キックスターターという叶えたい夢を、文字通り ZED は叶えてしまいました。死を目前にした男性の頭の中にある信じられないような既知に富んだ世界を探索するファースト パーソン アドベンチャー ゲームは、$48,000 という控えめに設定したクラウドファンディング目標額を超えました。認知症患者に彼の記憶を再度引き出すことで、精神面の障害を取り除いていきます。世界は薄れていきますが、彼は夢の中で、自分が生きている間には会えなかった孫娘への遺産を残す方法があることを知っています。それを思い出せればいいのに。そう願いながら。
「年を取って記憶ができなくなるとはどういうことなのかを、私達は一旦どこかで考える必要があると思います」と語るのは、 Eagre Games の Creative Director の Chuck Carter 氏です。「人間誰もが、人生の最後は幸福に迎えたいと思っています。終わらせておきたいものに決着をつける、または最後のお別れをしようとするゲームです。」
Cater は 25 年間新聞社に勤めながら、Myst の Robyn Miller 氏がまだ手書きでゲームを作成していた頃に手掛けた豆の茎を上る冒険ゲーム The Manhole などをプレイしながら、このようなワールドを絶対にビルドしたいと思っていました。Miller が CD-ROM の力を見抜いた時、Myst の謎めいた背景を画面用に変換する手助けをしたのが Carter でした。
ZED 初期のスクリーンショット「夢の象徴」のいくつかでは、熟睡中の Cater 自身から引き出した奇妙な化石の形をした歯、砦のような浮遊するブロック、そしてプレイヤーの時間の積み重ねであるふしぎなパズル、関係性がすぐに分かります。
ただし、ZED への影響が大きかったのは Myst ではなく Carter の次の制作現場である Westwood でした。ここで Cater は素晴らしい B 級映画 Command & Conquer and Red Alert の制作に関わります。Emperor:Battle for Dune ではシネマティックス アーティスト兼グラフィクス スーパーバイザーとして、彼は「自分でかなりいいな」と思ういろいろなワールドを空想することが許されました。
「『何て不思議なんだ!』という気持ちを思い出したかったのです」と Cater は説明します。「Westwood では、空想力を鍛える機会に恵まれました。かなり自由に仕事をさせてもらえましたし、仲間同士で情報交換したり助け合いました。こうした体験の多くを ZED に取り入れたいと思っています。」
クリエイターとしての仕事よりも管理職的な役割が多くなってしまったため、昨年 Cater は Eagre Games (「非常に小さな会社」) を創立しました。一番最近採用したアーティストは、まだ大学在学中です。
「頭の中にあるアイデアを形にできるようになって嬉しいです。彼は私が頼んだことをそのままビルドできるのです」と Cater は言います。「類まれな能力です。」
アンリアル エンジン 4 を使っているうちに、頭の中の概念とチームが実行するアートとの差がこれまでになく小さくなっていることにクリエイティブ ディレクターは気が付きました。
「モデリングとテクスチャ、その他の効率性が重要なことは明らかであり、エンジンは心に描いているものをそのままにしてくれる」と彼は言います。
Myst の開発では、1 つのイメージのレンダリング処理に 12 時間、24 時間、時には 48 時間かかる心配などは無用です。(昔は処理速度が遅すぎて苦境に立たされました。本当に最悪でした。)
今のコンピュータは Cater が思う通りに処理してくれるので、「頭の中にあるものが、すぐに画面上に表現されます。この速さのお陰で、自分の空想の再現がかなり楽になりました。」
Dreamscapes では無制限のパレットと、レベルのモードを一瞬で切り替えるスコープが提供されています。ZED では、プレイ中にスクラップブックや特に重要なアイテムが出た時に、そのエリアの雰囲気ががらりと変わったりします。
Cater は Dear Esther 氏の大ファンで、プレイヤーを背景から連れ出さずに物語を進めていく方法が大好きです。ZED では、夢を見ている男性を 2 人のアクタがプレイします。1 人は静かで冷静ながらお茶目な面も少々あります。もう 1 人は自分の状況に困惑し憤慨しています。
「自分が覚えておきたいことを、すべて覚えられたりするわけではないのです」と Carter が付け足します。「彼は、靴の紐を結ぶというシンプルなアクションを取ると言いますが、指が動きません。」
Irrational Games のライター、そして The Flame in the Flood と Underworld Ascendant ではクリエイターを務めた Joe Fielder 氏をはじめとする ZED チームでは、このような個人的な体験を数多く、テーマに結びつけています。Carter の場合、元メンターである友人が認知症を患っています。最近 2 回ほど会いましたが、この友人は Carter のことが分かりませんでした。
「Ed の場合、記憶ができないけれども、それが元気いっぱいに生きている彼の一部となっているのです。ただ、その 2 つの特性を接続できないだけなのです。」と Carter は言います。「時々、彼の声に怒りと憤りを感じることがあります。心の不安は誰でもあります。それを夢によってしばしば私達は取り除いているのです。
ZED の詳細は ZED on Kickstarter をご覧ください。
編集注記: PCGamesN は、長く続いている Making It in Unreal シリーズのためにアンリアル エンジンで制作された素晴らしいゲームを選んでそのデベロッパーにインタビューしています。エピック ゲームズは編集プロセスに関与していません。