Image courtesy of Square Enix

RPG 感覚をバトルロイヤル アクションとブレンドする Final Fantasy VII: The First Soldier

Mat Paget |
2022年3月18日
市川 翔一氏は2016年に Square Enix へモバイルゲーム『フレイム×ブレイズ』のアシスタント プロデューサーとして入社しました。Final Fantasy VII シリーズとバトルロイヤル ゲームジャンルの長年のファンであることから、Final Fantasy VII: The First Soldier のプロデューサーに就任しました。プロデューサーとして、クローズド ベータ テストの計画とフィードバックの製品版への反映、将来のコンテンツアップデートの計画を含む、日本版、海外版のゲームの制作全般の管理を行っています。
Final Fantasy VII Remake のリリースから、Square Enix はこの伝説的なゲームの物語を新しいゲームによって拡張してきています。Final Fantasy VII: The First Soldier では愛される名作 RPG へと繋がる過去の時系列をアクション満載のモバイル向けバトルロイヤルとして体験することができます。戦いで使用するのは銃や剣だけではありません。各スタイルのユニークなアビリティにファイナルファンタジーシリーズにおなじみの魔法も使うこともできます。

The First Soldier のハイペースなアクション、様々なビジュアルエフェクト、家庭用ゲーム機のようなグラフィックはモバイル向けのゲームとして驚異的です。携帯電話で実現することはどのように可能になったのでしょうか?Square Enix のプロデューサー市川 翔一氏に開発チームが Unreal Engine をどのように活用して Final Fantasy のバトルロイヤル体験を作り上げ、携帯向けに最適化したのか話を伺いました。
 

他のバトルロイヤルゲームとの差別化は、どの様なところで図っていますか?

市川 翔一氏:
RPGとアクションの融合です。

ファンの方が慣れ親しんできてくださった Final Fantasy VII という世界感、システムを大きく崩すことなく、バトルロイヤルという全く操作感の異なるジャンルに挑戦することで、Final Fantasy の新しい楽しみ方を提供することに挑戦しております。

Final Fantasy VII: The First Soldier は、Final Fantasy VII の時間軸のどの時点に当てはまる物語でしょうか?

市川氏:
『ソルジャー計画・プロジェクト0』が開始されたのが Final Fantasy VII から遡ること、30数年前となり、Final Fantasy VII: The First Soldier はそこから十数年経った時間軸となっております。端的に言うなら元の作品の時間軸から約 20 年前となります。

The First Soldier はモバイル作品にして、非常に美麗なグラフィックが見られます。本作のグラフィックをモバイル端末向けに最適化するにあたり Unreal Engine が役に立った部分はありますか?

市川氏:
開発(エンジニア)、グラフィッカーとそれぞれ役立った点があります。エンジニアとしては 2 つありましてテクスチャ ストリーミングモバイルプレビューです。テクスチャ ストリーミング機能はモバイル展開という事で限られたメモリの中で効率よくテクスチャをロードする仕組みの最適化に役立ちました。またモバイルプレビューは端末と同じ見た目をエディタ上で確認が出来るので調整作業を効率良く進めることが出来ました。

グラフィッカーからも同じく 2 つありまして、ひとつは「スケーラビリティ設定の柔軟性」で端末性能を想定したスケーラビリティ設定に応じたリソースの調整をスムーズに行うことが可能でした。 もうひとつはライティング調整反映の即時性でモバイル用ライティングの結果が即座にゲーム中に反映でき、エディットも容易に行うことが出来ました。
Image courtesy of Square Enix
The First Soldier の迫力あるVFXを実装した方法・工程について詳しく教えていただけますか?

市川氏:
端末の様々なスペック差を考慮した設計でエフェクトの作成・実装をすすめています。リダクション、最適化はカスケードの LOD、メッシュ化によるオーバードローの軽減、スケーラビリティ設定、ポストプロセスマテリアルの併用等様々な対策を行いました。

また UE の特徴的な高輝度時のエフェクトのグロー表現が、品質向上にかなり効果的でした。メッシュパーティクルを多用し、マテリアルの高い柔軟性と合わせることで描画コストを抑えながらも立体的で多彩な画作りを行うことができ、ハイエンドなコンシューマータイトルと同等の品質を想定していた当初のクオリティに近い VFX を実現できました。 

Final Fantasy VII Remake 用に作成した素材を The First Soldier で活用する事はありましたか?

市川氏:
はい、参考としては非常に活用することが多かったです。ディテールの確認や Final Fantasy VII の世界観を再構築するにあたり、何が Final Fantasy VII らしさを生み出しているのかの検討など…なかなか言葉表現することは難しいですが、グラフィックがあるからこそ開発の共通言語化できることも少なくなかったです。

「モンク」、「ソーサラー」、そして「ニンジャ」等と言ったスタイルについて、それぞれの操作感に関してのアプローチと、どの様なバランス調整がされているのかを教えていただけますか?

