© CAPCOM CO., LTD.2005, 2021 ALL RIGHTS RESERVED.

Armature Studio は Unreal Engine をどのように使用してバイオハザード4を VR に移植したのか

Mat Paget |
2022年3月16日

Tom Ivey 氏はゲーム業界で 20 年に及ぶ経験があります。最初はゲーム デザイナーとして Origin Systems で Ultima Online に携わり、次に Retro Studios で Metroid PrimeDonkey Kong Country シリーズに携わりました。その後、2013 年に Armature Studio に入社し、この数年はプロデューサーの役割を担うようになりました。
バイオハザード4 VR はメディアの歴史上、最も愛されているゲームの 1 つです。Gamecube でオリジナル版が 2005 年にリリースされて以来、主要なゲーム機が発売されるたびに、このゲームはほぼ毎回移植されてきました。Capcom ではこの象徴的な三人称視点シューターに対するファンの思いを理解しています。そこで、この有名なゲームを VR に移植すると決めたとき、VR に適していることと適していないことに精通しているデベロッパーである Armature Studio に作業を委託しました。

バイオハザード4 を新しいテクノロジーに適応させる際、Armature Studio では「これは面白いか?」をモットーにしました。オリジナルの Gamecube 作品に近いエクスペリエンスになるように細かく決める代わりに、Armature では VR で魅力的なエクスペリエンスになるかどうかに基づいてすべてを決定しました。それは、約 20 年間コントローラーでは非常にうまく機能していた RE4 で実証済みの手法の多くが使われないということを意味していました。それには止まって撃つ、インベントリ メニューに移動して武器やアイテムを装備する、その他にも 2005 年以来プレイヤーの頭に植え付けられている多くの細かい作業が含まれます。「これは面白いか?」というモットーを重要視することにより、Armature Studio は RE4 のゲームプレイを、オリジナル作品を思い起こすだけでなく、非常に楽しい VR アドベンチャーとしてのエクスペリエンスに効果的に移植しました。

私たちはシニア プロデューサーの Tom Ivey 氏から、オリジナル作品のアセットをすべて作り直したことからゲームプレイのあらゆる面を微調整したこと、そして最高傑作に忠実であることと VR ですぐれたエクスペリエンスを提供することとの完璧なバランスを狙ったことまで、Armature Studio が Unreal Engine でバイオハザード4を再制作した方法についてお話を伺いました。
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バイオハザード を VR に移植するというプロジェクトができた経緯についてお話を聞かせてください。

Tom Ivey 氏 (シニア プロデューサー):
Armature では、Oculus Studios と一緒に取り組んだ Quest 用の Sports Scramble のプロジェクトを終えた後、次にチームで何をするかについて話し合い始めました。それまでに Oculus Studios のチームとは最新の 2 つのプロジェクトですばらしい協力関係を築き、お互いに再び一緒に作業をすることに意欲的でした。また、次の共同制作では、より大きなプロジェクトを探そうとしていました。バイオハザード4 を Quest 2 に移植するという決定は、そこから始まりました。VR として制作するには、アクションの多いゲームプレイ、ドラマチックなストーリー、そして記憶に残る環境が揃っていて完璧だと思えたのです。

正直なところ、タイミングがほぼ完璧でした。また、非常に尊敬され、たくさんのすばらしいゲームの思い出が詰まった作品に取り組むことができたのは、チームにとって光栄なことでした。

Armature Studio について教えてください。

Ivey 氏:
Armature Studio は 2008 年、Metroid Prime シリーズの制作で中心となったデベロッパー 3 人と、ゲーム業界で長い経歴を持つ何人ものデベロッパーによって設立されました。この 13 年間で、多岐にわたるプラットフォーム間の移植から、Epic や Riot Games のような業界最大手のパブリッシャーとの共同開発、さらには Xbox および Windows PC 用の Recore、Oculus Quest 用の Fail Factory および Sports Scramble など、いくつかのオリジナル作品の自社制作など、さまざまなプロジェクトに取り組んできました。役付きのチーム メンバーの多くは、日本のパブリッシャーやデベロッパーとの作業経験が長く、そのおかげで Capcom とはすばらしい連携関係を築くことができ、バイオハザード4 の革新的なゲームプレイに忠実であることを念頭に置きながら、慎重にそれを VR に移植することができました。

これは Armature では初めての VR ゲームではありませんが、Fail FactorySports Scramble といった今までのプロジェクトとは非常に異なっています。それらの経験から学んだことで、バイオハザード4 VR の構築に活用したものはありますか?

