画像提供:Ember Lab

Kena: Bridge of Spirits を作り出した魔法

By Brian Crecente |
2020年10月19日


Ember Lab の CCO である Mike は、スタジオのコンテンツ開発およびアート ディレクションの責任者です。 彼が一番に掲げる目標は、さまざまな創造的アイディア、芸術的な制約、そして技術的な背景を、統一感のある視覚的な美しさを備えた正真正銘の経験と融合させることです。

Epic Games StorePlayStation 5 に登場する幅広いジャンルの新しい作品の中には、ビデオ ゲームより映画の作品で知られている小さなインディーズ スタジオが制作したものがあります。 事実、Kena: Bridge of Spirits は Ember Lab 初のフル ビデオ ゲーム作品です。

Mike と Josh の Grier 兄弟が 2009 年に創設した才能のあるアーティストが集まった小さなチームは、素晴らしい実写版ショートフィルムの Dust でそのスタートを切り、次に ゼルダの伝説をテーマにしたアニメーション ショートフィルムの Majora’s Mask - Terrible Fate でその名を上げました。

2021 年にリリース 予定の Kena は、スタジオが作成した美しいアートに探検、パズル、戦闘が盛り込まれたストーリー主導のアクションアドベンチャー ゲームです。

私たちは Ember Lab の共同設立者兼最高制作責任者 である Mike Grier 氏に、スタジオの設立、ビデオ ゲーム制作に取り組むことにした経緯、そして次世代技術と Unreal Engine がどのようにしてそのクリエイティブなビジョンを強化するかについてインタビューしました。
 

Ember Lab というスタジオ発足の詳細と、今の規模になった経緯について教えてください。 チームをまとめたものは何ですか?

Mike Grier 氏 (最高クリエイティブ責任者兼 Ember Lab の共同設立者):
Ember は当初、VFX とアニメーションのスタジオでした。 チーム メンバーの多くは映画業界での経験があり、会社を作った動機の 1 つは Dust という映画を制作するために十分なリソースを集めるためでした。 オリジナルのチーム メンバーの多くは、日本での映画撮影に同行した仲間たちです。 自主制作映画の開発プロセスはチームの結束を固め、スタジオの可能性を広げるものです。 
画像提供:Ember Lab
Dust のポストプロダクションを完了させる作業を行うにつれ、スタジオは広告プロジェクトを行うようになりました。 私たちは商業キャンペーン用のキャラクター開発に特化し始めました。 スタジオが手掛ける各プロジェクトにより私たちは成長し、その能力を発展させることができました。 
 
Majora’s Mask - Terrible FateDust はどちらも、上質で趣のある設定と魅力的で刺激的なストーリーラインが特徴ですが、これら 2 つのショートフィルムのアイディアをどのようにして思いついたのか、また作成の原動力となったものについて教えてください。
 
Grier 氏:
Dust について言うと、その影響の多くは日本滞在中に受けたものです。 私は東京に数年住み、時間を作っては美しい田舎を訪れてその風景を写真に収めました。 東京は高層ビルが立ち並ぶ都会ですが、電車に少し乗ると緑豊かな環境の中にあるハイキングを楽しめる農業地帯や古い寺院に行くことができました。 振り返ると、私が撮影したもので最も素晴らしい写真のいくつかは、打ち捨てられた建物だということがわかりました。 
 
とても親切で、途絶えた道の先にある場所に喜んで案内してくれる地元の方たちにたくさん会いました。 日本に来る旅行者が見たことのないような古い道や場所を見つける手助けをしてくれました。 映画の視覚的な美しさとテーマは、自然が時間の経過とともに取り戻したそれらの廃墟と化した人工的な場所を観察することによってインスピレーションを得ました。
 
Terrible Fate のコンセプトは、私たちの友人である Jason Gallaty と共同作業をしたいという願いから始まりました。 Jason は Kena の作曲者で、彼はビデオ ゲーム リミックスの開発を始めました。 Jason は以前、Majora’s Mask のリミックス アルバムをリリースして成功しています。そこで、彼のセカンド アルバム用に私たちがショートフィルムを開発してゲームのファンたちに喜んでもらい、世界に活気をもたらしたいと考えたのです。 当時、私たちは定型化された 3D キャラクターが主役の実写版ロケ撮影というスタイルで多くのコマーシャル プロジェクトに取り組んでいました。 ゲームは私たち全員に大きな衝撃を与え、そこから得たインスピレーションを基に作っていくというアイディアは本当にエキサイティングなことでした。
 

