今日は、Apple プラットフォーム向けの Unreal Engine の現在の状況に関する全体的な最新情報をお知らせします。Epic Games の目標は、macOS 版で Windows 版と同等の機能性を実現し、すべてのプラットフォームでユーザーに一貫した体験を提供することです。
Fab の導入により、macOS で利用できるコンテンツが格段に増え、ダウンロードしてプロジェクトで使用できるようになりました。
Epic Games では、macOS でのランタイム ターゲットと Unreal Editor の最小システム要件をバージョン 13.x に引き上げました。これにより、Metal シェーダ コンバータ (MSC) との統合が改善され、Vision Pro をサポートするための XCode の要件が満たされるようになりました。
Metal Render Hardware Interface (RHI) の継続的な改良により、シェーダー モデル 6 (SM6) をサポートできるようになりました。これにより、M2 チップ以降を搭載したデバイスで Nanite を導入できます。これには、Unreal Editor を再コンパイルしたり、定義を変更したりする必要はありません。ボタンをクリックするだけです。
SM6 には macOS 15.x 以降が必要です。
iOS シミュレーターの実験的機能のサポートを導入され、Unreal Engine 内で iOS のテストと開発に役立つツールを利用できるようになりました。
Unreal Build Accelerator (UBA) は、分散コンパイルを可能にする Epic のツールです。UBA エージェントは、Intel ベースと Apple Silicon ベースの両方のハードウェアをサポートします。
Unreal Engine 5.4 から、Unreal Engine のメニューをシステム メニュー バーから UE ウィンドウ自体に移動しました。この設計変更により、すべてのプラットフォームでユーザー エクスペリエンスが統一されるだけでなく、これまではプラットフォーム固有であった一連の機能がプラットフォームを問わずに使用できるようになり、Unreal Editor の全体的な使いやすさと機能性が向上します。
ユーザーが直面する最も頻繁に発生し、不満を抱く問題の 1 つである「NavigateToSource」クラッシュに対処しました。macOS でのクラッシュ レポートの 25% がこのバグによるものでしたが、ついに解消されました。
また、CrashReporting も改善しました。このことにより、再現が難しい一部の問題を追跡できるようになりました。また、安定性の向上にも引き続き取り組んでいます。
機能の同等性の実現に向けた取り組みは継続的に行わており、各アップデートごとに Apple と Windows のプラットフォーム間の差は縮小されています。取り組むべきことは、依然として多いため、いくつかの項目が実験的機能として指定されていますが、同等の機能性の実現に向けて着実に進歩しています。
導入された実験的機能は、Epic Games が、これらのデバイス上で Unreal Engine によって可能になる処理の拡張に注力している証です。Apple プラットフォームのサポートを継続的に改善し拡張していきますので、デベロッパーの皆様には、今後に向けてこれらの新機能を試し、是非フィードバックをお寄せいただければ幸いです。
Windows 版 Unreal Engine と同等の機能性の実現を目指して、Apple プラットフォームの Metal Render Hardware Interface (RHI) を大幅に改善しました。これまで Unreal Engine は Metal-cpp ライブラリを Apple の Metal API の C++ ラッパーとして使用していました。当初はその目的を十分に果たしていましたが、今では古い技術となり、多くの技術的負債を抱える原因となりました。Unreal Engine 5.4 からは、正式な Metal-cpp ライブラリを採用することで、パフォーマンスの改善、安定性の強化、新機能の導入の機会が得られると同時に、未解決の問題にもより効果的に対処できるようになります。
ソフトウェア レイ トレーシング (Lumen)、ハードウェア レイ トレーシング (Lumen とパス トレーサー)、Nanite のデバイスの互換性の状況をわかりやすくするために、どの Apple デバイスがどの機能をサポートしているかを明確に示す表を作成しました。
コミュニティは Apple Silicon M1 向けの Nanite 適応において称賛に値する進展を遂げていますが、私たちの目標は、Unreal Engine ユーザーが期待するパフォーマンスと品質基準を満たす統合を実現することです。提案されているいくつかの回避策があるものの、M1 ハードウェアでは品質基準を満たすことは難しいと判断したため、サポート対象外となります。
UE 5.5 のアップデートにより、Mac で Nanite を有効にするために複雑なセットアップや特殊なビルドは不要になりました。[Project Settings (プロジェクト設定)] で SM6 レンダラを有効にし、メッシュを Nanite 用に設定するだけで、Nanite の機能をすべてご利用いただけます。なお、SM6 には macOS 15.x 以降が必要であることにご注意ください。
