UE で制作されたアニメーション The Wingfeather Saga の Wingfeather 一家。]

スポットライト

2026年6月24日

Shining Isle Productions が The Wingfeather Saga の開発に Unreal Engine を全面的に採用

Shining Isle Productions

The Wingfeather Saga

アニメーション

コントロールリグ

シーケンサー

ブループリント

映画&テレビ

広く愛されてきた物語を書籍から映像化するのは、並大抵のことではありません。映像化しなければならないのは、読者の想像力をかき立て、最高潮からどん底まで導き、忘れがたい登場人物たちに読者を引き込んできたストーリーなのです。

このプロジェクトに大きな責任が伴うことは、Shining Isle Productions もよく理解しています。Shining Isle Productions の使命は、Andrew Peterson による人気の児童向けファンタジー シリーズ The Wingfeather Saga を、アニメーション テレビ番組として映像化することでした。

このプロジェクトにおける最大の課題は時間でした。最後の仕上げやブラッシュアップ、そして本作の魅力を十分に引き出すための細かい配慮と手間をかけるための時間が必要でした。Unreal Engine を全面的に採用し、アニメーションとリギングをすべてエンジン内で行うことで、Shining Isle の制作チームはこの大きな課題を克服し、膨大な時間を節約することができました。さらに、節約できた時間を使って、従来のパイプラインと予算では実現不可能なレベルにまでこのシリーズを向上させることができました。

本のページからテレビ画面へ 

The Wingfeather Saga は、Wingfeather 一家が恐ろしい怪物ダングの牙から逃れ、名もなきグナグから世界を救うために戦う、数々の試練と苦難を描いた物語です。
 
このシリーズのファン(愛称「フェザーヘッズ」)は、原作のテレビ アニメ化を熱望していました。2016 年には、本シリーズ特有の手描き CG によるビジュアル スタイルを確立するためのコンセプト実証用のパイロット版がクラウドファンディングで制作されました。そして、1 万人以上の人がシーズン 1 と 2 の制作資金を提供し、Wingfeather は史上最大のクラウドファンディングによるアニメーション シリーズとなりました。

Shining Isle は、CEO 兼エグゼクティブ プロデューサーの J. Chris Wall 氏と Andrew Peterson 氏によって、著者の広く愛された書籍をアニメ シリーズ化することを目標に設立されました。クラウドファンディングで資金調達したパイロット版の公開から 9 年を経て、シーズン 4 が 2026 年秋に放送される予定です。同スタジオは、当初から紡いできた物語とともに着実に成長を続けてきました。このビジョンを実現するための一環として Unreal Engine が採用されています。
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga に登場する馬車。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios

Unreal Engine への全面移行

The Wingfeather Saga は、最初の 2 シーズンでは、Maya でアニメーションを作成し、レイアウト、レンダリング、ライティングを Unreal Engine で行うというハイブリッドなパイプラインを採用していました。シーズン 3 では、チームは決定的な転換を行い、アニメーション パイプライン全体を Unreal Engine に移行しました。これにより、チームはリアルタイム ワークフローを最大限に活用できるようになりました。

Shining Isle の制作担当副社長兼エグゼクティブ プロデューサーを務める Keith Lango 氏は次のように述べています。「これまで私たちは、V-Ray や Octane と同様に、UE をレンダリング エンジンとして使用していました。エンジン内でアニメーションを制作することで、開発パイプラインのどの段階でも、最小限の手間でシーンの変更を自由に行えるようになりました。これにより、イテレーション作業のスピードが向上しただけでなく、過度な負担がかかっていた少人数の技術開発スタッフが、データ転送の監視に追われることなく、ROI の高いパイプライン ソリューションに注力できるようになりました」

移行には課題も伴いました。アニメーターは新しいツールを習得する必要があり、スタジオはトレーニングとサポートに多額の投資を行いました。しかし、移行を段階的に進め、社内ツールを作成することで、チーム全体をスムーズに移行させることができました。そして、その成果は計り知れないものでした。
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga で岩陰に隠れている 2 人の少年。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios
Lango 氏は次のように述べています。「結局のところ、スタジオが Maya から Unreal へ移行したことで生じた総コストは、数か月にわたる制作時間の損失であり、それは約 4 週間分に相当しました。その損失分は、他の効率化や機能の向上によってすでに取り戻しています」

