Image courtesy of Arc System Works

GUILTY GEAR -STRIVE- の革新的なビジュアルとゲームプレイ

Jimmy Thang
アークシステムワークスは、日本に拠点を置くゲーム会社です。格闘ゲームのジャンルを専門に開発を行っています。代表作は、ギルティギア シリーズと、より最近では BLAZBLUE です。その格闘ゲームの革新的なシステムと、2D および 3D の壮観なアートワークは、国際的に高い評価を得ています。アークシステムワークスの最新プロジェクトである GUILTY GEAR -STRIVE- は、2021 年 6 月に発売されました。
ギルティギア フランチャイズは、1998 年に格闘ゲーム コミュニティに参入して以来、輝かしい歴史を築いてきました。その過程で、デベロッパーのアークシステムワークスは、最も尊敬を集める格闘ゲーム スタジオの 1 つとなりました。ギルティギアの続編をいくつも開発したほか、ドラゴンボール ファイターズグランブルーファンタジー ヴァーサスなど、高い評価を受けている作品を開発してきました。GUILTY GEAR -STRIVE- は、シリーズで初めて Unreal Engine 4 が使われています。日本のスタジオであるアークシステムワークスは、Unreal Engine 4 によって、これまでで最も美しい 2D/3D のセルシェーディングされたグラフィックスを実現しました。このグラフィックスは、次世代のコンソールである PlayStation 5 では 4K で 60 fps で実行されるように最適化されており、特に鮮明なものとなります。

GUILTY GEAR -STRIVE- では、ビジュアルの限界に挑むだけでなく、シリーズで最も理解しやすく、それでいて奥が深い格闘システムを実現しています。ほかにも、ウォールブレイクなどの新しいメカニクスや、格闘ゲームではこれまでで最高レベルのネットコードを取り入れています。

シリーズを「再構築」しようとするこの最新作について、アークシステムワークスの複数の方にインタビューしました。多様なキャラクター陣をどのように作り出し、バランスを取っているのかや、シリーズの新しいビジュアル アイデンティティをどのように作り上げようとしたのかなどについて、話を伺いました。
 

GUILTY GEAR -STRIVE- は、フランチャイズを再構築するものだと言われています。シリーズに戻ってきたプレイヤーにとって馴染みのあるエクスペリエンスにしながら、アイデアを組み合わせてまとめるために、どのように取り組んだのですか?

ディレクター、片野旭氏:目標としたのは、馴染みのあるものというよりは、新鮮なエクスペリエンスでありながら、すべてのプレイヤーにとってギルティギアらしく感じられるものを提供することでした。「ギルティギアらしさ」とは何かをはっきりさせるために、まず、シリーズのクリエイターである石渡が、自分のイメージする理想のギルティギアについてチーム メンバーに伝えました。また、シリーズを初めてプレイしたとき、スタッフがどのような第一印象を持ったかを分析しました。

GUILTY GEAR -STRIVE- での目標の 1 つは、ハードコアなファンが求める深さを保ちながら、格闘ゲームの初心者にとっても遊びやすいものにすることだったそうですが、そのためにどのようなアプローチをとったのか教えていただけますか?

片野氏:主な前提としたのは、新規のプレイヤーが経験豊富なプレイヤーとマッチングされないようにする環境を作ることでした。それができれば、スキルレベルの差をくつがえそうとするようなゲームのメカニクスを作る必要はありません。
 
その前提を満たしてから、長い連続技を暗記しなくても大きなダメージを与えられるようにする設計に取り組みました。調整を行い、最初の技の選択、状況に応じた判断、必要とされる厳密な入力によって結果が決まるようにしました。
Image courtesy of Arc System Works
発売時のプレイアブル キャラクターは 15 人で、そのうち 2 人は新キャラクターです。GUILTY GEAR -STRIVE- のキャラクターは、外見もプレイもそれぞれ大きく異なっています。キャラクターを作り、バランスを取るためのアプローチについて教えていただけますか?

