンセル ツールは、モデリング ツールを有効にすると表示されます。[Accept (承諾)] は、選択されたメッシュに対するすべてのモデリング操作をコミットします。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG AcceptCancel

また、プラグインの環境設定には、ワークフローに合わせて変更できるオプションがあります。[Asset Generation Mode (アセット生成モード)]、[Asset Generation Location (アセット生成位置)]、[Auto Generated Asset Path (自動生成アセット パス)] は、生成されるアセットの管理方法をモデリング モードに指定します。たとえば、プリミティブ キューブ、またはブールの結果などです。アセットの位置は、詳細パネルの [Quick Settings] でオーバーライドすることもできます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image36

その他のオプションも、共有作業環境でのデータ管理に役立ちます。[Use Per User Autogen Subfolder (ユーザーごとの自動生成サブフォルダを使用)] および [Append Random String to Name (ランダム文字列を名前に追加)] は、新しいアセット同士が競合したり、誤って重要な共有データを上書きされたりすることを防止します。

どの Unreal Engine プロジェクトも、スタティック メッシュ、ボリューム、ライト、カメラ、ブループリント、ウィジェットなど、幅広いタイプのデータを含んでいます。また、アーティストやデベロッパーが、スタジオを越えて、あるいは海を越えて、同一のプロジェクトに参加する場合もあります。そのため、効率的なワークフローを維持するためには、これらのさまざまなタイプの要素が格納されている場所や、こういった要素がプロジェクト内でどのように参照されているかを把握していることが欠かせません。新しい要素を編集または作成する際には、この編成に注意することで、アセットの場所がわからなくなったり、上書きされたりといった問題を回避できます。

https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/Basics/AssetsAndPackages/

主要概念

選択して承諾
Unreal Engine のモデリングの主な特徴として、選択と操作の完了が他のツールの動作とは異なっているというものがあります。操作する要素 (スタティック メッシュまたはボリューム) を選択したら、目的の操作の実行に必要なツールをクリックします。Unreal Engine は選択したオブジェクトに対して使用可能なツールを表示します。のぞみのツールを選択すると、詳細パネルに選択内容とツールのオプションが表示されます。編集が完了したら、その編集をコミットする必要があります。このプロセスは重要です。コミットすることで、staticMeshActor を最適化できるためです。

Unreal Engine は効率的なリアルタイム パフォーマンスを実現するために、常にアセットの参照を見ています。そのために、若干異なる方法でメッシュを操作する必要があります。メッシュのコンポーネント (つまり、頂点、三角ポリゴン、エッジ) にはビューポートから直ちにアクセスすることはできません。まず、ツールを有効にする必要があります。staticMeshActor はコンテンツフォルダに保存された staticMeshAsset を表現するものです。アクタが持つデータは限られていて、それがビューポートで表示可能です。staticMeshActor をモデリングモードで作成、編集、保存する場合は、この関係を理解しておくことが重要です。情報が保存されているのがどこであるか理解するだけではなく、インタラクション操作が保存された static Mesh アセットを直接操作するものであり、このアセットのすべてのインスタンスに影響する、ということに気をつける必要があります。

モデリング ツールを使用しながら、設定を変更したり、結果を確認したりすることができます。ツールでは、コマンドラインの横に役立つヒントやホットキーが表示されます。他のエディタと同様に、変更を StaticMesh アセットにコミットするには、[Accept (承諾)] ボタンをクリックする必要があります。ツールの操作には、新しいマテリアルを割り当てるようなシンプルな操作から、ダイナミック スカルプティング ツールを使用して形状やトポロジを完全に変更するような複雑な操作まで、多岐にわたる操作があります。

フェース、エッジ、頂点などのメッシュ コンポーネントの選択は、アクティブなツールから行うことができます。TriEdit、PolyEdit、TriSelect などのツールには、[Brush (ブラシ)]、[Connected (接続)] といった一般的な選択方法を使用できます。また、角度やボリュームで選択するより高度な選択方法もあります。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image13  UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image45

