Shipwrecked children in animated short film ‘Shimmer’.

スポットライト

2026年3月16日

Shimmer:メキシコ最高峰の舞台に上り詰めた学生制作の短編アニメーション

Escena

Lumen

Nanite

Niagara

Shimmer

UE5

アニメーション

ブループリント

教育

映画&テレビ

Shimmer (原題 Fulgores) は、深く心に響くインディー スタジオが制作した短編作品です。

親子の絆を探求した本作は、遭難した一家を巡る物語です。父親が家族を救出しようと執拗に追い求めるあまりに、子供たちとの絆が壊れていく様を描いています。
 
メキシコ シティの Unreal アカデミック パートナー スクール Escena の学生たちと共同で制作されたこの作品は、メキシコで最も権威ある舞台の 1 つに上り詰め、メキシコ映画アカデミー主催のアリエル賞で最優秀短編アニメーション賞に輝きました。

Shimmer は当初、従来のアニメーション レンダラを使用して制作が進められていましたが、ライティングなどの重要な要素を早い段階から検討したいという思いから、チームは Unreal Engine を基盤としたパイプラインに切り替えることにしました。
 
制作の途中で Unreal Engine に切り替えるという決断は、リスクを伴う可能性がありました。しかし、それが大きな転機となりました。
 
Shimmer の脚本家兼監督兼プロデューサーを務める Andrés Palma 氏は次のように述べています。「UE5 を導入しなければ、この短編作品を予算内で期限どおりに完成させることはできなかったでしょう」
 
最終的に、彼らはアセンブリやライティングから VFX やレンダリングに至るまで、あらゆる工程で UE を使用しました。この成果は、Unreal Engine が教育チームにプロレベルの成果をもたらす顕著な実例であるとともに、数々のアニメーション スクールがリアルタイム パイプラインに移行を進めている理由も示しています。

個人的なストーリー


Escena School of Animation and Creative Arts のプロジェクト担当のラーニング ディレクターとして、Palma 氏は Santiago Maza Stern 氏や同校が運営するスキル育成機関である Escena Animation Studio の多くの学生と協力し、Shimmer の制作チームを率いました。

Shimmer の背景にあるストーリーは、Palma 氏にとって非常に個人的なものであり、父親になることへの彼自身の恐れや不安に深く踏み込んだものでした。
 
Palma 氏は次のように述べています。「これは、助かるための作業に没頭しすぎて良い父親になれない男と、自立しようとしても、自分の力量を超えていると認められないプライドの高い娘の物語です。互いに傲慢すぎるだけでなく、寛容さが足りない親子 2 人の絆が崩壊へと突き進む葛藤を描いています」
The troubled father character in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación
このアイデアは、Palma 氏の 10 年間の交際の破局から生まれました。
 
Palma 氏は次のように続けます。「彼女は子供を望んでいたのですが、私は望んでいませんでした。この点については妥協点は見出せませんでした」
 
精神的に苦しかった当時、Palma 氏は文学に傾倒し、George Saunders の短編小説 Sticks に出会いました。この作品は、子供たちに無関心だった父親が、人生の終わりに悔い改めるものの、許してもらうには遅すぎたという物語を描いています。

Palma 氏は次のように語ります。「父親になることを強いられたら、自分がなりかねないような父親を軸にした脚本を書こうと考え始めました。Ricardo は悪人として書かれたわけではありません。ただ、子供たちとの絆を取り戻すには遅すぎるまで、助かるための作業を子供たちより優先してしまう利己的な人物として描かれています」
Ricardo handles a lightbulb in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación
Palma 氏は、物語の前半では明らかに悪い父親として描きながら、人間性を完全には失っていない人物として描きたいと考えていました。

Palma 氏は次のように説明します。「この映画を制作した主な理由は、父親になることへの自分の選択を受け入れ、この選択について自分自身に何らかの許しをもたらすためでした。

タイトルが示唆するように、光は Shimmer の中心的なテーマの 1 つであり、このストーリーの核となるテーマが、チームが本作の制作に Unreal Engine を選択することに直接つながりました。
A child holds a flashlight in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación

Unreal Engine で道を照らす


父親の灯台への執着、ルシアの救難信号、空を照らす奇妙な光る生き物など、Shimmer のストーリー展開において、光は重要な役割を果たしています。

Palma 氏は次のように話します。「光はこの映画においてきわめて重要な役割を果たしています。どの映画にも言えることですが、Shimmer では、光自体が独自のキャラクターと言えます。懐中電灯、救難信号弾、灯台といったさまざまな光源は、3 人の登場人物それぞれが抱く希望や夢を象徴しています。ストーリーの大半が、彼らが互いの光を消したり、点けたりすることで展開していきます」

本作のクライマックスでは、数百匹もの発光生物が登場し、このテーマをさらに深めています。

チームは当初、この短編作品を Arnold でレンダリングしようと考えました。「理由は Arnold が使い慣れたソフトウェアだったことと、リアルタイム レンダリングでは品質が低下するのではないかと懸念していたからです」と Palma 氏は話します。

