UEFN: フォートナイトに UE のパワーを
Image courtesy of Square Enix Co., Ltd.
『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』は、お宝探しのワクワク感がある魅力的な RPG 派生作品です
Mike Williams
2023年5月22日
Square Enix
TOSE
インタビュー
ゲーム
犬塚太一 (株式会社スクウェア・エニックス、プロデューサー)
1992 年に株式会社エニックス (現:株式会社スクウェア・エニックス) に入社し、「ドラゴンクエスト モンスターズ」シリーズ、「ドラゴンクエスト モンスターズ ジョーカー」シリーズ、および「ドラゴンクエスト」シリーズ新規スピンアウト作品『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』のプロデューサーを務めています。
株式会社トーセ
株式会社トーセは 1979 年に設立され、ゲームソフトをはじめとするデジタルコンテンツの受託開発を、企画提案から開発、デバッグ、運営までワンストップで行っています。デベロッパー専業としては国内最大級の開発体制を擁し、Unreal Engine などの先進的な開発ツールの活用も含めて豊富なノウハウと技術力で、ハイエンドでハイクオリティなゲーム制作にも対応しています。トーセは、お客様と協力して、たくさんの方に楽しんでもらえるデジタルコンテンツやサービスの創出に努めています。
36年間にわたる「ドラゴンクエスト」シリーズには、魅了されているファンや楽しんでいるファンが世界中にいます。このシリーズは、任天堂ファミリーコンピュータ向けに 1986 年に発売された『ドラゴンクエスト』が始まりです。そのフランチャイズは、ロールプレイングジャンルの基盤であり、
GameSpot
では「最も影響力のある史上最高のロールプレイング ゲーム」と評されています。『ドラゴンクエスト』のリリース以降、このシリーズには11のナンバリング作品と、「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズ「ドラゴンクエストヒーローズ」シリーズ、「ドラゴンクエストビルダーズ」シリーズ、といった、多数のスピンオフ作品もあります。
最新のリリース作は
『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』
で、
株式会社スクウェア・エニックス (SQUARE ENIX CO., LTD.)
と
株式会社トーセ (TOSE CO., LTD.)
が開発しました。主役は、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 』に登場した 2 人の兄妹カミュとマヤであり、『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』では、この兄妹が「はてしなき竜の大地」という異世界で大冒険を繰り広げ、プレイヤーは「七つの竜石」というお宝を探します。また、カミュとマヤは、「ドラゴンクエスト」シリーズのかわいいモンスターたちを仲間にし、
IGN
では「魅力的」で「心休まる」と評されています。
冒険心に導かれて、このシリーズの新しいゲームの開発についてスクウェア・エニックス社とトーセ社にお話を伺い、「ドラゴンクエスト」の感性を表現し、このゲームに命を吹き込むことに Unreal Engine がどのように役立ったかをお伝えします。
『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』は、長く続いている「ドラゴンクエスト」シリーズの新しいスピンオフです。この新規タイトルの背後にはどのようなインスピレーションがあったのですか?
犬塚太一氏 (『ドラゴンクエスト トレジャーズ』のプロデューサー)
:もともとは、「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズの新作としてスタートしました。紆余曲折あって、新規スピンアウトとして『ドラゴンクエスト トレジャーズ』になりました。
『ドラゴンクエスト トレジャーズ』では、『ドラゴンクエストXI』のキャラクターであるカミュとマヤが主役を務めています。なぜこの 2 人をスピンオフの主役として選んだのですか?
犬塚氏:男女 2 人組で、『ドラゴンクエストXI』から、となると必然的にこの兄妹となりました。
『ドラゴンクエスト トレジャーズ』の舞台を『ドラゴンクエストXI』の前の時間に設定したのはなぜですか?
犬塚氏:
子供時代の話にしたかったことと、『ドラゴンクエストXI』の物語に直接的な影響を与えたくなかったからです。
このゲームでは、「ドラゴンクエスト」シリーズのさまざまなモンスターを仲間にしたり、お宝を探したりします。この仕組みは過去の作品である「ドラゴンクエスト モンスターズ 」シリーズと似ています。『ドラゴンクエスト トレジャーズ』は「ドラゴンクエスト モンスターズ」とはどのように異なりますか?
犬塚氏:
「ドラゴンクエストモンスターズ」はモンスターを楽しむことがメイン、『ドラゴンクエスト トレジャーズ』はお宝探しを楽しむことがメイン。ゲーム内要素の構成は似ている部分もありますが、目的が違います。
「ドラゴンクエスト」シリーズにはターン制の戦闘の歴史がありますが、『ドラゴンクエスト トレジャーズ』で戦闘をリアルタイム アクションにしたのはなぜですか?
犬塚氏:
スピンアウト作品はチャレンジするべきだと考えているので、当初から自然とそう決めていました。逆に、ターン制にすることは考えもしませんでした。
過去の「ドラゴンクエスト」シリーズのゲームとは異なり、カミュとマヤは MP を消費して呪文を唱えることはできず、魔法のアイテムを消費してスリングで放つことで魔法を使います。『ドラゴンクエスト トレジャーズ』でこの新しい魔法のシステムを取り入れたのはなぜですか?