新しいショートフィルムではなく、Kena: Bridge of Spirits をビデオ ゲームにした理由を教えてください。
 
Grier 氏:
私たちチームは常に、ビデオ ゲームを媒体としてストーリーを語るというチャレンジに魅力を感じていました。 私の人生の中で最も印象に残る大きな体験のいくつかは、ビデオ ゲームで作成されたストーリーや世界でした。 私がインスピレーションを得たのと同じように、将来のクリエーターたちに刺激を与えたいというのが私の夢だったのです! 
 
私たちが最初にストーリーのアイディアを作成し始めた時、これはアニメ シリーズか映画になると思っていました。 しかし、Rot のコンセプトを作り上げ出すと、これはゲームしかないということがわかったのです。 Rot とともに冒険を続けて、一緒に世界を探索したくなりました。 Rot は私たちが伝えたいストーリーとゲームプレイを組み合わせるのに極めて重要な要素となりました。 プレイヤーが Rot を見つけて仲間となって進める冒険には、ゲームのテーマがいくつも反映されています。 また、彼らはとっても面白いのです!
 
Kena を作成するにあたり、何かインスピレーションを得た映画やビデオ ゲームはありますか?
 
Grier 氏:
私たちは間違いなくゼルダの伝説、そして大神というゲームの影響を受けています。 映画、羅生門のストーリー展開スタイルからも、大きなアイディアを得ています。
 
視聴者に訴える方法や設定、メッセージを伝える方法は、ビデオ ゲームと映画ではどのように違いますか?

Grier 氏:
似通った部分はたくさんあると思います。 ビデオ ゲームには雰囲気を捉えてその世界に入り込んでいると感じさせる方法があります。私が思うに、それは素晴らしい映画も同じです。 このことは、私が作ろうとするタイプの映画にも反映されていると思います。 私は常に、ワールドの持つ雰囲気がストーリーやキャラクターに対して役割を担うように心がけています。
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映画とビデオ ゲームの制作では、そのプロセスにどのような違いがありますか?

Grier 氏:
クリエイティブな制作プロセスの多くは似ていますが、ゲーム開発の方がよりプロセスの反復が多いということに気づきました。 映画制作でも物事は必ず進化していきます。しかし、ゲーム開発中は変化のスピードが尋常ではありません。 ゲームプレイこそが王様で、その中で説得力のあるストーリーを伝えたい場合はフレキシブルになる必要があります。 私たちは常に、ゲームプレイとストーリーを両立させる調整を行うために、クリエイティブな解決策を練っています。 
 
ショート フィルムとこのビデオ ゲームの制作に使用したさまざまなツールにより、最終的な結果とアーティストが効率的に共同作業するための能力にどのような影響が出ていますか?

Grier 氏:
両方の媒体で使用されている技術は、正に融合し始めています。 技術が進歩するにつれて、さらに重なる部分が増えていくと思います。 リアルタイムなツールはよりアーティストにとって扱いやすいものとなり、映画制作やビジュアル エフェクトに精通している人びとは、少なくとも映画撮影やストーリー作成に際してはくつろいだ気分になるでしょう。 AI やインタラクティブなストーリーがより高度になって予測不能になるにつれて、次世代の体験が作られていくのを見るのが楽しみです。 

映画制作で使用していたツールで、現在このゲームの制作にも使用しているツールがあれば教えてください。    

Grier 氏:
私たちは Maya、Houdini、そして ZBrush を使用しています。
 
このゲームを制作するプロセスが将来の映画に対する見方や作成方法にどのような影響を与えると思いますか?

Grier 氏:
Kena の作業のおかげで、スタジオはリアルタイムなパイプラインで非常に快適になりました。 リアルタイムなプレビズや VFX さえも活用して映画の制作プロセスを視覚化し、スピードアップするのを見ることができました。 Unreal で開発した経験から、私たちは Unreal でリアルタイムの長編アニメーション映画を作成するアイディアを得ることができました。
画像提供:Ember Lab
Dust にも Majora にも、ある種の伝えたいメッセージについて特定の目標があったように見えます。 同じように Kena にもあるとすれば、どのようなメッセージでしょうか。

Grier 氏:
私たちはいつも、バランスと復元というテーマに惹かれてきました。 ゲームの各キャラクターには、非常に個人的なストーリーが用意されています。 彼らはそれぞれ別個の存在ですが、みんな許しと過去を手放すという似たようなテーマを共有しています。 癒しとバランスという環境テーマもキャラクターの戦いを通して語られます。 
 
リリースされたゲームのトレーラーでは、何を伝えようと考えていましたか?
 