Ivey 氏:
私たちはその 2 つのプロジェクトに取り組んでいたおかげで、VR 向けのバイオハザード4を開始する時に余裕を持つことができました。たとえばアイテムを拾ってそれを手に持っている感覚や、アイテムを投げてそれをワールドに表示する方法など、手による操作とジェスチャーベースのアプローチの多くは、以前に取り組んだ多くの作業のおかげで確実なものになっていますが、VR 向けの バイオハザード4 ではより一層それが推し進められていると思います。

私たちが最もよく学び、システムを構築したものは、ゲームの動きについてでした。Fail FactorySports Scramble はどちらも 1 つの場所で行われるゲームです。Fail Factory は動かずにすべてをプレイすることができ、Sports Scramble は、部屋の中で身体を動かすくらいのゲームです。バイオハザード4 では、広いワールドを移動するために最善のソリューションを見つける必要がありました。そのワールド内における快適な設定とアクセシビリティの面で、できるだけ多くの視聴者がゲームを楽しめるようにしたかったのです。

このように象徴的なゲームを VR で作り直すことがどのようなものであったか教えてください。

Ivey 氏:
まずは光栄だということですね、バイオハザード4 の仕事をするぞ!という。しかし、それが恐ろしくもあります。チーム メンバーの多くは、このゲームを初めて Gamecube でプレイしたときの思い出が焼き付いています。すばらしい経験ですよね?村で初めてチェーンソーを持った Ganado に追いかけられ、それをとても上手に攻略できたことを覚えていれば、その思い出を台無しにしたくはないはずです!

ありがたいことに、私たちには Oculus と Capcom というすばらしい仲間がいて、彼らはどちらも本当に協力的でした。
どのようなアプローチで、ファンが大好きなゲームの本質を維持したまま VR 用にエクスペリエンスを現代化したのですか?

Ivey 氏:
早い段階で、私たちは全員、VR に対応させるためにはゲームを変えなければならないことに気付きました。そのために忘れてはならない最も重要なことは、たとえば難解なルールや特別な意味を持つ数字、あるいは特定のタイミングではなく、面白くするということでした。常に面白く です。何か変更する際に出てくる疑問は、「これはオリジナルとまったく同じ値だろうか?」ではなく、常に「これは面白いか?本当に?それなら OK」でした。

そのことを念頭に置き、すべての場面に「ゲームのこの点を VR の表現力と Oculus Touch コントローラーの能力によってさらに面白くするにはどうしたらいいだろうか?」という疑問を持って取り組みました。ゲームプレイ、キャラクター、ワールドはすでに完成しています。このようなすばらしい基盤が揃っているのですから、あとはそれをどのように強化するかです。私たちは基本の武器からオリジナル作品で操作したすべてのボタンやレバーまで、できる限りすべてのものを「VR 化」しようとしました。目標は可能な限りプレイヤーにそのすばらしいワールドへの没入感を感じさせることと、銃を持った状態で標的を完璧に捉えながらナイフを取り出す、武器を持ち替えて空いた手で手榴弾を握って敵の集団に投げつける、などの動作を簡単に行い、Leon と同じくらい自分たちがクールだと感じさせることでした。

そのため、動作とカメラ システムを確立する初期の段階で、ワールド内での Leon の表示を維持することについて、私たちは Capcom および Oculus と何度も議論しました。早い段階でプレイヤーは正体不明の秘密諜報員ではなく、自分が Leon Kennedy であることがわかります。そのため彼の特徴的ないくつかの動作は、キックやスープレックス、あるいは 2 階の窓から飛び出す姿であっても、意図的にそれらの三人称視点を維持し、より単純な動作の多くはゲームプレイをスムーズにするために一人称視点に変更しました。それは微妙なバランスでしたが、正しい選択ができたことを願っています。

なぜ Unreal Engine が バイオハザード4 VR に適していると思われましたか?