レンダリング パフォーマンスの最適化に向けた取り組みの一環として、Metal シェーダ コンバータの初期サポートも検討しました。Epic Games では、DirectX HLSL 中間言語 (DXIL) から Metal シェーダ中間表現 (IR) に直接変換することで、変換回数を最小限に抑えることを目指しています。このツールとの統合を改良することでパフォーマンスの向上が期待されますが、これは実験的機能の段階にあり、引き続きデータを収集しています。
Unreal Engine 5.4 では、iOS シミュレーターのサポートが実験的機能として導入され、大きく前進しました。ただし、このリリースにはビルド済みのバイナリが付属していないため、この機能を試してみたい場合は、ソースから Unreal Editor をビルドする必要があります。
シミュレーターの機能セットは Apple A8 チップのものに匹敵しますが、最新の M1 MacBook を含むさまざまなデバイスで開発、プロトタイピング、テストを可能にすることで生産性が向上します。
シミュレーターの使用方法の詳細とビルド手順については、フォローアップの EDC 投稿をご覧ください。
Xcode はプライバシー マニフェストによって、アプリケーションがユーザーのどのような種類のデータを収集し、なぜそのデータを収集するのかを要約します。これには、独自のコードによって収集されるデータと、使用している サードパーティ SDK によって収集されるデータが含まれます。アプリケーションを配信すると、Xcode は SDK とアプリケーションのプライバシー マニフェストを単一のプライバシー レポートにまとめます。これにより、アプリケーションのプライバシー慣行に関する透明性の高い情報をユーザーに提供することが容易になります。
UE は、以下の場所でデフォルトのプライバシー マニフェストを提供しています。
macOS:Engine/Build/Mac/Resources/UEMetadata/PrivacyInfo.xcprivacy
iOS、tvOS、iPadOS:Engine/Build/iOS/Resources/UEMetadata/PrivacyInfo.xcprivacy
追加のプライバシー機能を使用するプロジェクトの場合は、UE のプロジェクト設定によって指定される場所で追加の PrivacyInfo.xcprivacy ファイルを提供する必要があります。デフォルトでは以下の場所です。
macOS:/Game/Build/Mac/Resources/PrivacyInfo.xcprivacy
iOS、tvOS、iPadOS:/Game/Build/IOS/Resources/PrivacyInfo.xcprivacy
詳細については、「プライバシー マニフェストに関する Apple のドキュメント」を参照してください。
Unreal Engine 5.4 以降、Apple Vision Pro の実験的機能のサポートをリリースしました。これは、フォーラムの投稿で言及されています。当初は Full イマージョン スタイルのみをサポートする予定でしたが、visionOS 2.0 で Metal レンダリングによる Mixed イマージョン スタイルのサポートが開始されたため、UE 5.5 で試験的機能のサポートが追加されました。
Apple Vision Pro を使い始めるには、「クイック スタート ガイド」を参照してください。
コミュニティの皆さんがどんなアイデアを生み出すか楽しみにしています!
アンチエイリアシングのパフォーマンス:デフォルトのアンチエイリアス モードであるテンポラル スーパー解像度 (TSR) は現在、Apple シリコンのソフトウェアおよびハードウェアの制限に達しており、ランタイム コストが他のプラットフォームに比べて最適化されていません。この問題について調査を進めており、今後のリリースでランタイム パフォーマンスの改善を目指しています。その間、別のアンチエイリアスモードへの切り替えをお勧めします。プロジェクトの設定で「Anti-aliasing (アンチエイリアス)」と検索し、代替の方法を選択することで変更できます。
今回は以上です!この更新が皆様のお役にたちますと幸いです。また、フォーラムで皆様のフィードバックをお待ちしています。
Unreal Engine のインストール方法
ランチャーをダウンロードする
Unreal Editor をインストールして実行する前に、Epic Games Launcher をダウンロードしてインストールする必要があります。
Epic Games Launcher をインストールする
ダウンロードして、インストールしたら、Epic Games Launcher を開いて、Epic Games アカウントを作成するか、ログインします。
サポートを受けるか、手順 1 でダウンロードした Epic Games Launcher を再起動します。
Unreal Engine をインストールする
ログインしたら、Unreal Engine タブに移動し、インストール ボタンをクリックしてください。最新バージョンのダウンロードが始まります。