Grier 氏:
トレーラーの大きな目標の 1 つは、ストーリーの重要な要素とキャラクターを紹介しつつ、その世界を確立することでした。 もう 1 つの重要な要素は、みなさんに Rot を好きになってもらうことでした。 みなさんには Kena との絆、そして Rot が環境を変化させていく様子を見てもらいたいと考えたのです。 そして最も重要だったのは、戦闘、探索、そして収集というゲームの核となるメカニズムをお見せすることです。 
 
このゲームについてジャンル、そしてストーリーのあらすじなどを教えてください。
 
Grier 氏:
Kena: Bridge of Spirits は、美しい世界を舞台に探索とペースの早い戦闘を備えたストーリー主導のアクションアドベンチャーです。 プレイヤーは Rot と呼ばれる小さな精霊の仲間を見つけて仲間にして、彼らの能力を強化して環境を操る新しい手段を生み出します。
 
映像提供:Ember Lab

死者のために作られたユニークな木製の仮面は、彼らの人生をたたえる物です。 それらの仮面は神聖な祭壇に置かれ、徐々に塵となっていきますが、これは精霊が次の生命へと進んでいくことを象徴しています。 この仮面の制作者は「スピリット ガイド」と呼ばれています。
 
スピリット ガイドの娘である Kena は父親から学び、父親の冒険についていきながら成長しました。 数年後、Kena は廃村を訪れます。そこは聖なる力を持つ地、復活の力を持つと信じられている山の祭壇を囲むようにして造られた村でした。 
 
彼女はすぐにその生い茂った森が呪われていること、そこから出ることができず邪悪化した精霊がたくさんいることに気づきます。 
 
その忘れ去られた村の探索で、Kena は Rot を発見します。 臆病な性質の Rot は普段、身を隠していますが、Kena にだけは興味を示しました。 Rot の手助けと精霊の領域についての知識を駆使して、Kena は忘れ去られた村の秘密を見つけ出し、問題を抱えている精霊たちに平和をもたらします。
 
トレーラーにはゲームプレイの場面とそうでない場面が映し出されていますが、ゲームの芸術性によってその 2 つを区別することは非常に困難です。 どのようにして、その豊かなビジュアルをゲームプレイに組み込めたのでしょうか?
 
Grier 氏:
環境とワールドの外観の開発には長い時間を費やしました。 ビジュアル的なスタイルと環境によるストーリーテリングの目標に焦点を置いて作業に取り組んだのです。 ワールドの開発作業はすべて、シネマティックスへと受け継がれました。シネマティックスでは同じアセットを利用するからです。 そのため、ビジュアル的なスタイルのおかげで、ゲームプレイとカットシーンに統一感がもたらされました。 しかし、見落としがちな部分の 1 つにゲームプレイ アニメーションの品質があります。 Kena や他のキャラクターは、ゲームプレイとカットシーンの体験がしっかり統一されているため、ゲームプレイやシネマティックスでの動きや感覚に違和感を感じることがありません。 
画像提供:Ember Lab
ワールド自体は生命と高い詳細度で満たされているように思いますが、これはどのようにして達成したのですか?
 
Grier 氏:
私たちはなるべく頻繫に、開発している幻想的な世界に「現実的」な要素を融合させようとしています。 インタラクティブな葉、木々をそよがせる風、空気中のほこりやちり、こういったものすべてが世界に生命を吹き込みます。 さらに、スペースごとにライティングについて考えたり、調整することにも時間をかけました。 森の環境のライティングは、感じ方を全く異なるものにすることが可能で、その美しさを捉えるために本当に役立ちます。 
 
トレーラーでは数多くのライティング エフェクトが見受けられました。ゲームにとってライティングはどれくらい重要で、それらを達成するために使用したツールにはどのようなものがありましたか?
 