片野氏:まず、どのキャラクターについても、どのような状況で最強であり、最も楽しくなり、最も輝くかを決めます。キャラクターの楽しさが十分なものになったら、普通はそれから弱点や相手にとってのチャンスを作っていきます。

全体的な能力をある程度設定したら、会社に入る前には大きな大会で好成績を収めていたチームのメンバーにプレイしてもらい、調整を加えます。このプロセスを繰り返していきます。

時間が経つうちに、キャラクターのバランスはどのように変化していく可能性がありますか?

片野氏:最近のトレンドに従って、ほぼ間違いなく、発売後のアップデートでバランス調整を行うことになるでしょう。しかし、どうせあとでアップデートされて変更が加えられるのだから、今努力する価値はないと感じさせるような雰囲気にはしたくありません。将来のアップデートのペースと内容については慎重に検討していきます。
Image courtesy of Arc System Works
GUILTY GEAR -STRIVE- では、新しいウォールブレイクの仕組みが導入されました。攻撃的なプレイからメリットが得られるようになり、ステージが荒々しく遷移します。この仕組みを取り入れたのはなぜですか?

片野氏:ウォールブレイクの仕組みを取り入れるに至ったプロセス全体を説明しようと思ったらとても長い話になるのですが、理由の 1 つは、同じ状況が何度も繰り返されるという、これまでのシリーズの印象を変えたいと思ったからです。
 
しかし、相手を画面端に追い込んで攻撃するときにプレイヤーが感じる、報われたような気持ちと楽しさをなくすことはできなかったので、壁を壊したときにプレイヤーががっかりするのではなく、喜べるように調整しました。
 
特にテンション ゲージが増えることには大きなメリットがあります。GUILTY GEAR -STRIVE- では、テンション ゲージを消費するアクションはとても強力で、多くの選択肢が発生するからです。

GUILTY GEAR -STRIVE- では、1 ヒットごとのダメージが増加して、非常に複雑な連続技を実行する必要性が低下しました。なぜこのような変更を加えたのですか?

片野氏:このゲームで実現を目指した理想の 1 つは、新しいプレイヤーに、複雑な連続技を覚える必要はないという印象を与えつつ、深いレベルでは連続技の自由度や奥深さを提供することでした。このような大規模な変革を成し遂げるには完全に新規のタイトルが必要だと考え、その -STRIVE- は、ギルティギア シリーズ内で変革に挑む作品となりました。
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GUILTY GEAR -STRIVE- では、キャラクターのアニメーションを改善し、アートの新しい方向性を実現することを目指されました。アート面での目標について説明していただけますか?

アート ディレクター、坂村英彦氏:以前の作品では、日本の手描きアニメのスタイルを 3D で再現しようとしていました。しかし、この作品では、手描きアニメを模倣するのではなく、ギルティギア独自のスタイルを作ろうとしました。
 
「まるで手描きのアニメみたいだ」ではなく、「これがギルティギアのアニメーションだ!」という反応を引き起こすことが目標でした。

鮮やかでカラフルな、2D に見えるセルシェーディングの 3D グラフィックスを備えた GUILTY GEAR -STRIVE- は、これまでで最も美しい格闘ゲームの 1 つです。チームではどうやってこのグラフィックスを実現したのですか?

リード モデラー、山中 岳史氏:キャラクターについては、土台として過去の作品からのトゥーン シェーディングを使って、さまざまな要素を加えて品質を向上させました。たとえば、計算を使ったグラデーションを実装しました。これは、キャラクターが異様なポーズをとっても視覚的に影響を受けにくいものです。これによって、単調にならないようにして、色に深みを与えることができました。また、手、脚、武器など、個々のパーツのシェーディングとライトを強制的に制御できるシステムを取り入れました。このシステムは、現実のライティングとしては正確でないものになっても、特別な視覚効果を作りたいときに使用します。こうした要素を組み合わせて、慎重に色を制御し、それぞれのステージにマッチさせました。今紹介した方法はすべて、2D、モデル、アニメーション、エフェクト、背景、プログラミングなど、チームの各セクションが緊密に協力したおかげで実現できました。
Image courtesy of Arc System Works
GUILTY GEAR -STRIVE- は、ゲームのアニメ風のビジュアルを強化するために、リミテッド アニメーションを使用しています。これは、ゲームのカットシーンや、派手な覚醒必殺技では特に明らかです。どうやってこのようにすることができたのですか?

