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最新格闘ゲームで Unreal Engine にシフトする SNK


日本の大阪に本社がある SNK はグローバル規模でインタラクティブ エンターテインメント ソフトウェアの開発、販売、配給を行っています。The King of FightersメタルスラッグSamurai Spirits シリーズで知られている SNK は豪華なコンソールゲーム、アーケードゲームの歴史を作り続けています。
The King of Fighters シリーズは餓狼伝説龍虎の拳 のキャラクターを集めて1994年に格闘ゲームシーンに初めて登場しました。

夢のような一作目からシリーズが立ち上がり、2004年まで毎年リリースが行われ、その後もリリースペースはスローダウンしつつ続いています。2016年にはフル 3D グラフィックにシフトした The King of Fighters XIV がリリースされました。

開発会社の SNK Studio は実はこの作品の開発の裏で Unreal Engine の使用を検証していました。そして2019年には SNK は Samurai Spirits を Unreal Engine で開発しました。

The King of Fighters XV はこのシリーズで初となる Unreal Engine 使用作品になります。開発者に Unreal Engine の使用についてお話を伺いました。また、シリーズの進化について、SNK での Unreal Engine 使用の見通しについて、そして豪華な参戦キャラクターラインナップをどのように実現しているかについても伺いました。
 

The King of Fighters XIV は、ゲームの古典的な 2D スプライトから 3D グラフィックスとアニメーションに移行したシリーズで初めてとなるタイトルです。The King of Fighters XVでは、Unreal Engine に移行されています。この移行は、開発チームにとってどのようなものだったのでしょうか?

小田 泰之氏、プロデューサー:Samurai Spirits(2019年)から Unreal Engine を使用することにしました。採用理由はマルチプラットフォームへの対応とシェーダーのレベルアップが主な目的です。KOF XIV(2017年)の開発後半から検証を進めていきましたので、実装への作業は比較的容易でした。

Unreal Engine のどのような要素が移行に役立ち、ゲーム全体が向上したのでしょうか?

辻 正規氏、リードエンジニア:Unreal Engine のコードをカスタマイズしやすい点が自社ツールとの融合に大きく役立ちました。過去に積み上げたノウハウを生かせることでユーザ体験に注力することが出来てゲーム全体が向上することが出来ました。

新しいエンジンでは、ゲームのアートスタイルはどのように見え、どのように動きましたか?この最新作の King of Fighters で、Unreal Engine を使用することで実現できた新しい視覚効果やスタイルはありましたか?

James Bulmer 氏、プログラマ:UE4 を使うことで、リアルなライティングとシャドウを活用しつつ、目指している非リアル/スタイライズされたアートスタイルも保持することができました。いくつか「リアルではない」ライティング/シャドウの必要もありました。例えば、キャラクターの影は地面には描画されても、キャラクター同士には影響しない、といったものです。エンジンのライティングコードを変更できるので、こうしたことも実現できました。マテリアルをリアルタイムに編集、調整できるので、キャラクターと背景の見た目を詳細にチューニングすることが可能になりました。アーティストはパラメータ変更の結果をその場で確かめられました。これは以前使用していたエンジンでは不可能でした。また、被写界深度など Unreal Engine のポストプロセスも活用しました。映画的なカメラ機能をカットシーンや必殺技で使用することで、アニメーションにドラマやインパクトが追加されました。
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King of Fighters XIV でプレイヤーに気に入っていただけなかった事を解決するために King of Fighters XV で採用した変更点は何でしょうか?

空中 海人氏、リード ゲームデザイナー:KOF XIV ではクイック発動コンボがリターンの大きい行動となっており、 対戦シーンで少し単調な試合展開が多くなっていたように感じたため、KOF XV ではクイック発動のみに頼らない試合展開が出来るように仕様を考えていきました。

新しいキャラクターをデザインする際、SNKはまずストーリーから取り組むと読んだことがあります。 どのようにして説得力のあるストーリーを作り、シリーズに登場するキャラクターとの差別化を図るユニークな外観と動きの両方を備えたキャラクターへと変えるのしょうか?

空中氏:ストーリー上の必要性に応じてキャラクターを配置するか、キャラクターを作ってからストーリーに組み込むかはケースバイケースです。最終的には相互に影響しあって、ストーリー上のポジションやキャラクター設定と、ゲームキャラとしての技設定などが決まっていきます。イスラの場合はシュンエイのライバルポジション、対になる様なキャラクターを出したいという所から、それをベースにキャラ性を設定していっています。ドロレスの場合もストーリー上の立ち位置と、イスラとのバランスでキャラ性を決めていっています。イスラが若く血気盛んなキャラクターになったので、ドロレスは落ち着いたミステリアスな女性にしようといった感じです。

このゲームに含める新しいキャラクターや古いキャラクターをどのように決定されたのでしょうか?

