これまで制作されたゲームは、それぞれどれもトーンがまったく異なりますね。Brothers はもの悲しい、苦難に満ちた長旅を、A Way Out は映画のような演出を、It Takes Two はよりカラフルで遊び心のあるビジュアルを表現しています。なぜ、It Takes Two にはこのトーンが適していたのでしょうか?また、スタジオ内で異なる性質の要素を盛り込みたいという制作者本来の希望があったのでしょうか?
Fares 氏: 実のところ私たちチームはさまざまな要素を盛り込むのが好きなんです。私自身、単なる続編を作ることにはほとんど興味がありません。絶対に続編を作ることはないとは言いきれませんが、通常は、まったく違うことをやってみるのが楽しいと感じます。それに、It Takes Two では、パブリッシャーと協力して開発を進めていたので、できたのです。つまり、やりたいことは何でもやってみることができました。何か違うことを試すのは常に面白いですね。それこそが、私がゲーム業界について、そして自分たちの取り組みで気に入っている点です。完全にユニークなもの、メカニズムや、トーンなどすべてにおいて新鮮で、新しい何かを毎回試すことができます。これからもできる限り、新しいものを試していきたいと思っています。ただ、続編を制作しないとは言いませんが、現時点では、あらゆるものを変えていくことが大切だと思っています。仕事は新しことに取り組む方が楽しいですから。同じようなゲームを何度も制作していては飽きてしまいますよ。
It Takes Two は、ストーリー性を重視したゲームであるにもかかわらず、プラットフォーム、シューティング、パズル、ダンジョン クロウルなど、ジャンルを超えた圧倒的なゲームプレイを備えていますね。これほどまでにタイプの異なるゲーム要素を盛り込むことは、どれくらい重要だったのでしょうか?
Fares 氏: 先程も触れましたが、ストーリーに話を戻すと、私たちは、ゲームプレイが常に変化することだけを望んでいたわけではありません。つまり、ゲームは非常に反復的なものだと思います。そのため、あらゆるゲーム要素を盛り込まれているのはその反復性が理由のひとつであることは間違いありません。もう一度ストーリーに戻ると、私たちはこれからもストーリーをより良いものにしていくつもりですが、ストーリーで起こることはすべて、プレイヤーがプレイすべきことなのです。つまり、プレイヤーの行動によって実際にストーリーが決まるのです。これが、私たちのストーリーが非常にダイナミックである理由の 1 つです。前作の A Way Out を例に挙げると、キャラクターがボートを見つけたら、乗ります。車を見つけたら、運転します。A Way Out では、一貫して新しい要素を提供し、ストーリーの体験にうまくフィットさせているのです。なぜなら、プレイヤーを常にストーリーに関わらせたいためです。
It Takes Two は、PlayStation 5 や Xbox Series X に加え、最新のコンソールでも発売されますが、次世代プラットフォームでのゲーム開発で最も嬉しいと感じるのは何でしょうか?
Fares 氏: To 正直なところ、嬉しいと思うのは次世代コンソールの性能が向上した点だけですね。私が本当に重視しているのはゲームです。現時点で、さらにパワフルなコンソールを利用できるのは嬉しい限りです。そう思うのは、ゲームのグラフィックの忠実度をどれだけ高められるかは、コンソールによって決まるからです。なぜなら、よりパワフルなコンソールでは、ゲームでより美しいビジュアルを実現できるだけでなく、前世代のコンソールでは不可能だった、さらに複雑なメカニズムのゲームを制作できるためです。