Image courtesy of Zaha Hadid Architects

Zaha Hadid Architects のリアルタイム コンフィギュレーターでプロパティをパーソナライズ

2021年7月26日
過去100年間にわたり、大量生産が消費者主義の特徴だったとすれば、今日の市場における大きな変化は、大量のパーソナライゼーションへの移行です。つまり、顧客はカスタマイズを求めており、企業はそれに応えているのです

多くの企業にとって、パーソナライズされたオプションを提供することは、製品ラインを拡張し、売上増加に役立ちます。最もよく知られている例は自動車業界です。自動車メーカーは購入者が購入前にカスタマイズできるように、ディーラーやウェブベースのコンフィギュレーターを提供しています。

また、自転車、スニーカー、時計、洋服、家具など、あらゆる商品のサプライヤーでも、購入前に自分の好みに商品をカスタマイズできるサービスが提供されています。もし、住宅を購入するときにも同じことができるとしたらどうでしょう?これが、 Zaha Hadid Architects が革新的なコンフィギュレーターを開発するきっかけになった考えです。

世界的に有名な建築事務所は、ホンジュラス沖 40マイルのカリブ海に浮かぶ島の開発において、高度にパーソナライズされた新しい不動産購入方法を新たに開発しました。
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パーソナライズされ、信頼性の高い不動産開発

Beyabu は、ホンジュラスのロアタン島という熱帯の島で行われた不動産開発です。それは、一連のアパートメント、風通しの良いオフィス、共同のアウトドアスペースを備えており、その多くが素晴らしいオーシャンビューを有しています。約5年の開発期間を経て、 Próspera は今年の夏には購入希望者の募集を開始します。その時には、少し変わったことが起こります。

購入希望者は、Unreal Engineで構築されたフォトリアルなコンフィギュレーターを使って区画を選び、家をカスタマイズすることができます。ZHA は、Beyabu のデジタルレプリカを作成しました。このレプリカは、あらかじめ定義されたルールによって管理される「シムピープル」のような環境として機能します。居住者は、このインタラクティブなプラットフォームを使って、住宅所有者の選択に応じて割り当てられる3次元の空間ボリュームを使用した自分だけのユニットの位置とサイズを選択することができます。
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建物は、様々な方法で構成したり、積む重ねたりすることができるモジュラーブロックで構成されています。これらのティンバーフレームには、湾曲したパラパ屋根や、円形のバルコニーが付いた広々としたテラスが付いています。
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購入者は、自分のプロパティに必要な設備などを考慮しながら、環境を探索してさまざまな区画を検討します。バルコニーからの眺めを確認したいですか?CGで制作された環境の中でテラスに出て、夕暮れ時の海の様子を見たり、朝日が当たる位置を確認したりすることができます。
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また、フロアレイアウトや屋根の種類、設備や備品など、設定可能なオプションが標準化されたリストにより、建物を完全にカスタマイズすることができます。その結果、その居住者の影響を受け、ある程度彼らによってデザインされた、完全に構成可能なコミュニティが誕生します。
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次世代技術の融合

ZHA のコンフィギュレーターは、全体を構成するほんの一部に過ぎません。その背後には、購入者のデザイン要求を実現するための製造と生産チェーンが存在します。ステークホルダーには、デベロッパーの Honduras Próspera、構造設計の AKT II、環境とMEP設計の Hilson Moran、そして、木工およびデジタルファブリケーターの The Circular Factory が参加しています。 

3Dの区域からユニット群を選択して設定すると、ファブリケーターが壁や屋根、バルコニーなどのカスタム建築部品のデジタル製造を開始します。
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これらの部品は、トイレの家具や配管、HVACシステムなど、島で手に入る一般的な標準部品と一緒に手作業で組み立てられます。完成した建物は、通常通り購入者に引き渡されます。
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ZAHでは今後、Unreal Engine と製造施設を繋げ、建物のデータを渡して製造できるようにすることを計画しています。Zaha Hadid Architects の シニアアソシエイト兼コンピューテーションとデザイングループの責任者(ZHACODE) である Shajay Bhooshan 氏は、「このプロジェクトで開発されたカスタム データ交換フォーマットを Datasmith に統合するために、Epic および The Circular Factory と話をしています。これにより、Unreal をベースにした、デザインから生産までのエンドツーエンドのソリューションが可能になります」と述べています。
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開発を推進する要因になっているのは持続可能性です。Prósperaは、デジタル技術を採用し、前面に立つコンフィギュレーター技術と、背後にある The Circular Factory のマイクロファクトリー技術の両面で活用することにより、 国連の持続可能な開発目標を達成する道筋をつけています。

その目的は、中小企業を中心とした弾力性のある地域経済の創出、地域のAECおよびその周辺産業のデジタル化とスキルアップの促進、少ない資本支出で大規模な都市建設ができることを示すことにあります。 

リアルタイム技術による不動産開発のリスク軽減

デベロッパーにとって、コンフィギュレーターを提供することは、従来の不動産販売方法と比較していくつかの興味深い利点があります。まず、投資リスクを回避することができます。