Ivey 氏:
数年前のことですが、スタジオはできるだけ Unreal Engine での開発に注力していくことに決めました。そのおかげで、毎回新しいエンジンでゼロから始めるのではなく、ナレッジベースを構築し、プロジェクトごとに開発時間と品質を向上させることができました。Unreal Engine の非常に迅速にプロトタイピングできる能力は私たちにとって確実にメリットとなり、さまざまな分野のデベロッパーたちも簡単にゲームの作業に取り組むことができました。また、VR の各プロジェクトでは、Android ベースの VR プラットフォームで Unreal の最適な使用方法についての知識と経験をさらに積み、パフォーマンスと統合の両方において重要な教訓も学んでいます。今後これらのプラットフォームやゲーム向けに Unreal Engine がどのように進化していくのか、非常に楽しみです。

ゲームは元々 Unreal Engine で構築されたものではありませんでしたが、そのゲームを UE に移植することはどのようなものであったか、教えてください。

Ivey 氏:
動作とシューティングに対する最初のプロトタイプは 100% Unreal で作成しました。それは村のジオメトリをグレーボックスで作成し、ダミーの Unreal アセットを使用して敵の大まかな動作を模したもので、核となるプレイヤー システムの最高の表現の感触を得るために素早く作成したサンプルです。Oculus と Capcom と一緒にそれを確定させた後は、オリジナルのゲーム コードとアセットを集めてその上に構築していきました。

基盤となるレベルではオリジナルのゲーム コードを実行し、その上に VR の追加を C++ブループリント を組み合わせた形で重ね、その上にビジュアル レイヤーを足していますが、これらはすべて Unreal で作業しています。これは敵の動作や動き、コリジョン チェック、パズルなどはすべてオリジナルのソースから実行していますが、各所に変更を加えたものを Leon の動作、一人称視点の手や武器、収集、インタラクト可能なオブジェクトなどを制御するためのシステムに積み重ねていることを意味します。

そのため、壁にかかっているショットガンは、オリジナルのコードではオブジェクトとして表現されていることがありますが、それを手に取ると、手やその武器の装填、そしてワールド内での物理的な存在の表現が実行されます。モデルは Unreal で改良して再リグしたアニメーション モデルです。次に発砲すると、弾丸とダメージ、敵とのインタラクションと彼らの反応は、オリジナルのゲーム コードに戻ります。また、オリジナルのアニメーション データもすべて直接実行し、その結果を Unreal のポーズ可能なメッシュにプッシュしています。
バイオハザード4 VR は、シリーズで最も見栄えがするバージョンです。チームではどのようにしてゲームのビジュアルを改良したのか、教えてください。

Ivey 氏:
ビジュアルがじっくり凝視される VR の状況でも耐えられるようにゲームには多くの変更を加えましたが、常にプレイヤーが 記憶している オリジナル作品のように見えるかという点を意識しました。その点がとても重要で、たとえ実際にはオリジナル作品とはまったく違うようにレンダリングされていたとしても、彼らの記憶と合っていなければなりません。この点については、ゲームの最初の 2 つの部屋のアートを決める最初の話し合いのときに、Oculus および Capcom と詳しく話し合いました。

純粋なプロダクションの観点から言うと、ゲームのほぼすべてのテクスチャはゼロから、元の解像度の 4 倍、6 倍、 8 倍、場合によっては 10 倍で再作成することになりました。すべてのサンプルは、オリジナルの Gamecube のテクスチャを参照しています。また、レベル ジオメトリも変更しましたが、そのほとんどは鋭いエッジをスムーズにする、つなぎ目が粗い場所にブレンド テクスチャを作成する、または以前は 2D の平面セットだった燭台やその他の小道具などのオブジェクトに 3D モデルを作成するといった作業でした。VR の自由度によって多くのカメラを新しい場所に配置することができるため、オリジナル作品では見えなかった大量の穴や不自然な結合部分を修正する必要もありました。

次に私たちは、Unreal でライティングとフォグの再作成に取り組み始めました。ここで初めて、ゲームのカラー スケープを実際にプッシュし始めました。オリジナル作品には、かなりミュートされたパレットがあり、濃いフォグは半透明の 2D 平面を何千もレンダリングすることによって作成されています。平面的なフォグの使用は VR にはまったく適さず、ミュートされたパレットは VR でのゲーム表現をとても平面的に見せる効果がありました。そこで、私たちはテクスチャとライティングで色の彩度と深度をプッシュすることによって、より微妙なビジュアルのバリエーションをランドスケープに提供し、すでにそこに存在していたものを強調することを始めました。ゲーム初期の茶色いエリアでは赤い色調を増やし、その後のエリアでは緑や青の色調を増やしました。これらの多くは結局のところ微妙な変化で、先ほども言いましたが、プレイヤーがゲームを目にしたときの目標は、オリジナル作品と同じシーンとして記憶されることです。しかし、これらの変更のおかげでランドスケープに深みとバリエーションが加わりますが、同時にオリジナル作品が持つ全体的に「ミュートされた」スタイルも感じられるようになっています。