犬塚氏:
カミュとマヤは『ドラゴンクエストXI』では盗賊であり、魔法使いではありません。ただ、ゲーム構造上、メラやヒャドなどの呪文要素を使うことが必要でした。そのためこの形式になっています。
モンスターのデザインとゲームのバランスについてどう取り組んだのか教えていただけますか?
犬塚氏:
モンスターたちのかわいい様子ということを強めに意識して表現しています。単に倒すべき障害物ではなく、「ドラゴンクエストらしい」、「トレジャーズらしい」世界を表現するかなり重要な要素です。
宝探しのゲームである『ドラゴンクエスト トレジャーズ』の環境を設計するにあたり、どのように取り組みましたか?
犬塚氏:
開発の途中で「宝探し」がメインのゲームと変わったため、すべての要素を事前に「宝探し」向きに用意していたわけではありません。もともと「ドランゴンクエストモンスターズ」向けに用意されていた要素たちを取捨選択および調整して「宝探し」に不要なものはカットし、重要になりそうなものは拡大させていきました。ゲーム作りのアプローチとしてはかなり特殊な例だと思います。
『ドラゴンクエスト トレジャーズ』では、プレイヤーは団と拠点を作ることができます。これらについて、設計上の目標はありましたか?
犬塚氏:
プレイするうえでのホーム ポジションとして機能させる意図で用意しました。自分たちの団の存在や仲間のモンスターたちを強く意識させる場所です。
プレイヤーは、モンスターだけでなくライバル団と遭遇することもあります。ライバル団はプレイヤーのお宝を奪おうとしたり、拠点を襲ってきたりします。このシステムはエクスペリエンスに何をもたらしますか?
犬塚氏:
ライバル団と競っているという世界観の表現として取り入れています。探索行為にメリハリをつけるという意味もあります。
プレイヤーはランダムに生成されるお宝ダンジョンの攻略に挑むこともできます。このダンジョンがプレイヤーにとってやりがいのあるものになるようにするために、どのようなアプローチを取りましたか?
犬塚氏:
登場モンスターを外見的にもパラメータ的にもバラエティ豊かにすることで、仲間探しの場として機能させています。また、テンポよく戦えるようにということも意識しています。
『ドラゴンクエスト トレジャーズ』に Unreal Engine が適していたのはなぜですか?
トーセ社:
プラットフォームが Nintendo Switch ということで、パフォーマンスを気にしつつの開発となりましたが、Unreal Engine の豊富な機能により適切な調整を行うことができ、懸念は杞憂に終わりました。
Unreal Engine の
ソース コード
が公開されているため、ボトルネックやバグを自力で調べることができたのも非常に助かりました。
細かい要望にも答えることができたため、ゲーム バランスの調整もしやすかったです。また、広大なフィールドを宝探しするゲーム性なので、オープン ワールドのようなマップ制作に必要な機能が用意されており、スムーズに実装を行うことができました。
Unreal Engine のツールまたは機能の中で、『ドラゴンクエスト トレジャーズ』の開発に役立ったものはありましたか?
トーセ社:
開発者にとって、クリエイティブな作業に集中させてくれる環境が整えられていると感じました。Unreal Engine の
ポスト プロセス エフェクト
は、機能が豊富で細かい調整ができ、プレイ中でもリアルタイムに変更を反映してくれるため、品質の向上に役立ちました。マテリアルに関しても、プログラマー分野だったシェーダーの作成を、
ブループリント
でアーティストも行えるため、積極的に新しい表現にトライすることができました。
また、
シーケンサー
が使いやすく、イテレーションを速く回すことができました。イベント デモを作る環境が十分に整っていたことが、品質を上げるために非常に役に立ちました。あと、3D グラフィックスにおいて、カリングや LOD の状態を可視化できる機能が Unreal Engine の機能として標準で備わっているので、負荷の確認や調整がしやすく感じました。
ツールや機能ではないですが、
Unreal Developer Network
(UDN) には非常にお世話になりました。質問に対して返答も早く、使ったことのない機能でも気軽に確認でき、問題が起きてもすぐに解消できました。
データ管理についても、
Subversion
や
Perforce
(P4) などのバージョン管理ツールとの連携ができ、煩雑な作業を Unreal Engine 側でまとめてくれていると感じました。細かい機能ではありますが、
コレクション
も重宝しました。よく触るレベルやアセットがすぐに開けてデータへのアクセスも容易です。また、データの相互関係もわかりやすく、うっかり使用しているデータを削除してしまうこともなくなりました。
お時間を割いてくださり、ありがとうございました。『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』について詳しく知るには、どこを見ればいいですか?
犬塚氏:
公式サイト
https://www.dragonquest.jp/treasures/
または
https://dqtreasures.square-enix-games.com/en-us/
をぜひご覧ください。
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