しかし、新たなメンバーをチームに迎えたことで、その心配は杞憂に終わりました。  
Palma 氏は次のように語ります。「優れたライティング スーパーバイザーである Pablo Cárdenas 氏にチームに加わってもらいました。Cárdenas 氏は Arnold に精通しているだけでなく、UE5 のエバンジェリストでもあり、彼のおかげで私たち全員が UE の愛好者になりました」
An array of lights inside the lighthouse in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación
従来のレンダラでは、細かい調整を加えるたびにレンダリングに何時間もかかることもありましたが、Unreal Engine により、ライトをリアルタイムで調整して、結果を即座に確認できるようになりました。
 
Palma 氏は次のように語ります。「こういったライトが、非常に複雑なジオメトリだけでなく、ストーリー自体ともどのように相互作用するかを、最終的なレンダリング品質を損なうことなく、早い段階でプレビューできるソフトウェアを利用できることが、私たちにとってきわめて重要でした。私たちはレンダリング ファームを常時利用できる環境のない、小規模な独立スタジオですが、UE5 でライティング作業を行えるようになったことで、確実に画期的な変化がもたらされました」

リアルタイム フィードバックにより、クリエイティブなイテレーションが可能になり、従来のボトルネックが解消されました。それだけでなく、より人間的なメリットももたらされました。

Palma 氏は次のように語ります。「予想外だったのは、この短編作品の複数のシーケンスのライティング作業を私自身が楽しく進めることができたことです」
 
チーム リーダーである Palma 氏は当初、映画の中でお気に入りのシーケンスから 12 ショットほどのライティングを行う予定でした。

Palma 氏は続けます。「結局 50 ほどのショットのライティング作業を行いました。以前は考えられなかったことですが、とても楽しかったですね」
Bioluminescent fish in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación

発光生物の群れに命を吹き込む


チームはライティングだけでなく、アセンブリから髪の毛、毛皮、群れのシミュレーションまで、UE5 を幅広く活用しました。

Palma 氏は、特に光るトビウオの群れを作成する際に使用した Nanite と Niagara をきわめて役立った機能として挙げています。

Palma 氏は次のように述べています。「Niagara のおかげで、数百もの異なるジオメトリで構成される光る魚の生物を読み込み、テクスチャ駆動型のアニメーション サイクル、ルック デベロップメント、そして発光にバリエーションを加えることができました。そして、キーフレーム化されたヒーロー アセットと相互作用する魚の群れ全体の動きを演出することができました。UE で可能になることを目の当たりにし、胸が高鳴りました!」

ただし、すべてが順調だったわけではありません。チームは、魚のさまざまなアニメーションの回転を最適化し、輝く様子を向上させるという技術的な課題に直面しました。

「ブループリントの使い方を学んだことは非常に役に立ちました」と Palma 氏は振り返り、Unreal Engine の直感的なビジュアル スクリプティング システムについて次のように語ります。「複数のアニメーション、ライト コンポーネント、そしてマテリアル シェーダーのコントロールを単一のブループリントで記述し、Niagara と合わせて単一のバンドルにまとめることができました。
 
このブループリントにより、チームはそれぞれの魚のインスタンスを一元的に制御できるようになりました。膨大なオーバーヘッドなく、こういった複雑な処理を管理できることは、小規模チームに大きな変革をもたらしました。

「驚くべき効果でした」と Palma 氏は語ります。
Kids in a car in animated short film ‘Shimmer’.
Images courtesy of Escena, Escuela de Animación

教室からレッド カーペットへ


Shimmer が完成し、アカデミー賞を含む数々の賞にノミネーションされている今、Palma 氏は、従来のオフライン パイプラインに依存し、Unreal Engine への移行を検討しているアニメーション スクールに向けて、次のようにアドバイスしています。

「Unreal Engine への移行は、非常に合理的です。こういったスクールのほとんどは、常時利用可能なレンダリング ファームを備えていません。そのため、プレビューのために 30 分も待つのではなく、リアルタイムに結果を確認できる機能は、驚くほど役立ちます」

Shimmer の受賞は、教育にリアルタイム テクノロジーを取り入れることでどのようなことが可能になるかを示す優れた実例です。

Escena のチームが、Unreal Engine 5 を活用して、視覚表現において意欲的に取り組んだ短編アニメーションを制作、シミュレーション、ライティング、レンダリングを行いました。この短編アニメーションは、業界のプロの作品にひけをとらない優れた作品です。

リアルタイム レンダリングへの移行を検討しているアニメーション スクールにとって、Shimmer は、「アニメーションの未来は、より速く、よりクリエイティブで、よりアクセスしやすいものになります。そしてそれはすでに教室で実現されているのです」という明確なメッセージを伝えています。

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