Courtesy of Latest Past

高校の友人 2 人が Unreal Engine 5.1 を使用して、独特の雰囲気を持つレトロ シューティング ゲーム Kvark を制作

Brian Crecente
Latest Past は、チェコの独立系ゲーム開発スタジオです。プログラマーの Radovan Šťastný 氏と 3D アーティストの Petr Pavlík 氏によって創設されたこのスタジオは、チェコ共和国のモラヴィアシレジア地方でゲーム開発のサポートに注力する Perun Academy イニシアチブから生まれました。
レトロ シューティング ゲームが今また流行しているようですが、ピクセル アートや派手なファーストパーソン アクションが急増するなかで、特に注目を集めているのが Kvark です。架空のチェコ共和国が舞台となる Kvark では、Unreal Engine 5.1 がローポリゴンでの表現を支える一方で、その土地に詳しい地元の人がゲームに 80 年代の雰囲気を加えています。地元の人は、実際には 2 人います。

高校の友人である Radovan Šťastný 氏と Petr Pavlík 氏は、ビデオ ゲームという共通の趣味を通じて友情を育くんだだけでなく、互いを補い合ってきました。アーティストの Šťastný 氏はプログラマーを必要としており、プログラマーの Pavlík 氏はアーティストを必要としていたからです。

何度かゲーム ジャムを行い、Kvark のアイデアを出し合った 2 人は、後にゲームのパブリッシャーとなった Perun Creative にこのゲームを売り込みました。

私たちはお二人 (ゲームの開発チーム全体の 3 分の 2) に、Kvark の制作過程、Unreal Engine がレトロ調シューティング ゲームの制作に最適なツールとなった理由、そして叫ぶチェコ人だらけのゲームに世界が期待する理由を伺いました。
 

デベロッパー Latest Past は 2 人の高校生によって設立されました。 創業の経緯を教えていただけますか?

共同創業者兼 3D アーティスト、Radovan Šťastný 氏:
私たちは高校の 1 年目に知り合いました。話していたら、2 人ともゲームを作りたがっていることがわかりました。でも、こちらにはプログラマーがいないし、向こうにはアーティストがいないという状況でした。ですから、私たちが協力して、一緒にゲームを作ろうとするのは当然の流れでした。最初にまず、ゲーム ジャムで 2 週間のプロジェクトを行って、チームで制作する方法や一般的な開発の仕組みを学びました。すべてがうまくいったので、私たちはもっと大きなことをしたいと考えました。そのような経緯で創設されたのが、Latest Past です。
 
お二人がビデオ ゲームの開発を始めたきっかけを教えてください。

共同創業者兼プログラマー、Petr Pavlík 氏:
私は子どもの頃からいつもゲームで遊んでいて、いつかは自分で作ってみたいと思っていました。8 才の頃に初めて、Game Maker Studio で 2D ゲームを作りました。トラクターを運転して畑を耕すゲームです。それから何本かゲームを作り、次は 3D ゲームを作りたいと考えました。Unity を使おうと思っていたのですが、Unreal Engine に興味を持ったのは、機能が豊富で、ブループリント で簡単にコーディングできるからです。初めて使った Unreal Engine のバージョンは 4.17 で、とても気に入っていました。あまり内容のない、簡単なシューティング ゲームをいくつか作りました。アドベンチャー ゲームも作りましたが、まだクリアしたことがありません。こうしたプロジェクトのおかげで、今では Kvark のようなゲームを制作できるほど Unreal Engine に詳しくなりました。

Šťastný 氏:子どもの頃に Blender の勉強を始めました。作ることが好きだったからです。ちょっとしたローポリゴン シーンを作り、武器をデザインしましたが、その後しばらく、このスキルをどうすれば活用できるか、どこで活用できるかがわかっていませんでした。それで、ただ何かを作り、それをレンダリングするだけでした。ところが、Petr に出会ってすべてが変わりました。私たちは一緒に小規模なゲームの制作を始めました。そこで初めて、自分がゲーム制作に情熱を持っていることに気付きました。
 