また、VR 用の新しい武器や手には努力を 惜しまず、詳細なモデルやテクスチャを再作成するだけでなく、アニメーション リグにもこだわり、指や手のひら、手首を回転させたり、握り締めたり、ねじったりする要素ができる限りシームレスでリアルに反応するようにしました。

ゲームを Oculus Quest 2 のモバイル アーキテクチャ向けに最適化した方法について教えてください。

Ivey 氏:
Gamecube のオリジナル版は 30 FPS で、そして TV 解像度で実行されました。Quest 2 の場合、少なくとも 72 FPS で実行する必要があり、ゲームの最初の部屋を再現して行った初期の実験では、見栄えを良くするには、ほぼディスプレイのネイティブ解像度 (片目ごとに約 1900x1900 ピクセル) で実行し、アンチエイリアスを有効にする必要があることが示されました。そのため、ゲームは 2005 年のものですが、私たちはモバイル プラットフォームで毎秒 200 倍近くのピクセルを描画するつもりだったため、それが課題となりました。

開発の初期に、私たちは以前の作品より大量のオブジェクトをフレームごとに描画する必要があることに気付き、そのために Open GL グラフィック ドライバを当時は比較的新しく、Quest ではテストされていなかった Vulkan に変更することにしました。

また、いくつかの変更を Unreal に加えてモバイル ハードウェア上のパフォーマンスを向上させました。遠くのクリッピング平面を作成できるように Unreal を変更したのです。Unreal の事前計算された可視性を微調整してより向上させ、エンジンのソフトウェア オクルージョン カリングを深く掘り下げて調べ、最大限に活用できるようにしました。さらに、エンジニアリング チームはアーティストたちと緊密に連携し、部屋のジオメトリを分割してクリッピングとカリングを向上させました。また、特定の用途向けに最適化されたゲーム全体で使用するための制御されたマテリアル セットを作成しました。

レンダリング時間をターゲットすることに加え、16 年経った今だからこそわかることですが、アルゴリズム的に改善できそうな場所についてオリジナルのソース コードも見直しました。たとえば、いくつかのコリジョン ルーチンを 10 倍スピードアップしました。

最適化の取り組みの一環として、いつでもゲームのパフォーマンスの状態を、ターゲットした変更に対する反応だけでなく、意図せずパフォーマンスに影響を及ぼした可能性のある全体的に行った変更を特定することについても追跡できることが非常に重要でした。そのため、ゲーム内のすべての部屋にあるさまざまな場所にジャンプしてパフォーマンスをサンプリングし、結果のデータを全体的なゲームの状態の変化を分析するために使用できる追跡シートにダンプするツールを作成しました。村、Salazar の塔、および戦闘集団の基地の 3 つは、何度もプレイヤーの前に現れるエリアです。
今回のゲームでは手動のリロード、二刀流、ボディ ホルスターが備わり、プレイヤーは射撃中に移動することができます。これらの戦闘システムを VR 向けにどのように調整したのか聞かせてください。

Ivey 氏:
この作業の多くは、最初のオリジナルのゲーム アセットを投入する前のプロトタイピング フェーズの 非常に 早い段階で行いました。私たちは Oculus および Capcom と緊密に連携してゲーム内における Leon とプレイヤーの最適な表現について合意し、数多くのオプションを作成し、最適な表現だと考えたものを定義しました。こうして、世界各地にいるそれぞれのチームは私たちの目指す方向を感じることができるだけでなく、さまざまな「what-if」や微妙な変更をまったく新しいビルドを待たずにテストすることもできました。

これにより、さまざまなタイプの武器の構え、リロード、射撃の 2 つのサンプルとしてピストルとショットガンを使用し、ゲーム内の主要なプレイヤーの表現がどのような感じになるかについて、かなり迅速に合意することができました。また、プレイヤーをできるだけその瞬間に維持しておきたいという願いから、いくつかの VR インターフェースの「厄介な」性質を削除しつつ魅力的で「リアル」に感じられるようにするため、その他のシステムの微妙な要素もこの時点で数多く確立させました。これには、プレイヤーがアイテムを環境に戻せないようにするといった小さなことが含まれていました。武器を急いで切り替えるとき、銃を地面に落としてほしくありませんでした。それにより Leon でいる楽しみが増すことはありません。Leon はとてもクールですから、そのようなことは起きないのです。

