画像提供:Harmonix

Harmonix がパワフルでありながら使いやすい音楽制作ゲーム FUSER の開発について語る

Daniel Sussman 氏は、2000 年代の初頭から Harmonix に在席している音楽ゲームのベテランです。FUSER のプロダクト マネージャーという役職を離れたプライベートでは、Daniel はドゥームメタルのレコード盤を熱心に収集し、TikTok の最新トレンドに遅れをとらないように励む一面を持っています。
大勢の人がコンサートに行くことができない今、リズム ゲームFUSER はその空虚感を埋める役割を果たしています。Engadget は、このゲームを「パンデミックの時期にうってうけのゲーム」と評価しています。多くのファンに支持される音楽ゲーム Rock BandDance Central を制作した Harmonix が開発した FUSER は、誰もがデジタルの音楽フェスでバーチャル DJ になれるゲームです。プレイヤーは、Billie Eilish、Coldplay、Lady Gaga などの人気アーティストの 100 曲以上の楽曲を利用できるだけでなく、ドラム、ボーカル、ギター、シンセサイザーなどの個別の楽器のトラックが搭載されており、手軽に利用できます。ミックスをさらに進化させるために、プレイヤーは曲のキーとテンポを調整して、セッションをオンラインで共有することができます。

Harmonix が Unreal を活用して、きわめてパワフルでありながら、楽しく使いやすい音楽制作ツールを開発した経緯について、プロダクト マネージャーの Daniel Sussman 氏にお話を伺いました。Daniel Sussman 氏は、FUSER を開発するにあたり、過去のリズム ゲームの経験をどのように生かしたかについても詳しく語ってくれました。
 
 
FUSER
は、プレイヤーの操作性がかつてないほどのレベルまで向上しており、驚くほど充実していますね。これは、このプロジェクト全体を網羅する大きな目標の 1 つだったのでしょうか?

プロダクト マネージャー Daniel Sussman 氏:
そのとおりです。FUSER の開発にあたっては、プレイヤーが共有したくなるようなミックスを制作できるようにすることが基本的な目標でした。そのためには、プレイヤーが自慢に思い、コミュニティの他のプレイヤーにも興味を持ってもらえるようなミックスを制作できるクリエイティブなツールや機能を開発する必要がありました。FUSER のゲームプレイは、クリエイティブな操作性を実現したものに他なりません。

Rock BandDance Central などの人気の音楽リズム ゲームに携わったご経験が FUSER の制作に生かされたのではないしょうか?

Sussman 氏:
おっしゃる通りです。Harmonix が手がけるすべてのゲームには、新しいコンセプト、機能、および技術が導入されていますが、それらについては後続のリリースで再検討されることが多々あります。FUSER では、DJ カルチャーを盛り上げ、音楽ゲームとはどのようなものかに関するまったく新しい考え方をゲーム コミュニティに提案したいと考えました。同時に、お分かりのように、Rock BandDance Central で、壮大なステージ ショー、およびパフォーマンス、ダンスのための本格的なキャラクター アニメーションをデザインしてきた経験が、FUSER の舞台となる壮大な音楽フェスの空間を構築するうえで役立ちました。
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Rock BandDJ Hero といった他の多くの人気のリズム ゲームとは違って、FUSER には追加の周辺機器が必要ありませんね。物理ハードウェアを必要としないことは、開発の初期段階から意図されていたのでしょうか?

Sussman 氏:
物理ハードウェアを取り入れないことを意図していたわけではありません。Harmonix では固定観念にとらわれることなく、カスタマイズされた周辺機器の活用も常に考慮に入れています。ですが、ゲームを開発していくうちに、周辺機器を追加することで、ゲームへの没入感やゲームプレイの機能的な要素を高めることはできないと感じるようになりました。そのため、FUSER をマウス、キーボード、コントローラーの 3 つのデバイスで開発することにしました。

FUSER のユーザー インターフェースは、そのエレガントさと使いやすさが評価されていますね。このようなパワフルな音楽制作ツールとこのユーザー インターフェースの組み合わせでは、特に重要だと思われます。ユーザー インターフェースの設計アプローチについてお聞かせください。何度もイテレーションを重ねたのでしょうか?

Sussman 氏:
開発当初から、私たちは FUSER を、プレイヤーがクリエイティブに自分を表現できる快適な場所にすることを目指して取り組んでいました。ユーザーの前面に 1 回で表示できる情報量や、プレイ中により細かいコントロールにすぐにアクセスできるようなアイテムの配置にこだわって、開発中は何度もイテレーションを重ねました。ソング リストなどのアイテムは何度も何度も変更しました。ベストだと思える正解にたどり着くまで配置やサイズ、アイテム数、表示データなどを調整したのです。

配色からフォントの選択まで、できるだけ読み取りやすく、わかりやすい UI にしたかったのです。明るい色使いや端部が丸みを帯びた形は、きわめてパワフルな音楽制作ツールの圧迫感を感じさせないために意図的に加えました。FUSER では簡単に優れたサウンドの音楽を制作できます。その特徴をこのゲームの UI に反映させつつ、充実したツールセットを保持したいと考えました。
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FUSER は、音楽初心者でも使いやすい一方で、充実したツールや機能で DJ にとっても魅力あるゲームと高く評価されていますね。このバランスはどうのようにして実現されたのでしょうか?

