新しい Layers of Fear では、(ゲームのキャッチフレーズにあるように) 単に「ホラーが再考された」だけではありません。同作は、Bloober Team のシリーズの定義の再考も行っています。
スタジオは、設立 6 年後に最初の Layers of Fear でヒットを実現しました。同作のヒットにより、Bloober Team は再びホラーゲームに焦点を当てるようになりました。2016 年の同作のリリース以降、スタジオはホラータイトルの制作に完全に移行し、6 つのプロジェクトのうち、Observer、Layers of Fear 2、Blair Witch、The Medium をリリースしました。
そして今年リリースされた Layers of Fear (開発:Anshar Studios、Bloober Team) は、オリジナルのタイトルをつなぎ合わせたタイトルです。物語に重点を置いた一人称視点ゲームに戻っており、その続編、すべてのダウンロード可能なコンテンツ、これらの作品をつなぎ合わせた新しいストーリーが、背筋も凍るような恐ろしさをプレイヤーに植え付けます。
Layers of Fear (2023) は、Layer of Fear (2016) と Layers of Fear 2 をベースにして制作され、「驚くような新しいストーリーとコンテンツを用意した」と説明されています。これは、今作はこれらのストーリーを再構築したものになるのか、まったく新しいストーリーとなるのか、どちらの意味でしょうか?
Anshar Studios クリエイティブ ディレクター、Damian Kocurek 氏: 今作は、Layers of Fear と Layers of Fear 2 のオリジナル ストーリー、そして DLC のストーリーに基づいています。それに加えて、それらのストーリーすべてを結びつけるまったく新しいチャプター (作家のストーリー) が展開されるので、すでに明らかになっているストーリーに深みが出ます。シリーズの全体像とそれぞれのつながりが判明します。
Layers of Fear (2016) は Unity で、Layers of Fear 2 は Unreal Engine 4 で制作されました。そして、今作は Unreal Engine 5 で制作されています。シリーズごとに異なるエンジンを使用していますが、この移行はどうでしたか?
ただし、最大の課題は、何が変更されたか、何が削除されたかを確認することでした。そのうちの 1 つに、Unreal Engine 5 にはテッセレーションがないことがあります。Layers of Fear の開発の初期段階では、レベルのジオメトリを動的に変更するためにテッセレーションを使用していました。当時、Nanite は「ワールド位置オフセット」をサポートしていなかったので、テッセレーションなしでエフェクトを実装する別の方法を考える必要がありました。
ゲームのテーマとして、オリジナルの Layers of Fear (2016) では「犠牲」を、続編では「自分のアイデンティティ」を扱っていました。 Layers of Fear (2023) ではどんなテーマを掘り下げる予定ですか?
Kocurek 氏: 私たちは、今作を含むシリーズのすべてのタイトルで、道徳に関わる選択を行っています。「犠牲」に関する選択は、どちらの作品でも行います。Layers of Fear では、プレイヤーは「家族」か「偉大な芸術の追求」のどちらかを選択をする必要に迫られます。しかし同時に、Layers of Fear 2 で遭遇するゲーム内の状況に対して単純な答えを得られるわけではありません。 私たちがプレイヤーに対して、どの選択が正しいのかを提示することはありません。皆さん自身に選択をしてもらいたいと考えているからです。これは Layers of Fear においても同じです。この未知の恐怖、自分の決断がどこにつながるかわからない恐怖を、私たちは「隠れた恐怖」と呼んでいます。
新旧のホラー作品のうち、Layers of Fear のデザインに影響やインスピレーションを与えたものは何ですか?
Kocurek 氏: 新しい Layers of Fear では、小島秀夫氏や Guillermo del Toro 氏の P.T. といったようなホラーにおける古典的な傑作からインスピレーションを得ています。常に変化する環境の中で本当に恐ろしい雰囲気を作るというアイデアは、これらの作品からの影響です。刷新されたゲームプレイ メカニクスやその他の技術的進歩により、今作に挑む勇気のある人たちに、さらなる没入型の不気味な体験を提供できることを嬉しく思っています。
The Medium では、チームはポーランドのディストピアン シュルレアリスム画家 Zdzisław Beksiński 氏からインスピレーションを得たそうですね。 Layers of Fear の制作に関して、インスピレーションを得られるのではないか、と注目しているアーティストや作品はありますか?
Kocurek 氏:Layers of Fear は、アート、映画、演劇といった分野から大きな影響を受けています。Layers of Fear 1 では、豪邸内を散策するだけで多くの象徴的な謎の絵画を発見できると思います。ビクトリア朝時代の建築やその装飾の美しさも実感できるはずです。Layers of Fear 2 のストーリーは、Georges Melies 氏の作品から現代の映像撮影技術まで、映画芸術を中心に展開しています。Layers of Fear は美的感覚の鋭い人や幅広い芸術ファンにとって満足のいく作品になることでしょう。
Kocurek 氏: これまでのゲームと同様に、サウンドトラックは私たちにとってなくてはならない人物、Arek Reikowski 氏によって作曲、アレンジされています。Layers of Fears ではピアノが大きな役割を果たしています。ピアノのテーマがゲーム全体を通じて演奏され、ピアニストである画家の妻の性格を反映しています。Layers of Fear の多くの譜面がピアノで演奏できる、と期待するプレイヤーもいるかもしれません。
ゲームでは、レイ トレーシング、HDR エフェクト、4K 解像度はどのように活用されますか?
Bilnicki 氏: Layers of Fear では、これらすべてのエフェクトをサポートする予定です。Layers of Fear では、ハードウェア レイ トレーシングの使用により、PC とコンソール上で高品質の反射とグローバル イルミネーション ライティングが実現するはずです。HDR もすべてのプラットフォームで利用できるので、シーンにおけるカラーと明暗部がより詳細に表現されるようになります。コンソールでは、私たちは主に 4K 解像度に焦点を当てています。テンポラル スーパー解像度 (TSR) を使用することで、品質に妥協することなく、より簡単に 4K 解像度を実現できるようになるからです。PC では、TSR に加えて DLSS および XeSS も利用できるので、4K 解像度でのパフォーマンスと画質が大幅に向上するはずです。