私たちはみなさんに自由に銃を宙に放り投げてもらい、次に弾倉を放り投げ、空中で銃をつかんで弾倉がつくのを確認したら、すぐに発砲してほしいと考えました。エキスパートのプレイヤーでなくても全員がつかんでいるものを落とす心配がないため、戦闘の真っ最中にワイルドな動きを試してもらいたいと考えました。そこで、武器のつかみ方、弾倉のロード方法などの「スムーズなスナップ」範囲は少し緩くなっています。またこれは、ショットガンのリロードを全体的に一度のシェル リロードで行えるような簡素化へと導きました。ゲームは「現実世界」の完璧なシミュレーターではないことが重要でした。これは「スーパー エージェント Leon」のシミュレーターなのです。

このプレイヤーをできるだけ「その瞬間」に維持しておきたいという願いは、さまざまな武器や消耗品をプレイヤーのボディに直接マッピングすることにも拡張されました。オリジナル作品では、武器を交換したり回復アイテムを使用したりするために頻繫にインベントリ画面に切り替える必要がありましたが、私たちはプレイヤーがアクション中にこれらのことをライブで行い、これらのさまざまなシステムをその瞬間の最中にバランスを取りながら行うスリルを感じてほしかったのです。ただし、チームにとって「インベントリ テトリス」と呼んでいた象徴的なインベントリは、そっくりそのまま残すことが非常に重要でした。これは多くのプレイヤーにとって バイオハザード エクスペリエンスの思い出深いポイントとなるため、その存在を維持し、それとインタラクトする必要がありました。

プレイヤーはライブで武器をリロードしたり、ボディの別の部分から手榴弾や消耗品を直接つかんだりもしますが、インベントリ メニューに戻ってそれらのクイック選択スロットをマッピングし、薬草を組み合わせ、さらなるアイテムのためにスペースを作り、武器にボーナス アタッチメントを接続することもできます。バランスは自然と取れました。

これらの新しい戦闘方法について、チームでは敵や特定の戦闘相手との遭遇のバランスを再調整する必要がありましたか?

Ivey 氏:
それはまた別の領域で、先ほどお話した「これは面白いか?それなら OK」という基本の原則や、初期の段階で確立したいくつかの選択から全体的なバランスが進化したものです。最初に、動作の自由度と照準の改善によってゲームが非常に簡単になったり、スリルがなくなってしまうかどうかについて何度も話し合いました。しかし、物理的なリロードの制御と弾薬の追跡、オリジナル作品の三人称カメラに比べてより制約のある視野角によって、その他の要素から得る利益との微妙なバランスが取れていることがすぐにわかりました。VR で環境内に物理的に配置すると、プレイヤーはオリジナル作品で利用される戦略的に「できるだけ遠くで動き、敵に顔を向け、近づいてくる途中まで発砲し、できるだけ早く動く」システムに頼り切るよりも、自然とスポットでより積極的にプレイする傾向がありました。すると群衆の真ん中で立ち尽くす可能性が高くなり、迅速に体の向きを変えてすべての敵にヘッドショットを撃とうとして身をよじり、回転し、前のめりになります。

そこで、私たちは敵の AI に変更を加え、Leon をターゲットにする方法を調整することにより、さまざまな状況におけるパスファインドを改善しました。Ashley はより一層 Leon を好み、多くの場所からプレイヤーに向かって武器を投げる、といったことです。また、ゲームのより過酷なセクションのいくつかでは、敵に遭遇する間隔が圧倒的に長く、VR では面白くないことがわかったため、敵のスポーン率に小さな変更も行いました。とはいえ、通常はハードコア プレイヤー向けのオリジナル設定と同様のプロ設定を維持しました。