選択の編集は、各ツールの詳細パネルでも行うことができます。
 
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モデリング モードのトランスフォーム ギズモには、Unreal Engine の標準のギズモにはない追加機能がいくつかあります。モデリング モードのトランスフォーム ギズモはユニバーサル ギズモであるため、単一のギズモで、平行移動、スケール、回転をすべて実行することができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG ComponentGizmo変形ギズモ
PolyGroup (ポリゴングループ)
メッシュには、ライティング モードで表示される要素だけでなく、多くの情報が含まれています。スタティック メッシュには、外観やメッシュの活用方法を定義する多くの属性が含まれています。エディタ内でメッシュの属性を直接変更できる機能は、アーティストにとって非常に役立つ追加機能です。三角ポリゴンをグループ化して、より大きな選択可能な要素にする機能は、多くの 3D パッケージで提供されている一般的な機能です。ポリゴンを管理しやすいエリアにグループ化することで、素早く選択したり、マテリアルを割り当てたりすることができます。シンプルなメッシュでは、ポリゴングループの作成は編成上の大切なステップですが、Nanite スケールのメッシュを操作する場合には、ポリゴングループはきわめて重要なワークフローとなります。 

また、モデリング モードでは、ポリゴングループを独自の方法で使用しています。Unreal のメッシュは三角ポリゴンで構成されています。つまり、レンダリングには最適な形式であるものの、一部のモデリング操作は困難になります。ポリゴングループを活用することで、PolyEdit ツールはクワッドベースのモデリング操作を模倣することができます。これで形状のブロッキングを手早く行うことができます。

標準的なプリミティブ形状にはクワッドごとにポリゴングループを作成するオプションがあります。その結果作成されたメッシュを PolyEdit、LoopInsert、SubDivide などのツールを使用してさらに編集することができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image7シェイプ設定
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG QuadEdit1クワッド選択によるポリグループ
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG QuadEdit2ポリグループのオフセット

どのようなメッシュでも UV のアンラップには時間がかかります。複雑なメッシュを操作している場合には、UV のアンラップはさらに困難になります。一部のメッシュでは、一連のエッジを選択して UV アイランドを定義しようとしても、ほとんどの場合、アンラップすることはできません。GroupPaint ツールは、効率的なペイント プロセスを活用してポリゴングループを定義します。目的のポリゴングループが定義されると、そのグループは UV アイランドと評価されるため、アンラップが行われます。 

PolyEdit と UV に加えて、ポリグループは選択、マテリアルの割り当て、変形、スカルプティングに機能を追加します。
Transform (トランスフォーム)
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Transform (トランスフォーム)ツールは、メッシュの整列、ピボット ポイントの調整、回転のベイク、スケールなどのツールで構成されています。たとえば、ピボット ツールには、中心やワールド基点などの標準的なピボット コントロールがあります。また、トランスフォーム軸と Ctrl キーを併用してスナップすることもできます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Align複数メッシュの整列

xForm ツールには、さまざまな手法を使用して複数のメッシュのトランスフォームを行う追加オプションがあります。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG XFormMultiトランスフォーム ツール