The Wingfeather Saga は連続ドラマ形式のシリーズであるため、移行のメリットは特に顕著でした。キャラクター、環境、ストーリー要素がシーズンごとに引き継がれるため、Unreal Engine のリアルタイム パイプラインにより、時間の経過とともに効率性が高まりました。デジタル バックロット アセットの再利用に加えて、チームは既存のアニメーション サイクル、パフォーマンス作業、および制作準備済みのシーケンスを活用できるため、作業負荷を軽減しながら、シーズン間の連続性を維持することができます。

Lango 氏は、最大のメリットはアニメーションの修正のスピードと修正しやすさだったと明かしています。
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga で槍を持っている登場人物たち。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios
Lango 氏は次のように説明します。「Maya を使用していた頃はアニメーションの修正率が 4 %でしたが、Unreal Engineではほぼ 10% にまで向上しました。しかも負担が増加することはありませんでした。つまり、私たちのショーランナー チームは、以前の Maya を使ったラウンドトリップ ワークフローでは対応できなかった、最終段階でのパフォーマンス変更をこれまでの 2 倍以上実施し、より効果的にストーリーを伝えることができるようになったのです」

ツールが変わっても、アニメーションの基本は変わりませんでした。アニメーターは引き続きキーフレーム、ポーズ、カーブを扱いますが、レスポンスが向上した環境で作業できるようになったのです。

コントロール リグ、シーケンサー、アニメーションのリターゲティングなどのツールが、Shining Isle のワークフローの中核を担うようになりました。チームはまた、シーンのセットアップの自動化、アニメーション ライブラリの管理、制作タスクの効率化のために、カスタムのブループリント ツールを開発しました。

その結果、アーティストにとって馴染みのあるパイプラインが構築されました。しかも、処理速度が格段に向上しており、同じ制作期間内でよりきめ細かな調整を行うことができました。

Lango 氏は次のように続けます。「私たちのスタッフは、プレビュー再生を待つことなく自分の作品を確認できるようになりました。そのスピードのおかげで、以前と同じ時間で作品の完成度をさらに高めることができるようになりました」
UE で制作されたアニメーション The Wingfeather Saga に登場する祖父と孫。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios

リアルタイム ワークフロー:意思決定の迅速化と結果の向上

従来のパイプラインでは、アーティストは変更を加える前に、レンダリング、コンポジット、レビューのサイクルを待つ必要がありました。Unreal Engineでは、これらのステップが「見て、決めて、調整する」という 1 つの瞬間に集約されます。これは制作に大きな影響を与えます。アーティストとディレクターは、考えるスピードでイテレーションを行い、パフォーマンス、構図、ライティングを遅延なく調整できます。
Lango 氏は次のように説明します。「制作はイテレーション作業です。同じ制作コストでより多くのイテレーションを行うことができれば、目的のビジュアル ストーリーテリングをより適切に表現できます」
Wall 氏にとって、これは撮影にも及びます。

Wall 氏は次のように述べています。「レイアウトからアニメーション、ライティングまで、あらゆるステージに素早くアクセスできるようになりました。各アーティストは、ほぼ瞬時にレビュー可能な映像を提供できます。そしてもちろん、カメラについても触れておかなければなりません!レンダリング レイヤーのパフォーマンス低下に左右されることなく、コンポジットまで自由にカメラ ワークができるのは素晴らしいことです」

リアルタイムワークフローは、個々のタスクのスピードアップだけでなく、コラボレーションのあり方をも変革します。
従来のパイプラインでは、最終段階での変更はコストがかかり、作業の中断を招くことが多く、多くの場合、作業を上流工程に戻す必要がありました。Shining Isle では、Unreal Engine によって異なるアプローチを取ることが可能になりました。作業を逆戻りさせるのではなく、チームが一緒に前進するのです。

Lango 氏は次のように続けます。「作業を逆戻りさせるのではなく、前工程の部門を現在の制作ステージに招き、それぞれのスキルを活かして、最新のシーンで最終段階での変更を行ってもらっています。Unreal Engine の特性により、カメラ、アニメーション、編集、ライティングといった要素を、各部門がシーケンスを「完了」した後でも、パイプラインのあらゆるステージで変更できるのです」

この柔軟性により、制作上の課題が完全に解消されるわけではありませんが、イテレーションのコストが大幅に削減され、チームは単にシーンを完成させるだけでなく、シーンの質を高める作業に注力できるようになります。
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga でランタンを持っている登場人物。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios

