6人の学生が短期開発を経て受賞を勝ち取った『音庭のエイン』製作インタビュー

Yuya Shiotani |
2021年6月11日
ファンタジー世界のオルゴール店を舞台とした箱庭パズルアドベンチャーゲーム『音庭のエイン~魔法仕掛けの調律師~』(以下 音庭のエイン)。ユーザーはオルゴール店の店長となり、世界一のオルゴール店を目指すために商品であるオルゴールの中のミニチュア世界を魔法で動くエインというミニチュア人形を操作しオルゴールを修理していくというゲームとなっています。

今回、Unreal Engine 4(以下 UE4)を使用し、音庭のエインの開発を行った京都にある京都コンピュータ学院の学生6名にインタビューさせて頂きました。
音庭のエインは学内コンテストであるKCG AWARD 2021にて最優秀賞を受賞しただけではなく、チームメンバー全員がそれぞれの自宅からオンライン環境下で制作された作品となっています。オンラインならではの彼らの工夫や取り組みをぜひご覧ください。

どういった作品をUE4で作成されたのでしょうか?

開発チーム:
音庭のエインのゲームシステムは流れている音楽が表現しているものが実際のオルゴール内のミニチュア世界に反映されるというコンセプトとなっています。ステージのBGMが晴れを表現していればステージも晴れとなり、BGMが雨を表現していれば雨へと移り変わるというゲーム内のBGMとステージの状況が連動するものとなっています。
ステージ上に配置した音を入れ込むことができるギミックには音を流し込むことで、花はミニチュアから本物になり花開くようになります。音庭のエインはこれらの仕組みを駆使し、ステージのパズルを解き進んでいくゲームとなっています。
 
チーム構成や役割分担について

開発チーム:チームリーダー兼プランナーの豊田 龍斗さんを始め、ゲームデザイナーの一井 元紀さん、早稲田 龍太さん。プログラマの宮下 コウジさん。サウンドの嶋田 碧さん。アーティストの井守 彩音さんの計6名のチーム構成となっています。
左から豊田龍斗さん、一井元紀さん、早稲田龍太さん、宮下コウジさん、嶋田碧さん

制作期間について教えて頂けますか?

開発チーム:
2020年の9月後半からチームメンバーを学内で集め始めました。10月の頭から制作を開始して、2021年1月末までの約4ヶ月での制作となっています。
最初にプレイするステージ1が完成している状態であるα版を3週間で完成させました。そこから全ステージやステージのテーマに合わせたサウンドの制作をして組み込みを行ったβ版の制作を7週間ほど行いました。最後に1月末までの約2ヶ月間をデバッグなどにあてました。

こだわった点について教えて頂けますか?

開発チーム:
音庭のエインではスタイライズドなアニメ調な風景となるようなアセットを使用していましたが、どうしても必要なアセットが見つからずリアル調なアセットしかなかった場合はテクスチャを編集したりポストプロセスによってアウトラインを加えてアニメ調に合わせるようにしていました。
ゲーム全体を通して温かみのある雰囲気表現するためにフォグやポストプロセスの調整もしています。
その他にもストーリーの表現には文字を使わずに演出のみで表現しています。
音庭のエインではタイトル画面のBGMが5つの要素を使用してカスタマイズできるようになっています。ゲーム開始時に訪れる一般家庭のシーンではデフォルトのBGMが再生されますが世界一のオルゴール店となってエンディングを迎える時にもう一度訪れた時にはユーザー自身がカスタマイズしたBGMが流れるようになっていて、一般家庭にまでオルゴールが普及したといった演出を用意しています。
 

ステージのレベルデザインではすべてのステージにユーザーが遊ぶ上でステージごとに役割を設けるようにしています。
ステージ1はチュートリアル、ステージ2や3は新しく登場するギミックの使い方を学ぶステージになっています。ステージ4や5は今までに登場したギミックを活かした応用編のようなステージとなっていて、ゲーム全体の難易度曲線を意識したデザインにしています。
約4ヶ月の短期間で全10ステージを制作した工夫などはありますか?