Grier 氏:
私たちは、ライティングがその舞台と体験を形成するために非常に重要なものだと感じています。 それがなければどうにもなりません。結局のところ、ゲームの外観を実現させるために映画や VFX の経験に頼っています。 私たちは通常、キャラクターや環境を定型化する際、現実的なライティング スタイルで行います。 私たちのチームは、デジタルと実写の両方の映像においてライティングの経験が豊富です。 DP の Boa Simon は普段、一緒に映画制作を行っていますが、このゲームの大部分のライティングを担当してもらいました。
画像提供:Ember Lab
このような高い詳細度と没入型のプレイを、どのようにしてたった 14 名のチームで提供できるのでしょうか。 この目標を達成するための開発への特別なアプローチがあれば教えてください。
 
Grier 氏:
私たちのスタジオでは、共同作業に適した環境を作り出そうとしてきました。 ゲーム開発のほとんどは持ちつ持たれつの関係です。小さなチームでお互いの作業をサポートし、頼り合わなくてはなりません。 コミュニケーションは非常に重要で、私たちの多くは長い間一緒に働いてきました。そのため、全員がスタジオで一緒に作業していた時は、非常に素早くアイディアを共有して発展させることができたのです。 COVID によりリモート ワークになると、効率に影響が出ました。しかし、それにより強力なコミュニケーションの価値と必要性の良さを強く感じるようになりました。 
 
次世代のコンソールや Unreal Engine による技術的な進歩を手に入れたことで、ゲームにおける改善やゲームプレイ、オーディオ、ビジュアル面で可能になったことがあれば教えてください。
 
Grier 氏:
最も顕著なことの 1 つは画面に Rot を登場させる機会が増えたことです。 ゲーム内には収集可能な Rot が 100 体います。 次世代コンソールでは、この小さな生き物それぞれを同時に画面上に表示させることができます。 
 
次世代ハードウェアと Unreal Engine の長期的な可能性について、あなたとチームが最も期待していることは何ですか?
 
Grier 氏:
おそらくそれは次世代ハード ドライブの活用です。 限られた時間で次世代ツールを使用しましたが、私たちはほんの表面的な部分をいじったに過ぎません。 「何もしなくても」ハード ドライブの速度には驚異的なメリットがあります。 他には、3D オーディオは没入型体験を本当に強化することになると思います。
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何か特定のゲームプレイやゲーム デザインのビジュアル要素について、特に注目すべき点や説明したいことがありますか? もしあれば教えてください。
 
Grier 氏:
私たちが非常に満足しているゲームプレイのポイントの 1 つは、崩壊したエリアからリアルタイムに起きる復元された環境への遷移です。 私たちは元々、そういった変化はカットシーンの中で起きることだと考えていました。 しかし、チームの目標はリアルタイムに遷移させようとすることでした。 これは実際のところ、かなり大規模で技術的な芸術とパフォーマンスの作業となりました。 
 
私たちはカスタムのトップダウン正投影レンダリング パスを実行して、デッドゾーンをクリーンアップするすべての要素をレンダリングします。 これにより、デッドゾーン シェーダ内で機能するマスクで、クリーンアップされているものとされていないもの区別することができます。 ゲームプレイでは、 Kena がデッドゾーンにいるかいないかを判別するため、物理的なサーフェスを備えたランドスケープ レイヤーを使用して、アーティストがデッドゾーン エリアを色付けできるようにしていました。 そして、私たちは単にビジュアル エフェクトにより消えた球体の組み合わせを使用して、クリーンアップされたエリアを判断していました。
 
動的なデッドゾーンを作成すると、装飾とレベル アートの複雑さがより増すことにもなりましたが、最終的には、やっただけのことがあったと思います。 おかげで、プレイヤーは周囲の環境が変化していく中でもゲームプレイに没入し続けることができます。 Rot は Kena との再合流、花の開花、光の変化に反応して喜び、環境は生命を取り戻します。 
 
画像提供:Ember Lab

貴重なお話をありがとうございました。 Ember Labs と Kena: Bridge of Spirits についての詳細はどこで確認できますか?
 
Grier 氏:
私たちのウェブサイトは www.emberlab.com です。ソーシャル チャンネル (TwitterInstagramFacebookYouTube) のアカウントは @emberlab です。 

また、公式ショップは rusushop.com になります。

Ember Lab の Kena や次世代ランドスケープの情報については、11 月の The Pulse Games の特集をご確認ください。
 

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