スタイライズされたキャラクター デザインに合うように MetaHuman をカスタマイズする
このスタイライズされた外観を実現するには、ポスト プロセスだけでは不十分でした。チームは、特にメインキャラクターの Fia については、MetaHuman アセットを直接修正しました。「彼女は Blender で作成したカスタムのヘア グルーム、アップスケールされた目、そしていくつかのカスタム スキン テクスチャを持っていました」と Su 氏は言います。
彼女の目については、チームは MetaHuman Creator (MHC) で実現できる範囲を超えたプロポーションを求めていました。 見た目を完璧にするため、彼らはまず MHC で希望の結果にできるだけ近いキャラクターを作成し、次に Unreal Engine から直接ヘッド メッシュをエクスポートして、Blender で編集しました。
「実際にスケールアップする必要があったのは目そのもののメッシュだけであったため、モデリング プロセスはかなり簡単でした」と Su 氏は述べています。
目のような特徴を標準的な制限を超えてスケールアップすることで、最終的にチームはデザインを 2D イラスト スタイルに近づけることができました。「正直なところ、そのすべてがこれほど実現可能だとは思っておらず、大きな衝撃を受けました。特に、多くの場合でツールを使いながら同時に学んでいたことを考えると、なおさらです」と、Su 氏は語ります。
他のヒューマノイド キャラクターについては、チームは MetaHuman のベースとなる顔や身体を使用しつつ、髪型や衣装、顔のディテールにカスタマイズを加えることで、よりスタイライズされ、手描き感のある美学を実現しました。
「MetaHuman のブループリントの仕組みは非常に扱いやすく、テクスチャやボディ メッシュを差し替えるだけで、独自性の高いキャラクターを簡単に生み出すことができました」と、Su 氏は説明しています。
MetaHuman はヒューマノイド キャラクターに対して柔軟な基盤を提供しましたが、リヴァイアサンのような非ヒューマノイドのクリーチャーに取り組む際には、アプローチが大きく変わりました。これには、各クリーチャーの解剖学的構造に合わせて調整された、完全にカスタムのリグとアニメーション ロジックが必要でした。
MetaHuman のように標準化されたツールやワークフローの恩恵を受けられるものとは異なり、これらのキャラクターは、プロシージャル リグからスプライン ベースのアニメーションに至るまで、より実験的な手法に依存していました。これは、人間の形態を超えた表現に取り組む際には、パイプライン自体も柔軟に適応させる必要があることを示しています。
「パフォーマンス キャプチャは、このプロジェクトに取り組むほんの 1 年前でさえ、自分たちの規模やスキルセットでは到底扱えるとは思ってもみなかった分野でした」と、Su 氏は語ります。
キャプチャした俳優の演技をスタイライズされたキャラクターにリターゲットする工程では、試行錯誤の連続でした。目の動きが大きすぎると Fia の目がクリッピングを起こしてしまい、特定の身体動作では腕が衣装のスリーブを突き抜けてしまうこともありました。
「テクスチャ マスクやカメラの工夫、そして丁寧なアニメーションのクリーンアップを組み合わせれば、解決できない問題はありませんでした」と、Hassoun 氏は語ります。
チームは、リアル系のキャラクターとスタイライズされたキャラクターとで大きく異なる点のひとつは、モーション キャプチャのクリーンアップが単なる「修正作業」にとどまらないことだと気づきました。その上に、クセを補正したり、誇張されたプロポーションにより豊かな生命感を与えたりするための、創造的な追加アニメーションの工程が存在しているのです。
「こうしたクセはあったものの、このワークフローは従来のアニメーション パイプラインと比べると、まさに大きな助けになりました」と、Hassoun 氏は語ります。「特に、チームにはいわゆるクラシカルな意味でのキャラクター キーフレーム アニメーターがいなかったことを考えると、その恩恵はなおさら大きかったです」
そのすべてのアニメーションのクリーンアップは、Unreal Engine で直接行われました。これは、チームが MetaHuman Animator から取得したパフォーマンス データの品質が高かったおかげで可能になりました。
「アニメーション コントロールの自由度やツール、制約、スイッチといった要素に加えて、リアルタイムでレンダリングできる点も含めて、本当に優れた環境だと思います」と、Hassoun 氏は語ります。
「特に、非常に細かなニュアンスが求められるフェイシャル キャプチャのクリーンアップにおいて、その良さが際立ちます。スコープにレンダリングされた結果がすぐに表示されると、調整、テスト、イテレーションがやりやすくなります。私たちは非常に小さなチームです。ツール間でデータをエクスポートおよびインポートするような余裕があるなら、その時間を映画の改善に費やす方が合理的です」
リアルタイム シネマティック制作のための Unreal Engine
Unreal Engine は、制作全体の背骨として機能しました。UE のリアルタイム機能が、チームで行えることの可能性を根本的に変えました。
「この規模と複雑さを持つ作品は、従来の PBR レンダリング ワークフローでは私たちには実現不可能だったでしょう」と、Su 氏は述べています。「レンダリング時間だけでも致命的な負担になっていたはずですし、ましてや、異星の風景を横断するダイナミックなロング テイクや、生命やジオメトリが密集した世界を描くという野心を実現することなど、とても不可能だったと思います」
彼らは、Unreal Engine の主要なレンダリング テクノロジーによって、より少ないチームでより多くのことができるようになることに気づきました。
「Daughter of the Inner Stars の制作に着手したとき、Lumen と Nanite を利用することから、Unreal Engine で構築およびレンダリングすることになるだろう、とかなり早い段階から考えていました」と Su 氏は述べています。「Quixel Megascans のアセットとマテリアルへのアクセスも、非常に頼りになるものでした」
レンダリングを超えて、Unreal Engine はリアルタイム コラボレーションも可能になりました。「オンライン ミーティングを通じて、作曲家の Nick やディレクターの James と連携し、画面共有を使いながら、環境やカメラの動きについてリアルタイムでフィードバックを出し合うことができました」と、Su 氏は説明しています。「私たちが構築していたシーンはリアルタイム性を備えていたため、James が各ショット内の動きや演出をその場で確認し、細かくブラッシュアップしていくことが容易になりました」
これにより、従来のパイプラインよりも迅速に、より協力的でクリエイティブな意思決定を行えるようになりました。
小規模チームが大きな物語を作れるように
Daughter of the Inner Stars リアルタイム レンダリング、手軽に扱えるパフォーマンス キャプチャ、そして柔軟なキャラクター ツールの組み合わせによって、小規模なスタジオでも大規模でシネマティックなエクスペリエンスを生み出せることを示す好例です。
それだけにとどまらず、本作はクリエイティブ テクノロジーにおけるより大きな変化をも示しています。
MetaHuman や Unreal Engine のようなツールは、単にワークフローを改善するだけでなく、インディペンデント クリエイターにとって「何が可能か」という定義そのものを塗り替えつつあります。「MetaHuman Animator のリリースが、このプロジェクトに対する私たちの目標とアプローチを完全に変えたと言っても過言ではありません」と Su 氏は締めくくりました。