開発チーム:
音庭のエインではステージの設計にMinecraftを使用しています。
制作期間が短い中で各ステージのBGMをこだわるためにはサウンド担当のメンバーに早い段階でステージのイメージを伝えて制作に入ってもらう必要がありました。Minecraft上で設計を行うことで早い段階でステージ上の建物の位置やギミックの位置などを決めることができたため、具体的なステージのイメージ早いタイミングでサウンド担当のメンバーにステージのイメージを早い段階で伝えることができました。
またMinecraftを使うことでチームメンバーがオンライン上で1つのワールドに集まることができるため、実際のステージを見ながらお互いにフィードバックを出し合い同時に編集することができました。

チーム内でのコミュニケーションはどのようにしていましたか?

開発チーム:
Discordを使用してチーム内での連絡を取っていました。口頭でのやりとりで何かを決めた時は必ずそのログを専用チャンネルに残すようにしてチーム全体へ共有するように徹底していました。
プロジェクトデータの共有にはGigaFile便を使用して、マージしたいデータをUE4の空プロジェクトに保存してからZip化してDiscordの専用チャンネル内でアップデート情報を書き込む形でプログラマに共有してマージ作業を行っていました。
作業競合を起こさないようにデータの更新を行う時には必ずDiscord上で宣言するようにしていました。それでも競合することがあったので、再発防止のためにプレイヤーキャラクターのような影響範囲が大きな物を編集する時には一番気をつけていました。
他にも週に1度、授業としてZoom上で集まって作業をする時に簡単なマージ作業であればZoomのリモート制御を使用してマージを行うこともありました。

次回の作品制作の際はソースコントロールを使ったバージョン管理に挑戦して頂けますと複数人での開発の際にマージや編集時のDiscord上での宣言などのコストが抑えられますので是非チャレンジしてみてください。

開発チーム:
ありがとうございます。次回からは勧めていただいたソースコントロールを使用したバージョン管理にチャレンジしてみたいと思います。

どうしてUE4を選んだのでしょうか?

開発チーム:音庭のエインを作るにあたって重要視していたグラフィック面がUE4では元々の状態でもかなり良い状態でした。そこから過去にマーケットプレイスで無料配布されたChameleon Post Processというポストプロセスマテリアルを使用して、手軽に綺麗な表現ができそうだと思いました。
その他にはチーム人数やプログラマが少ないチーム編成でもゲームデザイナーが実装や他のチームメンバーへのサポートに入ることができるのでゲームデザイナーでも使いやすいゲームエンジンという点でUE4を選びました。

UE4をどのようにして覚えましたか?

開発チーム:ネット上に公開されているゲーム制作チュートリアルなどを使用したり、学校に設置されている「Unreal Engine 4 で極めるゲーム開発」や「Unreal Engine 4 アクションゲーム ブループリント入門」などの書籍やぷちコンに参加して手を動かしながら勉強しました。
つまづいたり、わからないことがあった時にはネット上で調べて解決方法を探すようにしています。日本語で欲しい情報が出てこない時には英語に変えて調べると海外の方が過去に質問した内容やYoutubeの動画が見つかるので出てきた情報を元に手を動かしながら覚えていきました。
 
UE4を選んで良かったことはありますか?

開発チーム:
ゲームエンジンという共通言語を使用してプログラマと同じ視点に立って説明することで分かりやすくイメージを共有でき、助かったことが何度もありました。
ゲームデザイナーでも手軽に操作ができて、少人数でもゲームを作ることができる点やゲーム制作に対して難しそうな印象持っていましたがUE4はブループリントを使用して実装ができるので難しい印象が無くなっていき、作りたい物をガンガン作ることができたのでUE4にはとても助けられました。
今後の展望について教えて頂けますか?

開発チーム:
これからもゲームイベントには積極的に参加していきたいと考えています。その際はまたチームで集まって必要な素材について話し合うつもりです。
今まではパズルゲームを作ってきましたが、残り2年ある学生生活の間にアクションゲームやオンラインゲームの制作に挑戦したいと思います。
他の学生に向けて何かあればお願いします

開発チーム:
ゲームデザイナーを目指す方はゲームを考えるだけでなく、実際に手を動かして作って見てほしいです。ゲームを作りたいけど何から始めれば良いのかわからない人はとりあえずUE4を触ってみて欲しいと思っています。専門学校に入るまでゲームに関する知識はありませんでしたが、そういった自分でもUE4を学んだことで音庭のエインのような作品を作れたのでUE4を是非触ってみてほしいです。
ありがとうございました。

今回インタビューした音庭のエインはゲームとサウンドトラックの販売が開始されています。現在は日本ゲーム大賞に向けて作品を製作中とのことです。

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