Kvark のアイデアが生まれたきっかけを教えてください。

Pavlík 氏: 
ゲーム ジャム用のゲームを作り終えたときに、もっと大きなプロジェクトをやってみたいと思っていました。ちょうどその頃、UE5 初回プレビュー がリリースされたので、これはよいチャンスだと考えました。それがきっかけとなって、シューティング ゲームのアイデアが生まれたのです。最初はどうなるかわからず、ゴールも見えないなかで、長時間開発していました。そのような開発が数か月続いてから、これではうまくいかないと思い、腰を据えてすべての構造、設定を書き出すことにしました。そうやって生まれたのが、現在知られている Kvark のビジョンです。

Unreal Engine 5 を使ってゲーム開発を始めようと思った理由を教えてください。

Pavlík 氏:
Unreal Engine 5 の新しいテクノロジーや機能を使いたいと思ったからです。開発を始めた当初は、Unreal Engine 5 はまだプレビュー版でしたが、とても気に入ったので、これを使うことに決めて開発を始めました。他にも Unreal を使おうと思った理由は、ブループリントのおかげで非常に使いやすく、パズルの設計、構造などを簡単にイテレートできるからです。全体的に Unreal は、私たちのゲーム スタイルや開発のニーズに一番合っているようです。
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Perun Creative がゲーム開発に加わった経緯と、その役割について教えていただけますか?

Pavlik 氏:
1 年半前に、ゲーム作りが好きなことを知っている高校の美術の先生が、Perun Creative が地元の大学で Perun Academy について説明するときに、私たちのゲームを見てもらうように勧めてくれました。Perun にゲームについて話したらアイデアを気に入ってもらえて、設計書を作成して次の会議で見せてほしいと言われました。翌週にゲームの設計書を見せると、とても興味を示してもらえたので、協力していくことになりました。今では広報など、いろいろと助けてもらっています。Perun は、最先端のアニメーション用モーション キャプチャ システムを使わせてくれて、チームにサウンド デザイナーも入れてくれました。2 週間ごとに会議を開いて、変更点や成果物などについて話し合っています。また、ときには開発をサポートしてもらったり、ゲームのロードマップ作りを手伝ってもらったり、ゲームをよりよいものにする方法を提案してくれたりします。

現在の開発チームの規模を教えてください。

Šťastný 氏:
実際にプロジェクトに携わっているのは 3 人です。Petr Pavlík はプログラミング、私はグラフィックを担当しています。Perun Creative の Jakub Řehoř さんは、プロジェクト全体の効果音と音楽を制作しています。問題にぶつかると、Perun のだれかが必ず助けてくれます。たとえば、セーブ システムとアニメーションの開発で協力しています。
 
Kvark は非常に特徴的なグラフィックのゲームで、Half-Life などの初期のシューティング ゲームのグラフィックを取り入れる一方で、Unreal Engine 5 の最先端技術を利用しています。こうした判断の理由を教えてください。

Šťastný 氏:
デザインする際に作風で重視したのは、レトロゲームのスタイルを取りつつ、新しさを感じさせることです。ローポリ モデルのピクセル化されたテクスチャとなるので、優れたライティング、素材、ポストプロセスを実現できるエンジンが必要でした。ですから、Unreal を使うことはすぐに決まりました。すばらしいライトとエフェクトで、簡単に魅力的なシーンを作成できるからです。一番難しかったのは、Unreal Engine をレトロ調に見せることでした。かなり苦労しましたが、最終的には成功したと思います。
 
他にもゲームで使用している Unreal Engine 5 の機能はありますか?どのように利用しているのかも教えてください。

Šťastný 氏:
すべてのレベルで One File Per Actor を使っています。これはすばらしい機能で、結合の問題が発生しませんし、必要に応じてマップで共同作業できる人数を増やせます。他にも、レイヤー マテリアルという機能を使っておすすめアイテムを目立たせ、プレイヤーから見えやすくしています。Lumen や Nanite は、私たちの作風には必要ないので、使っていません。
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ゲームの舞台を、80 年代の架空のチェコ共和国に設定したのはなぜですか?