作成

これらのツールやワークフローは、既存の他のモデリング ツールとの整合性がきわめて高く、ポリゴンの描画、形状の押し出し、ポリゴン モデルの直接の操作などの機能が含まれています。このツール セットは、後で説明する優れたワークフローを備えています。
Shapes (形状)
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モデリング モードの使用を開始する最も簡単な方法の 1 つは、プリミティブ形状をいくつかドロップすることです。モデリング モードのプリミティブは、配置モードの形状と比較すると、複数の明らかなメリットがあります。まず確認できるのは、各形状で使用できるあらゆるオプションです。各形状の詳細には、解像度、サイズ、ポリゴングループの構造などのオプションがあります。重要なオプションの 1 つは、インスタンスのオプション instance if possible(可能な場合インスタンス化)です。オンにすると、複数回のクリックで同じアセットのインスタンスが作成されますが、オフにすると、クリックするたびに新しいアセットが作成されます。これは、たとえば、複数の球体を配置してから、それぞれを個別にスカルプティングして、テレインに複数の岩を作成する場合などに役立ちます。また、初期配置メカニズムやピボット ポイントを選択することもできます。
Create(作成)
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[Create (作成)] タブには、通常新しいメッシュ オブジェクトを作成するツールがいくつかあります。新しいポリゴンを描画したり、新しい形状を回転させたりする機能は、作成ツールに一般的に含まれている機能です。[Append (追加)] および [Duplicate (複製)] ツールには、メッシュを複製したり、複数のメッシュを新しいメッシュに結合するための各種オプションがあります。
PolyModel (ポリゴン モデル)
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[PolyModel (ポリゴン モデル)] メニューには、前述のポリゴングループ属性を活用する複数のツールがあります。PolyEdit ツールは強力なツールで、小さなパッケージで多くのモデリング ツールで公開されています。PolyEdit と「クワッド」に編成されたポリゴングループを併用することで、従来のボックス モデリングの手法と非常によく似たワークフローが実現します。EdgeInsert と LoopInsert は、ポリグループが適切に設定されている場合、従来のボックス モデリングのワークフローで非常に役立ちます。また、どちらのツールにも、カットを実行する代わりにメッシュをリトポロジ処理を行うオプションがあり、さらにディテールを挿入しながら、メッシュをクリーンに保つことができます。もちろん、メッシュは単純な 2 つの三角ポリゴン グループだけではなく、ポリゴングループを含む、より複雑なメッシュにも活用できます。さらに複雑なメッシュでもポリゴングループを介してポリゴン モデルを適用できます。
UE5 Modeling Mode TECH BLOG PolyEditAEdgeloop 選択を使ったメッシュ編集
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG LoopInsert
LoopInsert と Retopologize
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG GroupEdgeInsertGroupEdgeInsert

Insert と Planecut4 面のポリゴングループを維持すると、Edge Loop Insertion (エッジ ループ挿入) などのツールを使用したり、Catmull-Clark 細分割を使用してジオメトリを「細分化」することができます。滑らかなサーフェスを作成して、さらにスカルプティングすることができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG BaseTopologyポリグループの境界
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG CatmullClarkCatmull-Clark で細分化されたメッシュ

細分化ツールには、さまざまな細分化スキームの追加オプションがあります。これらのオプションは、形状を変更することなく解像度を上げたり、高度に構造化されていないポリゴングループを備えるモデルをより効率的に操作できます。

高密度の複雑なメッシュを操作する場合、全体的な形状に制御可能な変更を加えることが困難な場合があります。[Deform (変形)] メニューには、メッシュ全体を操作する追加の変形ツールがありますが、それでも特定のエリアを操作する必要がある場合があります。polyDeform ツールは、ポリゴングループを活用する最適な手段です。既存のポリゴングループの境界がハイライトされるため、エッジコーナー、またはポリゴングループ全体を選択し、その選択範囲で形状を調整することができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG PolyGroupdeformポリグループ トランスフォーム
TriModel (三角ポリゴン モデル)
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Unreal Engine では、すべてのメッシュが三角ポリゴンで構成されています。これらのメッシュを操作する主な方法は、TriModel (三角ポリゴン モデル) メニューを使用することです。TriSelect および TriEdit ツールでは、豊富な編集ツールを提供しています。TriEdit ツールを起動すると、押し出し操作などの追加操作を実行できます。また、分割、折りたたみ、結合を行う三角ポリゴン レベルの重要なツールもあります。これらのモデリング操作により、エディタ内でメッシュに重要な修正を加えることができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG TriSelect三角ポリゴン 選択ツール

TriModel には、[Mirror (ミラー)] や [HoleFill (穴埋め) ] 操作などの一般的なツールも含まれています。[PlaneCut (平面カット)]、[Trim (トリミング)]、[PolyCut (ポリゴン カット)] などのツールを使用したメッシュのカットでは、経路をカットしたり、形状を複数のセクションに分割するワークフローを提供します。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Mirrorミラー ツール