坂村氏:このビジュアルは、ギルティギア チームの特徴である、専門家による慎重な手作業で作られました。

GUILTY GEAR -STRIVE- では特に、シンプルなアニメ風のビジュアルではなく、それぞれの瞬間の感情や個性を表現する表情などのビジュアルを作成しました。こうしたビジュアルは、クリエイターたちが仕事に注ぎ込む情熱によって実現されています。

GUILTY GEAR -STRIVE- は、ネットコードが格闘ゲーム史上最高であると称賛されています。スムーズで一貫性のあるオンライン プレイをどのように実現したのですか?

テクニカル プログラマー、川上 裕貴氏:このネットコードを実装するのはわりあいに簡単なことでした。というのも、GUILTY GEAR -STRIVE- で使用することを決める前から、ロールバック ネットコードについて社内で情報収集を行っていたからです。

問題があったのは、処理の抜け落ちとメモリの容量でした。特に、標準の PS4 コンソールは PS5 や PS4 Pro と比べて CPU の性能が劣るので、ロールバック コードを実行すると処理が抜け落ちます。

CPU への負荷を最適化するうえでは、パーティクルとスケルタル メッシュの復元プロセスの負荷が特に高くなりました。そこで、エンジン側に調整を加えて処理の抜け落ちを解消しました。

メモリの容量の問題については、当初はすべてのオブジェクトが影響を受けるようになっていたところを、ロールバック中に必要なオブジェクトとそうでないオブジェクトを手作業で区別することで、必要なメモリの量を抑えることができました。

こうした最適化を行ったところ、最初は同期に深刻な問題が発生しましたが、それぞれの問題を慎重に解決していった結果、現在のネットコードができました。
 
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グランブルーファンタジー ヴァーサスドラゴンボール ファイターズの開発でチームが Unreal Engine 4 を使った経験は、GUILTY GEAR -STRIVE- の開発に役立ちましたか?

野沢氏:当然、そういった経験から大きなメリットを得ることができています。GUILTY GEAR -STRIVE- のスタッフの大半が、グランブルーファンタジー ヴァーサスとドラゴンボール ファイターズの開発にも関わっていたので、プロジェクトを開始して、新しいメンバーを開発にスムーズに参加させることができました。

チームで気に入っている Unreal Engine のツールや機能はありますか?

野沢氏:チームというよりは個人的な話になりますが、私はマテリアル エディタが気に入っています。マテリアル エディタでは、要求されたアーティストによる変更を実装しながら、結果をすぐにプレビューできるので、トライ アンド エラーのプロセスをスムーズに進めることができ、グラフィックスの品質向上に役立っています。
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このゲームは PlayStation 5 向けに最適化されています。PS5 のユーザーはどのような強化を期待できますか?

片野氏:最大の強化点は、ロード時間が短いことでしょう。もちろんグラフィックスも改善されています。PS5 では、ストーリー モードを 4K のモニターで経験していただきたいと思っています。また、アップデートによって PS5 限定のモードを実装することを検討しています。詳細については続報をお待ちください。

次世代のハードウェア向けのゲーム開発について、どうお考えですか?

川上氏:PS5 は次世代コンソールですが、その開発環境は PS4 のものと大きくは変わりません。PS4 向けの開発経験があるデベロッパーにとっては、PS5 向けの開発で難しいことはそれほど多くないと思います。PS5 の新機能はごく簡単に実装できます。

ただし、ネットワーク機能は新しいライブラリに移行したので、PS4 世代とは API に変更があり、ゲームの動作に若干の変化がありました。

本日はありがとうございました。GUILTY GEAR -STRIVE- の詳細情報はどこで確認できますか?

山中氏:最新情報は、ギルティギアの公式 Twitter (@GUILTYGEAR_PR) でご確認ください。重要な発表は英語でもしているので、ぜひフォローしてください。

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