ゲーム バランスの再調整で最大の課題は、ゲームが特定の方法で構成されているということによるもので、私たちはゲーム全体のフローを変更するつもりはありませんでした。たとえば、最初にショットガンを入手する場所を変えるつもりも、最初に大量の敵と戦うことになるタイミングを変えるつもりもありません。ただ、私たちは Leon の物語が始まる前の、まったく関係のない長いトレーニング レベルはいらないと考えていました。問題は、オリジナル作品ではプレイヤーのトレーニングでクリーン ヒットが測定されないことです。それは特定の部分に関する取扱説明書をプレイヤーが読むことに大きく依存しているだけでなく、全体的に比較的少ないコントロールを使用し、すべての武器が同様に制御されているという事実に大き依存しています。VR バージョンの場合、プレイヤーに武器やオブジェクトの物理的な操作についてプレイヤーに教える必要があることはたくさんありましたが、実際にゲームを開始した後は、そのゲーム フローを大幅に中断するようなことはしたくありませんでした。その解決策は、基本チュートリアルから開始し、次に「ゆっくりとしたエピソード」とリーダーライン プロンプトをいくつかのライブ チュートリアル エクスペリエンス用に使用し、その後しっかりとした一連のプレイヤーマニュアル動画をその基本トレーニングの補足として作成することでした。また、物理的なインタラクションをできる限り自然でつまずきのないものにするための多大な努力も重ねました
追加された破壊できる箱、プレイヤーが物理的に回す必要のあるレバー、VR 向けに再設計されたパズルなど、元々は VR 向けに設計されていないゲームで、よりインタラクティブで立体的に感じさせるために行った作業について教えてください。

Ivey 氏:
早い段階で、Armature のクリエイティブ ディレクターである Mark Pacini は、完全に物理的な VR バージョンに変換したかどうかの確認が必要だと思うインタラクションのリストを作成しました。これにはオブジェクトを拾う、作ったものを壊す、扉を開くなど、何度も遭遇するものやゲームプレイに不可欠なものが含まれていましたが、他にもたとえば最初のレベルでトラップに挟まれた犬を助けるなど、オリジナル作品をプレイしたことがある人びとに強調する価値があると考えた本当に覚えておきたい瞬間も含まれます。

次に、ゲーム内のすべてのオブジェクト、ボタンやレバー、クランク ホイール、スライディング パズルなどありとあらゆるものを含む拡張リストを作成し、アクションのカテゴリ (押し出す、押す、一方向に引く、二方向に引く、など) や使用された頻度と場所、物理的なバージョン、物理的なインタラクションに変換するために必要な作業の複雑度を書き出しました。当初の願いは、プロジェクトの終了時までにそのリストの大部分を変換できることでした。リストにあるすべてのプロップを物理的な表現に変換し、プレイヤーが本当にゲームプレイの基本的な部分として環境とインタラクトするワールドにいるような感覚にさせることができたことを嬉しく思っています。

ゲームプレイや快適さを考慮、あるいはゲーム内の Leon の存在を維持したいため、オリジナルの「Fast Action Button 押し」の実装や三人称表現を維持した場合もいくつかありました。たとえば、ボタンを押すとプレイヤーはギクシャクした動きでフェンスや窓を跳び越えるのではなく、素早く行うことができます。また、プレイヤーには、はしごや絶壁を登る真似をさせないようにしました。これは、数 (はしごの場合は高さ) があることによって面白さよりも面倒になりそうだと感じたことと、ゲームにはプレイヤーが「はしごを登っている途中」や「窓枠を超えている途中」であることを理解する AI や他のシステムの内部状態がないという事実によるものでした。私たちは物理的に登っている状態を追加することによってゲームプレイおよび没入感の観点からプレイヤーにもたらされるものを検討し、移動の摩擦とコードの複雑度、それによって発生する可能性がある不具合とのバランスを調整し、このような決断を下しました。プレイヤーが物理的に扉を開けるようにしたことと全く同じプロセスを行い、扉を途中まで開いて中を覗き込んだり、そこから射撃したりするようにしました。この場合、プレイヤーおよび AI の状態の基盤となる要素の一部を再構築し、機能させるという努力を行うことにゲームプレイの利点があると感じたのです。それでも、AI を更新して状態を処理するだけでなく、扉をつかんで大きく揺らして開いたり、体で扉を押したりすることが簡単で反応よく感じるようにするためには多大な努力が必要でしたが、ワールドを移動することが負担に思うようなことはありません。

プレイヤーが快適にプレイできるように、カスタマイズ可能なオプションが数多く用意されていますが、Armature では、どのような方法でアプローチしたのですか? 