従来のアニメーション パイプラインの制約を打ち破る

従来の CG アニメーション パイプラインは、マルチパス レンダリング、複雑なコンポジット、長いフィードバック ループといった制約を抱えていることが少なくありません。スタイライズド ビジュアル、特に非フォトリアルなビジュアルを実現するには、複雑な回避策が必要になることがあります。

Lango 氏は何年もかけて非フォトリアリスティック レンダリング (NPR) を探求しており、その限界を熟知していました。ただし、ゲーム シネマティクスで Unreal Engine を使った経験から、高度にカスタマイズ可能な強力なリアルタイム シェーディングという、まったく新しいアプローチを見出しました。

Lango 氏は次のように述べています。「Amazon Games のシネマティクス ディレクターとして UE をしばらく使ってみて、UE のシェーディング機能の素晴らしさを実感しました。UE で高度にカスタマイズ可能なリアルタイム NPR 風シェーダーを開発できれば、マルチパス レンダリングとコンポジットのパイプライン全体を省略し、より迅速に、より多くのイテレーションで結果を達成できると判断しました」

Wall 氏にとっても、その魅力は同様に明らかでした。Wall 氏は、Unreal Engine の採用を、小規模なチームが必要な時間内に可能な限り最高の作品を生み出すチャンスだと捉えました。

Wall 氏は次のように説明します。「Unreal Engine を活用することで、イテレーションのスピードを大幅に向上させることができました。さらに、従来の CG と比べて、パイプラインの早い段階で最終ショットを確認できることもすぐに分かりました」
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga に登場する年配の女性の登場人物。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios

絵画のような絵本風のビジュアル デザイン

The Wingfeather Saga の最も印象的な特徴の 1 つは、絵画のような絵本風のビジュアルです。これは、高度なポストプロセス処理なしには CG アニメーションで実現することが非常に難しいものです。Shining Isle は、従来のレンダリング技術を活用するのではなく、カスタム シェーダーを使用してこのビジュアルを Unreal Engine に直接取り込みました。

Lango 氏は、ブラシス トローク、エッジの分割、テクスチャの歪み、ピクセル ブレンド、スタイライズされたライトの減衰といった、スタイルの核となる視覚的要素に分解し、体系的にこのプロセスに取り組みました。それぞれの技術的な決定は、アートの目標にどれだけ役立つかという観点から評価されました。

Wall 氏にとっての課題は、適切なバランスを見つけることでした。柔らかすぎると画質が低品質に感じられ、シャープすぎると絵本のような魅力が失われてしまいます。チームは、特にビジュアルの方向性を模索していた第 1 シーズンにおいて、絶え間ない試行錯誤を通してこのバランスを磨き上げました。Wall 氏は次のように述べています。「本当に楽しかったのは、シリーズの各シーズンで Unreal Engine の新リリースも登場し、新しい機能を活用してビジュアル表現を継続的に向上させることができたことです」
UE で制作したアニメーション The Wingfeather Saga で剣と盾で戦う登場人物。
Courtesy of Shining Isle Productions, Toothy Cow Productions and Angel Studios

独立した予算で大きな成果

Shining Isle のワークフローで最も注目すべき点は、その効率性かもしれません。初期のエピソードは、従来のレンダリング ファームを必要としない、比較的安価なハードウェアで制作されました。
 
Lango 氏は次のように振り返ります。「最初の 2 シーズンは、BestBuy で購入した比較的安価なゲーマー向けノート PC ですべて制作しました。独立スタジオを立ち上げるための設備投資の削減は、決して些細なことではありません。おかげで最初のシーズンを乗り切るための資金繰りの余裕ができたのです」

ハードウェア コストの節約に加えて、本当のメリットはイテレーションにあります。Lango 氏は次のように続けます。「予算規模をはるかに上回る成果を生み出すことができます。従来のワークフローでは 2 倍のコストがかかるようなビジュアル ストーリーテリングを社内で実現できるのです。しかも、完全にコントロールできます」

Wall 氏は、これらのコストと時間の効率性は業界の転換点を示していると考えています。つまり、小規模スタジオが大手プロダクションと競合できる時代が到来したことを意味しているのです。

Lango 氏は最後に次のように述べています。「CG アニメーションの歴史においてこの瞬間は、きわめて重要です。当社のようなスタートアップ スタジオは、従来のシステムに比べてはるかに低いコストで制作を行えるようになりました。まさに CG アニメーション制作の新時代の幕開けであり、私たちがその一翼を担えることを大変嬉しく思っています」

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