スポットライト

ニュース

2025年11月10日

UE5 が WWE「Clash in Paris」の長時間レンダリングに決着

Motion Graphics

WWE

アニメーション

放送 & ライブ イベント

映画&テレビ

世界最大のプロレス団体 World Wrestling Entertainment (WWE) は、迫力あるライブ ショーで知られています。そこでは視覚効果やビジュアル演出、ドラマチックなライティング、そして華やかな入場シーンが組み合わされています。

同社は毎年数百ものライブ イベントを開催しており、毎週行われる Raw や SmackDown から、年間最大規模のプレミアム ライブ イベントである WrestleMania や Royal Rumble まで幅広く展開しています。

「私たちは年間を通じて、毎週必ず 3 本のライブ ショーを制作しています」と語るのは、WWE TV Production でグラフィックス & VFX を率いるリード エンジニア、Perry Harovas 氏です。「毎年少なくとも 36 本のプレミアム ライブ イベントがありますが、そのすべてが異なるビジュアルと雰囲気を持っています」
Harovas 氏にとって、この膨大さと多様性は大きな挑戦です。彼は、会場の巨大スクリーンや世界中へ配信される番組の中で表示されるモーション グラフィックの制作を担当するチームの一員です。
 
つまり、1 回あたり約 400 本もの納品物を仕上げなければならないこともあります。しかし、猶予が 1 か月あれば幸運な方です。「場合によっては 2 週間、さらには 1 週間しか与えられないこともあります。本当に番組次第なのです」と、同じく WWE TV Production の3D アート ディレクター、Cilian Tung 氏は語ります。

ゴッホ風の表現、そして限られた制作時間


今夏開催された「Clash in Paris」では、モーション グラフィックをゴッホ風の絵画タッチで仕上げるという依頼がチームに課されました。

数百本におよぶ納品物と刻一刻と迫る締め切りを前に、チームは従来と異なるアプローチを取ることを決断しました。そこで初めて制作パイプラインに Unreal Engine を導入したのです。 
「Unreal Engine を選んだのは明確な理由があったからです」と語るのは Harovas 氏です。「レンダリングは制作の最後に行われますが、最も大変で時間がかかる作業です。さらに終盤で修正が入ることも多く、その度に手戻りが発生します。だからこそ Unreal Engine は最適解だったのです」

当時、チーム内で Unreal Engine を扱えるのは VFX スーパーバイザーの Cameron Whitehouse 氏だけでした。彼は、2 週間で 400 本以上の映像を一人でレンダリングするという途方もない大仕事を担うことになりました。
 
「これまでは深夜まで作業し、レンダー ファームを監視しながら失敗したフレームをやり直すことも珍しくありませんでした。でも Unreal を使えば、これまで数日かかった 10K レンダリングを、1 時間で仕上げられるのです」と Whitehouse 氏は言います。

Unreal Engine の「最終画質フレーム」を短時間で生成できる能力が、従来のツールに比べてレンダリング工程を大幅に効率化することは明らかでした。しかし、チームが目指す「ゴッホ風の表現」を Unreal Engine 上で実現できるのか、という大きな課題が残っていました。
 
この疑問は、プリプロダクション段階でずっと彼らの頭を悩ませました。答えは Unreal Engine のポストプロセス機能にありました。
 
「Unreal Engine のポストプロセス ボリュームは、2D 的な後処理ではなく、3D 空間全体に直接影響を与えることができます。まさに欲しかったのは、すべてのオブジェクトのサーフェスに 3D で筆致を描き込むような表現でした」と Harovas 氏は言います。

筆致風の効果を生み出すクワハラ フィルター、フラットカラー用のセル シェーディング、歪みを加えるカスタム法線マップ、光の反応を制御するマニュアルのライティング設定など、こうした要素を組み合わせることで、Unreal Engine 上で絵画風の表現を実現することが可能になりました。

チームはエンジン内で素早く実験とイテレーションを繰り返すことで、その答えを見つけました。すべてのレンダリングがリアルタイムで行われるため、アイデアを試し、調整し、その結果をすぐに確認できるのです。
 
これは、従来のオフライン レンダリング ツールで新しい変更を適用するたびに長時間待たされるプロセスとは、まったく別次元の体験でした。

迅速なプロトタイピングとクリエイティブな探求 


WWE TV Production のチームにとって、UE 上でさまざまな表現の可能性を試せることは、これまで避けてきたアイデアに挑戦する自信につながりました。

「企画を出すたびに、自分たちでその重荷を背負うことになります」と Whitehouse 氏は語ります。  「私がこの業界にいる何年もの間、挑戦的すぎてレンダリングのボトルネックを生むような提案は避けてきました」
 
Unreal を導入したことで、アイデアの迅速なプロトタイピング、セットの構築、ライティングの調整、アート ディレクションまで同時に進められるようになりました。そのため次の企画会議に臨むときには、より具体的で肉付けされたビジョンを提示できるのです。

さらに、Fab のライブラリから高品質なアセットを手軽に活用できるため、プロトタイピングのスピードも格段に向上しました。

「今回の Unreal セット用に、うちのモデラーが作ったのはエッフェル塔、ノートルダム大聖堂、凱旋門、ルーヴル美術館の 4 つだけです」と Tung 氏は言います。「ただ、街全体は Fab ライブラリからそのまま持ってきて配置しました。それだけでも完璧に機能しました」

Unreal Engine をブロードキャストやライブ イベント用のグラフィックス制作パイプラインに組み込むことは、WWE TV Production チームにとって革新的な出来事でした。 
「以前は約 60 台のマシンを 24 時間年中無休でフル稼働させてレンダー ファームを回していましたが、今は Unreal Engine を使って 1 台のマシンで同じことができます。400 本以上の映像をその 1 台から出力できるのです」と Harovas 氏は語ります。「以前と今でできることの差が、本当に大きくなりました」

この成功をきっかけに、チームは今後さらに多くのアーティストを Unreal Engine に習熟させ、レンダリングに費やす時間を減らし、より創造的な探求に集中できるようにしていく計画です。それにより、VFX スーパーバイザーの負担の大幅な軽減を目指します。

「今後は部門内の全アーティストに Unreal のトレーニングを始めます」と Tung 氏は言います。「そうすれば、Cameron 氏一人に頼りきりにならずに済みますからね」

UE でモーション グラフィックを作ってみませんか?

新しいモーション デザイン サンプル プロジェクトをぜひご覧ください。放送アーティストが使用するさまざまな一般的なワークフローを示すこの新しいサンプルを使用して、モーション グラフィック プロジェクトをすぐに開始できます。
今すぐ購入

業界の最新イノベーションの情報と無料アセットのお知らせを入手しましょう。

情報を提供することにより、Epic Games Store からのお知らせ、アンケート、特別オファーの受信に同意したものとみなされます。 プライバシーポリシー