空中氏:前作、KOF XIV のストーリーとして、過去のストーリー展開によって出すことの難しくなったキャラクターが復活するのを示唆するような展開がありました。なので、KOF XV では復活キャラクターに主眼を置いて参戦が望まれるキャラクターを選択していきました。そこから復活キャラクターと因縁の深いキャラクターを選択していくという形となっています。もちろん現段階で出せてないキャラクターが参戦を望まれていないというわけではないので、何とか色んなキャラクターを出していきたいと考えています。
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King of Fighters が他の格闘ゲームと異なる点として、3人のファイターによるチームバトルを採用していることが挙げられます。 King of Fighters XV ではこのシステムはどのように実装されているのでしょうか?

空中氏:KOF XV 特有のシステムというわけではありませんが、KOF では先鋒、中堅、大将と進むにつれて最大ゲージの本数が増加していきます。これによってゲージ回収の強いキャラクターは先鋒、ゲージを多く使うことで大ダメージを取れるキャラクターは大将、といった風なキャラクター選びの戦術が生まれるという所がチームバトル特有の楽しさに繋がっているかと思います。ただ、チームバトルでは3人のキャラクターを上手く使えないと遊べない、と懸念するプレイヤーも少なくないため今作ではボタンを連打するだけでコンボが繋がるシステムを入れたり、最大の大技のコマンドは統一するといった工夫も入れて使いこなしていないキャラクターでも対戦に入りやすいようにしています。

SNK は、入力遅延のネットコード、または2つの組み合わせではなく、ロールバックベースのネットコードを実装することを発表しました。何がこの決定を導いたのでしょうか?

空中氏:世界情勢としてコロナが流行したことによりオフラインのイベントの開催が難しい状況が続いています。そうなると、オンライン対戦の環境はこれまで以上に快適にする必要があるので、今回ロールバック方式を採用するに至りました。
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11月に行われたオープンベータテストで、チームの皆様は多くのことを学ばれたかと存じます。この教訓から、どのような変更を実施されているのでしょうか?

空中氏:非常に多くの意見を頂けありがたい限りです。ネットワーク関連の不具合や、選択肢のデフォルトカーソル位置など、大きいもの小さいもの問わず対応すべきと結論づけた部分に関しては手直しを入れていっています。

King of Fighters XV の発売後の新たなコンテンツの計画についてお話しいただけますでしょうか?

小田氏:キャラクター追加実装がすでに決定しています。さらにあらたなゲーム開発も進めていく予定です。

Unreal Engine に関する今後の計画についてお教え頂けますでしょうか?今後、SNK の他のタイトルも Unreal Engine に移行する可能性はありますでしょうか?

小田氏:現在 Unreal Engine を使用した新タイトルの検証を進めていますので、その可能性は十分あります。

Unreal Engine 5 のフルリリースが近づいていますが、次世代ハードウェアと Unreal Engine の長期的な可能性について、ご自身とチームにとって最も楽しみな点は何でしょうか?

辻氏:NaniteLumen は次世代ハードウェアで存分にグラフィックスクオリティを向上させてくれる機能だと考えていて Unreal Engine 5 でどこまでのチャレンジが出来るかとても楽しみです。

PlayStation 5 と Xbox Series X/S の機能で、このゲームの開発に役立ったもの、あるいは機能を向上させるために役立ったものはありましたか?

辻氏:レイトレーシングは Unreal Engine でも対応されており、PlayStation 5 と Xbox Series X/S で簡単に検証することが出来て採用にまで至り、グラフィックの品質向上に役立ちました。
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チームが克服されたデザインにおける課題や、あなたがこのインタビューにて呼びかけたいゲームの要素はありますでしょうか?

空中氏:ストーリーが KOF XIV からの続きとなっているため、ゲームシステムの基礎は KOF XIV をベースにしています。なので、 KOF XIV のプレイヤーはスムーズに KOF XV を楽しむことができると思います。そして、 KOF XIV をベースにしつつもそれよりも前の KOF を遊んでいた人が楽しめるようなシステム変更を取り入れたり、格闘ゲーム初心者の人でも楽しめるような工夫を織り交ぜているので是非色んな人に遊んでもらいタイトルとなっています。
インタビューにご対応いただきありがとうございます。どこで SNK と King of Fighters XV についてもっと知ることができますでしょうか?

小田氏:TwitterFacebookKOF XV公式サイトで最新情報をご確認ください。  

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