2018年6月20日

リアルタイム テクノロジーによる自動車デザインの変革

作成 Simon Jones

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次世代の魅力的な車のデザインと製造のプロセスは複雑で、完成まで何年もかかります。新しいモデルのデザインには、徹底的なプロトタイピング、テスト、レビュー、繰り返しが必要で、従来は長い時間がかかっていました。それが今、転換期を迎えています。最新のイノベーションが、自動車を開発、販売する企業に大きな変化をもたらしています。

近年、自動車デザインのエクスペリエンスを高速化、簡素化、強化する手段として、リアルタイム テクノロジーに注目する大手自動車メーカーが増えています。リアルタイムのデザイン手法が自動車業界で取り入れられつつある最大の理由は、効率です。従来のデザイン手法では、樹脂製のモデルやコストのかかる物理的なデザインのプロトタイプを使った繰り返しのプロセスから抜け出すことができず、費用と時間がかかります。多くのメーカーが、こうした手法を避けるようになっています。そして、リモート コラボレーション、3D ビジュアライゼーション、バーチャル リアリティ、リアルタイム エンジンによる瞬時のカスタマイズを取り入れた、新しい手法に目を向けています。

リアルタイム化によるデザイン プロセスの強化

自動車業界では、何年にもわたり、CGI とレンダリングがデザインのビジュアライゼーションにおいて大きな役割を果たしてきました。しかし、静的なビジュアライゼーションに頼らずに、リアルタイム エンジンを活用すれば、繰り返しの作業をスピードアップさせ、デザイン プロセス全体を通じて幅広いエクスペリエンスを実現できます。この最近の変化により、自動車デザインの技術を高める、まったく新しい可能性が解き放たれています。

デザイン分野の革新的な企業は、アンリアル エンジンのテクノロジーを活用して、自動車メーカーがクリエイティブな作業や意思決定に関するワークフローにかかる時間を短縮しながら、まったく新しいデザイン エクスペリエンスを追求できる道を切り開くことを後押ししています。たとえば、NVIDIA の Holodeck は、世界中に分散したチームが、現実のようにリアルな VR デザイン空間で仮想的に集まり、コラボレーションすることを可能にします。これによって、グローバル企業のデザイナーが協力して作業する方法が一変し、開発期間の短縮とコラボレーションの強化につながる可能性があります。
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BMW は最近、自動車デザインのパイプラインに複合現実ラボを導入しました。これは、VR のヘッドセットと物理的な内装モデルを組み合わせたもので、イマーシブで触感にも対応した、360 度のリアルタイムのエクスペリエンスを実現します。デザイナーは、車両を組み立てる前に、プロトタイプ モデルでドライバーのエクスペリエンスを実感できるため、デザイン プロセス全体にわたり、より的確な判断が可能になります。ほかの大手自動車メーカーも追随し、リアルタイム デザインをさまざまな方法で活用して、生産サイクルを強化、改善しています。
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リアルタイム テクノロジーは、独特のインタラクティブなエクスペリエンスをデザイン プロセスにもたらすだけでなく、全体の効率を向上させます。従来の方法では、レビューが始まってすぐにデザインのフィードバックが返されても、変更点の反映に数週間かかる場合がありました。それが現在では、デザイナーが変更点を当日中に反映できるため、クリエイティビティをより柔軟に発揮でき、また、中断を伴うことなく繰り返しの回数を増やすことができます。以前は数週間かかったことを数日以内に完了できます。さらに、クリエイティブな業務のサイクルでデザインの問題点をより迅速に特定できるため、欠陥が生産の後段階まで持ち越される可能性を大幅に下げることができます。

自動車業界では相乗効果も同様に重要です。メーカーがすでにあるデザインの成果をうまく生かす方法が見つかれば、長期的に見て時間とコストを節約できます。リアルタイム テクノロジーで作成したアセットは、生産やマーケティングのパイプラインのほかの領域で簡単に再利用できるという利点があります。魅力的なレンダリング、プロモーション用資料、顧客向けのリアルタイム ビジュアライゼーションなどについて、大変な仕事をデザイナーが終えたら、その成果を簡単に展開して広めることができます。

自動車の新しいカスタマー エクスペリエンス

リアルタイム テクノロジーの可能性は、自動車業界内のほかの領域にも急速に広がっています。デザイン プロセスの効率を高めるだけでなく、デザイナーが作業をリアルタイムで柔軟にカスタマイズできるようにすることで、クライアント、顧客、関係者の具体的なニーズに合わせたエクスペリエンスを形作ることができます。これは、内部のレビュー セッションや、重要な意思決定者向けのプレゼンテーションにおいて極めて重要ですが、自動車の販売にも大きな変化をもたらします。

個々の顧客のテイストに合わせて、パッケージ オプションやカラーまで、さまざまなモデルのカスタム構成を現実のような精度でリアルタイムに作成できると、自動車販売の促進に大きく役立ちます。自動車のカスタム コンフィギュレーターは普及しつつありますが、Volkswagen などの企業はこの技術をさらに一歩進めています。VW Sweden は最近、ビジュアライゼーション ツールのデザイン会社である Animech に、イマーシブな VR コンフィギュレーターの開発を依頼しました。VR ヘッドセットを着用した顧客が、席を立つことなく、現実のようにリアルな車両をリアルタイムで操作し、完全にカスタマイズできるというものです。これも、業界がリアルタイム デザインの可能性に気づき始めてから見られるようになったイノベーションの一例です。
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私たちは、刺激的なエクスペリエンスの時代を迎えました。自動車業界が進化を続け、リアルタイムがもたらす可能性を受け入れていくなかで、こうしたエクスペリエンスは、ますます発展していくでしょう。

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