Mesh Operations (メッシュ操作)

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[MeshOps (メッシュ操作)] は、複雑なメッシュを処理する際の幅広い用途で非常に役立ちます。[Simplify (単純化)] と [Remesh (再メッシュ)] は、異なる境界タイプを維持しながら、複雑性を追加または削除するオプションです。[Weld (結合)] は、メッシュ全体を評価し、指定された許容範囲内でエッジを結合します。[Jacket (ジャケット)] および [Merge (マージ)] などのツールは、シーン構造の最適化に役立ちます。[Project (プロジェクト)] を使用すると、シュリンクラップタイプの操作を実行できます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Simplify単純化 ツール

UV ツール

UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image44

UV はメッシュの最重要コンポーネントの 1 つです。UV ツールは、基本的な UV 作業の完成をサポートします。現在は数が少ないものの、今後拡充される予定です。たとえば、[Unwrap (アンラップ)] はカスタム ポリゴングループを活用して、アンラップ用の UV アイランドを定義することができます。また、[SeamEdit (シーム編集)] はメッシュに対して特定のカットを定義できます。また、[Unwrap] では、既存の UV の標準的なコンフォーマル アンラップを活用して、レイアウトをさらに向上させることができます。各ツールは、標準のビューポートで動作するように設計されているため、直接フィードバックを提供できます。たとえば、Transform (トランスフォーム) ツールは、ビューポート内で直接 UV アイランドを調整するギズモを提供します。また、レイアウト ツールは、UV レイアウトの小さなビューポート表示を作成することで、アイランドがどのように構成されているかをすぐに確認することができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG GrpUnwrapポリグループによるアンラップ

Deform (デフォーム)

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[Deform (デフォーム)] も、少し動かすだけのシンプルなメッシュから、詳細なスカルプティングを必要とする複雑な環境要素まで、あらゆるスタイルのメッシュを操作できるきわめて強力なツール セットです。このツールを使用すると、幅広い手法を実行することができます。VSculpt ツールは、一般的な 3D スカルプティング ブラシです。たくさんのブラシ タイプとカスタマイズ機能があります。DSculpt は、スカルプティングを行う際に、メッシュの解像度を動的に上げることで、機能を向上させます。DSculpt は、メッシュ全体を再サンプリングする必要なく、特定のディテールを追加する強力なツールです。

[Smooth (スムージング)] および [Displace (ディスプレイスメント)] ツールは、メッシュ全体に作用します。どちらの操作もウェイト マップをサポートしており、[Displace] では特定のパターンのカスタム テクスチャ マップを作成することもできます。 
Vertex Sculpting (頂点スカルプティング)
[Vertex Sculpting (頂点スカルプティング)] ツールは、標準のブラシ ツールを使用して既存のメッシュをスカルプティングします。3D ブラシには、さまざまなスカルプティング手法のオプションがあり、さらにブラシに独自のアルファを追加する高度なオプションもあります。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG SandSculpting頂点スカルプティング
Dynamic Sculpting (ダイナミック スカルプティング)
[Dynamic Sculpting (ダイナミック スカルプティング)] では、スカルプティングを行いながら、メッシュのトポロジを編集することで、スカルプティング ツールを拡張します。これは、トポロジを維持する必要のないスカルプティングを行う場合の強力なワークフローとなります。詳細度は、[Remesh (再メッシュ)] オプションで制御できます。再メッシュ レベルはメッシュの元のスケールに基づいています。相対的な三角ポリゴンのサイズを調整することで、きわめて繊細なスカルプティングを行うことができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG DSculptRemeshダイナミック スカルプティングによる解像度アップ
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG DSculpt2ダイナミック スカルプティングによる境界ディテール
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG Lattice BaseBラティス デフォーマー