Ivey 氏:
私たちにとって特に重要なことは、できるだけ多くの快適なオプションを提供し、できるだけ多くの多種多様な生活をしているプレイヤーに VR 版のバイオハザード4の世界を体験してもらうことです。私たちはゲームのため、多くの時間をこのテーマに費やしました。すべてのオプションと同様に、デフォルトの Standing、Immersive モード オプションのようにゲームのプレイが楽しく、没入できるように感じられる方法で実装されていることを確認したいと考えました。たとえば、実際に非常に魅力的かつ珍しい方法でゲームをプレイするために (また、スピードランナーたちの活用ぶりを見ることにとても興味があったので!) 、テレポート移動モードの構築に全力を注ぎました。

また、外部のホワイトペーパー テスターと内部および外部の QA チームの両方により、幅広いユーザーによるテストを大量に行いました。残念なことに、COVID の発生により、私たちのホワイトペーパー テストは通常行われる広範囲なものではありませんでしたが、開発チーム全体でさまざまな体格や身長、性別、および身体的なアクセシビリティの必要性など、多様性のあるユーザーを含めることができました。

そのようなテストと検討を行っても、プレイヤーに教えてもらったいくつかのオプションが不足していたため、今後リリースされるゲームにはさらに多くのオプションが追加される予定です。また、Oculus は最近、システム レベルでアクセシビリティ オプションを拡張しています。これにより、すべての規模のデベロッパーがよりアクセスしやすいゲームを作成できるようになることを願っています。

複雑さを増していく VR 製品への取り組みが増えていくと、新たに認識することになる考えが常に現れるため、VR ランドスケープで開発しながら常に学習し、ナレッジベースに追加していくことが重要です。また、すべての製品において、増え続けていくさまざまなアクセシビリティ オプションをカバーし、それらのオプションをなるべく早くゲーム内にベイクするために、より厳格な基準と慣例を作成する必要があります。それにより、可能な限り慎重に検討し、シームレスに統合することができます。
ゲームを VR に移植する際に最も困難を極めた課題は何でしたか?また、それをどのように克服しましたか?

Ivey 氏:
技術的な面から言うと、2 年がかりのプロジェクトではたくさんの課題が発生しました。オリジナル作品の (パッケージ化、オーディオ、アニメーション、カットシーン、カメラ、パスファインド、テクスチャ、トリガー、メッセージ用などの) コードとデータ形式をすべて理解し、オリジナルのパーティクル エフェクト システムを再実装し、フレーム レートですべてを実行させました。また、100 個のさまざまなオブジェクトをスムーズかつ正確に手でつかませ、さらには、カットシーン内のキャラクターのシャドウのシステムを再作成するような一見簡単に見えるようなものでも課題となりました。ゲームを移植する場合、開発チームにとってはほとんど意味が伝わらないコメントが付いた何十年も前のコードを掘り起こすと珍しい課題が山ほど発生します。そして、このような適応移植の場合は、作成したすべての新しいコンテンツの課題と古いシステムにどのように対応するかを追加すると、それらの多くがお互いに悪影響を及ぼします。

しかし結局のところ、それでもバイオハザード4に関わっているのですから、文句を言うことはできません!問題を掘り下げて最善かつ最も堅牢な解決策を探そうとすると、必ず次の課題が現れるものです。

ゲームは幅広い評論家とコミュニティから高い評価を受けています。このような評価について、どのように受け止めていますか?

Ivey 氏:
プロジェクトに対する好意的な反応を見て、全員で大喜びしています。私たちはこの作品を本当にとても大切に思い、オリジナル バージョンに多大な敬意を払っています。そのため、それを VR に移植する際は、最善を尽くしてバイオハザード4の品質を表現したかったのです。みんながこれらのすばらしい動きを成功させ、プレイによって彼らの個性が輝いているのを見ることは、実にすばらしいことです。私たちは全員、これらの珍しい方法でゲームをプレイする人びとの楽しいクリップを共有しています。

また、多くのプレイヤーにとってはこれが初めてプレイする バイオハザード だと聞いて嬉しいです。彼らにこのすばらしい作品を紹介することに携われたことが幸せです。

本日は貴重なお話をありがとうございました。Armature Studio と バイオハザード4 VR についての詳細は、どこで確認できますか?

Ivey 氏:
Armature Studio については www.armature.com および @ArmatureStudio で、バイオハザード4 VR については www.oculus.com/resident-evil-4/ で確認することができます。

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