Šťastný 氏:
チェコ共和国は、私たちが住んでいてよく知っているからです。英語以外の言語をゲームのメイン言語にするのも面白いと思いました。敵がチェコ語で叫んできたら、その口調で何を言っているのか推測できます。翻訳を見るために、その上にカーソルを合わせなければならないサインもたくさんあります。社会主義的なコンクリート造りの建物と燃料庫も気に入っていて、ファースト パーソン シューティング ゲームの舞台にふさわしいと思いました。架空のチェコ共和国にしたのは、やりたいことを何でも自由にできるからです。ロボットやミュータントなども作れます。

ゲームに昔の電子機器を登場させる、プレイヤーが死ぬときに背景画面に緑色の文字を表示するなど、ゲームがその時代に起こっているように感じさせる面白い方法がたくさんあります。 ノスタルジーを感じさせるゲームを提供しながら、ゲームが時代遅れに見えないようにする、そのバランスをどのように取っていましたか?

Šťastný 氏:
かなり苦労しました。というのも、その時代に生きていたわけではないので、写真やコマーシャルなどのオールド メディアや、両親から聞いた話を参考にするしかありませんでした。私たちのゲームが時代遅れに見えないのは、今とその時代が断絶しているからだと思います。だからこそ、ノスタルジーに浸りすぎずに、この時代の良いものや面白いものだけを利用できます。もう 1 つの理由は、Unreal のおかげで、ゲームの操作性とデザイン性を高める最新式のレンダリングを利用できるからです。
 
Kvark の早期アクセス版が 6月にリリースされました。 その経験からこれまで学んだことを教えてください。また、ゲームはどこまで進化しているのでしょうか?

Šťastný 氏:
本当にたくさんのことを学びましたし、今も学んでいます。たとえば、コミュニティと適切にコミュニケーションを取る方法を学んでいます。これは初めての経験です。

全員からもらったフィードバックはとても貴重で、最も要望が多かったものの改良に取り組んでいます。コミュニティからのフィードバックを反映した初回アップデートの準備がほぼ整い、間もなくリリースされる予定です。さまざまなフィードバックを取り入れながら、プレイヤーから要望のあった新機能の開発にも取り組んでいるので、ゲームは今も急速に進化しています。
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チームは、早期アクセス版のリリース後に、Unreal Engine 5.1 にアップグレードすることを決定しました。 そのように決断した理由を教えてください。

Pavlik 氏:
物理エンジンが大幅に改良されたことが、アップグレードを決めた大きな理由です。物理プロップやラグドールの収縮でさまざまな問題があり、地面を通り抜けるグリッチが発生していたので、5.1 をテストしたとき、物理挙動とパフォーマンスが大幅に改善されたことに気付きました。それが決め手となりましたが、オーバーレイ マテリアル、シェーダー グラフの強化など、5.1 で導入されたさまざまな QOL 機能も気に入りました。もう 1 つの理由は、Perun がメインゲームの Kromlech を 5.1 で制作していたので、Unreal の 2 つのバージョンをサポートするプラグインをチーム内で管理するのが面倒だったからです。
 
ゲームを中断することなく、UE 5.1 に移行するのは大変でしたか?

Šťastný 氏:
Unreal Engine 5.1 への移行は驚くほど簡単でした。1 つだけ問題があったのはサードパーティー製のプラグインへの対応で、私たちの方のプラグインを少し変更して合わせる必要がありました。また、ライト マッピングの変更に伴って、すべてのレベルでライティングを微調整する必要もありました。それでも、今言ったように、2 日ですべてが終わるほど簡単でした。

お話を聞かせていただき、ありがとうございました。 Kvark、Latest Past、Perun Creative の詳細はどこで確認できますか?

Šťastný 氏:
こちらこそ、ありがとうございました。Kvark にご関心をお持ちの方は、Steam で早期アクセス版をお試しいただけます。また、開発に興味をお持ちの方は、X (旧 Twitter) に定期的に投稿される最新情報をご確認ください。

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