メッシュ属性

UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image35

法線の調整、接線の再計算、UV 境界の再確認などはすべて、属性ツールで実行することができます。属性エディタは、既存のメッシュの属性を表示するだけでなく、新しい属性を追加するためのインターフェースです。新しい UV セット、ポリゴン グループ レイヤー、ウェイト マップなどを追加することができます。このようなすべてのプロダクション要件のために複数のパッケージを行き来すると結果として膨大な時間がかかってしまうことになるので、モデリング モードからそうした変更が直接行えることにより単純なタスクにおけるデータ交換のコストを削減できます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG InspectorBordersインスペクタによる境界エッジのハイライト

マテリアル ID は単純な属性ではありますが、他のパッケージからメッシュをインポートする際に雑然としてしまうことがあります。マテリアル エディタを使用すると、マテリアル ID を追加または削除することができます。[Selection (選択)] タブを開くと、必要な三角ポリゴンを選択するための複数のオプションが表示されます。目的の選択を行ったら、その選択をどのマテリアル スロットに割り当てるかを定義します。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG MaterialIDマテリアル ID の編集

[BakeTexture (テクスチャのベイク)] ツールも開発で役立つツールで、法線、AO、曲率などのテクスチャ マップをエディタから直接ベイクできます。他のモデリング ツールと連携して使用することで、ジオメトリや LOD をエディタで直接開発することができます。

Volumes (ボリューム)

UE5 Modeling Mode TECH BLOG Image46

Unreal Engine で各種エクスペリエンスを作成するには、高度なマテリアルを使用したテクスチャリングした最終的なジオメトリだけでは不十分です。ワールドを作り出すには、仮想空間とのやり取りを実現するその他のタイプのデータが必要です。Unreal Engine には数多くのボリューム タイプがありますが、モデリング モードを使用すると、ボリュームをより直接的に操作できるようになります。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG VolumeConvertメッシュをボリュームに変換

ボリュームの操作は、変換ツールを使用することだけに限定されません。PolyEdit などのモデリング ツールの多くは、ボリュームを直接操作できるため、シーンの要件に正確に適合する特定のボリュームをより簡単にカスタム ビルドすることができます。
 
UE5 Modeling Mode TECH BLOG VolumePolyEditPolyEdit でのボリュームの直接編集

[Mesh to Collision (コリジョンへのメッシュ)] ツールには、選択したメッシュの周囲にコリジョン ボリュームを自動的に作成するオプションがあります。シンプルなボリュームやカプセルから、より複雑な操作まであらゆるオプションをご利用いただけます。 

モデリング ツールを活用したプロセスを指す用語はたくさんあります。アセット開発、モデリング、スカルプティング、キャラクター アートなどと表現する場合もあれば、環境アートや dataprep といった言葉で表されることもあります。 

これらすべての用語に対応するツールやワークフローの数は膨大です。Unreal Engine のモデリング ツールは、あらゆる業界や職種のアーティストをサポートするために急速に成長、発展を遂げているリソースで、より効率的なワークフローを実現し、最終的にはアーティストが創出するエクスペリエンスを向上させることができます。 

ツールの開発が進むに伴い、「Valley of the Ancient (古代の谷)」や Medieval Village (中世の村) などのプロジェクトに携わった社内のアーティストからのサポートやフィードバックを得ることができました。また、さまざまな業界や分野から寄せられたフィードバックは、Epic Games の大変貴重な情報源となっています。

この UE5 のモデリング ツールの全体像をまとめた記事で、Epic Games が自身を持って提供する Unreal Engine の優れた追加機能に関心を寄せていただければ幸いです。早速、このモデリング ツールを開いて、使用してみてください。一つのブログ記事よりも、アーティストのコミュニティから多くのことを学ぶことができるでしょう。このドキュメントで、UE5 のモデリング ツールを皆さんにご紹介できたので、今度は、皆さんがこのモデリング ツールを使用してどのような素晴らしい作品を作成されるのか、機能についてどのような議論を行うのかを見ることを楽しみにしています。

フォーラム(英語)でもフィードバックをお待ちしています: https://forums.unrealengine.com/tags/c/development-discussion/asset-creation/151/unreal-engine

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