Sussman 氏:
ゲーム冒頭の 30 分で、コンセプトやファンタジーをどのようにプレイヤーに伝えるかということに注力しました。1 つ付け加えると、サウンドトラックは、このゲームの使いやすいさを実現するうえで、とても重要な要素だと感じています。聞き慣れた曲の要素を組み合わせることができることは、FUSER をプレイするときに覚える不思議な感覚に大きく寄与しています。その後、UI や基本的な前提に慣れてくる頃に、楽器やエフェクトをはじめとする大量の新しいコンテンツで、ゲームが展開されていきます。ただし、最初の仕掛けは徹底したものでなければなりません。

FUSER には、さまざまなジャンルのドラム、ベース、ギター、ボーカルなどの独立したトラックで構成される 100 曲以上の素晴らしいラインナップが搭載されていますね。音楽ライブラリの選ぶ際のポイントを教えてください。

Sussman 氏:
このサウンドトラックを非常に誇りに思っています。FUSER のサウンドトラックは、これまでのどのゲームよりもはるかに多様なものにする必要があると考えていました。Rock Band は、ロック ミュージックを讃えるシリーズです。Dance Central は、ダンスミュージックとカルチャーを讃えるゲームです。FUSER は DJ ゲームですが、DJ カルチャーは EDM やダンス ミュージックだけのものではありません。DJ は、意外性のある要素を重ねたり、あらゆる種類の個性的なサウンドを混ぜ合わせて自分ならではのサウンドを作っていきます。FUSER ではそういった DJ のような体験をしてもらいたいと考え、幅広いジャンル、スタイル、時代の音楽を網羅した楽曲セットをご用意しました。
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それぞれ独自のテンポやキーを持つ複数の人気の楽曲から、ドラム、ギター、シンセサイザーのさまざまなトラックをサンプリングしているにもかかわらず、FUSER では、そういったトラックがきわめてうまく融合されており、必ずといってよいほどクオリティの高いサウンドを制作できますね。具体的にこのような仕組みをどのようにして構築したのかヒントをお聞かせいただけますか?

Sussman 氏:
Harmonix には、ミックス エンジンに全力で取り組んでいる、優れたスタッフが数名います。また、私たちはミックス エンジンの限界を考慮しつつ選曲しています。つまり、テンポの観点でのスイート スポットは確実に存在します。それとともに、拍子記号、コード進行などの一部の音楽的要素については最適化を行います。

FUSER を使用すると、プレイヤー同士が協力して音楽を制作したり、対戦してオンラインで他のプレイヤーから投票してもらったりすることができます。マルチプレイヤーに対する革新的なアプローチについて教えてください。

Sussman 氏:
私は FUSER をとりわけ競争的なゲームだとは思っていませんが、ほとんどのゲームと同様に、自分のスキルを他のプレイヤーと比較することは実に楽しい場合があります。連携プレイのフリースタイル モードでは、クリエイティブな DJ バトルを繰り広げ、セッションで観戦者に自分のスタイルを披露することができます。バトル モードでは、正統派の対戦の要素が強く、インターフェースを使いこなし、適切なタイミングで適切なループを見つけ出すスキルを競い合います。2 つのモードの対戦はまったく異なる体験になります。とはいえ、どのマルチプレイヤー モードでも (またゲーム全体でも) 実現したかったのは、音楽フェスのナレーティブと最高にクリエイティブな自分になるという感覚です。FUSER では、コラボレーションも対戦も、音楽を中心に展開されます。あなたはステージ上の DJ で、音楽史に残る名曲の数々のエレメントをミックスするのです。
画像提供:Harmonix
FUSER は、プレイヤーがオンラインで音楽を制作し、共有できるため、Engadget などのサイトでは、「パンデミックの時期にうってつけのゲーム」と評価されています。このような評価について Harmonix ではどのように受け止めていらっしゃいますか?

Sussman 氏:
FUSER は確かに空虚感を埋めることができるゲームだと思います。私は、キャンセルされたライブや音楽フェスのチケットを持っていました (多くの人が同じ経験をしたと思います)。そのため、FUSER の世界に飛び込んでライブ ミュージックを楽しむことで満足感を得ていました。ユーザーの皆さんにもそう思っていただけたら嬉しいですね。

なぜ Unreal Engine が FUSER に適していると思われたのでしょうか?

Sussman 氏:
Unreal Engine は、ターゲットとするすべてのプラットフォームに標準で対応できるだけでなく、レンダラ、入力システムなど、FUSER 独自のニーズに合わせてシステムを柔軟に対応できるという点で、非常に優れています。また、当時のインハウス エンジンには確実に欠落していたネットワーク マルチプレイヤーにも、標準で対応していました。
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FUSER は、カラフルなグラフィック、6 つの壮大な会場、豊富なライティング エフェクトや、火炎装置などリアルで鮮やかなショーを演出する要素が満載ですね。どのようにしてこのようなゲームの外観を作り上げたのでしょうかお聞かせください。

Sussman 氏
:Harmonix には、壮大なステージやライト ショー、パフォーマンスやダンスのための本格的なキャラクター アニメーションの開発に精通しているスタッフが多く在籍しています。私たちは、それぞれのステージが異なる雰囲気を持ちながらも、それぞれが壮大なスケールの1つのショーピースを形成するようにしたいと考えました。Harmonix の他のタイトルにはない FUSER の 1 つの特徴として、会場の空間をカスタマイズできることが挙げられます。ライティング パレット、ステージ、観客の FX、各ステージのビデオ スクリーンなどを選択できます。また、時間帯も選択できます。こういったカスタマイズは、私たちが開発したステージやライティング リグなどの基礎となるテクノロジーを活用して実行されます。 

貴重なお話をありがとうございました。FUSER および Harmonix の詳細はどこで確認できますか?

Sussman 氏:
www.fuser.com および Epic Game Storeをご確認ください。

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