市川氏:
まずはそれぞれのスタイルに「ニンジャ」ならば機動力、「モンク」なら生存性というようにコンセプトを設けております。そして、それぞれがコンセプトを体現できるようにスキルセットやバランスを取っております。特にそれぞれのスタイルの調整で意識したことは得意とする戦闘の適正距離です。近接なめっぽう強いウォリアーに対して中距離であれば範囲攻撃で優位に立てるソーサラーなどです。 

適正な戦闘距離を意識する遊びを加えることで使うスタイルによってさまざまな遊びが成立するように考えております。
Image courtesy of Square Enix
リアルタイム バトルロイヤルという環境の中で、銃を使ったプレイとマテリアの使用が繰り広げられますが、どの様なアプローチをとっていますか? 

市川氏:
銃は言わずもがなバトルロイヤルをはじめとするシュータージャンルの花形です。Final Fantasy VII: The First Soldier でも各戦闘距離に応じて銃の使い分けを意識するようにしており、適正な銃種を使用することでしっかりとリターンを得られるように設計しております。  

その前提においてマテリアは適正戦闘距離の概念を一定度崩すものとなると考えております。それは範囲の攻撃であったり、上空に飛び立つことのできる効果であったりと様々ですが、いずれも単体で使用するよりも銃や近接と組み合わせることで真価を発揮するようになっております。

これによりこれまでの銃メインの戦略から組み合わせて戦うという他タイトルとは異なる楽しさを生み出せるものとなっていると考えております。
Image courtesy of Square Enix
戦闘について、Final Fantasy VII のように感じつつ、バトルロイヤルゲームの枠内に収まるようにする際、ゲームデザインの面で苦労した部分があれば教えていただけますか? 

市川氏:
最も苦労したのは、銃と近接のバランスです。現実でも『銃は剣よりも強し』という言葉がありますが、いかに剣で銃に肉薄するか、というのに苦心しました。もちろん、バランスを偏らせればいくらでも剣を強くすることはできますが、このリアルな戦闘表現の中でしっかりと剣の価値を生み出すということにこだわったためでもありました。  

結果としては、各攻撃の適正範囲や連続攻撃上限数を意識することでそれぞれの攻撃を活かすことができるようになりました。  

本作では召喚獣が登場しますが、バトルロイヤル作品の中で召喚獣での攻撃を成立させるためにどの様な工夫をされましたか? 

市川氏:
召喚獣は強力でなければ面白くない。というのがスタートでした。 

そのうえでただの範囲攻撃などにならないよう召喚獣それぞれに特徴を付け、メリットとデメリットを際立たせていくことで最終的に使いどころを見極めればきわめて強力だが、もろ刃の剣ともなる、というちょうどよいバランスでの着地となりました。
Image courtesy of Square Enix
モンスターやロボットなど、NPC の敵は戦場でどの様な役割を果たすのでしょうか?  

市川氏:
基本的にはプレイヤーの邪魔をする存在です。ただ、討伐をすることでレベルアップに必要な経験値の獲得やアイテムの入手などバトルを有利に進めるリターンもあるため、アイテムを探しに行くのと少しだけリスクを冒してモンスターを倒すのかの 2 択をプレイヤーが選択できるようになっています。  

特にモンスターは荒野など、街の外に多く存在するので、必ずしも街に降りなくともアイテム補給や自身の強化ができるというアイテムキャリアーの側面も持っています 

ゲームのマップはどのような方法や工程でレベルデザインしているのでしょうか? 

市川氏:
レベルデザインは、モックモデル配置→プレイ確認→アセット配置&作りこみというフローでトライ&エラーを行いました。 

地形制作に関してはランドスケープ機能を活用し、エリア、アセット等、サブレベル単位で各エリアを管理し、形状、テクスチャの変更をペイントで行うことで 調整を行いました。 

本作に Unreal Engine の使用が適していると思った理由は何ですか?

市川氏:
Final Fantasy VII Remake も採用しており、グラフィックの品質も高かったことをはじめ、同業他社のモバイル展開している FPS タイトルでも採用されており、オープンワールドを構築するのに適していると考えた為です。

Final Fantasy VII ファンがニヤリとするようなイースターエッグ要素や楽しいサプライズは用意されているのでしょうか?

市川氏:
はい。是非プレイして見つけてみてほしいですが、随所にファンの方が思わずニヤリとするようなネタを仕込んでおります。是非ここで紹介するのではなく、ご自身の目で見つけていただければ幸いです。

お時間、ありがとうございました。 Final Fantasy VII: The First Soldier についてもっと知りたいユーザーが参照できるサイト等があれば教えてください。

市川氏:
詳細をさらに知りたいプレイヤーの方は、公式サイトや最新情報を投稿している Twitter をご覧ください。

Final Fantasy VII: The First Soldier のアクションをお楽しみいただければうれしいです!

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