リアルタイムのコンフィギュレーターは、非常に細分化された建築、分譲マンション業界において、見たままの状態に近いものを購入者に提供します。「フォトリアリズムと、設計から生産までのエンドツーエンドのソリューションにより、視覚化して提示された製品と、販売され、最終的に購入された製品との間の差異は少なくなります」と Bhooshan 氏は説明します。

コンフィギュレーターは、多額の投資をする人たちにゲーム感覚で直感的な意思決定のプロセスを提供します。これにより、購入者は家の場所やレイアウト、機能に関するそれぞれの意思決定が与える影響をリアルタイムで検討することができます。
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また、コンフィギュレーターを使った不動産販売のメリットを享受できるのは、最終的な購入者だけではありません。プロジェクトに関わるすべての関係者が、購入、設計、投資される製品を写真を見るかのようにリアルに理解することができます。デベロッパーにとっては、大規模な投資を行う前に確実な買い手がいることを意味します。建築家、エンジニア、製造チームにとっては、高度に調整された概要、設計のための性能仕様書、調達すべき信頼性の高い予約注文があることを意味します。

最後に、コンフィギュレーターは、設計と建設に使用された 3D データを、操作可能な デジタルツインに変換/更新することも簡単になります。

Unreal Engine がもたらす違い

Bhooshan 氏は、ZHA がコンフィギュレーターのベースとなるプラットフォームとして Unreal Engine を選択した理由として、いくつかの要因を挙げています。 Datasmith データ インポートや準備ツールキットなどの AEC に特化した多くの機能、フォトリアルなピクセル品質、プラットフォームに左右されないこと、ブラウザベースの Pixel Streaming 機能などです。
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また、ZHAが3Dモデリングに使用している Autodesk Maya、Quixel や Substance などのゲームやメディアソフトウェアのツールチェーンと Unreal Engineとの互換性、Epic のテクニカルサポートやカスタマーサポートについても言及しています。

コンフィギュレーターは、レイトレーシングを活用して、ユニットの内部と外部の両方で最高レベルの視覚的忠実性を実現しています。AWS の仮想マシン、または Eagle 3D Streaming サービスを利用したPixel Streaming により、ZHA はコンフィギュレーターの体験を顧客や購入者、その他の関係者と共有することができます。

Epicは、 Unreal Developer Network を通じて ZHA のコンフィギュレーター開発をサポートしましたが、Epic の AEC チームも直接サポートしました。「Epic 社内の担当者や社外のサプライヤー、Unreal Engine のエコシステムにおける潜在的な協力者を紹介してくれたうえ、AEC や関連する業界のロードマップや今後のトレンドについても常に情報を提供してくれました」と Bhooshan 氏は語ります。 

リアルタイムのコンフィギュレーター:不動産開発の未来

Bhooshan 氏は、このようなコンフィギュレーターのアプローチは、将来的に業界内でより広く普及するだろうと考えています。彼がこの点において前向きなのは、このプロジェクトは決して一時的な成功なのではなく、ZHAが20年ほどかけて進めてきたイノベーションだからです。「テクノロジーをベースにしてオンラインの地域を形成し、それを、デジタル マニュファクチャリングの進歩を利用したリソース効率の高い、持続可能方法で物理的に実現するというZHAのアイデアは、非常に長い時間をかけ、堅実な進化を遂げてきました」と彼は述べています。
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ホンジュラスでのこの最初の実例に先駆け、このアイデアはZHAとAADRL(Architectural Association Design Research Laboratory)で20年以上にわたって育まれてきましたが、この5年で、 Studio Nahmad-Bhooshan, AADRLにおいてさらに集中的に技術的な開発が行われてきました。

Unreal Engine のようなリアルタイム技術と次世代の製造技術を組み合わせることで、デザインを画面上から現実のレンガやモルタルへ取り込むための道筋が開けます。コンフィギュレーターは、低資本で地元のサプライチェーンを利用し、規制にも適合している新興地域のマイクロファクトリーと組み合わせることもできます。 

また、テスラスタイルの gigafactories と組み合わせて、大規模な工業的に建設された住宅開発を行うこともできます。これにより、社会的、共同体の特性を維持しつつ、スケールメリットを活用することができます。「また、他のデジタル製造技術、特に、3Dコンクリートプリントや、木材、スチール製のプレハブ建築部品のカタログと組み合わせることができます」と Bhooshan 氏は述べています。

また、コンフィギュレーションによるアプローチの恩恵を受けられるのは、別荘だけではありません。このコンセプトは、オフィススペース、研究開発ラボ、スタートアップのインキュベータースペースなど、考えられるあらゆる種類の大規模なカスタマイズが可能な建物に拡張することができます。

また、リアルタイムのプロパティ コンフィギュレーターは、ブロックチェーン技術と組み合わせることで、個人投資家のための、そして個人投資家による、分散化されたクラウドソース型の不動産開発や取引への道を開きます。これは、大規模な機関投資家に限定され、フラクショナル オーナーシップが不可能な今日の不動産開発とは一線を画すものです。

Bhooshan 氏にとって、ZHAのホンジュラス Prósperaコンフィギュレーターは、氷山の一角に過ぎません。「私たちのチームはすでに、このデザイン思考と技術を積極的に拡張して、メタバース、デジタルツイン、NFT、そして新興の町や都市にも関わっています」
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